「9歳の女の子の誕生日プレゼント、選んでほしいんだよねー」


朝方5時くらいに言われた。

確か昼は、昔世話になった人の家族と食事だと聞いている。


「孫連れてくるんだってさ」


…ランチである。

12時までに用意せよ、と。


ナニを!!???

9歳のコって何が欲しいわけ!!???


ときは日曜日。

だーれも家にいないから、ベビを連れて買い物にいかないかん。

遠くにも行けないし。


インターネットで調べてみた。


”9歳は子供によって全く違います!”

…そーだろーな…


”その子がどんな子かわからない場合は図書カードがオススメ!

そんなものはない!


トイザらスまでは徒歩20分。

今の私だとベビ無しでも往復1時間。ムリムリ。


キャラクターものの文具詰め合わせ、バービー化粧品セット、ハイブランドの靴下…等々がネットでは出ている。

出来たらうちのマンションに入ってるショッピングモールで買えるものがいーんだけどな…

本屋があるから、英語の絵本なんかどーだろ?

最近は確か小学校は英語の授業があるんだよね???


と、10時近くになって起きてきたヤツに言ったら、反応が悪い。

「絵本??9歳に???」


ダメかねえ。


「女の子たちに聞いたら、9歳は大人だから化粧品とかちっちゃいポーチとかがいいって言われたよ。親戚にそれくらいの年の子供がたくさんいるんだってさ」

ほお、そーかい。

実際接してる人がそーゆーならそれに従ってみるか…


件のバービー化粧品セットを調べてみた。

中味はいろんなアイテムがカラフルな色でそろって30点ほど、表にバービーちゃんの顔がでーん。

こんだけ入ってれば、中味は100均レベルであろう。

そりゃ小学生や中学生のお小遣いだったら化粧品は100均で揃えるのかもしらんけど…肌にはどーなわけ???

そして勿論そんなものはうちのショッピングモールにはない。


「化粧品だったら大人向けしかない。ポーチもいーけど、うちのショッピングモールはブランドもんしかない。いーの?私だったらブランドものは靴下とか、せいぜいマフラー止まりだと思う」

ハイブランドは入っていないが、FURURAレベルの店しかない。

もちろんキッズブランドもない。


「化粧品は大人も子供も一緒だよねーー??」

いや、値段が違うよ。

「中味は大人向けのほうがマシなんじゃないの。値段も高いけど」

「化粧品でいーよ」


…ホント?

ホントに9歳児に化粧品でいいの??


ポール&ジョーがあったので入ってみる。

ここの化粧品はパッケージが可愛い。

日本のブランドだというと顔をしかめていたが、ほかにメイクアップ用品を扱ってる店がない。

黄色人種に似合いそうなピンクオレンジ系、でも子供が好きそうなビビッドな色合いの、グロス、チーク、マニキュアを選び、それに鏡とリップクリームをくっつけた。


「子供子供したコだったらどーするの?絵本もあったほうがよくない?」

本屋にも行ってみたが、みんなビニールコーティングされてて見ることが出来ない。

「もーいーよ…」

当のダンナがうんざりした顔をしているので、化粧品だけでいいことにした。



さて、帰ってきて。

「子供子供してた…、超元気なコだった…」

ほーれみろ。


女の子から、うちのベビに折り紙で作った箱をもらった。

「それをどーぞ、ってくれちゃうくらいの子供だった」

ほら、やっぱ早かったじゃん。


ま、飾って可愛いって思ってくれたらいーねえ。









”27日シゴト休みだからラインしよ~”


友達からメールが入ってきた。

ほい、大歓迎っす。


しかし、当日、何時にする?とメールしても返事が来ない。

夜、携帯に電話してみたけど、応答がない。


次の日、どした?とメールしてみた。

が、返事がない。


「うちら共通の友達いないしねえ、キミになんかあったらダンナが連絡してくれるだろーけど、ワタシになんかあっても連絡するヒトいないかも」


この間電話した時、彼女が言っていた。

なんかあったら…まあフツーは事故とかなんだろーけど。


なんせ私には、しばらく連絡してなかったら自殺してた友人が4人もいる。

葬式に行けたのは、私宛てに遺書を残してた一人だけで、ほかは数ヶ月経ってから知った。

ちなみに知り合いレベルまで下げるともう少々人数が増える。


そしてこの友達は、夜中、懐剣持って崖の上から電話してきたこともある。

数年経って今は落ち着いているけれど、連絡がいきなり途切れると不安になる。


”どーした~?”

