『宿なしハックの冒険 The Adventure of Huckleberry Finn』1939年
束縛を嫌い自由を好むハックルベリー・フィンの、奴隷ジムとの友情物語。
ハックの父は死んだとなっていたが、ハックはそれを信じていない。（「酔っ払いはうつ伏せor.仰向けに溺死しない」というジャッジから。ハックの父は始終飲んだくれていた。）
ハックは孤児ということで〇〇夫人（未亡人）とその妹の家に住んでいるのだが、ハックは勝手に学校をサボってしまう。ハックは煙草を吸い、裸足で歩き、嘘をつき、釣りをしている。よって学校の先生から「哀れなハック。みんなはハックを反面教師にしなさい」と言われている。
学校をサボって帰宅したハックは、「黒板の文字を消すためにこんなに遅くなった」と言うが、〇〇夫人は、「黒板三つを消すのに6時間もかかったの？」と既にお見通し。
〇〇夫人の家で奴隷として働いているのが黒人のジム。
ハックは「奴隷解放論者じゃない」と何度か言うが、それは奴隷解放を許さない南部の人たち（奴隷たちの労働なしでは広大なプランテーション経営が成り立たない）が流した、奴隷解放論者のデマの悪評を信じていたからだった。
ジムとハックは年が離れているが、気が合う親友。ジムには妻子がいて、そこに帰りたい、自由州（黒人が奴隷にされないところ）に行きたい、と言う。
しかし、ここでは逃亡奴隷は処刑され、奴隷を逃がしたらそれも罪。
ハックの予想通りハックの父は生きていて、〇〇夫人の家のハックの部屋に窓から侵入してくる。
そこに〇〇夫人とその妹が現れると、ハックの父は「800ドルくれたらハックをやる」と言う。
〇〇夫人とその妹は、「用意します」と言う。
父がいなくなると、ハックは「僕には800ドルの価値なんてありません」と言う。
（ハックにおやすみのキスをする〇〇夫人。〇〇夫人とその妹は、ハックを実の息子のように愛している。）
ハックの父はハックを川べりの自分の粗末な小屋に連れ去った。
そしてハックをこき使う。
ハックは、父がハックを閉じ込めて外出した際に逃げ、そしてこれ以上父に付きまとわれないよう、自分が死んだように見せかけた（銃を自分の帽子に発砲し、物を盗み、裏から逃げ、裏の戸をきちんと締め、表の戸の鍵を石で壊し、強盗殺人に見せかけた（自分の死体が川に引きずっていかれ川に捨てられたと思わせるようにした。））
ここで、ジムとハックがいなくなったことから、〇〇夫人とその妹が通報、ジムはハックを殺した殺人犯として指名手配される。「ジムを見つけた人に1000ドル」という懸賞金広告が貼り出される。
その広告を見た、新聞広告を見て故人の兄を装い遺産を盗るために蒸気船に乗り、そこで掏摸に失敗してミシシッピ川に落とされた北部のインチキ二人組（ハックとジムが逃げていた筏で助けた）が、ジムを付き出し1000ドルを貰おうとした。
（ハックとインチキ二人組）
インチキ二人組の陰謀を知ったハックとジムが逃げていると、ハックがガラガラヘビに噛まれた。
ジムはナイフと布で応急処置をしてからハックを抱き上げ、医者に連れていこうとする。「そんなことをしたらジムが捕まっちゃう」と言うハックの言葉を、ジムは聞かない。
この間にハックは気を失う。
指名手配されていたジムは牢屋に入れられる（有無を言わさずジムを連行したのだろう。ハックはこの土地（インチキ二人組が遺産を狙った家がある所）ではインチキ二人組と共に、別名を名乗っていた）。
その後ハックを保護した、インチキ二人組に騙されていた故人の娘は、ベッドの上のハックを気遣い町での情報を伏せる。
しかし、ジムが自分殺しのために処刑されようとしていると知ったハックは窓から家を抜け出し、嵐の中を走る。
保安官が見つけて止めるが、ハックはきかず、保安官は蒸気船の船長にハックをお願いする。
その船長は、リンカーンの友人で、奴隷解放運動をしている白人の一人。
