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優勝

天然と言われますが、人生楽しく、ちょっとアホでいい♪

昔、週刊SPA!てコラムを連載していましたー☆

とぼけたブログですが、よろしくお願いします♪

この物語はフィクションであり、実在する人物とは関係ありません。



右京区嵐山に、言わずと知れた嵐山ラッツ&スターズという名門少年野球チームがある。


先日も、嵐山ラッツと、右京の雄、常盤野少年隊との試合があった。



ある大会の2回戦である。



常盤野が序盤、1点を先制し、中盤に常盤野のスラッガー、マリカのツーランホームランで2点を追加、


終盤には、もう1点を追加し、最終回表、4点差をつけられたまま、ラッツの攻撃に入った。


だが、この時、ラッツの選手たちは、誰一人あきらめてはいなかった。


子供たちの目には、何の曇りもない。



コーチ陣でさえ、奇跡を信じて攻撃を迎えた。打順よく1番からだ。


その時、ラッツの石黒監督が、こう言い放った。



『マンガみたいな勝ち方しよかー!とりあえず、1、2、3番と出て、4番がホームラン打とう!』



石黒の本気とも冗談ともつかぬ言葉に、子供たちは笑顔で頷いた。



嵐山ラッツの1番バッターは、俊足巧打の勝谷サクタロウだ。


内野への打球だったが、足を生かして出塁。


2番バッター、さくらを奏でる妙打の森山アキタロウ。



これもヒットで出塁。ノーアウト1塁2塁。


3番、ラッツ1の強打者、歩くホームランこと、石黒ミナオだ。


ミナオもヒットで出塁して、ノーアウト満塁。


さっきの監督の言葉が、頭をよぎった。まさか、、、



4番バッター、バットコントロールの神、ピッチャーでキャプテンの和瀬田キセキだ。


コーチ陣は吠え、応援の母たちは祈った。


一球目、外角低目にストライク。
キセキは見送った。



2球目、見逃さなかった。
真ん中高めの球を、ライナーで左中間に打ち返した。


真っ二つに割れた左中間を白球が転がる。


1人2人とホームイン、3人目
もホームイン、そしてキセキが三塁を回ろうとした頃、センターからの返球。



三塁側ベンチのコーチ陣は、なぜか迷わず手を回した。



ホームへ向かえと。



キセキが三塁ベースを蹴った。



ホームには、走者とほぼ同時に球が返って来た。




これは、その時のホームインの瞬間である。



主審が手を横に伸ばし、セーフと声をあげた。



同点満塁ホームラン。



ベンチに帰ってきたキセキを、監督は無邪気に抱きしめた。





最終回、裏を0点に抑えたラッツ。この大会に延長はない。



抽選が行われ、、、









ラッツは見事、勝利した。



子供たちが飛び上がる中、数人のコーチは涙を流した。





嵐山あおや