2011年10月13日(木)の記事を転載
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「MGF牧仕のキリストバカ一代」補完ブログ-111013a2011年10月5日、アップルは共同創業者で8月24日までCEO(最高経営責任者)を務めていたスティーブ・ジョブズ会長が死去したことを明らかにした。享年56歳。

 ジョブズ氏の死去は、奇しくも新型iPhoneモデル「iPhone 4S」の発表直後だった。これまでにも何度となく病気を患っては克服してきたジョブズ氏だが、8月下旬には異常な痩せ方をしている姿が捉えられ、健康面を心配する声が挙がっていた。2004年には膵臓ガンと診断され、2009年には肝臓の移植手術を受けていたジョブズ氏は、その後、復帰を果たしたが2011年の1月17日に再び病気療養のため休暇に入っていた。

 アップルは同社のホームページ上に次のメッセージを沿えた。日本語サイトでは日本語訳を以下のように掲載している。

  Steve Jobs
  1955-2011

 「アップルは先見性と創造性に満ちた天才を失いました。世界は一人の素晴らしい人物を失いました。スティーブを知り、共に仕事をすることができた幸運な私たちは、大切な友人と、常にインスピレーションを与えてくれる師を失いました。スティーブは彼にしか作れなかった会社を残しました」

<引用以上>


 アップル (Apple Inc)は、2011年8月10日、ニューヨーク株式市場の終値で、初めて米石油大手エクソンモービルを抜いて株式時価総額世界一になった。同日のアップルの時価総額は終値で3371億ドル(約26兆円)だったのに対し、エクソンは3307億ドルだった。米メディアも速報し、米紙ウォールストリート・ジャーナルは「アップルが『世界で最も価値ある企業』になった」と伝えた。IT関係だけでなく、全ての企業を含めての時価総額首位とは驚きだ。


<著名人らによる時代の寵児スティーブ・ジョブズに対する弔辞>

「スティーブと初めて会ったのは、30年近く前だ。それ以来、ともに人生の半分以上にわたって、同僚であり、競争相手であり、友人だった。スティーブほど世界に大きなインパクトを与えた人は、ほぼいない。彼の影響はこの先何世代にもわたって残るだろう。」(ビル・ゲイツ マイクロソフト社の共同創業者・会長)

「スティーブは米国のイノベーターの中で最も偉大な一人でした。違う考えを持つことに勇敢で、世界を変えられるという信念に大胆で、そしてそれを成し遂げることに十分優秀でした。この星で最も成功した会社の1つをガレージから作り上げることで、彼は米国の独創性の精神を実証した。スティーブは毎日が最後の日であるかのように生き、私たちの生活を変え、全産業を再定義し、私たち一人一人が世界を見る方法を変えました。」(バラク・オバマ 第44代アメリカ合衆国大統領)

「スティーブの訃報は、非常に悲しい報せだった。彼は、その才能で信じられないほどの偉業を成し遂げてきた、素晴らしい人だ。そう、人が考える前に、考えるべきことを少ない言葉で伝えられる、そんな能力を持った男でもあった。私は、彼のユーザーエクスペリエンスの捕らえ方に、非常に影響を受けた人のひとりだ。それに、彼は私がGoogleのCEOに着任してからも、さまざまな助言や知恵を与えてくれ、私とともに歩んでくれた。彼に、そんな余裕があったとは思えない状態にも関わらずだ。Google社を代表し、スティーブの家族と、Appleファミリーへ謹んでお悔やみを申し上げる。」(ラリー・ペイジ Google共同創業者)

「グーグルの初期から、ラリーとわたしがビジョンとリーダーシップのためのインスピレーションを探し求めるときはいつでも、クパチーノ(アップル本社のある場所)より遠くに目を向ける必要がなかった。スティーブ、卓越さに対するあなたの情熱は、アップルの製品(わたしが今これを書いている「MacBook」を含めて)に触れたことのある人ならだれもが感じている。そしてわたしは、あなたと会った何度かの機会に、そのことを直接目にしている。」(セルゲイ・ブリン Google共同創業者)

「スティーブ、メンター、そして友人でいてくれてありがとう。創造したもので世界を変えられることを示してくれてありがとう。寂しくなるな……。」(マーク・ザッカーバーグFacebook創設者)

「とても悲しい。芸術とテクノロジーを両立させたまさに現代の天才だった。数百年後の人々は、彼とレオナルド・ダ・ヴィンチを並び賞することであろう。彼の偉業は永遠に輝き続ける。」(孫正義 ソフトバンク創業者)


 世界中のあらゆる人々からスティーブ・ジョブズに対する賞賛と惜別の声が上がる。とりわけIT関係者には彼の生と死は計り知れないインパクトを残したようだ。かつて口汚くののしったライバルたちもほめちぎっているが、不思議なことに大半の人は死んだらいい人に変身するようだ。


「MGF牧仕のキリストバカ一代」補完ブログ-111013b 実は私の最初のコンピュータとの出会いはアップルだった。当時私はコンピュータなどに全くに興味がなかったが、国際キリスト教宣教団体のOM(オペレーション・モービライゼーション)のスタッフとしてオフィスワークに必要になった。その時事務所にあったのが一台のMacintosh Classic(マッキントッシュ・クラシック)であった。ずぶの素人の私にも非常に扱いやすいもので自己流でなんとか使えた。

