『愛と憎しみの銃弾 Un colpo di pistola』1942年
展開の仕方に、「キャンディ♡キャンディ」を想起。キャンディ♡キャンディ - Wikipedia
19世紀ロシアの、三角関係。
マーシャという一人の女性と、
二人の武人、アンドレアとセルジオの話。脇役に、少女で後に女性になるアントニエッタが出てくる。
発端は、マーシャが、愛しているアンドレアを嫉妬させようとして(二人の愛の炎を最大限召喚しようとして)セルジオに気があるように振る舞ったこと。
そこから誤解が誤解を生み、悲劇の終焉か、と思いきや、セルジオがゲームから退場させられ、マーシャとアンドレアが幸せになりました、という話。
アントニエッタがアンドレアを好きだったのだが(子供にしては洞察力がマーシャより優れている。マーシャは実はひらひらふわふわしていて、しかし殿方(笑)はそういう女性を蝶を追うように追う)、親戚だったマーシャから頼まれた手紙を、アントニエッタはわざとアンドレアに送らない。
その手紙には、「わたしはあなただけを愛しています。
セルジオのことは何でもありません」と書いてあった。
それをアントニエッタは隠し、しかし二年後(笑)にアンドレアに、お母さんに付き添ってもらう形で渡しに来た。
その二年間、マーシャはアンドレアを待ち続け、貧しい子に勉強を教えたりして過ごしていた(マーシャは貴族の娘)。
しかし待っても来ないアンドレア。マーシャは不幸だった。
二年経ったところで、セルジオがマーシャに求婚。しかしアンドレアを待っているマーシャは断った。
その一か月後にまた求婚され、マーシャは断った。
その一か月後に、マーシャは求婚を受けた。
そしてマーシャとセルジオの婚約パーティーの会場に、
アントニエッタから手紙を受け取ったアンドレアが来たのだった。
アンドレアとセルジオは、マーシャを巡って決闘をした仲。
(左がアンドレア、右がセルジオ)
その際、先に撃つはずのセルジオは、わざと弾を外した。そしてアンドレアが撃つぞとなったときに、全く動じずサクランボの実を食べていたのだ。「お前は生を大事にしていない。命乞いをするほどお前が幸福になって、死ぬのが怖いとなったときまでこの銃はしまっておこう」とそのときは別れたのだった。アンドレアは、自分に対して殺意のなかったセルジオを、実は畏れ、そして生かしておきたいと思ったのだ(人格の大きさに対する敬意)。
婚約パーティーに現れたアンドレアを見て、セルジオは驚く。そして裏の部屋に案内。
「アンドレア、お前は変わらず忌々しいほどの誇りに満ちている」「セルジオ、お前は相変わらず尊大だな」となった二人はまた銃を相手に与え、いざ決闘か、となるが、セルジオにもアンドレアにも、相手に対する本気の殺意はない(この二人の人間としての力が釣り合っていて、二人は良きライバル・好敵手)。
しかしマーシャが現れまた一悶着あり、アンドレアはセルジオに「明日同じ時間に同じ場所で」と暗に決闘を告げ、去る。
それを聞いていたマーシャ、決闘をやめさせようと、誰にも情報をもらわず家を出てあてどなくさ迷う。
夜が明け、マーシャは貧民街で朝を迎えた。
家の中から女性二人が出て来て、教会に行く。
マーシャも付いていき、中で祈ると、前の席にアンドレアがいる。「アンドレア」と呼び、二人は教会の外へ。
「セルジオと結婚すると決めたから言える。あなたを愛している」とマーシャが失恋した相手にそれでも最後に言ってしまう、という感じで言うと、アンドレアはアントニエッタの嫉妬による手紙隠しを言い、ついこの間手紙を読み、それで来たと言う。
「二年以上前のあの手紙を今?」と驚くマーシャ。「婚約など何とかなるだろう」と言うアンドレアに、「結婚の約束をしたのだから、もう駄目よ」とマーシャ。
二人が霧の中でお別れ、となると、アンドレアを見送っていたマーシャが門の所で倒れてしまう。
