『街の恋 L'amore in città』1953年
イタリアのオムニバス映画。
全体でコース料理のような感じ。メインはフェリーニ。
最初の三作は前菜とパンとスープ。
フェリーニ作品が肉と魚。
次の、あるホームレス女性カテリーナの再現映画が煮込み料理。
ラストの『イタリア人は見つめる』はデザートとコーヒー。
とにかくフェリーニの所だけまるでレベルが違う。
タイトルは『結婚相談所』で、フェリーニが脚本監督。
この企画のコンセプトが、有名俳優を使わず、ある街のリアルを映し出す、ということらしく、最初の三作品は、娼婦たちへのインタビューという体、自殺未遂者たちへのインタビューという体、夕方5時から8時までのあるダンスホールの様子。
「本人たちは映されていると知りません」というナレーションが最初の作品の冒頭に入るが、どう見ても「そう演じているだけ」で、演劇学校の生徒などが「普通の人の普通」を演じたのでは、と思った。
最初の二作品はインタビュー形式で、三作品目が「そこにカメラが入っていた」という体。あくまで「カメラがないかのように演じている」のだろうと思った。
フェリーニは、「ローマの普通の人の普通の生活」というお題を与えられ、この『結婚相談所』という作品を思い付き、脚本を書き、撮影したのだろう。
もう冒頭の空気、気配からまるで違うのだ。出色という言葉を想起。
フェリーニは、「結婚相談所について調査しているジャーナリストの男性」という人物を出し、その青年を結婚相談所に行かせる。
青年は、内部をあぶり出すために、「自分の友人が結婚相手を探している」と告げる。青年は「その友人は田舎の金持ちで、しかし病気のため引きこもり、ここには来られないため自分が来た」と言う。すると担当の女性は「どんな病気ですか」と訊く。青年は、「友人は、満月の夜に暴れて自分を制御できなくなる狼男なんです」と言う。しかしというべきか、その担当者は全く動じず、「ぴったりな女性がいます」とファイルを探し出す。青年が「ぴったりな人なんているんですか?」と驚くと、女性も経営者の男性も、「うちにはいい女性ばかりたくさん登録している」と誇らしげに答え、そして一人の女性を紹介するのだ。
青年が、友人の代役という形でその女性とデートすることになった。カジュアルな面接というようなノリなのだろうと思った。
青年が車で相談所の前に来ると、恥ずかし気に女性が車に乗り込む。
女性は、「私なんかと結婚してくれる金持ちの人がいるなんて」と謙遜というより自己卑下というムードで言う。
「本当にいいの?友人は狼男なんだよ?」と本気で驚き訊く青年に、「私なら、その病気を治してあげられると思う。私にもできることはあって、それがこの御縁なのかもしれない」と嬉しそうな女性。
女性は真面目な田舎の人という雰囲気。
ドライブ途中で車を降りて傾斜に座ろうとすると、女性は滑って転ぶ。その様子が可愛く、青年はふと身内を騙しているような罪悪感に囚われたのだろう。または微かな恋心。
青年はデートを中断、車に女性が乗ると「きみにはもっと違う未来があるよ」と言い結婚相談所の前で女性を降ろし、別れる。
「私では駄目ってことですね?」と項垂れた女性は、車から降ろされ途方に暮れた様子。
そこを車で後にする青年。
その街角に女性以外の人々が行き交いカメラが引き、この映画のヒロインである女性が小さくなり相対化され、ジエンド。
面白くキャスティングも的確でユーモアと恋のフレーバーがあり、後に余韻が残り、とても素晴らしいと思った。
- ★有料の愛
カルロ・リッツァーニが撮影したこの映画では、年齢の異なる7人のローマの娼婦(中にはシングルマザーもいる)が「見捨てられ、欺瞞の物語」を語る。
- 自殺未遂
パートナーに残されて自殺を試みた5人の若い女性が、ミケランジェロ・アントニオーニのカメラの前で自分の物語を語り、再現します。
- 3時間の楽園
ディノ・リージは、毎週日曜日の夕方5時から8時の間に行われるダンスホールのイベントでの様々な出会いを描いています。
- 結婚相談所
