『アルプスの少女ハイジ Heidi』1952年
アルムおじいさんは、火事の延焼をわざと阻止しなかったという噂が立ち、それで自分の家以外の数軒の家と教会も全焼したため、おじいさんを信じる牧師以外の村人から総スカンを食らった。為にアルムおじいさんは、孫のハイジ(母のアーデルハイドから一部取った名前)と一緒に山小屋に引きこもり、以後村人との関係を断った(しかし生活のため、必要最小限の、生産物を村で金に換え、買い物、という行為はしている(金に換えている店の主人の妻は、アルムおじいさんを嫌がっている))。
おじいさんの息子は火事を消そうとして死去。その妻は、夫が死んだ心痛で死去。
ゆえに一人っ子のハイジは、両親を失ったことになった。
アルムおじいさんは、ハイジの父の父。
そのハイジの叔母(ハイジの母の妹)が、フランクフルトのゼーゼマンさんという金持ちの邸宅の台所で食事作りの仕事をしている(住み込み)。
その叔母が、学校教育を既に一年ハイジに受けさせていないアルムおじいさんに話をし、そのゼーゼマン宅の、ジフテリアで車椅子生活のお嬢さんクララの話し相手、勉強相手にハイジをどうかと提案。ジフテリア - Wikipedia
おじいさんは拒否。
しかし叔母は、「ちょっと来るだけ」という感じでハイジを連れ出し、ハイジは「おじいさんへのお土産が買えるなら」と付いていく。
ハイジが連れていかれたと知ったおじいさんは、追いかける。しかし川の向こうのハイジが乗った馬車には追い付けない。
ゼーゼマン家には、ロッテンマイヤーさんという家庭教師と、セバスチャンという使用人がいる。ハイジの叔母を含め3人が、仕事で出張の多いゼーゼマンさんに代わり、家に住み、クララを守っているという感じ。
クララのお母さんはいない。クララのお婆さんが、一度ハイジに本を持ってくる。
(ハイジとセバスチャン)
ロッテンマイヤーさんは、田舎育ちの好奇心旺盛な、「字も読めない」、クララより年齢が下のハイジをクララの学友には釣り合わないと嫌がる。
(叩くと鳴るベルにばかり興味を持ち、授業に集中しないハイジ。ADHDと言われる多動・非集中の中には、学習内容や学習仲間の不適合、又は教師との相性の悪さというものもあるのでは、と思った。(この映画のロッテンマイヤーさんは、雇い主であるゼーゼマン氏に解雇されぬように、ということが先立ち、ハイジを最初は事を荒立てるだけの問題児・トラブルメーカー扱いする。しかし次第に、ハイジの心根の優しさ、素直さ、向学心、偏見のなさに気づき、対応を変えてゆく))
![Heidi, un film de 1952 - Télérama Vodkaster](https://aws.vdkimg.com/film/1/4/0/6/140632_backdrop_scale_1280xauto.jpg)
しかしクララはハイジを気に入り、ハイジと関わるうちに、自主性が育つ。
ハイジは、羊飼いのペーターと無二の親友だったのだが、ペーターは、「字が読めるようになると山に登れなくなる」と言った。それでハイジは、字が読めるようになりたくないのだった。
(ハイジとペーター。2人で山に登り、ペーターが「こだまの山」に向かって、「ヤッホー」と言うとヤッホーとこだまが返ってくる。しかし「汚い豚のブー」というような「悪いこと」を言うと、山は黙り込む。このシーンが、山と対話出来ているようで、素敵だった。)
![Heidi (1952)](https://m.media-amazon.com/images/M/MV5BNWViYjYwZDMtMGYwYy00ZDI1LWE1ZjUtOTUzZDcwNDRhYTI4XkEyXkFqcGdeQXVyMTY5Nzc4MDY@._V1_.jpg)
![Heidi (1952 film) - Alchetron, The Free Social Encyclopedia](https://alchetron.com/cdn/heidi-1952-film-6c50abb3-8d79-4db0-8cca-d6a60747194-resize-750.jpg)
その迷信(「字が読めるようになると山に登れなくなる」)は、クララのおばあさんによって解かれる。
このおばあさんは公平で、偏見がなく、ゆえにハイジとクララのカルチャーギャップを、無きことにせず、昇華(アウフヘーベン)してくれる。ハイジは、クララのおばあさんがハイジに選んでくれた、羊飼いの話の入った本を大事にするのだった。
クララは、ハイジと生まれたばかりの仔馬を見にいった際、その仔馬をもっと見たいという衝動から、鉄柵を握り、車椅子から立ち上がる。
それを見たハイジは、もっとできると励ます。
