立夏May
素敵な曲……
5月4日の朝日新聞朝刊書評で野矢茂樹先生が書評をしていらした『実存主義のカフェにて 自由と存在とアプリコットカクテルを』。まずそのタイトルが素敵
書評「『人生と哲学はひとつ』の群像劇」より、引用。
【当時の人々は、実存主義を徹底的に人間を自由な存在として捉える思想として受け止めた。過去のいっさいのくびきから解放されること。私たちを抑圧する権力を覆すこと。そしてサルトルは時代の寵児(スター)となった。
(中略)
しかし、祭はやがて終わる。サルトルの人気も翳(かげ)りを見せ、実存主義ももてはやされなくなる。いまでは哲学は大学や書斎の中に行儀よく納まっているように見える。本書を閉じたとき、私は一抹の寂寥感に囚われた。】
サルトルは、学者・識者というより行動する解放者だったのかなと思った。
★ジャン=ポール・シャルル・エマール・サルトル(仏: Jean-Paul Charles Aymard Sartre [ʒɑ̃pɔl ʃaʁl ɛmaːʁ saʁtʁ]、1905年6月21日 - 1980年4月15日)は、フランスの哲学者、小説家、劇作家。
内縁の妻はシモーヌ・ド・ボーヴォワール。
右目に強度の斜視があり、1973年にはそれまで読み書きに使っていた左目を失明した。自らの意志でノーベル賞を辞退した最初の人物である。
実存哲学の代表者。『存在と無』などの思想を、小説『嘔吐』、戯曲『出口なし』などで表現した。★
小説『嘔吐』
★あらすじ
何年かに渡る旅行から戻ったばかりの30歳のアントワーヌ・ロカンタンは、18世紀の政治下での生活における研究を終えるため、フランスの港町ブーヴィルに居を構える。しかし1932年の冬の間にある「甘い悩み」が彼がこれまで行ってきた、あるいは楽しんできたあらゆる物 — 彼の研究課題、図書館でアルファベット順に全ての本を読んでいる「独学者」たちの群れ、フランソワーズという名のカフェのオーナーとの肉体関係、かつて愛したイギリス人の娘アニーの記憶、そして彼自身の手や美しい自然さえも — から徐々に吐き気を呼び起こす。その後、彼の存在に対する嫌悪感は、半狂気、自己嫌悪、そして最後には彼という存在の自然への開放を強いた。ロカンタンは、やっかいで仮想的な「存在」そのものの制限された性質に直面していた。すなわち彼はサルトルの実存的不安理論を体現し、そのときまで彼の人生を満たしてきた全ての事象の意味を切望した。★
★『出口なし』(でぐちなし、原題: Huis clos)は、ジャン=ポール・サルトル による1944年の戯曲。フランス語の原題は、「非公開審理」を意味する法律用語である。1944年5月にヴィユ・コロンビエ劇場 で初演された[1]。
本作は、3人の登場人物が謎めいた部屋に通されるところから始まる。そこは 死後の世界 であり、3人の死者たちは、共にこの部屋で永久に閉じ込められるという罰を受ける。
サルトルの有名な一節「地獄とは他人のことだ」は、本作を出典とする。この台詞は、まなざしと、人が自己を他者から見つめられる対象として捉えてしまうという絶え間ない存在論的苦闘についての、サルトルの思想を表現したものである[2]。
あらすじ
地獄に落ちた亡霊であるガルサン、イネス、エステルの3人は、謎めいた従業員のボーイによって、地獄の一室に閉じ込められる。3人とも、地獄には罪人を永久に罰するための拷問具があるものと思っていたが、実際の部屋は、フランス第二帝政期風の家具が置かれた平凡な場所である。
はじめは3人とも、自分が地獄に落とされた理由を認めようとしない。ガルサンは、自分は平和主義の立場を表明したために処刑されたのだと言う。エステルは、何かの間違いだと主張する。しかしイネスだけは、全員が自分をごまかすのはやめて、犯した罪を告白すべきだと言う。イネスは、3人が偶然同じ部屋に来ることになったという考えを否定する。彼女はまもなく、自分たちが集められたのは互いを不幸にするためだと気づき、3人はお互いに拷問者となる運命なのだという推測を述べる。
ガルサンは、3人がお互いに関わろうとせず黙っていればよい、と提案するが、イネスは処刑についての歌を歌い始める。エステルは身だしなみを整えるために鏡を探すが、見つからない。イネスはエステルを口説こうとし、自分が見えているものを伝えることであなたの鏡になってあげよう、と持ち掛けるが、かえってエステルを怯えさせることになる。まもなく、イネスはエステルに惹かれているが、エステルはガルサンに惹かれており、ガルサンは二人の女性のどちらにも興味がないことが明らかになる。
議論の末、3人は自分の罪を打ち明けることで、お互いに何を求めるべきなのかを知ろうとする。ガルサンは、妻を欺き虐げていた人物であり、軍を脱走して銃殺されていた。イネスは、 男性を嫌悪し、人を操ることに長けたサディストであり、従兄夫婦と同居しながら、従兄の妻だったフロランスを誘惑した。従兄はそのために自殺し、フロランスは罪の意識から、イネスと二人で寝ている間にガスを部屋に充満させ、窒息死したのだった。そしてエステルは、不倫の末に産まれた子供を殺害したことで、子供の父親を自殺させていた。
それぞれの罪が明らかになった後も、3人はお互いを苛立たせ続ける。エステルはガルサンを惹きつけようと、しだいに誘惑を大胆にしていく。ガルサンはついに誘いに乗ろうとし、イネスは激怒する。しかし、ガルサンは自らの罪の意識を振り払うことができず、エステルに、自分が戦時下の祖国を見捨てた卑怯者ではない、と認めるよう懇願する。エステルは応じるが、イネスは、エステルは誰でもいいから男と一緒になりたくて、彼に惹かれているふりをしているのだ、と嘲る。
