穀雨April
聖子さんの、「青い珊瑚礁」。華奢な体から、パワフルヴォイス
三遊亭圓生の、「真景累ヶ淵、宗悦殺し」。
三遊亭圓朝21歳のときの作という。三遊亭圓朝 - Wikipedia
旗本の深見新左衛門(しんざえもん)が、貸した金の集金に来た按摩の宗悦の口のききかたが無礼だと斬り殺したあとで流しの按摩を呼ぶと、それは宗悦の幽霊であった。
新左衛門は、女中に手を出し子が出来ると、妻と息子を邪険にした。息子新五郎は家出。新左衛門は妻を斬り、乱心したとなって殺された。
新左衛門の息子は家出し、質屋へ奉公、その店の女中のおそのに惚れた。しかしおそのは新五郎の顔を見るだけでゾッとする。実はこのおその、宗悦の次女であった。父を殺した男の息子である新五郎に、看病してやったじゃないかと迫られても拒否し続けていたおその、おそのを思い切れない新五郎が倉庫で無理やり襲おうとすると、その藁の下の藁切りでおそのが死去。自棄になった新五郎、店から百両と大小の刀を盗み、仙台の剣術の先生を頼って逃走。その剣術の先生が死にあてをなくしたところで先生の娘の荒物屋に偶然入る。それは警察か、という目を恐れて隠れたのであった。その娘の夫は警察官、指名手配されていた新五郎は、その女性の夫への通報によってお縄。
そのおそのの姉の豊志賀は、富本の師匠で人気があった。男嫌いということだったが、それゆえ男の生徒が来て人気に。
豊志賀は、旦那を持つより今のままのほうがいいとなり、独身で39歳。しかし出入りの新吉という21歳の煙草屋の小間使いと男女の仲になり、新吉は豊志賀の家に居候となった。とたんに生徒が潮を引くように次々辞めた。
しかしおひさという18歳の女性は辞めない。というのも、おひさの母は継母ゆえ、家に帰るといじめられるのだった。
しかし、新吉よおひさの仲を疑った豊志賀はおひさをいじめる。
そんななか、豊志賀の顔に大きな紫色の腫物ができ、豊志賀は「こんな顔のあたしなんか」と卑屈になり、新吉もうんざり。
ある日新吉がおひさに町中で偶然会い、寿司屋に誘う。するとそれは、豊志賀の幽霊だった。
驚いて煙草屋のおじの所へ逃げ帰ると、「豊志賀さんが来てるよ」と言う。
駕籠に乗せて帰宅させようとしていると、長屋の住人から豊志賀の死の知らせ。
駕籠に乗ったのは、豊志賀の幽霊だった。
豊志賀の家に行くと、豊志賀は剃刀で首を掻っ切り、苦しいのか水を飲もうとしたらしく、台所で息絶え、血の海。
布団の下には遺書。
そこには、「新吉はあたしが面倒を見てやったのに裏切って憎い。新吉の女房は七人まで殺してやる」とあった。
新吉が豊志賀の墓参りに行くと、そこにおひさ(お久)がいた。
行く場のない二人は、お久のおじを頼るべく、下総へ行こうとなった。
夫婦になった二人。
その後お久に憑りついた豊志賀の幽霊。
怖くなった新吉は、近くにあった鎌でお久を殺してしまう。
その現場を見られていた、その村の悪者じんぞうの所へ雨宿りをすることになった新吉は、じんぞうと兄弟の契りを交わし、一緒に暮らすことになった。
お久のおばにあたるお累が、お久の墓参りに来た新吉に一目惚れ。
お累は嫌いな蛇の出現で気が動転、顔の半分に火傷を負う。
新吉はお累のおじの質屋に養子に入ることになった。
婚礼の日、初めてその火傷を見た新吉は豊志賀の呪いかとゾッとする。
その日も蛇が出る。
蛇は、じんぞうが売った、お久が殺された鎌で二つに切れる。しかし頭が動いてお累の布団の中へ。
驚いて新吉に抱きつくお累。
お累はその一夜で妊娠。
新吉がおじの勘蔵の臨終に行くと、勘蔵は遺言として「新吉は深見新左衛門の次男で、自分は深見の門番だった」と告げる。
その後自分の兄は女殺害の咎で処刑されていたと知る。その、兄を裁判にかけたのが、新吉の現在の義理の兄だった。
