映画の小部屋『オリヴァ・ツイスト Oliver Twist』1948年☆☆☆☆☆

『オリヴァ・ツイスト Oliver Twist』1948年

Oliver Twist 1948

19世紀初頭のロンドン。

オリヴァ・ツイストと名付けられた孤児の、数奇な運命。

オリヴァは、実はその地区の地主の伯爵の孫だった。

しかしオリヴァの母はどういう事情かその伯爵の家にはおらず、映画冒頭ではロンドン郊外の嵐の中を一人でさまよっている。

そして救貧院にたどり着き、そこでオリヴァを出産して間もなく死去。

オリヴァ・ツイストという名は、ここの救貧院の役人バンブルによってつけられた。

（救貧院の役人バンブル（妻と共謀してオリヴァの件で利を得ようとしたりなど、あくどい）と、オリヴァ）

（救貧院の人たちは、過酷な労働をさせられ、それを役人たちに吸い取られている。イギリスの産業革命も、このような構造で「成し遂げられた」のだろうと思った。）

救貧院の子同士のクジでハズレを引いたオリヴァ、子たちの願望である、

しかし禁じられているお代わりを係の大人に申し出る。

すると間もなく、罰、見せしめ、又は養っていけないということで、オリヴァは５ポンドで売りに出される。

そのオリヴァを買ったのが、棺屋。

（犬と同じ物をやれを言われ、もらった物を必死で食べるオリヴァ。何か雇い主にとって都合の悪いことをすると、「肉を食べさせたからだ。炭小屋に入れてお仕置きだ」となる）

オリヴァはそこのボスにいじめられ、正当防衛で向かうと、罪人扱いされた。

よってオリヴァはそこを逃げ出しロンドンへ。

人口の多いロンドンでは、オリヴァは人の中に紛れ、連れ戻されることはなくなった。

しかしどう生活していけば？

そこへ声を掛けてくれたのが、ドジャー↓という窃盗団の男の子。

「お前食うもんとかあんのか？」とドジャー。「ない」と言うと、「来いよ」。

オリヴァがその隠れ家に行くと、↓そこの親分フェイギンが盗みを教えてくれる。

オリヴァの母は胸にロケットペンダントをかけていた。

それは金だったため、救貧院にいた老婆が盗った。

しかしその老婆が、死ぬ前にそのペンダントの由来を、オリヴァの関係者に言って死去。

オリヴァは、兄貴分の仕事を見学に行く。

すると兄貴分二人は、実はオリヴァの祖父である伯爵から盗み、逃げようとした。

しかし見つかり、伯爵のお付きの者が「待てー」となる。

兄貴分が逃げ、オリヴァも逃げた。しかし巧者である兄貴分二人は追っ手を撒き、追っ手はオリヴァだけを追った。

追いつめられたオリヴァを見た被害者の伯爵、「可哀そうだ」と言うが、追っ手たちの興奮は冷めない。

（真ん中がオリヴァ、その右の白髪の男性が、実はオリヴァの祖父である、子供窃盗団の掏摸の被害者の伯爵）

裁判となった。

被害者である伯爵は、「そこまでしなくても」と既にオリヴァの味方なのだが、そうはいかない、となり、オリヴァは責め立てられ、気を失って倒れる。

オリヴァが目覚めたのは、その被害者である伯爵の家。

家には、観客だけに分かることだが、あのペンダントの中の絵と同じ肖像画がある。

「あの人、綺麗ですね」とオリヴァが言うと、「私の娘だ」と伯爵。

窃盗団の中でただ一人女性であるナンシーは、今オリヴァは10歳（窃盗団に入った時は9歳）だが、それより前からこの窃盗団で働き、生きてきた。

ナンシーは、オリヴァの祖父が出した広告に応じてこの祖父に会い、オリヴァの情報を伝えた。（いくつかのことから、伯爵は、あの子が、死んだ娘が生んでいた自分の孫なのだと分かる。）

しかしそのために殺されてしまうことになる。

（ナンシー）

（サイクスとナンシー。ナンシーはサイクスの女なのだが、サイクスに殴られ死去）

窃盗団は、食べていかねばならぬある種の子供たちを救ってきたとも言えるのだ。

しかし、「ここ」で親分に褒められることは、即ち「ここ」以外では犯罪。この構造のジレンマに苦しむのが、「ここ」で優秀な業績を上げてきた、ドジャー。

結局最後には、このドジャーが、フェイギンの隠れ家から「ここだー」と声を出し、犬に（笑）連れられてきた正義の人たちを呼び、この隠れ家が一般に開かれ、煙突まで追い詰められていたオリヴァだったが、

警官の銃でそのラスボスサイクスが撃たれ死去。

オリヴァはおじいちゃんの家に行き、気を失っていた際に面倒を見てくれたメイドの女性に「おかあさーん」と言うかのように抱きつき、

三人で家に入っていくのだった、でジエンド。

『アニー』にも『レ・ミゼラブル』にも似ていると思った。

『オペラ座の怪人』のムードも感じた。

子役で頑張っている子たちは、男の子ならこの『オリヴァ・ツイスト』、女の子なら『アニー』を演じたかっただろうと思った。

『アニー』も『オリヴァ・ツイスト』も、「子供フランス革命」というような、大人＝社会の不正への清い正義がある。

オリヴァ・ツイストとは、いわば社会の界面活性剤。

彼が汚れと一旦馴染むことで汚れが浮き上がり、そこを正義が一網打尽にするという構造。

という意味では、オリヴァ・ツイストは月光仮面なのかもしれないと思った。月光仮面 - Wikipedia

オリヴァ、逃げろ。

BBCの『オリヴァ・ツイスト』。

とにかく救貧院の給食での「お代わり」シーンが、象徴的な革命エピソード（誰も、それを申し出てみようとすら思わずに来た、ある場所での敗北的慣例の突破）なのだなと思う。「お代わりを申し出てみること」をするのがハズレクジを引いた者、引いたオリヴァがビクッとなっていたことからも、それがどれだけ勇気の要る行為かが窺えた。

孤児とは当時たくさんいて、そのサバイバルが大変な子たちを、物語の中で生き生きと生かしてあげていることに感動した。

フェイギンの特殊メイク中。

フェイギン役の、アレック・ギネス。

★Wikipediaより★

『オリヴァ・ツイスト』（原題: Oliver Twist）は、デヴィッド・リーン監督、脚本による

1948年のイギリスの映画で、

チャールズ・ディケンズ

による同名の小説を原作としている。

日本語題では『放浪の孤児』という別題があり、また、DVDは『オリバー・ツイスト』の題で発売された。

ストーリー

詳細は「オリバー・ツイスト#あらすじ」を参照

キャスト

※括弧内は日本語吹替（初回放送1964年2月23日 NHK『劇映画』）

• フェイギン：アレック・ギネス（巌金四郎）
• サイクス：ロバート・ニュートン（池田忠夫）
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• オリバー・ツイスト：ジョン・ハワード・デイヴィス（山本嘉子）
• ナンシー：ケイ・ウォルシュ（関弘子）
• ブラウンロー：ヘンリー・スティーブンソン（加藤忠）
• アートフル・ドジャー：アンソニー・ニューリー
• シャーロット：ダイアナ・ドース
• モンクス：ラルフ・トルーマン（森塚敏）★