 留学先のアメリカでも私はPowerBook500(パワーブック500)を愛用した。当時は携帯もネットもなく、ただ聖書関連のソフトを活用してバイブル・カレッジの課題や論文を書くために肌身離さず使っていた。当時アメリカのカルバリー・チャペルの牧師たちはこぞってマッキントッシュを愛用し、コンピュータを駆使して聖書を学んだり、伝道用のツールにする時には常にマッキントッシュを推奨していた。

 帰国後ウィンドウズ・パソコンを使うようになったが、なんと今週iMac(アイマック)が我が家にやってきた。久しぶりの再会といった感じだ。やっぱりアップルはなんといっても洗練されたデザインがいい。

 私は熱狂的なマック・ヘビーユーザーではないが、私にとってマックはこれまで福音宣教と聖書学習に大いに役立ったツールである。恥ずかしながら未だにキーボードのブラインドタッチもできず、10本の指をフル活用できないでいるが、きっとマッキントッシュがなかったら、私にはOMの宣教事務の仕事は務まらなかったであろうし、パワーブックがなかったらバイブル・カレッジも首尾よく卒業できなかったかもしれない。そうなれば今の私はなかったかもしれない。でもそれはちょっと大袈裟かもしれない。


<スティーブ・ジョブズに関する著名なクリスチャンたちのコメント>

 スティーブ・ジョブズと同世代の元ヒッピーで、アメリカの代表的大衆伝道師でカルバリー・チャペルの代表的牧師の一人グレッグ・ローリーは、ジョブズの死に以下のようなコメントをしている。

「スティーブ・ジョブズはより多くの人々が福音を聞くことための道を開くのを助けた。・・・ローマ人が帝国内の街道を整備し、共通語を定着させたのを使徒たちが当時の世代に福音をもたらすために利用したように、ジョブズは私たちの世代にそれと似たようなことをなした。」(グレッグ・ローリー ハーベスト・クリスチャン・フェローシップ牧師)

 また、同じくジョブズと同世代のアメリカの福音派の指導者、神学校教師の一人でアルバート・モーラー・ジュニアも以下のようにコメントしている。

「クリスチャンもスティーブ・ジョブズの生涯から一つや二つのことを学ぶことができる。・・・ジョブズは創造的英知を用いて人類に向上をもたらしたが、そうしたことはすべてのクリスチャンが切望すべきことである。・・・私たちはこの世界をよりよくしてくれる個人個人に感謝しますが、むしろ私たちはそれが永遠の影響をもたらすかどうかによって人生を評価しなければなりません。」(アルバート・モーラー・ジュニア アメリカ南部バプテスト教会の南部バプテスト神学校代9代総長)

◆『ローマ法王がツイッターとiPadデビュー』
 (AFP 2011年6月30日)

 ローマ法王庁は29日、バチカンの最新ニュースを伝える情報サイト「news.va」を公式にお披露目し、ローマ法王ベネディクト16世が米アップルのタブレット型端末「iPad」を使って米SNSツイッターで初めて「つぶやき」を投稿する動画を公開した。

 動画の中で法王は、枢機卿らに囲まれ助言を受けながら、笑顔でiPadを操作している。法王が「Publish(公開)」と書かれたリンクに触れても画面が変わらないなど、すんなりといかない場面もあるものの、新たな情報サイトを閲覧して回っている姿が映っている。ちなみにこのiPadの壁紙は、法王が若いときの家族写真だという。

 法王は28日、自分のラテン語の正式名を使ってツイッターデビューを果たし、「親愛なる友よ、たった今『www.news.va』を立ち上げました。主イエス・キリストをたたえましょう。祈りと祝福を込めて、ベネディクト16世」とつぶやいた。

 法王のツイッターデビューは、世界の若者たちに布教を広め、スキャンダルで地に落ちたバチカンのイメージを回復するため、法王庁が伝統に縛られた従来のあり方からの脱皮を試みていることを示している。

<引用以上>


 すでにローマ教皇のツイッターアカウントのフォロワーは4万4千人を超えているという。

 このようにキリスト教界にも多大な貢献を果たしたスティーブ・ジョブズであるが、実は彼は禅に傾倒した仏教徒であったという。禅宗の自己実現の概念はジョブにとって魅力的に感じた。ビデオゲーム会社アタリでテクニシャン(下級エンジニア)として採用され、40人目の社員として仕事をしていたとき、ジョブズは多くの坐禅会に参加し、会社に東洋思想の興味を追求するためのインドへの旅行を支払うように説得。さらにジョブズは僧院に入り、僧侶になることを考えたこともあるという。またジョブズの結婚式は禅の導師によって執り行われた。禅のシンプルさはアップルの美しいほどのシンプルな製品にも浸透しているようにも思われる。


$「MGF牧仕のキリストバカ一代」補完ブログ-111013c
◆『ジョブズ氏の革新に影響を与えた思想とは―― 日本の禅僧と長年の交流』
 (CNN.co.jp  2011年10月7日)

 5日に死去した米アップルの創業者スティーブ・ジョブズ氏が手掛けた製品は、パーソナルコンピューターの「マッキントッシュ」から多機能携帯端末「iPad」に至るまで、ミニマリスト的デザインとシンプルな操作性が特徴だった。