蒸気船でジムのいるところについたハックは、走って「僕はハックだ。生きている。ジムは僕を殺してなんかいない」とジムの無実を証明する。
インチキ二人組も罰せられ、〇〇夫人にジムの解放と引き換えに学校に行くことを誓うハック。
ジムが妻子のところへ行く蒸気船を見送ったハックが、実はまだポケットに煙草があり、足元は靴を脱いでいた、というシーンで、ジエンド。
ジムは最初、放棄された屋形船の中で見つけた死体がハックの父だったとハックに言わない。
それは、ハックの父が死んでいると、ハックは逃げずに済み、ジムを〇〇夫人の所へ返すつもり（ジムにとって元の木阿弥になる）だったから（ハックの中には、その地域での常識が入っていて、奴隷は所有されるのが当たり前、奴隷が主人のところから逃げるのは良くないこと、と思い込んでいた。しかしその後様々な人と会ったことで、色々な、育った環境で植え付けられた偏見が削ぎ落とされ、最後には〇〇夫人に面と向かって「人が人を所有してはいけない、人には人権というものがある」と言う）。
原作者マーク・トウェインの実体験、または実体験の延長的想像なのだろう、『トム・ソーヤの冒険』同様、強烈で鮮烈なエピソードがある。
『トム・ソーヤの冒険』では、夜の墓場で殺人事件を目撃（真犯人は真犯人と自分たちしか知らない）、自分たちの葬式に出席、そして二人の女の子との婚約（キスのこと（笑））。
この映画『ハックルベリー・フィンの冒険』では、黒人奴隷に対する、加害者的立場からの覚醒、父からのDV、父の死、自分の死の偽装、奴隷であった親友ジムの解放、その為の自己革命。
この映画は川沿い『ロビンソン・クルーソー』にも見えた。
『スタンド・バイ・ミー』は、トムやハックの状況から、社会問題というものを抜いた少年友情映画なのだろうと思った。
蒸気船というのは、ミシシッピ川沿いに住む人たちにとって、非常に頼もしい、希望の象徴のような乗り物だったのだろう。
★Wikipediaより★
『ハックルベリー・フィンの冒険』は、マーク・トウェイン
の1884年の同名小説を1939年にメトロ・ゴールドウィン・メイヤーが映画化したもので、ミッキー・ルーニーがタイトルロールを演じています。脇役にはウォルター・コノリー、ウィリアム・フローリー、レックス・イングラムが名を連ねています。1960年にMGMによってリメイクされました。ミュージカル版は1974年にリリースされました。
プロット
1840年代のミズーリ州セントピーターズバーグの教室で、学校の先生が生徒たちに、彼女が「とても不幸な少年」と呼ぶハックルベリー・フィンと付き合うことについて警告する。放課後、ベン、ジョー、サム、ハリー、エリオットは、釣り場でリラックスしてのんびりとハックを見つけます。少年たちは、教師がハックの後見人であるダグラス未亡人を訪ねて、ハックが出席率が低いために昇進しないことを告げる予定だと警告する。少年の一人は、ハックが逃げ出してパパと一緒に暮らすべきだと提案するが、ハックはその考えを拒否する。男の子たちは、ハックがトウモロコシの穂軸パイプを吹くのをうらやましそうに見つめています。エリオットはハックを説得し、タバコを吸わせようとするが、何度か匂いを嗅いだ後、ハックは体調を崩してしまう。親切な未亡人は、ハックに昇進のプレゼントとして新しいナイフを渡し、ハックは罪悪感を抱く。夕食後、ハックは未亡人の奴隷でハックの友人であるジムと会い、今は遠く離れたイリノイ州にいる妻との再会を切望している。ハックは、未亡人の厳格な妹であるミス・ワトソンが聖書の朗読のために彼を呼ぶまで、密かにパイプを吸っていました。ハックは燃え続けるパイプをポケットに隠そうとするが、ジャケットに火がついたことで欺瞞が明らかになる。未亡人はハックを脇に連れて行き、ハックがベッドに引っ込むまで彼の説明を同情的に聞きます。