その日からクララは、夜も眠れない。なぜなら、立って歩けるかも、と思うと、寝ていられない、というのだ。クララは夜、壁を叩く。すると隣室のハイジがやって来る。2人は一緒に、立って歩く練習を始める。すると椅子が倒れ、階下のロッテンマイヤーさんに知られてしまう。
シーン変わって、出張から帰ってきたゼーゼマンさんを、クララは車椅子なしで階段から下りて来て迎える。
喜ぶゼーゼマンさん。
「ハイジありがとう、きみはうちの子だ、ここでずっと暮らせるように、弁護士さんに頼もう」と言うゼーゼマンさん。
周囲は祝福ムードだが、ハイジは1人沈んだ顔。ハイジは、あの家に帰りたいのだ。
ホームシックになったハイジは、夢遊病になる。
始めそれは、使用人の間で、祖先の幽霊が出たということになった。
しかしそれが夢遊病のハイジの彷徨だと分かると、大人たちは心を痛める。
(フランクフルトのゼーゼマン家に来て間もなくの頃、家を抜け出して教会に登りおじいさんとペーターのいる山を見ようとしたハイジ)
![Heidi (1952)](https://m.media-amazon.com/images/M/MV5BZWU2MWQyOTMtZjFmMy00ZTRhLTk1OTEtYzkwNWQxYzg0YThiXkEyXkFqcGdeQXVyMTE5MTEzODI0._V1_.jpg)
シーン変わって、ハイジは鞄に荷物を詰めている。それを見守るクララ。
「お土産の白パンよ?」とハイジはクララに見せる。
「クララのお婆さんからもらった本も、入れなくちゃ。クララは、夏中うちにいればいいわ」とハイジが言うと、「ヤギの乳絞りを見せてくれる?藁のベッドでも眠りたいわ」とクララ。
(スイスに帰ると、まず、山の中腹のペーターの家へ。ペーターへのお土産は、ペーターの大好きなソーセージ)
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都会のお嬢さんのような服を来たハイジは、牧師と来て、おじいさんを驚かせようと、家に入っても屋根裏部屋に隠れる。
いつものように納屋で仕事をしているおじいさんの所に、牧師が来てハイジの帰宅を仄めかす。
(ハイジと牧師)
![RAREFILMSANDMORE.COM. HEIDI (1952) * with switchable English subtitles](https://www.rarefilmsandmore.com/Media/Thumbs/0013/0013480-heidi-1952-with-switchable-english-subtitles-.jpg)
「ハイジが帰ってきたのか!」と納屋を出ると、そこには村の男たち。
仲直りを申し出る男たちの代表が握手を求めるが、おじいさんは握手をせず、「それで、お前たちの女房はどこにいったんだ」。
男たちはすごすごと帰る。
家に入ったおじいさん、机の上の新品のパイプを見てハッとする。辺りを見回していると、梯子の上の屋根裏のハイジと目が合い、共ににっこり。
シーン変わって、ハイジとおじいさんが教会にいる。
おじいさんのことをひそひそ言う人はもういない。
ハイジが子どものエリアに行くと、どうぞとばかり、動いて席を作ってくれる子たち。
ハイジとおじいさんが祈る姿で、ジエンド。
このシーン(アニメでいうと、「立った立った!クララが立った!」)はなかった。スイスで作られた続編か、又は本編かDVDでカットされたシーンなのかと思った。
![Heidi (1952) – Movie Reviews Simbasible](https://th.bing.com/th/id/R.9b5edf94267c3615e963bf3d20e0b1d1?rik=Ej2U7SFPexfbOQ&riu=http%3a%2f%2fwww.simbasible.com%2fwp-content%2fuploads%2f2020%2f11%2funnamed.jpg&ehk=6%2f0g6HkYE%2bgZyqWyPV8ndYwfTfdWovWt2lqDe%2bg7gfc%3d&risl=&pid=ImgRaw&r=0)
![ハイジ「立った…クララが立った」ペーター「それオレのセリフなんだけど」クララ「どっちでもエエから、ちゃんと見てろや」 - 2019年01月14 ...](https://d2dcan0armyq93.cloudfront.net/photo/odai/600/858a6371b4047c05237fbb64ffb1ede2_600.jpg)