 ジョブズ氏のこうした革新的なデザインには、禅の影響があるのではないかと指摘する声もある。

 ジョブズ氏は若いころインドに旅して仏教に触れ、1970年代にカリフォルニア州の禅センターに通って、日本出身の禅僧、故・乙川弘文氏と交流を深めたといわれる。

 乙川氏はジョブズ氏の結婚式を司り、86年にジョブズ氏がアップルのCEOを解任されて設立した「ネクスト」の宗教指導者にも任命されるなど、2人の交流は長年にわたって続いた。

 ジョブズ氏がスタンフォード大学で2005年に行った有名な講演をはじめ、同氏の発言の中には禅の自力本願の思想が反映されている。講演でジョブズ氏はこう語った。「過去33年間、私は毎朝鏡の中の自分に向かって『もし今日が自分の人生最後の日だったら、今日やろうとしていることをやりたいと思うだろうか』と問い掛ける。そして答えが「ノー」の日が続いたら、何かを変えなければいけないと思う。自分はいつか死ぬと思い続けることは、私が知る限り、何かを失うかもしれないという思考のわなに陥るのを防ぐ最善の方法だ」。

 ジョブズ氏と乙川氏との交流は、フォーブズから近く出版される劇画小説「The Zen of Steve Jobs(スティーブ・ジョブズの禅)」に描かれている。

<引用以上>


乙川弘文(おとがわ こうぶん 1938年 - 2002年)は、新潟県加茂市出身のアメリカ合衆国カリフォルニア州で活動した曹洞宗の僧侶。アップル社のスティーブ・ジョブズとの交流でも知られた。

1938年、新潟県加茂市の曹洞宗の寺に生まれた。駒沢大学を経て、1969年に京都大学で修士号(大乗仏教)を取得した。

福井県の永平寺で3年に及ぶ修行を積み、1967年、僧侶・鈴木俊隆の招きでアメリカ合衆国に渡った。タサハラ禅マウンテンセンターにて、1970年まで補佐を務め、1971年に鈴木が死去した後には、ロスアルトスの禅センターにて、1978年まで活動した。

その後も各地にて活動していたが、2002年7月26日、スイスにおいて、5歳の孫娘を助けようとして溺死した。

<以上ウィキペディアより>


 乙川弘文はジョブズの家に居候していたこともある。ジョブズが日本で禅僧になるか、アップルを始めるか、悩んだ時、乙川はアップルの方を勧めたという。彼がいなければ今日のアップルは存在しなかったのかもしれない。


「MGF牧仕のキリストバカ一代」補完ブログ-111013d<曹洞宗とは?>

宗旨

 曹洞宗は、お釈迦さまより歴代の祖師(そし)方によって相続されてきた「正伝(しょうでん)の仏法(ぶっぽう)」を依りどころとする宗派です。それは坐禅の教えを依りどころにしており、坐禅の実践によって得る身と心のやすらぎが、そのまま「仏の姿」であると自覚することにあります。そして坐禅の精神による行住坐臥(ぎょうじゅうざが)(「行」とは歩くこと、「住」とはとどまること、「坐」とは坐ること、「臥」とは寝ることで、生活すべてを指します。)の生活に安住し、お互いに安らかでおだやかな日々を送ることに、人間として生まれてきたこの世に価値を見いだしていこうというのです。


教義

 私たちが人間として生を得るということは、仏さまと同じ心、「仏心(ぶっしん)」を与えられてこの世に生まれたと、道元禅師はおっしゃっておられます。「仏心」には、自分のいのちを大切にするだけでなく他の人びとや物のいのちも大切にする、他人への思いやりが息づいています。しかし、私たちはその尊さに気づかずに我がまま勝手の生活をして苦しみや悩みのもとをつくってしまいがちです。お釈迦さま、道元禅師、瑩山禅師の「み教え」を信じ、その教えに導かれて、毎日の生活の中の行い一つひとつを大切にすることを心がけたならば、身と心が調えられ私たちのなかにある「仏の姿」が明らかとなります。日々の生活を意識して行じ、互いに生きる喜びを見いだしていくことが、曹洞宗の目指す生き方といえましょう。


以上、曹洞宗公式サイト、曹洞禅ネットより抜粋
http://www.sotozen-net.or.jp/soto


 スティーブ・ジョブズが心酔した禅なるものは、曹洞宗の教えとは随分異なったものに思える。以下に目を通してもらいたい。


 ここ30年の間、世界で最もパワフルでカリスマ的なCEOだった、といわれるスティーブ。そんな彼の成功を支えたのは、「仏教」、そして「禅の教え」だと伝えられている。

 激動の60年代に多感な思春期を過ごしたスティーブは、ビートルズとボブ・ディランをこよなく愛し、彼らの人生観にも強い影響を受けたそう。LSDなどサイケデリック・ドラッグもやったことがあると告白しているくらいなので、ヒッピーたちのバイブルといわれたスピリチュアル・ガイダンス本『ビー・ヒア・ナウ』もおそらく読んだことだろう。この本を執筆したのは、ヒンドゥー教の聖人ニーム・カロリ・ババの弟子である、アメリカ人のラム・ダス。当時、この本を読み、ババに会いにインドを訪れたアメリカ人はとても多くいた。