”生きてる~??”


私の不安を解消するだけのため、とわかっていても、ついつい毎日メールし、ラインにもメッセを残してみた。

4日経って、メールが入ってきた。


”心配してくれてありがとー。携帯故障してた。やっと直った”


それに、ウソかホントかわからんなー、と思ってしまう。

ただ単に人と関わりたくない時期だったのかもしれない。

人と、ではなく、私と話したくなかったのかもしれない。


まあ、生きてればよいか。




お手伝いのマリリンちゃん。

彼女はいっぱーい歌をうたってくれる。


♪もーしもし、あのね、あのね~


…日本語である。

ちなみにロンドン橋落ちたのメロディで歌われている。


「日本語の歌、勉強してきてくれたの?」


聞いてみたら、これはフィリピンではフツーに歌われているとのこと。

おお、戦争で占領していた名残がこんなところに残されているとは。


…タガログ語なんて、歌どころかアリガトウも知らんもんなあ…

どころか、フィリピンではタガログ語を使ってるってことすら、今回初めて知ったもんなあ…


と、調べてみたら、フィリピンの公用語は英語とフィリピン語であって、タガログ語ではなかった。

なんと100以上もの言語があるそーな。

それじゃ近隣の人と言葉が通じないなんて、フツーのことじゃないか???



10月に入ったら、♪もろびとこぞりて♪が歌われている。


そーいえば履歴書にカトリックって書いてあったもんなあ。

♪もろびとこぞりて♪ってクリスマスの歌だと思ってたけど、違ったんだなあ…


しかし、今週に入ったらジングルベルが歌われている。

ジングルベルは…まごうかたなくクリスマスの歌、なハズ。


ハロウィンも終わってないのにもうクリスマスなのか…

日本のデパート季節合戦より早いぞ。


その隣で頑張って秋の童謡を思い出して歌う私。


季節も言語もぐっちゃぐちゃな日々である。

はて、ベビは何語を最初に発するのであろーか??

日本の季節感は…持ってもらえそうにないな、こりゃ。

日曜の朝からずーっと泣いているヤツがいる。

「びえええぇぇぇぇぇ~!!!!!!!!!!」


泣かれても私に出来ることはチチをあげることと、オムツを替えることくらいである。

さて、キミは何故に泣く???


昼になると、パパが起きてきてだっこ。

「びええええええぇぇぇぇ~!!」


黙ってるのはチチに吸い付いてるときくらいである。

それすらも途中で放り出して泣く。

1時間のうち30~40分の授乳が朝から晩まで続くと、私もとっても疲れてくる。

ベビももうすでに自分が何で泣いてるのかもわからなかろう…


夜8時を過ぎて、彼女が泣きつかれてウトウトしたすきに夕食をすることに。

そーーーっとベッドにおいて、やれゴハン。


すると、ホリデーで出かけてたヘルパーさんが帰ってきた。

静かだったのも数十分、すぐ泣きはじめるベビ。

「びええええええぇぇぇぇぇ~!!!!!!!!!!!!!!!!!!」


「ハーイ♪」

ヘルパーさんはベビのもとに飛んでいってくれて、だっこ。


…あんなに一日泣いてたのに、彼女がだっこした途端、泣き止んだ!!!


「あのー、一日泣いててお風呂入れられなかったからいれてあげてくれる?ホリデーなのにゴメンね」

「ノープロブレ~ム♪」


私たちの食事が終わる頃、ベビはお風呂が終わってキレイになり、すっかり気持ちよさそうに寝かしつけられてベビーベッドにいた。

…プロフェッショナルである。


「フィニッシュ??」

「…はい…」

ふんふん歌いながら私たちが食していた夕食のお皿を片付ける彼女。


こんなプロフェッショナルなだっこをされていたら、私がだっこしても泣き止まないのも当然のよーな気もする…




生後26日。


移動させるためじゃなく、授乳するためでもなく、だっこした。

やっと。


初めて私の腕の中で眠ってくれた。