『乙女の星 SYLVIE ET LE FANTOME』1946年
非常に面白かった。
肖像画から、男爵令嬢のシルヴィが恋している、祖母の恋人の幽霊が出て来る話。幽霊のアランは、生きていたら80歳。アランは、既婚であるシルヴィの祖母と相思相愛になり、祖母の夫と決闘して射殺された。シルヴィの祖母は、アランの死後夫と離婚し、別の男性と結婚して生涯を終えた。その別の男性が、シルヴィの祖父。
シルヴィとアランの幽霊
そのシルヴィの気持ちを知っている幽霊のアランは、まるで守護霊のようにシルヴィを見守る。アランは集中すると物を動かせる。アラン自身はドアを開けずにぶつからずに透過することができる。
右がアランの肖像画。アランは白い服を着ていたため、「白い狩人」と呼ばれていた。一番左がシルヴィ。
母は、16歳になるというのに幽霊を信じているシルヴィを心配していた。しかし父は、そんなシルヴィを優しく見守る。
シルヴィと父
そんなある日、城か肖像画を売らないと破産するとなった一家。父と母は、アランを愛するシルヴィに内緒で美術商に肖像画を売る。アランの幽霊は、美術商の車の荷台の肖像画から、愛犬の幽霊と一緒に抜け出て、額の中に戻ってくる。アランや愛犬の姿は観客にしか見えていない。
シルヴィの父は、シルヴィの16歳の誕生日パーティーに、余興として一計を案じた。幽霊役を募集し、その男にシーツをすっぽり被せて、幽霊なんていないと言う招待客たちを驚かせようというもの。
シルヴィの父とシルヴィ
応募してきたのは、まず2人の青年。一人はシルヴィに恋している。一人は憲兵から逃げている盗人。
左が盗人青年。右がシルヴィに恋している青年。
盗人はこの城で、アランがシルヴィの祖母に贈ったカメオを盗み、ポケットに入れている。逃げようとする途中でシルヴィの父に見つかり、幽霊役の応募者だと勘違いされたため、とっさに否定しなかったのだ。もう一人、シェイクスピア俳優であるプライドの高い男性が応募してくる。シルヴィの父は3人に、出る時間を指示。3人はすっぽりシーツをかぶっているので誰が誰だか分からない。これが肝。
幽霊の姿の所をシルヴィに見つかってしまった盗人は、自分をアランの幽霊だと信じて話しかけてくるシルヴィを見て惚れ、ポケットの中のカメオをシルヴィに返す。シルヴィはそれを胸元に付けてパーティーに出る。
同じようにシルヴィに惚れた青年2人の間には友情が芽生える。
シルヴィ、シルヴィをずっと好きだった青年、シーツをかぶった盗人青年。
この種明かしで、シルヴィはさっきの「幽霊」はアランではなくこの2人のうちのいずれかだったのかと思い直す。
盗人の方は、感覚で、シルヴィが自分ではなくもう一人の青年を好きだと分かり、身を引く。シーツをかぶったまま窓の下の池に飛び込み、泳いで逃走。彼の行方を、シルヴィは愛しそうに見守る。
アランの幽霊とシルヴィ。アランはこのままでは、シルヴィには見えない。
ベテラン俳優が脱いだシーツをかぶってアランの幽霊が出ると、シルヴィはそれを生身の青年だと思って話しかける。アランの幽霊は、話すことはできない。でも頷いて意思を示すことはできる。
話せないアランはこれまで、気持ちを集中して何かを動かすということで、自己表現をしてきた。(それが住人にはポルターガイストに見えていた。シルヴィは、アランの言語だと理解してきた。)
アランの幽霊がこの姿のままパーティー会場に現れると、「ここに盗人がいたぞ!」となるが、しかし頭巾を取ると中身がなくて「キャー!」と大騒ぎ。そのままアランが天井まで浮かぶと、パーティーの客は騒然となる。
生身の青年とシルヴィの間に恋が芽生えたのを見届けたアランの幽霊は、シルヴィが髪から外して鏡台の上に置いた星形の髪飾りの実体から幽体離脱のように星形の霊を抜き取り、それを形見に、愛犬の霊と一緒に天へ成仏するのだった。というお話。
とても好きなお話だった。
半透明の幽霊という特撮が、非常に効果的だった。
生身の犬が幽霊である一人と一匹に吠え続けているというのがリアルだった。
「幽霊のリアル」とは逆説的だが、確かにそう、と納得できる事々があるのが大変興味深かった。幽霊を実際に見た事などないのに。
幽霊は、線でも面でも立体でもなく、ドットの集合(≒オーラ)なのだろうと思う。
★Wikipediaより★
シルヴィと幽霊(フランス語:Sylvie et le fantôme)は、クロード・オータン・ララ監督、
の1946年のフランスのファンタジー/コメディ映画です。パリのサン・モーリス・スタジオで撮影されました。映画のセットは、アートディレクターのジャック・クラウスとルシアン・カレによってデザインされました。
プロット
