『ママの想い出 I REMEMBER MAMA』1948年
『賢者の贈り物』の家族版だと思った。
土曜日になるとお金の計算をするお母さん。
お父さんは大工。
家は貧しい。
この家のお母さんは、ノルウェーから、お母さんの姉のいるサンフランシスコに夫婦でやって来て、そこで四人の子供に恵まれた。
視点人物は、一家の長女のカトリン。
このカトリンは作家志望。
というのも、この家に、役者崩れの男性が間借りしていて、彼がたくさん本を持っていて、ディケンズなどを朗読してくれ、それで文学の虜になったからだった。
(コナン・ドイルの本の朗読)
この男性は、ある日家から逃げる。
小切手を残していったのだが、この男性には銀行口座がなかったことが判明。つまりそれは、ただの紙切れ。
お母さんの姉は「ほらごらん、だから言っただろ?あの男は詐欺師だったんだ」。
しかしお母さんは怒らない。
「あの人はたくさんの本を残してくれた。それにあの人の朗読のお陰で子供はお話好きになり、そこから色々知識も得た」。
お母さんは、子どもの為に冒険をする。末っ子の娘が中耳炎で手術して入院した際は、その子との「目が覚めたときには必ずそばにいる」という約束を守るために、肉親でも面会謝絶のガードを破り、長女と組んで掃除婦のふりをして夜の病室に忍び込む。
また、お母さんのおじにあたる大声過ぎて横暴なクリスおじさんが死去した際は、そのクリスおじさんが家政婦だと言っていた実は妻を、親族に承認させるのだ。
(クリスおじさんと妻)
この女性のことを、親族の女性たちは嫌がっていた。しかしお母さんは、彼女のお陰でクリスが幸福な最後を迎えたことを言い、親族の一員にするのだ。
また、作家志望の長女が、10回出版社に送っても小説が不採用、「作家になれないなら大学に行く意味はない」と夢を諦めようとしたときは、新聞で記事を見た高名な女性作家に会いに行き、料理好きの彼女に料理のオリジナルレシピを教えることと引き換えに娘の小説を読んでもらいアドバイスを受け帰ってくる。
(高名な女性作家)
そのアドバイスとは、「これらの小説は良くない。なぜなら、誰かの小説で読んだことを書いているから。私も昔そうだった。でも、自分の住んでいる町を書き始めてから自分のものを書けるようになった。あなたも、自分のことを書きなさい。」。
長女のカトリンは、それに納得。しかし何を書けば?と戸惑う。
すると母は、「お父さんのことを書きなさい、ね、そうするのよ」と言い部屋を出た。
その母の後ろ姿を見たときに、カトリンには閃くものがあった。
シーン変わって、郵便配達人がカトリン宛ての速達を家に届ける。
封を開くと、「あなたの小説を買いました」というメッセージと小切手500ドル分。
やったー!と喜ぶ一家。
これでお母さんのコートが買える。でもそれでも余るよ。などときょうだいとお父さんは盛り上がる。
この500ドルを銀行に入れるとなって初めて、実はこの一家には銀行口座などなかったということが子どもたちに明らかにされる。
お母さんは、銀行に行ったこともなかった。
子供たちを不安にさせないように、「今回は家の小さな銀行(金庫代わりの箱のこと)で足りる。これで銀行に行かなくていい」と言っていたのだが、それは愛から出た嘘だったのだ。
カトリンと次女は、カトリンの卒業プレゼントの件で一回ケンカしたのだった。
お母さんは、カトリンの卒業プレゼントとして、自分の母からもらったブローチを上げるつもりだった。でもその話を次女から聞いたカトリンはガッカリ。なぜなら、カトリンはお化粧&ヘアアレンジセットが欲しかったから。
その話を次女から聞いたお母さん、自分のブローチを売って、カトリンのお化粧セットを買ってプレゼント。それを手に入れ得意気なカトリンに、次女は「自分勝手過ぎる」と真実を告げる。
それを聞いたカトリンは、塞いで卒業演劇のセリフをうまく言えなかった。
カトリンはその後お化粧セットを戻し、母のブローチを取り戻してくる。すると母は、そのブローチをカトリンの胸に付けてくれた……。
(左から、次女、お化粧セットを持った長女カトリン、長男)
雑誌に載る事になったカトリンの小説のタイトルは、「ママの想い出」。
それを聞いたお母さんは、「お父さんのことを書きなさいと言ったのに」。「書こうと思ったの。でも……。」
と言いさしてカトリンはその小説を読み始める。
「お母さんは、ノルウェーから姉のいるサンフランシスコの丘の上に夫婦でやって来ました……」
きょうだいは、自分の名が出ると目を輝かせる。
お父さんもうっとり聞く。
お母さんは恥ずかし気に、カーテンをめくり上げて外の景色を見ながら聞いている。