フェデリコ・フェリーニは、結婚相談所について調査しているジャーナリストが、ライカンスロピーに苦しむ金持ちの友人の妻を探しているふりをして、物語を語っています。驚いたことに、彼はわずか数日後に見込み客を提示されました。
- カテリーナの物語
フランチェスコ・マゼッリとチェーザレ・ザヴァッティーニは、両親から排斥された若いシングルマザーのカテリーナが、養えない子供を捨てた罪で裁判にかけられる様子を描いています。
- イタリア人の凝視
アルベルト・ラトゥアーダが撮影した、美しい女性の通過に反応する男性のシーケンス。
★
★Wikipediaより★
『巷の恋』(ちまたのこい、イタリア語: L'amore in città, 「都市における恋愛」の意)は、1953年(昭和28年)製作・公開、イタリアのオムニバス映画である[1][2]。日本語での別題は『都市の恋』(としのこい)、『街の恋』(まちのこい)[2]。
構成
- 第一話『お金で買う愛』 - L'Amore che si paga : 監督カルロ・リッツァーニ、脚本ディーノ・リージ、脚本アルド・ブッツィ / ルイジ・キアリーニ / ルイージ・マレルバ / トゥリオ・ピネリ / ヴィットリオ・ヴェルトローニ / チェーザレ・ザヴァッティーニ
- 第二話『自殺未遂』 - Tentato suicido : 監督・脚本ミケランジェロ・アントニオーニ、脚本アルド・ブッツィ / ルイジ・キアリーニ / ルイージ・マレルバ / トゥリオ・ピネリ / ヴィットリオ・ヴェルトローニ / チェーザレ・ザヴァッティーニ
- 第三話『4時間のパラダイス』 - Paradiso per 4 ore : 監督・原作ディーノ・リージ、脚本アルド・ブッツィ / ルイージ・マレルバ / トゥリオ・ピネリ / ヴィットリオ・ヴェルトローニ / チェーザレ・ザヴァッティーニ
- 第四話『結婚相談所』 - Un Agenzia matrimoniale : 監督・脚本フェデリコ・フェリーニ、脚本トゥリオ・ピネリ
- 第五話『カテリーナの物語』 - Storia di Caterina : 監督チェーザレ・ザヴァッティーニ / フランチェスコ・マゼッリ、脚本チェーザレ・ザヴァッティーニ
- 第六話『イタリア人は見つめる』 - Gli Italiani si voltano : 監督・脚本アルベルト・ラットゥアーダ、脚本アルド・ブッツィ / ルイジ・キアリーニ / ルイージ・マレルバ / トゥリオ・ピネリ / ヴィットリオ・ヴェルトローニ / チェーザレ・ザヴァッティーニ
略歴・概要
本作は、1953年、スター俳優を一切起用せずにファロ・フィルムが製作、イタリアのラツィオ州ローマ県のローマ市内各所でロケーション撮影を行って完成、同年11月26日にイタリア国内で公開された[1]。
日本では、劇場公開されていないが、フェデリコ・フェリーニの監督デビュー作でアルベルト・ラットゥアーダとの共同監督作『寄席の脚光』に次ぐ作品として、フェリーニが監督した第四話の『結婚相談所』というタイトルとともに、『巷の恋』のタイトルで多く紹介されていた。時期は不明であるが、日本テレビ放送網が『都市の恋』のタイトルで放映したことがあり、1997年(平成9年)11月28日には東北新社がVHSのフォーマットで『街の恋』に改題してビデオグラム発売した[2]。
スタッフ
- プロデューサー : マルコ・フェレーリ、リカルド・ギオーネ (Riccardo Ghione [3])、チェーザレ・ザヴァッティーニ
- 監督 : フェデリコ・フェリーニ、ミケランジェロ・アントニオーニ、カルロ・リッツァーニ (Carlo Lizzani)、ディーノ・リージ、フランチェスコ・マゼッリ (Francesco Maselli)、チェーザレ・ザヴァッティーニ、アルベルト・ラットゥアーダ