![クララは「牛に驚いて」初めて立ったって知ってた? | welcome to kazunoko-life 店長裏日記 - 楽天ブログ](https://th.bing.com/th/id/R.44d254e89ab25016df1ffb8675b36fc8?rik=moBspREfmTCE%2fQ&riu=http%3a%2f%2fimage.space.rakuten.co.jp%2flg01%2f00%2f0000924100%2f21%2fimg4546e57azikczj.jpeg&ehk=IeU8t%2f7PQVLYkCQVuRPsgXq%2fcGD2bZLLBjyGYmzOdb4%3d&risl=&pid=ImgRaw&r=0&sres=1&sresct=1)
エピソードが完璧だと思った。
そのエピソードを決めた原作者のヨハンナ・シュピリに感激。ヨハンナ・シュピリ - Wikipedia
![](https://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/thumb/1/12/Zentralbibliothek_Z%C3%BCrich_-_Johanna_Spyri_-_000006279_2.tif/lossy-page1-800px-Zentralbibliothek_Z%C3%BCrich_-_Johanna_Spyri_-_000006279_2.tif.jpg)
エピソードを変える必要がないというより、設計図が完璧なため、寸分たりとも変えられないのだろう。
子どもの頃アニメで見たものと、全く同じエピソード、と何度も思った。
当時のスイスとその周辺の関係がとてもよく出ていると思った。
ゼーゼマンさんの家は、ドイツのフランクフルトにあった(隣国)。
![スイスと周辺国の地図 - 旅行のとも、ZenTech](https://th.bing.com/th/id/R.e62dfeec81d7a1a9c23480952492bfd9?rik=6A9cBcHPNQlU5Q&riu=http%3a%2f%2ftravel-zentech.jp%2fworld%2fmap%2fswitzerland%2fimage%2fMap_of_Switzerland_and_neighboring_countries.gif&ehk=IJYjRqaFeGaRKMyco2%2bJhoFE97ErbDbLBCYl2G1vy3I%3d&risl=&pid=ImgRaw&r=0)
![Toshの西遊記2013 スイス編](https://image.space.rakuten.co.jp/d/strg/ctrl/2/0efa073956bde0a810f9d3e85de292b039988a1f.61.2.2.2.jpg?thum=53)
![ブレーメン暮らし | bunt-bunter-buntest](https://th.bing.com/th/id/R.2162dd8db19071a05a94cb8fcca57598?rik=0nuaBWYqM7cgWg&riu=http%3a%2f%2fstat.ameba.jp%2fuser_images%2f20120402%2f11%2fbunt-bunter-buntest%2fe8%2fee%2fg%2fo0350037611890250055.gif&ehk=3SeUQDuVHZj8Si7QLFILAJu4gBRVfgc5Yr4MkDbDsCE%3d&risl=&pid=ImgRaw&r=0)
ハイジはスイスのトットちゃん、とも思った。
ハイジは今も、スイスの山にいるのだろう。
日本にずっとおしんやサザエさん一家がいるように。
![『窓ぎわのトットちゃん 新組版』(黒柳 徹子):講談社文庫|講談社BOOK倶楽部](https://cv.bkmkn.kodansha.co.jp/9784062932127/9784062932127_w.jpg)
![NHK 朝ドラ おしん テレビシナリオ4巻セット 超歓迎された おしん](https://jprime.ismcdn.jp/mwimgs/7/e/-/img_7ee99125a4a234d40756ea6893924aab996191.jpg)
★Wikipediaより★
- 1952年:スイス映画(100分)
- 出演:エルスベート・ジグムント 、ハインリヒ・グレトラー、トマス・クラメス、テオ・リンゲン
- 音楽:ロバート・ブルム
- 監督:ルイジ・コメンチーニ
- ハイジはスイスの高原放牧地(アルム)で祖父(アルムおんじ)と一緒に生活している。ハイジは友人ペーター(山羊の家畜番)と一緒に、山での生活を送る。その後ハイジは、ゼーゼマン(Sesemanns)家の一人娘で、病気のため立つことができないクララ(Klara)のために都市へ送られた。ホームシックと友情の物語。★