その外は、いつものように風が吹いているのだった、でジエンド。
映画の現場は、いつも風が吹いていた。
サンフランシスコは、そういう場なのだろう。
海からの勾配が急。そこを海風が駆け上がってくるのかと思った。
映画では、サンフランシスコはノルウェーに気候が似ている、と言っていた。
(サンフランシスコ)
(ノルウェー)
親思いの子供が四人で、その一人が作家志望という部分は、『若草物語』に似ていると思った。
末っ子の女の子が大事にしていた猫が、末っ子が中耳炎で入院中、他の猫とケンカして傷を負った。
お父さんは、「もう命は長くない。このまま生かすと可哀そうだから、クロロホルムを買って来て安楽死させてやろう」と言う。長男がクロロホルムを買ってきて嗅がせた後で、末っ子が退院してくる。
お父さんとお母さんが、末っ子に猫の死をどう伝えようか悩んでいると、末っ子が白い布に包まれた猫を抱いてくる。その尻尾は元気よさげに揺れている。お父さんが「クロロホルムでぐっすり眠ったのが良かったのか」と言って笑顔になる。このシーンが好きだった。
冒頭↓、もう作家としてやっていけそうな雰囲気のカトリンが観客と目を合わせて自作小説を読み出し、一家のそれまでが回想され、ラストはこの朗読している小説が採用されてカトリンがそれを家族に朗読するという、サンドイッチスタイル。
★Wikipediaより★
『アイ・リメンバー・ママ』は、ジョン・ヴァン・ドルーテンの舞台劇を原作としたデウィット・ボーディーンの脚本を
ジョージ・スティーヴンスが監督した
1948年のアメリカのドラマ映画です。一方、ドルーテンは、1943年にハーコート・ブレイス社から出版されたキャスリン・フォーブスの小説『ママの銀行口座』を原作としていた。この物語は、20世紀初頭のサンフランシスコのノルウェー人移民家族の日常生活と経済的苦闘を描いています。この映画では、
アイリーン・ダンが母親を演じ、
エレン・コービー、フィリップ・ドーンが出演しています。ホモルカは映画の中でクリスおじさんを演じているが、この役はブロードウェイのプロダクションで以前に演じていた。
この映画はアカデミー賞で主演男優賞と助演女優賞を含む5部門にノミネートされ、アイリーン・ダンが最後の主演女優賞にノミネートされました。(注3)
プロット
映画は、長女のカトリンが自伝的小説の最後の一行を完成させるところから始まります。彼女が家庭生活を回想する中、1910年へのフラッシュバックがあり、一連のビネットの最初のシーンでは、マルタ・ハンソンが夫のラース、娘のカトリン、クリスティン、ダグマー、そして高校に通いたいと告げる息子のネルスと一緒に毎週の予算を準備しているのがわかります。家族の一人一人が、少年の教育に貢献するために金銭的な犠牲を払っています。
そこへマルタの妹トリーナがやってきて、葬儀屋のピーター・ソーケルソンと結婚することを発表し、マルタに妹のシグリッドとジェニーに知らせるよう懇願する。マルタが恥ずかしい逸話を明かすと脅すと、女性たちは妹の決断を受け入れる。
ハンソン夫妻の貧しい下宿人であるジョナサン・ハイドが、家族のために『二都物語』を朗読すると、家族はその物語に深く感動する。その後、マルタのぶっきらぼうだが心優しいクリスおじさんと、密かに彼の妻である家政婦のジェシー・ブラウンが家族を訪ねてくる。ダグマーが乳様突起炎にかかっていることを知るクリスは、彼女を病院に連れて行くことを主張する。ダグマーの手術は成功するが、マルタは彼女に会うことを禁じられる。ハウスキーピングスタッフに変装した彼女は、ダグマーの病棟に忍び込み、そっと歌を歌う。
ダグマーが帰宅すると、飼い猫のエリザベスおじさんが外を徘徊しているときに傷つけられ、重傷を負ったことを知る。ダグマーは母親の治癒力を信じていたが、マルタは猫を救うことに無力感を感じ、安楽死させるためにネルスにクロロホルムを買わせる。翌朝、ダグマーが治ったと思われる猫を連れて入ってきて驚く。マルタが投与したクロロホルムの投与量は、猫を殺す代わりに、猫の回復を助けるために必要な深い睡眠を与えただけだった。
ハイド氏は突然、静かに引っ越し、古典的な本と数ヶ月分の家賃の小切手を残して引っ越します。多額の家賃の支払いを受けた家族の最初の喜びは、小切手に価値がないことに気づくとすぐに消えてしまいます。シグリッドとジェニーは激怒する。しかし、マルタは価値のない紙切れを破り捨てながら、ハイドの文学の贈り物はお金そのものよりもはるかに価値があると宣言します。
