『テンプルの福の神 Poor Little Rich Girl』1936年
シャーリー・テンプル演じるバーバラ・バリーは、母親のいない一人っ子。父は大きな石鹸会社の社長。
父はバーバラのためにあらゆる予防策を考え、使用人たちはそれを実行し続けるため、バーバラがくしゃみ一つするだけで大騒ぎという過保護環境。年配の女性使用人は、「子供はもっと自由にさせたほうがいい」と言うが、父は「これが娘のためだ」と言う。しかし娘の「ねえ、どうして私はいつも一人ぼっちで友達が誰もいないの?」に心が動き、バーバラの母が通っていた寄宿舎学校にしばらく行かせることにした。
バーバラを学校に連れていったのは、使用人の中で一番厳しい女性。
その女性は駅で自分のハンドバッグがないことに気づき、ポーターにバーバラを見ていてと頼み、ハンドバッグを捜しにいった。実はそのハンドバッグは、バーバラを誘拐しようと付け狙っていた男が、使用人女性とバーバラを離そうとしてゴミ箱に入れて蓋をしてしまったのだった。ハンドバッグを捜していた女性は車に轢かれて病院へ。
バーバラを見ていたポーターは、バーバラの言葉がきっかけで他のポーターの所へ行く。
その隙にバーバラは人込みに入り、駅構内から出て、猿遣いのおじさんについてゆく。
そのおじさんは大家族。バーバラを一旦拒否したものの、奧さんと「お腹が空いているのかも」と不憫に思い、中に入れ、御飯を食べさせる。
その一家はイタリア系で、スパゲティーの食事。バーバラがくしゃみをしても、笑顔で「お大事に」だけの放任主義。「私、ここが好き」とバーバラ。
名前を訊かれたバーバラは、家で年配の優しい使用人女性が読み聞かせてくれたお話の主人公、孤児のベッツィーを名乗る。
一家が演奏する曲に合わせてバーバラがタップダンスを踊っていると、二階の、スターになりたい夫婦がそのタップ音を聞き、師匠がいた、と一階に下りてくる。
夫婦は、今度のオーディションに落ちたらもう実家に帰るしかない、という崖っぷち芸人。
バーバラの芸達者ぶりを知った夫婦は、三人でオーディションを受けに行く。
すると受かる。そのオーディションを開催していた会社は、バーバラの父の会社のライバル石鹸会社。
芸人夫婦の妻は、バーバラ誘拐で自分たちが終身刑になるのではと夜も眠れない。
バーバラの歌声がラジオで流れると、父は「うちの娘バーバラの声だ!」となる。父は、ライバル会社の社員女性と恋仲になり、一緒にラジオを聞いていたのだった。女性は「そんなことはない、あの子はボニーといって、」とバーバラの芸名を言うが、父は「絶対うちの子だ」と学校に電話する。すると寄宿学校の校長は「お嬢さんはまだいらしていません」。
使用人が事故にあったことも知り合点がいった父は、生放送中の放送局に行く。
するとライバル会社の社長は、「そんなバカげた嘘を言ってうちのタレントを取ろうとするな」。
大会社の社長の娘の誘拐犯になるのを恐れた芸人夫婦は、バーバラを自分たちの家に残し、消えようとする。しかし「やっぱり逃げるのは良くない。問題に向き合おう」と帰ると、一人になったバーバラをあの男が誘拐しようと近づいていた。
夫婦は男を攻撃し、バーバラを保護。
そこに警察と共にバーバラの父到着。警察は男と芸人夫婦に手錠をかけるが、バーバラの証言で父が「2人に手錠は不要でしょう」で解放。
実は、バーバラの父はそのライバル石鹸会社を買収しようとしていた。恋人となったライバル会社の社員女性が「買収ではなく合併にすれば?」と提案すると、バーバラが架け橋となり、交渉成立。2人も結婚するようなムードで万事収まりハッピーエンド、というお話。
(芸人夫婦とバーバラ)
(左から、バーバラの父、バーバラ、バーバラの父の会社のライバル石鹸会社の社長)
