『いつまでもきみを愛す T'amerò sempre』1933年
シンプルでとても素晴らしい恋愛映画だと思った。キャスティングが正解。
プレイボーイであるディエゴ伯爵との間の子を産んだとたんにディエゴ伯爵に捨てられたアドリアーナ。
アドリアーナが伯爵の取り巻き女の一人に紹介された美容院で働き出すと、捨てた伯爵がやって来て、「俺はもう結婚したから落ち着いてきみとの仲をまた再開できる」と言い出す。
怒ったアドリアーナだったが、美容院のお得意様ゆえ本気で邪険にはできない。
しかしその話を盗み聞きしていた、アドリアーナをずっと好きだった会計士が、伯爵を殴り、部屋の壁が崩壊、2人はその場で店主から解雇される。
外に出た2人。
……会計士マリオは自宅で行われた妹の婚約パーティーにアドリアーナを呼び、マリオの妹も母もアドリアーナを気に入っていた。
そのパーティーから階段下まで送っていったマリオは、アドリアーナに告白プロポーズ。しかしアドリアーナは「無理よ」と言う。
マリオは自分を否定されたと思い、ショックを受ける。しかしアドリアーナは、娘がいるから無理なのだった。
後日、アドリアーナのことで頭が一杯で仕事をミスったマリオが取引先の店を出ると、道の向こうから娘の手を引くアドリアーナが。
「今、お母さまにこの間のパーティーのお礼を言ってきたの。娘よ」
と言い去っていったアドリアーナにマリオは別の意味でショックを受ける。マリオが家に戻ると、母親が「娘さん、可愛かったわね」と沈んだ声で言う。
失恋のショックで職場でもアドリアーナを避けるマリオ。
するとアドリアーナもマリオを避ける。
避けられてまた別のショックを受けるマリオ。
そこで、アドリアーナの子の父であるプレイボーイ伯爵が職場の会計室でアドリアーナに復縁を迫り、言葉で拒否しても伯爵が引き下がらないため、マリオが入っていき、伯爵を殴ったのである。
解雇された2人は、実はせいせいしている様子。
パワハラと因縁から解放され、動物として復活した感じ。
「僕のせいで仕事を失わせてしまって申し訳ない。
必ず僕が仕事を探すから、安心して。
これからうちに来てくれない?妹が結婚して出て行って、家は母と自分だけで寂しいんだ。きみが来てくれたらどんなに楽しいか。
今から、娘さんを迎えに行こう」
そう言ったマリオに、アドリアーナは初めてほっとして、マリオの胸に顔を埋めて泣くのだった、でジエンド。
アドリアーナが孤軍奮闘してやっと見つけた安息地。
マリオも、やっと愛すべき人を得て、静かな幸福に満たされている。
会計室での、マリオとアドリアーナ
伯爵を殴った反動で眼鏡が外れ、そのまま外に出て来たマリオとアドリアーナ
プレイボーイのディエゴ伯爵とアドリアーナ↓。伯爵は、世界中の女は俺のものタイプのとても嫌な自信家。そんな男にのぼせていたアドリアーナは、人を見抜けない若気の至り。
伯爵が産院に来なかったことで、アドリアーナは更に孤独になってしまった。
しかし、どんなときでも運命の御縁というものがあるのだろう。
伯爵役のミーノ・ドロ
アドリアーナ役のエルザ・デ・ジョルジ
雰囲気が『君の名は』に似ていると思った。
★第二次大戦、東京大空襲[注釈 1]の夜。焼夷弾が降り注ぐ中、たまたま一緒になった見知らぬ男女、氏家真知子と後宮春樹は助け合って戦火の中を逃げ惑ううちに、命からがら銀座の数寄屋橋までたどり着く。一夜が明けて、二人はここでようやくお互いの無事を確認する。
お互いに生きていたら、半年後の11月24日、この橋で会おうと約束し、お互いの名も知らぬまま別れた。やがて、二人は戦後の渦に巻き込まれ、お互いに数寄屋橋で相手を待つも再会が叶わず、1年半後の3度目にやっと会えた時は真知子は、既に明日嫁に行くという身であった。しかし、夫との生活に悩む真知子、そんな彼女を気にかける春樹、二人をめぐるさまざまな人々の間で、運命はさらなる展開を迎えていく。★