『寄席の脚光 Luci del varietà』1950年
フェデリコ・フェリーニの監督デビュー作なのだという。
旅回りの貧乏一座の座長ケッコが、列車の中で、女優になりたい若い女性リリアーナから熱烈な売り込みを掛けられる。
左から、リリアーナ、ケッコ、ケッコの恋人のメリーナ
リリアーナ
ケッコとメリーナはまるで長年夫婦をしてきたようなムードなのだが、2人は金がないため結婚できずにいる。
ケッコはリリアーナに女性として興味を持ち、メリーナの目を盗み、車両の外に一緒に出る。しかしリリアーナが「あなたの劇団のショーを見て感動した。是非わたしを入れてほしい」というと、「うちは貧乏劇団で今危機だから出演料が出せない」と却下。
しかしリリアーナはめげずに興行先まで付いてきて、押し掛け女優となる。
真ん中がリリアーナ
するとハプニングでスカートが脱げたリリアーナの脚線美が話題となり、連日大入り。
劇団には金が入り、劇団員たちは御馳走を食べ、リリアーナは看板女優となり、ケッコはリリアーナに恋して、恋人同士になる。
するとメリーナは身を引き、悲しむ。
周囲の男たちは、「リリアーナはお前を利用しているだけだ、捨てられる、今のうちに手を引け」とケッコに助言。しかしケッコはますますリリアーナにのめり込む。すると1人特別扱いされたリリアーナは、劇団の中で増長する。
面白くない、ベテラン劇団員たち。
真ん中がリリアーナ。右がメリーナ
その過程でトラブルが起きて一文無しになったケッコは、家賃が滞ったために大家から追い出され、行き場をなくす。
するとホームレスのトランぺッターが、
自分の仲間の外国から来た放浪芸術家たちを紹介。
その芸に感動したケッコは、この人たちと新たなショーを作ろう、と燃える。
その間に、金のないケッコと劇団に業を煮やしたリリアーナは、スカウトされた一流劇団と勝手に契約してしまう。
すっかり洗練されてオーラを放つリリアーナが弁護士を連れてケッコに「違約金について話し合いたい」と言うと、ケッコは「そんなものは要らない。きみはきみで頑張ってくれ」とかっこよく送り出す。しかしその直後、ケッコはショックで倒れる。
ミラノへ行くリリアーナを送り出す、ケッコ
そんなケッコをまた受け入れてくれたのは、メリーナ。
映画の冒頭同様旅の列車で隣りに座り、一緒にみかんを食べる所帯じみた2人。
「また愛してもいいかい?いいだろう?」とケッコがメリーナを抱き締めると、メリーナは嬉しそうに微笑む。
しばらくして、斜め前の席に、キラキラした雰囲気の、どこかリリアーナに雰囲気の似た若い女性が座る。
するとケッコの目が輝く。
メリーナが席を立つと、「女優になりたいのかい?俺は座長だ。俺は見る目があって、」とケッコは女性を口説き出す。
女性は「いいえ、」と否定するが、熱心に見つめられてまんざらでもないという様子。
ケッコ、リリアーナロスをこの女性で埋めようとするのか?、そしてまたメリーナを泣かすのか、というところで、ジエンド。
ケッコとメリーナの関係にもの凄くリアリティーがあると思ったら、メリーナを演じたジュリエッタ・マシーナは製作・監督のフェリーニの妻。さもありなん、と納得。
ジュリエッタ・マシーナとフェリーニ
★大学教授の娘で文学を学んでいたが演劇に転向、ローマ大学で学ぶ。🔶大学卒業後の1943年、ラジオに出演していた時、そのラジオドラマの脚本を書いたフェデリコ・フェリーニと出会い、同年結婚[1]。🔶1945年に誕生した生後1か月の息子を病気で亡くしている[1]。
映画初出演はロベルト・ロッセリーニ監督作品の『戦火のかなた』。その後『道』などのフェリーニ作品だけでなく幅広く活躍したが、やはりマシーナの魅力はフェリーニ作品、特に『道』の知的障害を抱えた女性大道芸人ジェルソミーナ[1]、『カビリアの夜』の娼婦カビリア[1]など人間、とくに弱い(立場の)愚かな女性の内面を見事なまでにスクリーンに表現しえた演技と個性(美人というわけではなく、プロポーションも良いといえない。小柄で丸く大きな目をした[1]、愛嬌のある顔立ち)にあった。
1957年の『カビリアの夜』でカンヌ国際映画祭 女優賞を受賞している[1]。1970年代以降は、時折テレビ映画に出演する以外に、長く映画の女優活動からは遠ざかっていたが[1]、1980年代に『ジンジャーとフレッド』で20年振りにマルチェロ・マストロヤンニと共演するなど[1]、達者な姿をスクリーンに見せてくれた。
🔶フェリーニとは金婚式を迎えた同じ1993年に、フェリーニが病死するまで連れ添った(一時期別居していた事はあった)[1]。マシーナが肺癌で他界したのはフェリーニの死から5か月後のことだった[1]。🔶★