厳めしいライバル会社の社長は、社長室に紛れ込んだバーバラにより軟化。その後芸人夫婦たちがやって来ると、「この子のことか」と、頑なに反対していた宣伝のためのラジオ番組の開始を承諾。
原題の『Poor Little Rich Girl』とは、金持ちの家の子なのに、そのために自由や友人がなくて可哀そう、という意味合いかと思った。
バーバラと、父の恋人
★Wikipediaより★
『テンプルの福の神』 (テンプルのふくのかみ、Poor Little Rich Girl) は1936年制作のアメリカ合衆国の映画。デイヴィッド・バトラー監督のミュージカル。シャーリー・テンプル主演作。
シャーリー・テンプルの代表作の一つ。映画でシャーリー・テンプルが歌う歌としては「オー・マイ・グッドネス」や、「ユーヴ・ガッタ・イート・ユア・スピナッチ、ベイビー」や、アリス・フェイやジャック・ヘイリーといっしょに踊る「アイ・ラブ・ア・ミリタリー・マン」が有名。
キャスト
- バーバラ・バリー: シャーリー・テンプル
- ジェリー・ドーラン: アリス・フェイ
- キャプテン・ナズロ: ジャック・ヘイリー
- マーガレット・アレン:グロリア・スチュアート
- コリンズ:サラ・ヘイデン
- ウッドワード:ジェーン・ダーウェル
ストーリー
バーバラ・バリーのお金持ちの父親は忙しすぎて彼女と一緒に時間を過ごす事ができない。バーバラ・バリーは行方不明になり、新しい友人と知り合いラジオのスターになる。★
★プア・リトル・リッチ・ガールは、アーヴィング・カミングスが監督し、シャーリー・テンプル、アリス・フェイ、ジャック・ヘイリーが主演した1936年のアメリカのミュージカル映画です。サム・ヘルマン、グラディス・リーマン、ハリー・タゲンドによる脚本は、エレノア・ゲイツとラルフ・スペンスの物語と、1917年のメアリー・ピックフォードの同名の車に基づいています。この映画は、裕福で忙しい父親に無視された子供(テンプル)に焦点を当てています。彼女は2人の寄席パフォーマーと出会い、ラジオの歌手になります。この映画は、ニューヨーク・タイムズ紙から生ぬるい批評家の反応を受けた。
プロット
バーバラ・バリーは、最近未亡人となった石鹸メーカーの裕福なリチャード・バリーの若い娘です。娘が同年代の子供たちと一緒にいない時間が長すぎることを心配した父親は、バーバラを寄宿学校に通わせることにしました。駅で、バーバラと同行の乳母は、盗まれたハンドバッグを探していた乳母コリンズ(サラ・ヘイデン)が車に轢かれて死亡したため、はぐれてしまう。
一人残されたバーバラは、孤児になりすまして放浪する。街を彷徨っていると、気さくなイタリア人の大道芸人、オルガン挽き職人のトニーと出会う。バーバラは公演後、彼を家まで追いかける。彼女は、彼の多くの子供たちが玄関で彼に会うために走り出すのを目撃します。バーバラは寂しく悲しそうに残る。親切でフレンドリーな家族がバーバラを招き入れる。夕食を共にし、初めてスパゲッティを食べる。夕食後、母親は彼女を自分の子供と一緒に寝かしつけます。
彼女は、上の階に住む苦労している寄席パフォーマー、ジミー・ドーランと彼の妻ジェリーの注意を引き付けます。彼らは娘を装ったバーバラをラジオ出演させた。広告担当役員のマーガレット・アレンの助けを借りて、トリオは一夜にして成功を収めました。バリー氏はラジオから娘の歌声を聞き、2人は再会する。サブプロットには、バリーとアレンのロマンスと、バーバラを誘拐しようとする詐欺師が含まれます。
キャスト
- シャーリー・テンプル:リチャード・バリーの娘、バーバラ・バリー