 スティーブもその1人だ。大学を中退してしばらくたった1974年、アタリに入社しているが、その理由は「ババに会いにインドへ行く資金を稼ぎたかった」から。まとまった金を手に入れたスティーブは、後にアップル社員第一号になる大学時代の友人ダニエル・コッケと共にインドへ行った。

 インドに到着した彼は、まず貧困のひどさに大きな衝撃を受け、すぐさま、生きるために必要ないものを捨て、剃髪し、身軽になり、ババの教えをもらうために寺へと急いだとのこと。残念ながらババは彼らが到着する1カ月前に他界しており、念願は叶わなかったが、スティーブは、このとき仏教徒に改宗。アメリカに帰り、その後、大成功を収め億万長者になってからも、極力贅沢品は持たない質素な生活を続けた。近所でも、会社でも、裸足でウロウロ歩くことが多かったそうだが、インドでの経験がそうさせていたのだろう。

 また、スティーブはインドで、ババの名声で人を集めようとする人たちを目の当たりにする、というあまりよくない経験もした。その時、「素晴らしいアイデアがあっても、行動を起こさなければ、何もないに等しい」「カール・マルクスとニーム・カロリ・ババ、2人合わせたよりも、トーマス・エジソンの方が世の中にとって大切なことをしたのではないか」と思ったとのこと。夢を、アイデアを、実現するために全身全霊でプロデュースする。夢を形にして、世界を人々の生活をよりよくする。アップルを成功へと導いた強いモチベーションは、この時、生まれたともいわれている。

 ユマ・サーマンの父親で、ダライ・ラマの下で修行をし、欧米人初の得度を受けたコロンビア大学チベット仏教学教授ロバート・サーマンは、「スティーブ・ジョブズを仏教徒だとはいえない」「しかし、彼は、東洋の精神鍛練と禅ビジョンを仰ぎ望む人間と同じくらい、独創的な人間である」と分析している。また、仏教のエキスパートであるロバートは、スティーブを仏教徒のように「フォーカスでシンプル」な男だともいっているが、この2つは、まさしくアップルの倫理。スティーブは敬虔な信者でないにせよ、仏教の教えを忠実に取り入れていたのだ。


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スティーブは少々強引で口も悪く、かなり短気だった。そのため、人間関係におけるトラブルは少なくなかったと伝えられている。85年、自分が立ち上げたアップル社から事実上追放されるという苦い経験もしている。しかし、彼はめげることなく、高等教育用のコンピュータを作ろうと新しい会社NeXTを作った。

 新会社を作るもなかなか思うようにいかず、スティーブは苦悩するように。この時、彼を精神的に救ったのが、曹洞宗の僧侶、乙川弘文だった。乙川氏は、先生、老師(中国語で先生)と呼ばれるのを嫌い、弟子たちに名前の「KOBUN」と呼んで欲しい、「師匠ではなく、友人だと思ってください」というような、堅苦しくない人物。弟子に結婚を勧め、自身は離婚を経験するなど、型にはまらぬ僧侶だったと伝えられている。短気で口の悪いスティーブを禅の世界に導くことができたのは、乙川氏をおいてほかにはいなかったのかもしれない。

 スティーブと乙川氏は、2人共イノベーターであり、アートとデザインに情熱を持つなど、多くの共通点を持っていた。スティーブは彼から、禅だけでなくデザインのコンセプトが何かということも学んだ。ローレン・パウエルと結婚した時に、式を執り行ったのも乙川氏で、2人は深いスピリチュアルな部分で結ばれていたそう。

 80年代半ば、スティーブが乙川師から学んだことは何か、アップルにどのような影響を与えたか、そのことは、近日発売されるコミック本『The Zen of Steve Jobs』にまとめられている。米フォーブス誌でプレビューを読むことができるので、少しご紹介しよう。

 スティーブは乙川氏から、心身を整えるため一定の場所をゆっくり歩く、「経行(きんひん)」の手ほどきを受けている。仕事のことが頭から離れずイライラするスティーブに、氏は「正しく瞑想するには、全ての思考を取り去ることが必要。その思考がよいものであれ、悪いものであれ、捨てることです」と伝えたそうだ。

 氏に導かれるまま、「呼吸をしてから、一歩進む」を繰り返すスティーブ。氏が座禅を組む岩を中心に、円を描く様に歩むスティーブに、「かどを回ることは必要不可欠なことなのですよ」と、氏は教える。

 次に、今年7月にクパチーノ市役所で新しいアップルの社屋を作りたいと、スティーブがプレゼンするシーンへと飛ぶ。スティーブが描く夢の新社屋は大きな円状の建物。完成図を見せながら、「UFOが着陸したみたいだろう?」とジョークを飛ばし、「円なんだ。まっすぐなものは何もない。円なんだよ」と誇らしげにいう。と、ここで、乙川氏から禅を指導してもらっているシーンへとフラッシュバックする。

 このクパチーノ市役所でのプレゼンの様子は、YouTubeで見ることができる。痛々しいほど痩せてしまったスティーブは最初、息苦しそうにしているが、次第に新社屋に込めた熱い思いを語りだす。「駐車場は地下に作る。なので、地上の緑が増える。木もたくさん植える」「ビルは禁煙にする。私は育ての親を肺ガンで亡くしているので、この点は譲れない」などなど。最後の方で、「この新社屋は、世界一のオフィスと呼ばれるようになる。絶対にね。世界中から建築を学ぶ若者が、この新社屋を一目見に集まってくるだろう」と発言した時は、気のせいか、少し涙ぐんでいるようにも見えた。