ジュリエッタ・マシーナ
『道』
★Wikipediaより★
バラエティ・ライツ(イタリア語: Luci del varietà)は、フェデリコ・フェリーニとアルベルト・ラットゥアーダが製作・監督・脚本を手がけ、ペッピーノ・デ・フィリッポ、カーラ・デル・ポッジョ、ジュリエッタ・マシーナが主演した1951年のイタリアの恋愛ドラマ映画です.この映画は、美しく野心的な若い女性が、三流のヴォードヴィリアンの旅団に参加し、うっかり嫉妬と感情的な危機を引き起こしてしまうというものです。アルベルト・ラトゥアーダとの製作、監督、脚本でのコラボレーションにより、フェリーニの監督としてのキャリアが始まりました。この映画に出演する前、フェリーニは主に脚本家として活動しており、特にロベルト・ロッセリーニ監督の『ローマ、オープンシティ』に携わっていました。
2008年、この映画は、イタリア文化遺産省が「1942年から1978年の間に国の集合的記憶を変えた」100本の映画のリストである「保存すべきイタリア映画100本」に選ばれました。[1]
プロット
映画のダンサーやパフォーマーたちは、町から町へとお金を稼ぐのに苦労し、最小限の人混みで演奏し、会社の老いたマネージャーは新参者と恋に落ち、フェリーニの実の妻ジュリエッタ・マシーナが演じる忠実な愛人メリーナ・アムールを悔しがらせます。映画は、イタリアの小さな町で行われた完売した寄席ショーから始まります。カーラ・デル・ポッジョ演じる若い女性リリアナは、観客の中に座り、出演者たちにうっとりとしている。その夜、一座が列車に乗り込み、2人のパフォーマーが運賃の支払いを逃れるために列車のトイレに座ることを余儀なくされたとき、若い女性も列車に乗り込みます。夜中、彼女はペッピーノ・デ・フィリッポ演じるグループのリーダー、チェコ・ダル・モンテにグループへの参加を要請するが、失敗に終わる。朝、一行が馬車を買うのに十分なお金がないことに気づくと、リリアナは最後のお金で馬車を雇う。これにより、グループは数マイル歩く必要がなくなり、彼女を受け入れるようになります。
その夜の公演では、まばらで敵対的な群衆が各パフォーマーを順番に嘲笑します。地元のプロモーターは、群衆がリリアナに満足そうに反応していることに気づくと、パフォーマンスを中断し、新参者をフィーチャーするようにグループに指示します。これにより、次の2日間にわたってパフォーマンスが繰り返され、ますます多くの観客が集まります。最後の3回目の公演の後、地元の裕福な男性が一行を彼の邸宅に招待して夕食をとります。その夜、チェコは自分がリリアナを望んでいることに気づく。朝、一行が駅に向かって歩いていると、チェッコは愛人メリナを見捨ててリリアナと二人きりで歩く。
一行がローマに到着すると、チェコはリリアナをフィーチャーした自分の一座を結成するためにローマを去ります。お金が欲しくてたまらない彼は、昔の一座を訪れ、メリーナにショーを始めるための資金を懇願する。打ちひしがれた彼女は彼にお金を渡し、二度と連絡を取らないように命じる。チェッコは意気揚々とお金を受け取るが、この新しいグループが練習していると、リリアナがやってきて、ライバルと契約したことを彼に告げる。チェコが倒産。リリアナは、ショーのプリマドンナスターの隣にある注目のダンサーとしてマイナーな役割でデビューしました。映画は、高価な毛皮のコートを着たリリアナがミラノへ向かう一等列車に乗り込むところで終わります。隣接する線路では、チェッコと彼の古い一座がフォッジャ行きの列車に乗ります。
最後のシーンでは、2本の列車が駅を出発し、メリーナと再会したチェッコが、通路を挟んで向かい側に座っている若い女性といちゃつき始める。これは、彼が再びサイクルを始めようとしていることを示唆しています。
キャスト
- ペッピーノ・デ・フィリッポ - チェコ・ダル・モンテ
- カーラ・デル・ポッジョ / リリアナ・'リリー'・アントネッリ
- ジュリエッタ・マシーナ(メリーナ・アムール役
- ジョン・キッツミラー - トランペット奏者ジョニー
- フォルコ・ルッリ(アデルモ・コンティ役
- ダンテ・マッジョ(レモ役
- チェッコ・デュランテ(劇場主)
- ジーナ・マスケッティ(ヴァレリア・デル・ソーレ役
- ジュリオ・カリ - 魔術師エジソン・ウィル
- カルロ・ロマーノ - エンツォ・ラ・ロサ
- シルヴィオ・バゴリーニ(ブルーノ・アントニーニ役
- ジャコモ・フーリア(デューク役
- マリオ・デ・アンジェリス(マエストロ役
- ヴァーニャ・オリコ(ジプシー・シンガー役
- エンリコ・ピエルジェンティーリ(メリーナの父役