このことをきっかけに、突如ガルサンは脱出を試み、何度もドアを開けようとする。すると、なぜか突然ドアが開くが、ガルサンは出ていくことができない。ほかの二人も、同様に留まっている。ガルサンは、自分が卑怯者ではなかったとイネスに認めさせない限り、救われることはないのだと言う。イネスはそれを拒み、ガルサンはまぎれもなく卑怯者であり、自分は永久に彼を不幸にし続けると宣言する。ガルサンは、拷問具や肉体的な罰ではなく「地獄とは他人のことだ」と悟る。
エステルは引き続きガルサンを誘惑しようとするが、ガルサンは、イネスの見ている前で抱くことはできないと言う。エステルは激高し、ペーパーナイフをとりあげてイネスを何度も刺す。イネスはエステルをたしなめ、自分たちはすでに死んでいるのだと言い、そのことを示すために自分の身を激しくナイフで突く。エステルは、自分たちが死んでおり永久に一緒に閉じ込められるのだと聞くと、急に笑い出す。その長い笑いの発作に、他の2人も加わる。最後にガルサンが言う。「さあ、続けようか」。★
アプリコットカクテル
アプリコット=あんず
NHKラジオ深夜便の富安陽子さんのインタビュー、面白かった。富安陽子 - Wikipedia
お正月にあまりに完成度の高い夢を見て、それをそのままアウトプットしたのが『オニのサラリーマン』だったのだという。富安さんご本人による朗読も面白かった。
オニのサラリーマン|福音館書店 (fukuinkan.co.jp)
オニのサラリーマン|みんなの人気者|福音館書店 (fukuinkan.co.jp)
蜘蛛の糸のシーンで芥川作品を想起。『蜘蛛の糸』とは、児童文学作品なのだという。ずっと、非常に分かり易い大人向けだと思っていた。昔は、こどもものといえど、題材が仏教的(≒お説教的)にならざるをえなかったのかと思った。海外ファンタジー輸入以前期。
三遊亭圓生の、「猫定」。
定吉という、魚屋を名乗っているが実は賭博師の男が、湯の帰りの行きつけの居酒屋で、盗み食いをする悪い猫を橋から落として殺すという話を聞き、それなら俺にくれないかと金をやってもらってきた。その猫は熊の子のように真っ黒だったため、定吉は熊と名付けた。
化け猫と言われていた熊は、丁半博打を予想し、お陰で定吉は儲かった。
いつも熊を連れているため、定吉は猫定と呼ばれ、熊の予想のため金持ちになった定吉はその世界で敬われ、親分と呼ばれるように。
そんななか定吉が江戸にいられなくなり二か月ほど旅に出ていると、妻が若い男を連れ込んで浮気。
妻は夫定吉殺害を計画、若い間男が実行。
熊は定吉の仇を討ち、妻と若い男の喉仏を掻き切って殺害。
仇討ちの猫として有名になった熊は、時の支配者の差配により、死後回向院に葬られ、それが猫塚の最初となったのだという話。
回向院の猫塚。ペットの慰霊所。
両ごく回向院元柳橋(歌川広重「名所江戸百景」のうち)
ママはお父さん大好きっ子
ママの母の発言、「喫茶店には、時間を止める使命がある」
70歳台のお客さんの発言、「ここから外を眺めていると、二十歳の自分が店に入ってきそう」
店名の「チ・ケ」とは、アルゼンチン語で「粋好き(≒見掛け倒し)」
魔法の国の隠れ家、珈琲専門店チ・ケ
ママのお父さんは、アルゼンチンタンゴ好き
この曲大好きヨーヨーマも大好き
お知らせ
わたしが文を書きました、福音館書店こどものとも 5月号の
「ステッドのホテル STED , A KANGAROO HOTELIER」、発売中です
絵本をお手にされた方は、見るとハッピーになる嶽(だけ)まいこさんの絵を、どうぞ隅々までお楽しみになってくださいましていらした
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ステッドのホテル (こどものとも2024年5月号) | くら ささら, 嶽 まいこ |本 | 通販 | Amazon
絵本を手に取られた方は、嶽(だけ)まいこさんのレンブラントのような光と影の表現を、どうぞご堪能なさってくださいませ
嶽 まいこ / Maiko Dake (dakemaiko.com)
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家族みんなでレストランに来ました。注文したのは、ハンバーグ、ナポリタン、ミックスピザに、特製デザート! クックククック、さあ作ろう! シェフたちが自慢の腕をふるって、ごちそうを作ります。つぎつぎと料理ができあがっていく過程を、弾むような言葉と踊るような絵で、美味しく楽しく描いた作品です。
【4~5才向け】こどものとも年中向き|月刊誌のご案内|福音館書店 (fukuinkan.co.jp)
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心のこもった温かく素晴らしい絵を描いてくださったのは、優しい天才イラストレーター、嶽(だけ)まいこ さんです
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嶽 まいこ / Maiko Dake (dakemaiko.com)
嶽 まいこ / Maiko Dake (@mk_dake) / X (twitter.com)
閉じ込み付録「絵本のたのしみ作者のことば」には、
「ワクワク クックク レストラン」と題して、
この絵本が生まれるもととなった、こどもの頃の思い出を書いております
プロフィール絵は、わたし作・ぶたさんシェフです
どうぞよろしくお願いいたします(=^・・^=)
閉じ込み付録の「おたよりのへや」では、読者の方から『ひゃくえんだま どこへゆく?』の感想をいただいております。
どうもありがとうございます
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