シルヴィと彼女の家族は壮大な先祖代々の城に住んでいますが、お金が必要です。彼女の父、エドゥアルド男爵は、アラン・ド・フランシニーの大きな肖像画を、掘り出し物を求めて画商に売ります。アランとシルヴィの祖母は恋人同士だった。彼女は、肖像画が現在隠している秘密の通路を使って彼を訪ねました。アランはシルヴィの祖母の最初の夫との決闘で殺された――あるいは最初の恋人、シルヴィアが若い聴衆に語った話からは、それははっきりしない。アランの死後、亡くなったアランの忠実なスパニエルが肖像画のそばにいて、飼い犬のピラマスが容赦なく吠えています。
もうすぐ16歳の誕生日を迎えるシルヴィアは、何年も前からアランに魅了されてきた。彼女は彼の幽霊を信じていますが、彼女はそれを見たことがありません。
セールでのシルヴィの苦悩を遅らせるために、写真は木箱に入れられ、秘密裏に隠された階段を下ります。一番下には、アランの幽霊が現れ、続いて小さなスパニエルが現れます。彼らは城内を動き回り、家族、特にシルヴィアを観察します。
画商の息子フレデリックはシルヴィアを気の毒に思い、なぜ男爵に金を貸さなかったのかと父親に尋ねる。彼の父親は彼にうんざりしています。
シルヴィは、アランが16歳の誕生日にいないことを嘆く。父親は彼女を安心させ、あるアイデアを思いつきます。彼はアランの幽霊として出演する俳優を雇います。真夜中、泥棒のラムレが絵を盗もうと忍び込み、絵がなくなっていることに気づいてがっかりする。誰もいないフレームで眠っていたアランと犬は、懐中電灯の明かりで目を覚ます。
ラムレはシルヴィの部屋にたどり着き、祖母から家宝であるカメオを盗む。フレデリックは花束を手に窓から入ってきて、ラムレにブローチを戻すように言う。二人の喧嘩でピラマスとヘクターは目覚めるが、ヘクターは二人がアランの幽霊役の候補だと考える。本物の俳優、アニセが到着します。彼はハムレットの父親の幽霊を演じることを専門としており、その役割が誰かを怖がらせる必要がないことに失望しています。そこへ警察がやってきて、拘留から逃れたラムレを捜す。男爵は彼らを敷地の探索に誘うために降りて行きます。
男爵が戻ってくると、ラムレは3人全員で幻想に参加することを提案する。
舞踏会の夜。シルヴィアは、カメオ出演が消えたのは、今はイブニングドレスを着ているアランのおかげだと考えている。彼は彼女と一緒に階段を降りる。「俳優」は、尖ったフードをかぶった同じシーツを着ています。
シルヴィアは(コスチュームを着た)ラムレと二人きりで話しかけ、カメオ出演を依頼する。彼女がそれをピンで留めている間に、彼は滑り落ちます。フレデリックは舞踏会に身を包み、シルヴィアを除く全員を怖がらせて庭に追いやる。彼女は、名前も知らない若い男性、フレデリック自身に惹かれていることを打ち明けます。それともラムレですか?アニセトの番が来たら。アランはローブを盗もうとし、ついに彼をつまずかせてしまう。アニセットは階下の警官の腕の中に落ち、警官は彼を覆面を外し、男爵の陰謀を暴露する。
アランはシルヴィアの前に出頭するために robes.in の注文を盗むが、会社に追われる。やがてラムールはシルヴィアの元へ行き、フレデリックが彼らに割って入る。二人とも彼女を愛している。ラムレは警察から逃れるために堀に飛び込む。フレデリックは去り、ローブを着たアランがシルヴィアに近づく。フレデリックだと思って、彼女は彼が彼女にこの世に住みたいと思わせると彼に告げる。アランは引き下がって男爵と一緒に階下に降りる。彼のフードは取り除かれ、彼の不可視と飛行能力は彼が本物の幽霊であることを示しています。
踊り場で、シルヴィは髪の飾りを外す。アランはその幽霊を拾うことができ、シルヴィとフレデリックは腕を組んで立ち去る。きらめく星を優しく抱きしめながら、アランは城の上に立ち上がり、星が散りばめられた空へと昇り、忠実なスパニエルを召喚します。彼はどんどん高く昇り、ついには星が空に固定される。
キャスト
- オデット・ジョユー(シルヴィ役
- フランソワ・ペリエ(Ramure)
- ピエール・ラルケイ(エドゥアルド男爵役
- クロード・マルシー(La comtesse des Vertus)
- ジャン・デサイー(フレデリック役
- ポール・デマンジュ(カウンセラー役
- マルグリット・カッサン(マルテ役
- レイモンド・ロゴノーニ(ダマス役
- ガブリエル・フォンタン(マリエット役
- ジャック・タチ - アラン・ド・フランシニーの幽霊
- ルイ・サロウ(アニセ役
- ジュリアン・カレット(ヘクター、少佐役
- アナ・マリア・カッサン(少女役)
- 少女としてのリーゼ・トパート
生産
幽霊が現れる特殊効果は、ガラス板越しに撮影し、2つの同じセットを使用することで実現されました。ガラス越しに、プライマリセットが見えます。これは、幽霊(タチ)を除くすべての俳優が登場する通常のセットでした。同時に、反射は、一次セットに対して90度の角度で配置された2番目のセットから見えます。このセットは全体が黒いベルベットで覆われており、このセットの唯一の俳優はタチ[1]でした(ペッパーの幽霊を参照)。★