- レナート・マラヴァシ(ホテルキーパー)
- ジョセフ・ファレッタ(ピストレロ・ビル役
- ファニー・マルキオ(スブレット役
プロダクション
この映画は、ローマのスカレラ・スタジオとラツィオ州のカプラニカで撮影されました。★
★Wikipediaより★
『寄席の脚光』(よせのきゃっこう、伊: Luci del varietà、英: Variety Lights、「ヴァラエティ・ショウの照明」の意)は、1950年製作・公開、アルベルト・ラットゥアーダおよびフェデリコ・フェリーニの共同監督によるイタリアの映画である[1][2]。日本語での別題は『旅の灯』(たびのひ)。フェデリコ・フェリーニの監督デビュー作として知られる。
略歴・概要
本作は、1950年、アルベルト・ラットゥアーダとフェデリコ・フェリーニが「キャピトリウム」の名の下に製作、イタリアのラツィオ州ヴィテルボ県カプラーニカ、および同州のローマ市内でロケーション撮影を行って完成、同年12月6日にイタリア国内で公開された[1]。翌1951年(昭和26年)、ナストロ・ダルジェント賞で助演女優賞をジュリエッタ・マシーナが獲得する[1]。
日本では、劇場公開されていないが、フェデリコ・フェリーニの監督デビュー作として『寄席の脚光』のタイトルで多く紹介され、のちにVHSのフォーマットでビデオグラム発売されている。フランス映画社が公開予定作のラインナップに『旅の灯』のタイトルでアナウンスしていたこともあったが、劇場公開は実現しなかった。
スタッフ
- 製作・監督 : アルベルト・ラットゥアーダ、
- フェデリコ・フェリーニ
- 脚本 : アルベルト・ラトゥアーダ、フェデリコ・フェリーニ、トゥリオ・ピネッリ (Tullio Pinelli)、エンニオ・フライアーノ (Ennio Flaiano)
- 撮影 : オテッロ・マルテッリ (Otello Martelli)
- 美術・衣裳 : アルド・ブッツィ (Aldo Buzzi)
- 編集 : マリオ・ボノッティ (Mario Bonotti [3])
- 音楽 : フェリーチェ・ラットゥアーダ (Felice Lattuada)
キャスト
- クレジット順
- ペッピノ・デ・フィリッポ (Peppino De Filippo) - Checco Dal Monte
- カルラ・デル・ポッジョ (Carla Del Poggio) - Liliana 'Lily' Antonelli
- ジュリエッタ・マシーナ - Melina Amour
- ジョン・キッツミラー (John Kitzmiller) - トランペット奏者 Johnny
- ダンテ・マッジオ (Dante Maggio) - Remo
- ケッコ・ドゥランテ (Checco Durante) - 劇場主
- ジーナ・マセッティ (Gina Mascetti) - Valeria del Sole
- ジュリオ・カリ (Giulio Calì) - 奇術師 Edison Will
- シルヴィオ・バゴリーニ (Silvio Bagolini) - Bruno Antonini
- ジャコモ・フリア (Giacomo Furia) - Duke
- マリオ・デ・アンジェリス (Mario De Angelis [4]) - Maestro
- ヴァンジャ・オリーコ (Vanja Orico) - ブラジル人歌手 Moema
- エンリコ・ピエルジェンティリ (Enrico Piergentili [5]) - Melina の父親
- レナート・マラヴァージ (Renato Malavasi) - ホテル経営者
- ジョー・ファレッタ (ジョゼフ・ファレッタ、Joseph Falletta [6]) - Pistolero Bill
- フォルコ・ルッリ (Folco Lulli) - Adelmo Conti
- カルロ・ロマノ (Carlo Romano) - Enzo La Rosa
- ファニー・マルキーオ (Fanny Marchiò) - Soubrette
- フランカ・ヴァレーリ (Franca Valeri) - ハンガリー人デザイナー Mitzy
- ボヌッチ (アルベルト・ボヌッチ、Alberto Bonucci) - ナイトクラブの芸人
- カプリオリ (ヴィットリオ・カプリオリ、Vittorio Caprioli) - ナイトクラブの芸人
- クレジット外
- アルベルト・ラットゥアーダ - 劇場のアテンダント
- ジョヴァンナ・ラリ (Giovanna Ralli)
関連事項