入梅June
凄い詞と、凄い曲
6月18日付け朝日新聞朝刊13面オピニョン&フォーラム【耕欄】「サヨナラができない」の井上荒野さんのご意見が興味深かった。
見出しは「つらい別れ 薄めるSNS」。
以下引用。
「恋愛は、基本的にそれぞれの思い込みでできていると思います。一人ひとりが相手の『個人的な物語』をつくるなかで恋ができあがっていく。その物語の成分は相手の情報ではなく、自分の感情だと思います。
関係がどんなに深まっても、相手のわからなさは残ります。わかりたい、でもわかりきれない。想像を働かせて思い込んでいく。
例えば、会っていない時に何をしているのかは知り得ません。『今日会うと言っていた相手はただの友達なのだろうか』『今晩はなぜ家にいないのだろうか』と想像をめぐらします。
恋愛関係を終わらせる『サヨナラ』がつらいのは、心になじんだ物語を自分で失い、あるいは自分で追い出す行為の苦しさでもあります。
5年前に書いた『あちらにいる鬼』は、私の父・井上光晴と瀬戸内寂聴さんという作家同士の、7年に及ぶ不倫を題材に、母の視点も交えて書いた小説です。寂聴さんからも当時の話を何回もうかがいました。
寂聴さんは、出家を決意するという極端な形で父と訣別しました。不倫関係は周囲には周知の事実でしたが、寂聴さんは父の葬儀の弔辞で、『私とあなたはセックス抜きで深くつながることができた稀有な男と女でした』と言いました。
取材で寂聴さんに聞いたら『あっ、あれはウソ』と笑って答えられた。公の場でそういうウソをついた寂聴さんにも彼女だけの物語があった。その物語を終わらせるために得度に踏み切ったのかもしれません。
今のようにSNSに囲まれていると、『相手を知る』が『情報を得る』に重なる面があるでしょう。恋愛の対象となる前に、出身地、何人兄弟か、好きな料理、夢中な曲などがわかっていたりする。ただ、それらは発信者が『発信してもいい』と選んだ情報です。わからなさを堪えることにも恋の本質があると思いますが、今はとにかく空白を情報で埋めたい人が多いかもしれません。SNSで集めた像との恋愛はこれまでの恋愛とは質が変わってくるでしょうね。
そんな現代の夫婦の物語を書くため、いま準備をしています。思うのは、恋愛が『推し活』に近づいているのかもしれないということです。良い悪いではなく、恋愛が情動と離れ、情報に凌駕されていく時代には、SNSで関係を絶つ『ブロック』が別れの儀式になり、サヨナラの苦しみは薄めなのでしょうか。」
凄い。聞き手がいて口頭で答えているのに、隙が全くない文章。もちろん編集されているだろうが、口からのアウトプットが基本お喋りではなく文章なのだろう(脳内全体が文章作成機能)。
凄い文章とは、読者の目を離さないのだろう。最初から終わりまで、一枚の木綿の布のように連綿と続いていて、どの一文を抜いても全体の良さが半減するため一文も抜けない。
発売直後に読みました。寂聴さんも井上光晴同様全身小説家。
関係者がこぞって「それはウソです」「それはウソなんです」と楽し気に言う愛され男。
「どうしようもない男だけど、愛しくて仕方ない」。彼は、関わる人の自由を広げてくれたのだろう。
「週刊読書人」編集長のVoicy。
今回紹介されたのは、『力道山未亡人』。
「評伝には独自の事件が必要」。
#215 力道山未亡人の数奇な人生、そこから導き出される昭和の新事実とは | 「週刊読書人」編集部「神網<ジンネット>読書人」/ Voicy - 音声プラットフォーム
22歳で30億の借金を背負った力道山未亡人。
★第30回小学館ノンフィクション大賞受賞作
“戦後復興のシンボル”力道山が他界して60年。
妻・田中敬子は80歳を越えた今も亡き夫の想い出を語り歩く。
しかし、夫の死後、22歳にして5つの会社の社長に就任、30億円もの負債を背負い、4人の子の母親となった「その後の人生」についてはほとんど語られていない──。
〈未亡人である敬子には、相続を放棄する手もあった。
しかし、それは考えなかった。
「そんなことを、主人は絶対に望んでないって思ったんです」
敬子は社長を引き受けることにした〉(本文より)
「力道山未亡人」として好奇の視線に晒され、男性社会の洗礼を浴び、プロレスという特殊な業界に翻弄されながら、昭和・平成・令和と生きた、一人の女性の数奇な半生を紐解く傑作ノンフィクション!
選考委員絶賛!