 スティーブは禅における「簡素」の教え、「余白の美」にも大きな影響を受けたとのこと。何が必要なのか見極め、いらない部分は思い切って削る。これはアップル社での商品作りに大いに役立ったといわれている。

 また、スティーブの有名なスピーチは、その多くが、「道元」など、禅僧の言葉とよく似ているといわれている。禅僧の本を読みスピーチに取り入れたのか、自分で同じような悟りを開いたのか、どちらなのかは定かではない。しかしながら、多くの人の心に響き、強く影響を与えた彼の言葉は、禅を深く学び理解したからこそ。スティーブは、彼のスピーチを聞く多くの人にとって、禅の師匠でもあったのだ。

 思い入れのあるクパチーノの地に、禅の教えを反映した彼の理想とするアップルの新社屋が完成するのは2015年。新社屋を見届けられなかったことは、心残りだっただろうか? まだまだ、新しい製品を世に送り出したかっただろうか?

 いや、スティーブは、きっと禅における死の悟りを開き、この世に執着を残すことなく逝った。そう思わずにはいられない。

引用元:ニュースセブン http://jh10801.blogspot.com/2011/10/blog-post_09.html

「MGF牧仕のキリストバカ一代」補完ブログ-111013f  欧米で禅をやっている人たちは大まかに3つのグループに分類できる。①自らを仏教徒と名乗る人たち。②クリスチャンでありながら坐禅を追求しようとする人。③宗教の枠組みを越えて禅をやろうとする人たち。

 ②に分類される人たちは(聖書よりも)体験を重んじる神秘主義者と呼ばれる人たちに多く見られる。また中には禅を宗教性を除去したヨガや太極拳のように肉体・精神修養のために用いる者もいる。

 ③に分類にされる禅は「東洋の心理学」として、アメリカのヒューマン・ポテンシャル・ムーヴメントやトランスパーソナル心理学にも影響を与えている。思想としての禅だけではなく、主な都市には禅センターがあるため、座禅を経験したことがあったり、アートとしての禅に惹かれる人もたくさんいる。禅センターは、日本のお寺に比べると、動物の権利保護やホームレスのサポートなどの社会運動に加え、心理療法を取り入れるなどの点で非常にアクティブだ。

 さらに③に分類にされる禅をやる人たちは意識的にせよ、無意識的にせよ、ニューエイジに関わっている。

 ニューエイジ運動は、60年代のカウンターカルチャーをその直接の起源とする。物質的な思考のみでなく、超自然的・精神的な思想をもって既存の文明や科学、政治体制などに批判を加え、それらから解放された、真に自由で人間的な生き方を模索しようとする運動である。以下の項目を見てもらえれば具体的にイメージしてもらえるだろう。

 「エコロジー・菜食主義・イルカ・環境運動・神秘主義・心霊主義・神智学・死後の世界・シャーマニズム・道教・ヨーガ・マンダラ・禅・瞑想・気功・東洋医学・ホリスティック医療・代替医療・臨死体験・チャネリング・トランスパーソナル心理学・自己啓発・自己実現・無意識・ユング・セラピー・ヒーリング・量子力学・超能力・占星術・UFO・水晶・超古代文明」

 ニューエイジ運動から「禅ヒッピー」と呼ばれる人たちも現れた。スティーブ・ジョブズは自ら仏教徒を名乗ったそうだが、私の心証では彼もインドにまで渡ったヒッピーであったから「禅ヒッピー」に近いと思われる。

 ジョブズは若いときにLSDに少なくとも一回は手を出している。実はこの経験について、彼は「人生の中で2,3個ある一番大事なもののうちの一つだった」と言う。アップルのスローガンは長いこと“Think Different”(「発想を変える」とか「ものの見方を変える」という意味)であった。麻薬を経験したことが普通の思考の枠組みから抜け出して、問題をユニークな視点で見つめることを可能にしたのかもしれない。

 またジョブズは、ビル・ゲイツについてこう述べている。「彼の健闘を祈る。本当だよ。ただね、彼とMicrosoftは少し度量が小さい。彼が若い時に薬を1回でも体験するか、アシュラム(ヒンドゥー教の修行場)にでも行ってれば、もう少し大きな男になったんだろうけどね。」


 ちなみにジョブズがヒッピーだった時代(60年代後半~70年代にかけて)、カルバリー・チャペル(チャック・スミス牧師)を中心にジーザス・ムーブメントが起こった。ヒッピーたちが大挙して救われたのだ。彼らはイエス・キリストに出会って心満たされ、それまで依存していたドラッグ、フリーセックス、東洋神秘主義など彼らを蝕んでいたものを捨て去ることができた。


「MGF牧仕のキリストバカ一代」補完ブログ-111013g◆『駅のホームでスマホ事故多発 ジョブズ氏ならどう対処する?』
 (NEWS ポストセブン  2011年10月10日)

 爆発的に普及するスマートフォン。だが、一方では、駅のホームでスマホユーザーが周囲にぶつかったり、子どもや視覚障害者を蹴飛ばす事故が相次いでいる。もし、スティーブ・ジョブズ氏が健在なら、スマホをどう進化させただろうか? 作家で五感生活研究所の山下柚実氏が考察する。