カトリンはクリスティーヌに、卒業祝いに憧れていたドレッサーセットを母親が買ってくれると自慢する。彼女がヴェネツィアの商人の学校の生産に実行するために去ろうとしているとき、カトリンは(憤慨したクリスティーヌから)彼女の母親が彼女の家宝のブローチを贈り物と交換したことを知ります。取り乱したカトリンは劇中での演技が悪く、後にドレッサーセットを交換した後、ブローチを取り戻します。その後、マルタは卒業プレゼントとしてブローチをカトリンに渡します。カトリンの父親は、大人になったら飲んでいいと言われていたコーヒーを彼女にプレゼントする。「大人」の飲み物を数口飲んだ後、カトリンは両親の仕草に感激し、急いで部屋を飛び出します。
マルタはクリスおじさんが死にかけていることを知り、カトリンを連れて別れを告げる。彼は、足や足に問題のある子供たちが再び歩けるようにするために収入を寄付しているため、姪を離れるお金がないことを明かしています。また、家政婦のジェシーと結婚していることも明かす。姪とジェシーと最後の一杯を楽しんだ後、クリスおじさんはベッドで安らかに息を引き取ります。
トリーナはハンソンのパーラーでピーター・ソーケルソンと結婚する。1年後、公園のベンチで赤ちゃんをベビーカーに乗せているのが目撃されています。
カトリンは10通目の文学辞退の手紙を受け取り、落胆する。その後、マルタは彼女の物語のいくつかを有名な作家で美食家のフローレンス・ダナ・ムーアヘッドに持って行き、彼女にそれらを読むように説得します。マルタは家に帰り、ムーアヘッドは娘が一番よく知っていることについて書くべきだと感じていると娘に忠告する。マルタはカトリンにパパのことを書くように促す。カトリンのストーリーが出版に受理されると、500ドル(2023年の16,000ドルに相当)が支払われます。マルタが欲しがる冬のコートの購入にお金の一部が使われると発表した後、カトリンは自分の物語のタイトルが「ママと病院」であることを告白します。彼女はそれを家族に読み聞かせ始め、物語の紹介は終わり、映画自体は「でも何よりもまず、ママのことを思い出す」というセリフで終わります。[4][5][6][7]
キャスト
- アイリーン・ダン(Marta 'Mama' Hanson)
- バーバラ・ベル・ゲデス - カトリン・ハンソン
- オスカー・ホモルカ(クリス・ハルヴォーセンおじさん役
- フィリップ・ドーン(Lars 'Papa' Hanson)
- スティーブ・ブラウン - ネルス・ハンソン
- ペギー・マッキンタイア - クリスティン・ハンソン
- ジューン・ヘディン:ダグマー・ハンソン
- セドリック・ハードウィック卿(ジョナサン・ハイド氏役
- エレン・コービー(トリーナおばさん役
- ホープ・ランディン(ジェニーおばさん役
- エディス・エヴァンソン(シグリッドおばさん役
- エドガー・バーゲン - ピーター・ソーケルソン
- フローレンス・ベイツ:フローレンス・ダナ・ムーアヘッド
- バーバラ・オニール - ジェシー・ブラウン
- ルディ・ヴァレ(ジョンソン博士役
- トミー・イヴォ(アルネ役
生産
スティーヴンスは当初、グレタ・ガルボにママ役をオファーしたが、彼女は6年前に映画界から引退しており、その役を辞退していた。その後、1941年に『ペニー・セレナーデ』で監督を務めたアイリーン・ダンをキャスティングした。彼女は50歳でしたが、女優は若々しい外見をしており、家族の家長を説得力を持って描くために化粧で年を取らなければなりませんでした。[8]オスカー・ホモルカは、映画の彼の役割を再演する元のブロードウェイキャストの唯一のメンバーでした。
いくつかのシーンは、サンフランシスコのポトレロ・ヒルにあるロードアイランド・ストリート[9][要出典]、ノブ・ヒル、テレグラフ・ヒル、ロシアン・ヒル、ユーレカ・バレー、マーケット・ストリートで撮影された。(注10)
リリース
この映画は、ニューヨーク市のラジオシティミュージックホールでイースターのアトラクションとして初公開されました。
批評家の反応
ニューヨーク・タイムズ紙のレビューで、ボズレー・クラウザーは、この映画は「魅力的であることが証明されるはずだ」と述べ、「アイリーン・ダンは素晴らしい仕事をしている...アクセントと困ったような表情を同等にこなす彼女は、この役に必要な強さと活力、それでいて柔らかさを持っています」(注4)
TVガイドは、この映画を「繊細な魅力があり、時には貴重だが、それでも上品」で「細心の注意を払って演出されている」と評している。(注11)
ロンドンを拠点とする雑誌『Time Out』は、それを「魅力的な...演出も演技も実に繊細だった」と振り返った。[12]
フィルムデイリーの年間ベスト10の1つに選ばれました。★