お累が生んだ子が男の子で、勘蔵が話していた、又夢で見た新吉の兄にそっくりだった。
豊志賀というのは、新吉の父が殺した按摩の宗悦の次女。
新吉の兄は宗悦の長女に惚れて振られて死なせてしまったのだから、因縁も因縁。息苦しいほどである。
新吉は、江戸で知り合いだった女に呼ばれ、その女の亭主となっている名主の家へ行く。
お累は家族より新吉を選び、お累、新吉、赤ん坊はお累の兄の家を出る。
新吉に仕事はなく、博打をしては物を質に入れる生活。
お累が病気になっても、新吉は改心しない。
夏で蚊帳もなく、お累と赤ん坊が蚊に食われると、離縁した兄が蚊帳を持ってくると、新吉はそれさえ持っていこうとする。
その新吉に、坊が蚊に食われますからと取りすがると、新吉は薬缶の熱湯をかけ、赤ん坊は死んでしまう。
新吉が名主の女との家で寝ていると、大雨の中お累が死んだ赤ん坊を抱いてきた、と思ったがそれはお累の幽霊、家に戻るとお累は、新吉がお久を殺したあの鎌で喉笛を掻っ切って自害していたのであった。
新吉は名主の女おしずと名主を殺したがそれがじんぞうにバレ、じんぞうを殺したはずだったが彼は生き残っていて新吉とおしずを殺しにきた。
しかしそのじんぞうが射殺される。
圓生の動画はここまでしかないようだった。
ここまでで既に八時間半超。
お話はいよいよクライマックスという様相(笑)。
★累ヶ淵(かさねがふち)は、茨城県常総市羽生町の法蔵寺裏手辺りの鬼怒川沿岸の地名。江戸時代、この地を舞台とした累(るい、かさね)という女性の怨霊とその除霊をめぐる物語は広く流布した。
この物語を題材にとり、四代目鶴屋南北作の『色彩間苅豆』(いろもようちょっとかりまめ)をはじめとした累物(かさねもの)と呼ばれる一群の歌舞伎作品がうまれたほか、三遊亭円朝は怪談噺『真景累ヶ淵』を作り上げた。★
★累 『絵本百物語』竹原春泉画★
新吉が冷酷過ぎ、辛いと思った。しかし、とにかく怪談なのだ。その冷酷さも含めてゾッとした。引きずり込まれて戻れなくなりそうな感じが、怖いと思った。長過ぎ、決して断ち切れないどこまでも沼る因縁が怪談(笑)。
箱根駅伝のように、登場人物が襷を渡すように交替してゆく。
因縁が過ぎ、繋がりが過ぎるが、しかし江戸時代の日本の人口は今の東京の人口と同じくらいと聞いたことがある。ある区を中心にした現在の都内の話と考えるとあり得るかも、と思った。
お知らせ
わたしが文を書きました、福音館書店こどものとも 5月号の
「ステッドのホテル STED , A KANGAROO HOTELIER」、発売中です
絵本をお手にされた方は、見るとハッピーになる嶽(だけ)まいこさんの絵を、どうぞ隅々までお楽しみになってくださいませ
カンガルーのステッドは、丘の上の小さなホテルで働いています。ホテルの仕事は、毎日がハプニングの連続。今日も、屋上で干していたシーツが風に飛ばされそうになったり、夕食の時間に停電になってしまったり……。次々と起こるトラブルをステッドが華麗に解決していきます。なんでもこなせるステッドの仕事ぶりを軽快に描きます。
![](https://www.fukuinkan.co.jp/img/goods_img/03-0818_01.jpg)
![](https://www.kinokuniya.co.jp/images/goods/ar2/web/magazine/4910037790545.jpg)
ステッドのホテル (こどものとも2024年5月号) | くら ささら, 嶽 まいこ |本 | 通販 | Amazon
絵本を手に取られた方は、嶽(だけ)まいこさんのレンブラントのような光と影の表現を、どうぞご堪能なさってくださいませ
嶽 まいこ / Maiko Dake (dakemaiko.com)