* * *

 米アップルの共同創業者、スティーブ・ジョブズ会長の死去のニュースが世界を駆けめぐりました。

 「人類史上最もまれな功績を残した」とオバマ米大統領。「芸術とテクノロジーを両立させたまさに現代の天才だった」と言った孫正義氏は、「数百年後の人々は、彼とレオナルド・ダ・ヴィンチを並び称す」とまで賞賛しました。

 現代の偉人と評価する声、声、声。たしかに、パソコンにCGアニメ、「iMac」「iPod」「iPad」を創造してきたその独創力はすごい。

 そして、最後の置き土産がスマートフォンの最新機種「iPhone4S」ということなのでしょう。

 日本でも爆発的に普及しつつあるスマホですが、一方で大きな問題を生みつつある。NHKの『クローズアップ現代』では、駅のホームでスマホユーザーが周囲にぶつかったり、子どもや視覚障害者を蹴飛ばす事故が相次いでいる、と伝えました。

 ぶつかられた人はホームから転落したり、骨折するケースも。「背景はスマートフォンの急速な普及」にあると番組では明言していました。

 携帯電話に比べて、スマホによって事故の危険性が高まったのはなぜなのか。小さな画面に視線が集中し、周囲が見えなくなることが主に指摘されていますが、画面の大きさよりも、重要なポイントは「動き」にあるのではないか、と私は思うのです。

 タッチ操作一つで情報が上下に流れ、画面が常に動く。動画も走る。テレビも見れる。ゲームに熱中する。

 小さなコンピュータと化した携帯電話の中で、情報はたえず更新され、変化していく。私たちの視線は、間断なく繰り返される「変化」に釘付けになってしまうのではないでしょうか。

 人の目は、「動き」に引き寄せられます。例えばマラソンのレース。2時間を超える長い時間、ただ「人が走るだけ」の競技を熱心に見続けてしまうのは、人も画面も常に動いているから。足の動きだけでなく、入れ替わるランナー、背景の街路風景、すべてが変わっていく。

 人の目は、動きと変化に惹きつけられ、それを追いかけてしまうのです。

 では、スマホを産み育てたスティーブ・ジョブズ氏が、スマホによる事故多発のニュースを聞いたら、いったいどう考え、どんな対処をしたでしょう。どんな知恵を出し、アイディアを実現したでしょうか。ぜひ知りたいものです。

 実は、彼はコンピュータ技術の革新者であると同時に、若い頃から禅への高い関心を持ち、しばしばスピーチなどで禅の教えを引用してきました。アップル製品のデザインには一貫して、「ムダを省くシンプルさ」がありますが、それも禅から学んだ点だとか。

 禅とは、後世に負の遺産を残すことを良しとしない哲学です。思いもかけない「事故」という「負の遺産」を生み出している現状について、故スティーブ・ジョブズ氏は天上からいったい何を思いつつ、眺めているのでしょう。

<引用以上>


 スティーブ・ジョブズが天上にいるかどうかも定かではないが、彼ならこのような事故を「負の遺産」とは全く考えないだろう。マスコミ嫌いの彼は記者の問いにこう答えるのかもしれない。「スマートフォンはスマートに使おう。ところで君の質問は決してスマートとは言えないね。」


「MGF牧仕のキリストバカ一代」補完ブログ-111013h
<道元について>

 日本曹洞宗の開祖・道元(1200-1253)は、1223年、24歳で入宗し、印可を受けて、1227年、28歳で帰国した。道元は、経・論・仏具など何一つ持ち帰らず、ただ教えのみをもたらした。精力的に働き、1244年、永平寺を開き、曹洞禅の道場を開いた。また『正法眼蔵(しょうぼうげんぞう)』95巻、『永平広録(えいへいこうろく)』等を著した。

 総じて禅宗は、以心伝心の禅で仏心を伝えるものであり、文字や経論書によらず、本心によって「見性成仏(けんじょうじょうぶつ)」(自己の心性を徹見し、それこそが仏にほかならぬと自覚すること)に至るのである。一般にそれは「不立文字教外別伝(ふりゅうもんじきょうげべつでん)」(経典・教説とは別に、釈尊以来、師の心から弟子の心へ直接仏法そのものが受け伝えられたとすること)とか「直指人心 見性成仏(じきしにんしん けんじょうじょうぶつ)」(仏性そのものである人心をずばり指し示すこと)と言われる。そして「只管打坐(しかんたぎ)」(余念を交えずにひたすら坐禅すること)を行じ、坐禅の中に一切を包括すると見る。

 2009年1月、道元禅師の生涯を描いた大谷哲夫の小説『永平の風 道元の生涯』を原作とした映画『禅 ZEN』が公開された。史実とはだいぶ異なるようだが、以下が映画のあらすじである。