- 脚本 : ディーノ・リージ、ミケランジェロ・アントニオーニ、アルド・ブッツィ (Aldo Buzzi)、ルイジ・キアリーニ (Luigi Chiarini)、ルイージ・マレルバ (Luigi Malerba)、トゥリオ・ピネリ (Tullio Pinelli)、ヴィットリオ・ヴェルトローニ (Vittorio Veltroni)、チェーザレ・ザヴァッティーニ、フェデリコ・フェリーニ、マルコ・フェレーリ、アルベルト・ラットゥアーダ
- 撮影 : ジャンニ・ディ・ヴェナンツォ (Gianni Di Venanzo)
- 美術 : ジャンニ・ポリドーリ (Gianni Polidori [4])
- 編集 : エラルド・ダ・ローマ (Eraldo Da Roma)
- 音楽 : マリオ・ナシンベーネ
キャスト
クレジットされた俳優のうち、映画界に残った者のみ[1]。
- クレジット順
- ドナテッラ・マッロズー (Donatella Marrosu [5]) - 出演・第二話『自殺未遂』
- ネッラ・ベルトッチョーニ (Nella Bertuccioni [6]) - 出演・第二話『自殺未遂』
- アントニオ・チファリエッロ (Antonio Cifariello) - 出演 ジャーナリスト役・第四話『結婚相談所』
- リヴィア・ヴェントゥリーニ (Livia Venturini [7]) - 出演・第四話『結婚相談所』
- マレーザ・ガッロ (Maresa Gallo) - 出演・第四話『結婚相談所』
- アンジェラ・ピエッロ (Angela Pierro [8]) - 出演・第四話『結婚相談所』
- リタ・アンドレアーナ (Rita Andreana [9]) - 出演・第四話『結婚相談所』
- リア・ナタリ (Lia Natali [10]) - 出演・第四話『結婚相談所』
- クリスティナ・グラドー (Cristina Grado [11]) - 出演・第四話『結婚相談所』
- イラリオ・マラシーニ (Ilario Malaschini [12]) - 出演・第四話『結婚相談所』
- スー・エレン・ブレイク (Sue Ellen Blake [13]) - 出演・第四話『結婚相談所』
- シルヴィオ・リッロ (Silvio Lillo [14]) - 出演・第四話『結婚相談所』
- マーラ・ベルニ (Mara Berni) - 出演・第六話『イタリア人は見つめる』
- ヴァレリア・モリコーニ (Valeria Moriconi) - 出演・第六話『イタリア人は見つめる』
- ジョヴァンナ・ラリ (Giovanna Ralli) - 出演・第六話『イタリア人は見つめる』
- ウーゴ・トニャッツィ - 出演・第六話『イタリア人は見つめる』
- パトリツィア・ラリ (Patrizia Lari [15]) - 出演・第六話『イタリア人は見つめる』
- ライモンド・ヴィアネッロ (Raimondo Vianello) - 出演・第六話『イタリア人は見つめる』
- エッダ・エヴァンジェリスタ (Edda Evangelista [16]) - 出演・第六話『イタリア人は見つめる』
- リアナ・ポッジャリ (Liana Poggiali [17]) - 出演・第六話『イタリア人は見つめる』
- マリーザ・ヴァレンティ (Marisa Valenti [18]) - 出演・第六話『イタリア人は見つめる』
- マリア・ピア・トレパオリ (Maria Pia Trepaoli [19]) - 出演・第六話『イタリア人は見つめる』
- マルコ・フェレーリ - 出演・第六話『イタリア人は見つめる』
- マリオ・ボノッティ (Mario Bonotti [20]) - 出演・第六話『イタリア人は見つめる』
関連事項
★『街の愛』(イタリア語: L'amore in città)は、1953年にイタリアのアンソロジー映画が6つのセグメントで構成され、それぞれに監督がいる。『Paid Love』(カルロ・リッツァーニ)、『自殺未遂』(ミケランジェロ・アントニオーニ)、『三時間の楽園』(ディノ・リージ)、『結婚相談所』(フェデリコ・フェリーニ)、『カテリーナの物語』(フランチェスコ・マゼッリ、チェーザレ・ザヴァッティーニ)、『イタリア人の凝視』(アルベルト・ラトゥアーダ)など。[2][3]
