『とぼけたおとん』 | 優勝

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天然と言われますが、人生楽しく、ちょっとアホでいい♪

昔、週刊SPA!てコラムを連載していましたー☆

とぼけたブログですが、よろしくお願いします♪

僕には83歳のおとんがいる。僕にとってはおとんだが、一般的にはおじいだ。


そんな事は、どうでもいい。
が、このおとん、かなり天然だ。


10数年くらい前だろうか。おとんと、おかんや子供と、家族で旅行に出かけた。


豊橋辺りの三谷温泉という所だったと思う。昼間、宿屋についていきなり、おとんが天然を発揮した。


宿屋の玄関は、向かって右にあり、その玄関の横も綺麗なガラス張りの作りだった。


僕たちが続けて、右の自動ドアから入っているのにもかかわらず、おとんは左手の海を見ていたのか、


宿屋のフロント中に響き渡る音を立てて、おとんはコケた。


おとんは、開かないガラス張りのほうから入ろうとして、勢いよくガラスに激突したのだ。


バネのようにひっくり返ったおとんは、宿の人に囲まれ、赤く腫れたデコを触りながら、大きな声で言った。


『ガラスもないと思ってたわ!』


それ、なに?




おとんのエピソードをもう一つ。琵琶湖沿いにある、鮎屋へ行った時の事だ。


おとんはソフトクリームが大好きで、よく買っては食べていた。


鮎屋でも、おとんはソフトクリームを頼んだ。出来たら取りに行く流れだ。


おとんのソフトを僕が取りに行った時、同じ大きさのソフトのサンプルがレジ横に置いてあった。


僕はイタズラ心を出して、そのサンプルをおとんに渡した。


おとんは触って、
『なんやこれ?』
とでも言うと思った。


おとんは触っても分からず、そのままペロンとソフトを舐めた。


あれっ?と言いながら、もう一度舐めた。



すると、ソフトの上の部分だけが転がって落ちた。かなり強く舐めたのだろう。


おとんは驚き、上の部分を拾おうとした。それを見て僕はもっと驚いた。


たまりかねて僕、
『おとん、それサンプルや!』


おとん『なんか固いソフトクリームや思ったわ!』


ほな舐めるなよ!


そのあと、おとんは幸せそうに本当のソフトクリームを食べていた。


『ほんまもんは、やっぱり旨いなぁ♫』と言いながら。



嵐山あおや