ノイシュタット在住のエーミールが、理髪店を営む忙しいお母さんから（エーミールは一人っ子らしい。お父さんはいないらしい）から「ベルリンのお婆ちゃんにこれを届けて」と預かった仕送りの140マルクを、電車で同じコンパートメントに乗り合わせた、実は銀行強盗の前科のある男に薬を食べさせられて眠っているうちに盗られ、ベルリンで知り合ったホーンという名の男の子が引き連れてきてくれた仲間と共に、取り返し、お婆ちゃんに渡し、その犯人には懸賞金が掛かっていたためエーミールは1000マルクをもらうことになり新聞にも載り一躍有名人となり、故郷に飛行機で凱旋したが、エーミールは新たにできた仲間のことも大事にし、その仲間との関係が続きそうだという感じが仄めかされてジエンドという話。
冒頭、エーミールはノイシュタットで仲間二人と悪戯をしている。マスクを着け、銅像に帽子や付け髭をくっつけ、この辺りの見回りの警官そっくりにして隠れている。それを見つけた警官は、（これ、自分？）となり、からかわれた個人的怒りと公務両方から三人を追いかける。エーミールは、地元では知られた悪戯っ子なのだ。これはノイシュタット出身の原作者ケストナーの少年時代そのものだったりするのかなと思った。原作者のフルネームはエーリッヒ・ケストナー。お父さんの名はエミール・ケストナー。エーミールはお父さんの名から取っているのかなと思った。母が理容師だというところは、原作者と一緒。
エーリッヒ・ケストナー - Wikipedia 地元警官とエーミール。
お母さんから140マルク渡された、エーミール。
乗客は途中駅で下車、エーミールと「犯人」だけになる。
ベルリンのキオスクで会った、ホーンをポケットに入れて何かと鳴らしている（笑）、自称ホーンという子。
参謀本部で連絡を取る、「火曜日」と犬。合言葉は「エーミール」。
途中で寝落ちするのだが、それを知らないエーミールのいとこの女の子に「火曜日が一番頑張った。だって一晩中電話番してたんだから」と褒められ、花輪（or.草輪）を掛けられる。
男が乗ったタクシーを追う、少年探偵団。
メーターを見ながら、「お金が足りない」となる教授。こどもたちは最初にカンパをし、活動資金を作った。
少年探偵団が男を尾行（笑）。
男が銀行に入ったところで「それは僕のお金です！」とエーミール。「証拠があるのか？」と嗤う男に、「僕はお金を内ボケットにピンで留めていたので穴があるはずです」。銀行員が見ると、本当に穴がある。「このお札にもあるはず」と男から札を取って渡すと穴があり、男はマズイとなって逃げようとする。すると銀行員が「強盗」のブザーを押す。男が銀行から逃げようとすると、外にはエーミールの仲間（少年探偵団）が待ち構え、男を止めてお縄。
エーミールが飛行機で凱旋したあと、エーミールのいとこの女の子から花輪（or.草輪）を掛けられる、火曜日。
左がエーミール。後ろがお婆ちゃん。前真ん中が、エーミールのいとこで、この子がお婆ちゃんと一緒にエーミールを待っている。この女の子を好きな男の子が少年探偵団の中に現れ、この子を好きだったエーミールと三角関係になる、というラスト。いとこの女の子は「二人でケンカして、私の気持ちはどうでもいいの？」。二人が「どっちが好きなんだ」と訊くと、「10年後になったら分かるかも」。
とにかくこの、山高帽をかぶったチャップリンのような犯人が重要。この犯人が、即ちストーリーラインを歩いて作る。犯人はホテルに泊まった際、この帽子に盗んだお金を隠している。エーミールがボーイに扮装して犯人の財布を取って来ても、その中にはお札はない。エーミールは、汽車の中でお菓子に混ぜた眠り薬を食べさせられ、寝ている間に金を盗られたのだった。だからエーミールは、犯人のジャケットからお菓子の袋を見つけ、その中のものを、犯人が飲むコーヒーに入れる。しかし「水だけ置いてけ」（犯人は基本横暴・常に圧がある）と言われ、エーミールは犯人の目を盗み、水にその固形物を入れるのだ。しかしそのコップを口にした犯人は、それをうがいにしか使わない、というオチのシーンがスリリングで面白かった。
ノイシュタット
ベルリン
ケストナーの『エーミールと探偵たち』の映画化。
エーミールと探偵たち - Wikipedia
（エーミール。ワルター・トリヤー絵）
（ワルター・トリヤーによる「よし、みんな！ ここにいるのがそのエーミールだ！」のシーン）
エーリッヒ・ケストナー - Wikipedia
こちらは江戸川乱歩原作の、『少年探偵団』の歌。ぼ、ぼ、ぼくらは少年探偵団。
BD7とは、「ボーイズ ディテクティブ7人」の頭文字なのだろう。
ケストナー作品の絵の多くは、同じ画家が描いているらしい。
★ケストナー作品の挿絵は「エーミールと探偵たち」執筆と相前後して知り合った画家 ・イラストレーター のヴァルター・トリアー (de:Walter Trier 1890-1951) が多く手がけ、その関係はトリーアの死去まで続いた。★
（Walter Trier, einen Bleistift spitzend）
『少年探偵団 Emil und die Detektive』1931年