嶽 まいこ/ Maiko Dake (@mk_dake) / X (twitter.com)
「クックククックレストラン」こどものとも年中向きも引き続き発売中です
家族みんなでレストランに来ました。注文したのは、ハンバーグ、ナポリタン、ミックスピザに、特製デザート! クックククック、さあ作ろう! シェフたちが自慢の腕をふるって、ごちそうを作ります。つぎつぎと料理ができあがっていく過程を、弾むような言葉と踊るような絵で、美味しく楽しく描いた作品です。
【4~5才向け】こどものとも年中向き|月刊誌のご案内|福音館書店 (fukuinkan.co.jp)
福音館書店(ふくいんかんしょてん) (fukuinkan.co.jp)
心のこもった温かく素晴らしい絵を描いてくださったのは、優しい天才イラストレーター、嶽(だけ)まいこ さんです
お手にされた方は、嶽さんが描くおいしそう過ぎる絵を、どうぞ隅々までお楽しみになってくださいませ
嶽 まいこ / Maiko Dake (dakemaiko.com)
嶽 まいこ / Maiko Dake (@mk_dake) / X (twitter.com)
閉じ込み付録「絵本のたのしみ作者のことば」には、
「ワクワク クックク レストラン」と題して、
この絵本が生まれるもととなった、こどもの頃の思い出を書いております
プロフィール絵は、わたし作・ぶたさんシェフです
どうぞよろしくお願いいたします(=^・・^=)
閉じ込み付録の「おたよりのへや」では、読者の方から『ひゃくえんだま どこへゆく?』の感想をいただいております。
どうもありがとうございます
ひゃくえんだま どこへゆく?|福音館書店 (fukuinkan.co.jp)
福音館書店こどものとも
7月号
「ジッタとゼンスケ ふたりたび」
発売中です
![](https://www.kinokuniya.co.jp/images/parts/goods-list/no-phooto.jpg)
ジッタとゼンスケ ふたりたび (こどものとも2023年7月号) |くら ささら, くりはら たかし |本 |通販 |アマゾン
オオカミの兄弟、ジッタとゼンスケは、大仏さまをおがむために、はるばる都にやってきました。その道中で、ふたりは氷をキツネのお殿様に届ける仕事を任されることに。しかし、行く先々には数々の困難がふたりを待ち構えていました。果たしてふたりは、氷が溶けないうちにお城にたどりつけるのでしょうか? 新感覚時代劇絵本。
![](https://www.fukuinkan.co.jp/img/goods_img/03-0808_01.jpg)
【5~6才向け】こどものとも|月刊誌のご案内|福音館書店 (fukuinkan.co.jp)
「ひゃくえんだまどこへゆく?」コインの世界一周の旅発売中です
男の子がジュースを買おうと、100円玉を自動販売機に入れようとしたその瞬間......。100円玉がおっこちた! 100円玉は、ころころころころ、坂を転がって、トラックに運ばれたり、空を飛んだり、海に落ちたり。しまいには南極にたどり着いたり......! いったいどこまで行ってしまうのでしょうか? 小さな100円玉の壮大な冒険を描いた絵本です。
![](https://www.fukuinkan.co.jp/img/goods_img/04-0443_01.jpg)
くらささら名義の他作品🐪「ひみつのえんそくきんいろのさばく」🐪
![](https://www.fukuinkan.co.jp/img/goods_img/03-0797_01.jpg)
ひみつのえんそく きんいろのさばく (こどものとも2022年8月号) |くら ささら, 木内 達朗 |本 |通販 |アマゾン
以下、九螺ささら名義の著書です