物音に気付き、「マーシャ!」と駆け寄るアンドレア。
マーシャをアンドレアが抱き上げ、家の中に入ると、メイドが「そこに寝かせてください」。
シーン変わってそれから一年後。
アンドレアの屋敷では、マーシャがピアノを弾きながら歌っている。
セルジオ、マーシャに対しては当て馬代わり、アンドレアに対しては噛ませ馬役、と思うも、セルジオはまだまだ余力がある感じ、これを踏まえてこれから人生を豊かにできるだろう、と観客がここにいないセルジオに感情移入して、ジエンド。
マーシャが最初から素直になっていれば、こんなことにはならなかったのに、と思うも、だからこそその時代のロシアの物語になっているのだ。
マーシャは、マーシャと結婚して田舎でのんびり暮らしたいと密かに思って兵を辞めたアンドレアに(また、その内緒の話をセルジオがマーシャに言ってしまうのが混線なのだが)、「兵を辞めたんですって?またなぜかしら」などと、知っているのに自分に気がある男を翻弄して楽しむ高嶺の花的振る舞いをするのだ(アンドレアは、マーシャに自分の気持ちは告げていない。マーシャは、アンドレアに思わせぶりなことをする一方で、セルジオとの仲の良さをアンドレアに見せつけるのだ)。
ここでこれならマーシャよりアントニエッタの方がいい、アンドレア、アントニエッタが成長するのを待て、と観客として思うも、しかしアントニエッタはアンドレアを好きなあまり嫉妬して、マーシャのアンドレアへの手紙を隠すのだ。
ここに観客として憤慨するも、マーシャの人を見抜けぬ人間力の低さゆえと思うと、世の中そうなるべくそうなっているよね、というような、そんな人間関係力学も感じる、つまり原作の力なのだろうと思った。
冒頭、マーシャに振られたと思った失意のアンドレアがみんながスケート場にしている湖の薄氷部分に行って自殺しようとする。
そのアンドレアに声を掛け、命を救ったのがジェラルドという作家。この事件は、映画全体の中ほどにあたる。物語がそこまで来ると(アンドレアが自殺しようとするに至ったそれまでの経緯を作家に話して回想する、というスタイル)、作家も物語に収束され、その後は出て来ない。
(右が作家のジェラルド)
原題『Un colpo di pistola』の直訳は「ピストルショット」。
『愛と憎しみの銃弾』という邦題は、『愛と哀しみの果て』的、愛という言葉が冒頭に付けば人を呼べた昭和のノリなのだろうと思った(どうしても「愛と(逆概念の)〇〇(形容詞の名詞形)の▲▲(硬質な名詞)」と言ってしまいたい、言ってしまわないと何も始まらず、また終わらない気分だったのだろう(笑))。
★Wikipediaより★
ピストルショット(イタリア語:Un colpo di pistola)は、
レナート・カステラーニ監督、
主演の1942年のイタリアの歴史ドラマ映画です。[1]この映画はローマのパラティーノ・スタジオで撮影され、美術監督のジーノ・ブロジオがデザインしたセットが使われた。カリグラフィズモスタイルの映画に属します。この映画は、1831年に出版されたアレクサンドル・プーシキン
の短編小説「ショット(プーシキン)」
を映画化したものです。
あらすじ
19世紀のロシアでは、2人の男が女性をめぐって決闘を繰り広げます。
部分キャスト
- アシア・ノリス(マッシア役
- フォスコ・ジャケッティ(アンドレア役
- アントニオ・センタ(セルジオ役
- ルビ・ダルマ(ジア・ディ・マシア役)
- アンナ・カポダリオ(ラ・ガヴァナンテ役)
- レナート・シアレンテ:ヘラルド・デ・ヴァルモン
- ミミ・ドゥジーニ(アントニエッタ役
- ロモロ・コスタ(イル・ジェネラル役
- サロ・ウルジ(Uno Dei Servitori Alla Scampagnata)★