智子ちゃんという子に恋をした。
もちろん、初めての恋だ。
村下孝蔵みたいに言うと、初恋だ。
さて、僕は恋の仕方なんて分からないから、休み時間になると、智子ちゃんの机にしがみついていた。
今から思うと、智子ちゃん、イヤだっただろうなぁ。
じゃあ、ここで問題です!
智子ちゃんがイヤだったと思う人、手をあーげてっ♪
さてさて、智子ちゃんの机にしがみつきながら、話した会話を思いだす。
僕『僕、死んだら怖いねけど、智子ちゃんも怖い?』
智子『私は自分が怖いより、お父さん、お母さんが死なはるのが怖い。』
心優しい子だ。
けど、僕も小学校1年で、なぜこんな話題を好きな子に放り込んだのか。
智子ちゃん、さぞかし虫酸が走っただろうな。
また別の時。
僕『智子ちゃんは、なんで智子ちゃんて言う、かわいい名前になったん?』
智子『お父さんが、小川知子が好きで、それで私、智子になったんやて。』
僕『へえー!あのネズミ小僧の人やな!』
智子『ちょっと何言うてるか分からへんけど。』
本当にそうらしい。
ちなみに、智子ちゃんのお父さんは、左官屋だ。
全然関係ない。
また別の日。
僕『智子ちゃん、僕のこと好き?』
智子『ん~嫌いではないけど。
』
僕『じゃあ好きなん?』
智子『だから嫌いではない。』
僕『じゃあ、なんなん?』
今なら軽くストーカーである。
でも僕の中では、智子ちゃんは今も光輝いていて、少しピンク色の頬っぺの女の子を見ると、
初恋の智子ちゃんを想いだす。
嵐山あおや