しかし、ハックの寝室で待っているのは、ハックの親権を保持するために未亡人に800ドルを支払わせることを計画している、彼の凶暴で絶望的な父親です。その直後、ハックは町を離れようとするが、パパに捕らえられ、みすぼらしい小屋に監禁されてしまう。パパが外出すると、ハックは自ら殺害し、スキフでジャクソン島に逃げる。そこで彼は、未亡人が800ドルを稼ぐために自分を売ることについて話しているのを耳にしたため、未亡人の家から逃げ出したジムに会い、驚く。ハックは少女に変装して町に行き、ジムがハック殺害の容疑をかけられ、自警団が彼を追跡しようとしていることを知る。ハックとジムは川をラフティングで下り、放棄された屋形船に遭遇し、ジムはハックのパパの死体を見つけます。ジムは発見を秘密にしておくことにした。彼らは、ジムが安全に過ごせる自由州であるイリノイ州カイロに進路を定めました。途中、ハックとジムは川船から投げ出された2人の男、ビルジウォーター公爵とフランスの正当な王ルイ17世を名乗る2人の男を助けます。彼らは実際には運の悪い俳優であり詐欺師であり、ジムの説明と一致する脱走奴隷に1000ドルの報酬を約束する通知を見つけると機会を見ます。シェイクスピアの「ロミオとジュリエット」の残虐なパフォーマンス(ハックがジュリエットを演じた)が観客の怒りを買った後、ハック、公爵、ドーファンは劇場から逃げ出し、いかだに乗ってジムと合流する。次の町に移動した公爵とドーファンは、長い間行方不明だった叔父のふりをして、遺族の若い女性スーザンとメアリー・ジェーン・ウィルクスを騙し取る計画にハックの協力を求めます。故人の親友であるブランディ大尉は、すぐに仮面舞踏会を見抜くが、無邪気なスーザンとメアリー・ジェーンは、男たちが詐欺師であるとは信じない。ブランディ船長はハックと取引をし、ハックが計画を暴露するのを手伝ってくれるなら、ブランディ船長はジムとハックを蒸気船で自由の身に連れて行く。公爵とドーフィンはジムを保安官に通報してハックに復讐しようとする。ジムはついにハックに、屋形船に乗った死んだ男がハックのパパだったことを告白し、ハックに衝撃と激怒を与える。しかし、ジムを捕まえようと躍起になっている法執行官が現れると、2人は和解を余儀なくされる。ちょうど同じようにハックとジムはきれいに逃走するように見えますが、ハックはガラガラヘビに噛まれ、ジムはハックを医者に連れて行くために捕まる危険を冒します。ハックがウィルクスの家で回復する一方で、ブランディ大尉は殺人罪で裁判を受けるためにジムをサンクトペテルブルクに送り返すことを余儀なくされる。ジムの事情を知ったハックは、ブランディ船長に蒸気船で家に連れて帰ってほしいと頼む。洪水と荒れた海が旅を危険にしますが、ボートは間一髪で到着し、ハックはリンチパーティーからジムを救います。また、ハックは未亡人を説得し、ジムを釈放する。彼女は同意するが、ハックが学校に通い、靴を履き、タバコをやめると約束した場合に限る。ハックは黙認し、しぶしぶトウモロコシの穂軸パイプをブランディ大尉に手渡す。しかし翌日、ウィドウとハックがジムが自由を求めて旅立つのを見ていると、ハックが靴をドックに置き忘れ、後ろのポケットにトウモロコシの穂軸を忍ばせていることが明らかになる。
キャスト
- ミッキー・ルーニー(ハックルベリー・フィン役
- ウォルター・コノリー(「王様」役)
- ウィリアム・フローリー(「公爵」役)
- レックス・イングラム(ジム役
- リン・カーヴァー - メリー・ジェーン
- ジョー・アン・セイヤーズ(スーザン役
- マイナー・ワトソン(ブランディ大尉役
- エリザベス・リスドン(未亡人ダグラス役
- ヴィクター・キリアン("Pap" Finn)
- クララ・ブランディック(ミス・ワトソン役
- ハリー・コーディング - スイカを盗む男 (クレジットなし)
- フランク・ダリエン(Old Jailer)(クレジットなし)★