あらすじ
- 有料の愛
カルロ・リッツァーニが撮影したこの映画では、年齢の異なる7人のローマの娼婦(中にはシングルマザーもいる)が「見捨てられ、欺瞞の物語」を語る。
- 自殺未遂
パートナーに残されて自殺を試みた5人の若い女性が、ミケランジェロ・アントニオーニのカメラの前で自分の物語を語り、再現します。
- 3時間の楽園
ディノ・リージは、毎週日曜日の夕方5時から8時の間に行われるダンスホールのイベントでの様々な出会いを描いています。
- 結婚相談所
フェデリコ・フェリーニは、結婚相談所について調査しているジャーナリストが、ライカンスロピーに苦しむ金持ちの友人の妻を探しているふりをして、物語を語っています。驚いたことに、彼はわずか数日後に見込み客を提示されました。
- カテリーナの物語
フランチェスコ・マゼッリとチェーザレ・ザヴァッティーニは、両親から排斥された若いシングルマザーのカテリーナが、養えない子供を捨てた罪で裁判にかけられる様子を描いています。
- イタリア人の凝視
アルベルト・ラトゥアーダが撮影した、美しい女性の通過に反応する男性のシーケンス。
キャスト
- 自殺未遂
- リタ・ジョサ
- ロザンナ・カルタ
- エンリコ・ペリッチャ
- ドナテッラ・マロス
- パオロ・パチェッティ
- 都市: Bertuccioni
- リリア・ナルディ
- レナ・ロッシ
- マリア・ノビリ
- 3時間の楽園
- 結婚相談所
- アントニオ・シファリエロ
- リヴィア・ヴェンチュリーニ
- マレサガロ
- アンジェラ・ピエロ
- リタ・アンドレアナ
- リア・ナタリー
- イラリオ・マラスキーニ
- クリスティーナ・グラード
- スー・エレン・ブレイク
- シルビオ・リージョ
- カテリーナの物語
- キャサリン・ラッシュ
- イタリア人の凝視
- マリサ・ヴァレンティ
- マルコ・フェレーリ
- マリオ・ボノッティ
- マラ・ベルニ
- ヴァレリア・モリコーニ
- ジョヴァンナ・ラッリ
- パトリツィア・ラリ
- ウーゴ・トニャッツィ
- レモンド・ヴィアネッロ
- エッダ・エヴァンジェリスティ
- リリアナ・ポッジャーリ
- マリア・ピア・トレパオリ
製作と公開
チェーザレ・ザヴァッティーニ、マルコ・フェレーリ、リッカルド・ギオーネは、『Love in the City』をセルロイドに関する新しい雑誌のシリーズの最初の号として意図していましたが、この雑誌だけが実現しました。[2][3]このプロジェクトは最初のリリースで批判的にも商業的にも失敗し、フランスの批評家アンドレ・バザンは好意的なレビューを書いた数少ないコメンテーターの1人であり、コンセプトとインタビューされた非俳優を高く評価した。[2]他の批評家は、カメラの前にいる人々が明らかに監督の指示に従っていると主張して、映画の信憑性に疑問を呈したり、カテリーナの物語のセグメントの母親が子供の遺棄を再現させたと攻撃したりしました。[2] 最初の輸出コピーは、検閲の問題により、売春に関するカルロ・リッツァーニのセグメントが欠落していました。[4][5]
ザヴァッティーニは振り返って、この映画にはテーマに関する中心的なアイデアと共通の視点が欠けており、それは制作中に映画製作者が散発的にしか接触しなかったという事実が一因であると指摘した。[6]その結果、一部はドキュメンタリースタイルで、一部は現実の複製として、そしてフェデリコ・フェリーニの場合はプロの俳優で上演された映画が生まれました。[6] 第2話の監督であるミケランジェロ・アントニオーニは、後に、この映画には製作者の一人への好意として参加しただけだと述べ、インタビュー対象者側の不誠実さと彼が見たものについて否定的なコメントをした。(注3)
2014年、『Love in the City』はRaro VideoからBlu-rayで発売された。(注2)★