 道元は8歳で母・伊子(高橋惠子)を亡くす。それから16年後、24歳の道元(中村勘太郎)は仏道の正師を求め宋へ渡るが、この国でも仏教は腐敗していた。失意の彼の前に、青年僧・寂円(テイ龍進)が現れる。寂円の案内で、道元は入宋したときに錫を止めた天竜山に帰る。そこで住職・如浄禅師と出会い、如浄の元で修行を積む。そしてある夏の夜明け、道元は悟りを得る。道元は帰国し、建仁寺に身を寄せ『普勧坐禅儀』の執筆を始める。腐敗した僧たちからは孤立するが、俊了(高良健吾)、懐奘(村上淳)、宋からやってきた寂円など、道元に共感する者も集まってくる。しかし宗派を否定する道元の教えは、比叡山から邪教の烙印を押される。鎌倉幕府の六波羅探題・波多野義重(勝村政信)は、叡山の僧兵・公仁(菅田俊)らに圧迫される道元を救い、洛外深草の安養院に移らせる。遊女・おりん(内田有紀)は怠惰な夫の松蔵(哀川翔)と乳飲み子を抱え、希望のない日々を過ごしていた。しかし道元と出会い、心の変化を感じる。さらに乳飲み子を失い自暴自棄になるが、道元の教えに救われる。深草に建てた興聖寺が僧兵によって襲撃される。道元は義重の勧めで越前志此庄に移り、大仏寺(のちの永平寺)を建てる。そこで、おりんが道元の門下に入る。義重が永平寺を訪れ、時の執権・北条時頼(藤原竜也)が毎夜怨霊に苦しめられているので救ってほしいと訴える。道元は寂円と共に鎌倉へ行き、時頼に只管打坐を教える。雪深い冬の永平寺で、道元は54年の生涯を終える。


 スティーブ・ジョブズの生き方は道元の教えに触発されたものだという。曹洞宗の開祖、道元禅師は鎌倉仏教の祖のひとりにとどまらず、日本の食文化の基礎を、ほとんど独力で切りひらいた最初の人であり、それを哲学にまで高めた人物である。道元が築いた食の哲学をもとに精進料理が生まれ、やがてそれが日本料理の大系へと展開され、千利休の茶道をはじめとする様々な食領域に影響を及ぼしていく。日本の食文化は道元なくしては考えられないほどにその存在は大きく業績は多岐にわたる。


「MGF牧仕のキリストバカ一代」補完ブログ-111013i
◆『S・ジョブズ「闘病の陰で囁かれる果実食の中身」 3度目の病気療養を発表した途端、アップル社の株価は大暴落!』
 (現代ビジネス 2011年2月4日)

 「ジョブズ氏の病気療養の発表は、世界中に衝撃を与えましたが、実はユニークな発想で知られるジョブズ氏の食事についても、改めてスポットが当たることになりました。菜食主義のことです」

 こう語るのは、IT業界に詳しい米国人ジャーナリストである。
「iPhone」や「iPad」などの大ヒットで、増収増益を続ける米・アップル。

 その創業者であり、現在も最高経営責任者(CEO)として最前線で指揮をとっているスティーブ・ジョブズ氏(55)の"病気療養宣言"は全世界を揺るがした。

 ジョブズ氏が、病気療養に入ることを全社員にメールで通達した---。

 『ウォール・ストリート・ジャーナル』(WSJ)などが、このニュースを1面トップで報じたのは1月18日のこと。すると、米・株式市場は即座に反応。当日発表された '11年度第1四半期の業績が、前期比78%の増益だったにもかかわらず、アップルの株価は一時最大で6.5%も下落。終値は、前日比で下げ幅2.3%となる340.65ドルで引けた。

 時価総額でマイクロソフトを抜き、世界最大のハイテク企業となったアップルだが、図らずも、カリスマ経営者の存在感がブランドイメージに影響力を持つ企業の脆さを露呈することになった。

 前出の米国人ジャーナリストが話す。

「今回、社内メールで公表されたのは、『ホルモンバランスが崩れ、健康体の維持に必要なたんぱく質が失われる病気を患っている』とのことでした。療養期間が不明なままなので、様々な憶測が飛び交っていますが、ジョブズ氏の病気療養は、今回が初めてではありません」

 ジョブズ氏は '04年、膵臓がんの摘出手術のため1ヵ月間療養。

 '09年には、肝臓の移植手術を受け、半年間の入院を経験している。この時は、「約6ヵ月」と、明確な療養期間を事前に発表していた。
「今回の病状については米マスコミでもあまり報じられていません。そうした中、ジョブズ氏の食生活に体調不良の原因があるのではないか、との説まで囁かれ始めているのです。ジョブズ夫妻が、究極の菜食主義者と言われるヴィーガンであることは有名で、ジョブズ氏は、特に果物にこだわる果実食主義者。リンゴが大好物で、肉も魚も、卵も乳製品すら摂らない。ミルクも蜂蜜もダメ。それが激やせの原因ではないかというのです」(前出の米国人ジャーナリスト)

インド放浪とリンゴ

 ヴィーガンとは、衣食を含むあらゆる目的のために動物を殺すことがないようにしている人々のこと。厳格なベジタリアン(菜食主義者)として知られる。

 ジョブズ氏の果実食主義への傾倒は相当なもの。例えば、 '04年の休養時には、手術を受けずに食事療養で治療しようとしていたというほどだ。最終的には手術を受けたが、その時の模様を、米国の経済誌『フォーチュン』( '08年3月5日号)は巻頭特集で、次のように伝えている。

〈仏教徒で菜食主義であるアップルCEOは、現在主流の、西洋医学に懐疑的だった。膵臓がんの治療でも別の治療法を採用することを決め、特殊な食事療法によって手術を回避する道を希望した〉