- ジャック・ヘイリーは、寄席のパフォーマーでジェリーの夫であるジミー・ドーランを演じています
- アリス・フェイは、ヴォードヴィルのパフォーマーでジミー・ドーランの妻であるジェリー・ドーランを演じています
- グロリア・スチュアート:広告会社の重役マーガレット・アレン
- マイケル・ウェーレンは、男やもめでバーバラの父親であり、石鹸メーカーのリチャード・バリーを演じています
- クロード・ギリングウォーター、石鹸製造におけるバリーのライバルであるペック役
- サラ・ヘイデンは、バリー家の使用人であるコリンズ役
- ジェーン・ダーウェルは、バリー家の使用人であるウッドワードを演じています
- アーサー・ホイト(パーシヴァル・フーチ役、ペックの助手)
- ヘンリー・アルメッタ(オルガン挽き職人トニー役
- トニー・マーティン:ラジオ・バリトン・ソリスト(クレジットなし)
- ポール・スタントン - ジョージ・ハサウェイ
- チャールズ・コールマン(ステビンズ役
- ジョン・レイは誘拐犯のフラギンを演じる
- タイラー・ブルック - ダン・ウォード
- マチルド・コモント(トニーの妻役
生産
この映画のミュージカルナンバー「ミリタリーマン」は、多くの困難に直面しました。テンプルは自叙伝の中で、テンプル、ヘイリー、フェイがサウンドルームでタップを同期させようと何度も失敗した後、ヘイリーと母親が口論になったと述べている。母親はヘイリーを責め、ヘイリーはテンプルのせいにした。事態を複雑にしたのは、テンプルがサウンドルームでルーティンをこなしているときに歯の1本が抜け落ちたことだ。最終的に、テンプルの法的に許された労働時間に近づいたため、彼らは彼女にルーティンを一人でやらせ、後で録音したヘイリーとフェイのタップでダビングすることにしました。彼女によると、彼女は反対の報告にもかかわらず、ルーチンを釘付けにしました。(注2)
ミセス・テンプルが撮影現場でインタビューを受けている間、シャーリーはふらふらとやってきて、レポーターに「どうして私と話しないの?俺が主役だ」(注3)
音楽
マック・ゴードンとハリー・レヴェルは、この映画の曲「When I'm with You」、「Oh My Goodness」、「You've Gotta Eat Your Spinach, Baby」、「But Definitely」、「Buy a Bar of Barry's」、「Military Man」、「Peck's Theme」を書いた。シャーリー・テンプルが全曲を歌い、他のキャストも数曲参加した。
レセプション
ニューヨーク・タイムズ紙のフランク・ニュージェントは、この脚本を「形がなく、概してばかげている」と表現し、絵は「事実上存在しない」が、「拡大し続けるテンプルの才能のショーウィンドウとして、完全に満足のいくものである。ミス・テンプルは、誰かが言ったように、これほど素敵に見えたことはありませんでした。彼女は彼女のメンターであるビル・ロビンソンを喜ばせるに違いない方法で踊ります。彼女の声は、トーチシンガーとクルーナーの資質を帯び始めている。世界中の観客の魅惑的な視線の下で、意識的な芸術性がハリウッドとブロードウェイの路線に沿って発展しています。それは夢中になれる現象だ――早熟な幼児は、知ったかぶりの子供になる。彼はヘイリーとフェイを代表して、「敗北した副大統領候補になる以外に、モペットの映画に出演するよりも、匿名性を保証するより良い方法は考えられない」と嘆いた。(注4)
この映画は、アメリカン・フィルム・インスティテュートの2006年AFIのグレイテスト・ムービー・ミュージカル・リストにノミネートされた。(注5)★