●辻村深月氏(作家)
「未亡人・敬子さんの人柄がくらくらするほど魅力的」
●星野博美氏(ノンフィクション作家)
「戦後日本の闇の深さを際立たせることに成功した。過去と現在がうまく共存し、そこから日本の変遷が透けて見えた」
●白石和彌氏(映画監督)
「アントニオ猪木や周りの人との関わりも、プロレスファンが読んでも堪らなかった」
【編集担当からのおすすめ情報】
国民的スターとの幸せな結婚生活はわずか「半年」。
22歳で30億円もの負債を背負った「未亡人」――。
何とも壮絶な人物を想像しますが、選考委員・星野博美氏が評したように
田中敬子さんは”フワフワ”していてとてもチャーミングな女性です。
そんな敬子さんの激動の半生を細緻に描いた本作は「第30回小学館ノンフィクション大賞」を受賞しました。老若男女問わず、多くの方に読んでいただきたい1冊です。★
「興奮の坩堝」「万力のごとく締め付ける、テーズの両脚」クワガタVS.カブトムシ
別れを惜しむことが許されない時代
国本はる乃さんの浪曲、「忠臣蔵~矢頭右衛門七」。
★概要欄より★国本はる乃 浪曲「忠臣蔵~矢頭右衛門七」 2022年6月2日 浅草・木馬亭 浪曲定席での収録 曲師は沢村美舟 国本はる乃、義士伝(赤穂浪士の物語)の一席。 描くのは16歳の若さで浪士入りした「矢頭右衛門七」 父・矢頭長助の遺志を継、17歳で吉良邸討ち入りに参加。 討ち入り時は戒名を懐に忍ばせ決死の覚悟奮戦した。 その右衛門七と武士の母をはる乃は読み上げる。 三味線の沢村美舟との息もあった終盤の早節は聞き所。 今後が楽しみになるコンビが出来上がりつつある。★
討ち入りしたが切腹せず帰宅した一人息子の矢頭右衛門七。父既に亡く、武士の母はその夜、自刃したという話。
★赤穂事件(あこうじけん)は江戸時代中期の元禄期に発生した事件で、吉良上野介を討ち損じて切腹に処せられた浅野内匠頭の代わりに、その家臣である大石内蔵助以下47人が、吉良を討ったものである。
事件は人形浄瑠璃・歌舞伎の仮名手本忠臣蔵を始め、数多くの芝居、講談、そして映画やテレビドラマの題材に取り上げられた。★
歌川芳虎 作「義士四拾七人」
01:42~ゆうま君、可愛すぎる(笑)鉦の音の有無で、ONとOFF(笑)
「何してるの?」近くて遠い別宇宙への問いかけ
お知らせ
わたしが文を書きました、福音館書店こどものとも 5月号の
「ステッドのホテル STED , A KANGAROO HOTELIER」、発売中です
絵本をお手にされた方は、見るとハッピーになる嶽(だけ)まいこさんの絵を、どうぞ隅々までお楽しみになってくださいませ
カンガルーのステッドは、丘の上の小さなホテルで働いています。ホテルの仕事は、毎日がハプニングの連続。今日も、屋上で干していたシーツが風に飛ばされそうになったり、夕食の時間に停電になってしまったり……。次々と起こるトラブルをステッドが華麗に解決していきます。なんでもこなせるステッドの仕事ぶりを軽快に描きます。
ステッドのホテル (こどものとも2024年5月号) | くら ささら, 嶽 まいこ |本 | 通販 | Amazon
絵本を手に取られた方は、嶽(だけ)まいこさんのレンブラントのような光と影の表現を、どうぞご堪能なさってくださいませ
嶽 まいこ / Maiko Dake (dakemaiko.com)
嶽 まいこ/ Maiko Dake (@mk_dake) / X (twitter.com)
「クックククックレストラン」こどものとも年中向きも引き続き発売中です
家族みんなでレストランに来ました。注文したのは、ハンバーグ、ナポリタン、ミックスピザに、特製デザート! クックククック、さあ作ろう! シェフたちが自慢の腕をふるって、ごちそうを作ります。つぎつぎと料理ができあがっていく過程を、弾むような言葉と踊るような絵で、美味しく楽しく描いた作品です。
【4~5才向け】こどものとも年中向き|月刊誌のご案内|福音館書店 (fukuinkan.co.jp)
福音館書店(ふくいんかんしょてん) (fukuinkan.co.jp)
心のこもった温かく素晴らしい絵を描いてくださったのは、優しい天才イラストレーター、嶽(だけ)まいこ さんです
お手にされた方は、嶽さんが描くおいしそう過ぎる絵を、どうぞ隅々までお楽しみになってくださいませ
嶽 まいこ / Maiko Dake (dakemaiko.com)
嶽 まいこ / Maiko Dake (@mk_dake) / X (twitter.com)
閉じ込み付録「絵本のたのしみ作者のことば」には、
「ワクワク クックク レストラン」と題して、
この絵本が生まれるもととなった、こどもの頃の思い出を書いております
プロフィール絵は、わたし作・ぶたさんシェフです
どうぞよろしくお願いいたします(=^・・^=)
閉じ込み付録の「おたよりのへや」では、読者の方から『ひゃくえんだま どこへゆく?』の感想をいただいております。
どうもありがとうございます
ひゃくえんだま どこへゆく?|福音館書店 (fukuinkan.co.jp)
福音館書店こどものとも7月号「ジッタとゼンスケ ふたりたび」発売中です
ジッタとゼンスケ ふたりたび (こどものとも2023年7月号) |くら ささら, くりはら たかし |本 |通販 |アマゾン
オオカミの兄弟、ジッタとゼンスケは、大仏さまをおがむために、はるばる都にやってきました。その道中で、ふたりは氷をキツネのお殿様に届ける仕事を任されることに。しかし、行く先々には数々の困難がふたりを待ち構えていました。果たしてふたりは、氷が溶けないうちにお城にたどりつけるのでしょうか? 新感覚時代劇絵本。
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「ひゃくえんだまどこへゆく?」コインの世界一周の旅発売中です
男の子がジュースを買おうと、100円玉を自動販売機に入れようとしたその瞬間......。100円玉がおっこちた! 100円玉は、ころころころころ、坂を転がって、トラックに運ばれたり、空を飛んだり、海に落ちたり。しまいには南極にたどり着いたり......! いったいどこまで行ってしまうのでしょうか? 小さな100円玉の壮大な冒険を描いた絵本です。
くらささら名義の他作品🐪「ひみつのえんそくきんいろのさばく」🐪
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