 ジョブズ氏の果実食は復帰後も続いたようで、「サンフランシスコ市内の菜食主義レストラン『Greens』で食事するジョブズ氏の姿が何度も目撃されている」(前出・米国人ジャーナリスト)。

 もちろん、今回の体調不良と果実食主義との関係は明確ではない。
 しかし、ジョブズ氏の経歴を振り返れば、カリスマ経営者と果実食の"ユニークな関係"が垣間見えてくる。


「MGF牧仕のキリストバカ一代」補完ブログ-111013jジョブズ氏は '72年、オレゴン州のリード大学に入学するが、半年で大学への興味を失い中退。 '74年にはビデオ・ゲーム会社「アタリ」の社長、ノーラン・ブッシュネル氏に気に入られ、エンジニアとして入社する。

 社内では異彩を放ち、風呂に入らず長髪にサンダル姿でうろつくという奇行が目立った。

 友人のダン・コトケ氏と仕事でドイツに行った帰りにインドに寄り、数ヵ月間放浪したりもした。インドでは、修行僧のグルに気に入られ山で一緒に修行、丸坊主になって出社したこともあったという。

 アタリを退社したジョブズ氏は、 '77年1月3日、高校時代からの悪友、スティーブ・ウォズニアック氏、それにブッシュネル氏に紹介されたマイク・マークラ氏とともにアップルを創業する。

 ジョブズ氏と面識があり、アップルジャパンの立ち上げにもかかわった、PR会社「井之上パブリックリレーションズ」の井之上喬社長は、こう語る。

「ジョブズ氏が付けたと言われている社名の由来についてはいろいろ説がありますが、大学を中退した後に、彼がリンゴ農園で働き、よくリンゴの木の下で瞑想していたために〝アップル〟と命名したと聞いています。インドを放浪したり仏教の修行に没頭したり、ハイテク企業の経営者ながら、自然主義的でオリエンタルなものに人並み外れた畏敬の念を持つのも、彼のユニークさの一つでしょう」

 ちなみに、ジョブズ氏は日本の禅にも傾倒し、日本食、特に蕎麦が好物で、アップル本社の食堂には「刺身蕎麦」というメニューがあるのは有名な話である。

 今後の経営はどうなるのか。ジョブズ氏は社員に宛てたメールで、「今後もCEO職にとどまり、主要な戦略的意思決定に関与する」と明言していることから、日常業務は最高執行責任者(COO)のティム・クック氏が代行するとみられている。クック氏はIBM、コンパックなどを経てアップルに入社。これまで2回ジョブズ氏が休養した際にも代行などを務め、収益を安定させてきた。

 しかし、米・投資銀行「グリーチャー」のアナリスト、ブライアン・マーシャル氏は、WSJ紙の取材に対し、「病気は、スティーブ(ジョブズ)個人にとって大変なことだと思うが、彼が療養生活に入ったことで生まれる市場の反応は生やさしいものではない」

 と答え、ジョブズ氏の療養はアップルに暗い影を落とすと指摘している。

 とはいえ、これまで2度の病気療養を経験したジョブズ氏は、iPhone、iPadなどの大ヒット商品を引っさげて復帰を果たしている。カリスマは3度目の復活で、どんな新商品を掲げて見せてくれるのか。

<引用以上>


 菜食を中心とした食事を実践する人々の総称がベジタリアンと定義されている。菜食だけ、菜食でも球根などの排除の有無や、卵と乳製品を摂ることの有無などに応じて様々な分類がある。日本ではあまり「ベジタリアン」に遭遇しないかもしれない。欧米だと有名人でも多いのだ。マイケル・ジャクソン、ポール・マッカートニー、ジョージ・ハリスン、リンゴ・スター、ボブ・ディラン、プリンス、リチャード・ギア、マイケル・J・フォックス、その他きりがない。上記記事内でスティーブ・ジョブズは中でも肉・魚だけでなく乳製品・卵も食べない「ヴィーガン」と言われているが、厳密には魚菜食主義者のようだ。肉は一切口にしないが、寿司、そばが大好物だったという。事実、アップル本社の食堂Cafe Macsにはジョブズが考案したという「刺身ソバ」なるメニューがある。Cafe Macsで働く日本人スタッフの女性は、ジョブズのために築地で本格的な蕎麦打ちの修行をしたという。

 道元は僧侶の肉食妻帯を否定し精進料理を普及させたのでいわゆる日本のヴィーガンの立役者と言える。今日日本であまりベジタリアンに遭遇しないのは、食の欧米化が主因とされるが、肉食妻帯を破戒した僧侶の堕落も一因とされる。ジョブズは僧侶でないからヴィーガンでなくてもよいのであろう。

 一方、よきライバルでもありスティーブ・ジョブズと同じ1955年生まれのビル・ゲイツはジャンクフードが好物で、食生活はマクドナルドが中心だという。マクドナルドでは、フィレオフィッシュが好きであり、幕張メッセでの講演で来日し、モーニングメニューでフィレオフィッシュがなかった時、メディア関係者に「朝でもフィレオを食べるためには(マクドナルド社を)買収するか!」とアメリカンジョークを飛ばしたほどだ。ビル・ゲイツは「愛マック(マクドナルド)」なのだ。皮肉なことにジャンクフードを好むビル・ゲイツの方が長生きなのである。




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