『青ひげの六人の妻 Le sei mogli di Barbab』1950年
ベースにその土地に伝わる民話・昔話のようなもの(青ひげという、狼男のような怪物の話)があり、それにデコレーションした感じなのかと思った。
イタリアで、トトという男が、ある美人の使用人に恋してその部屋に夜忍び込んだ、と思ったら、それはその使用人の女主人の部屋だった。その女主人の兄が、トトに「責任を取って結婚しろ」。
トトはてっきり、その使用人と結婚できると思っていた。(暗闇で、トトは人違いと気づかなかったのだろう)
しかし結婚式で隣りになったのは、好きではない女主人。
トトは逃げ出し、女主人は情報を仕入れ、ニューヨークまで(笑)追いかけていく(金持ちゆえ、移動資金あり)。
イタリアに帰ると結婚してしまった妻カルメラがいる、この船に乗れば大丈夫だろう(イタリア行きではないだろう)と乗り込んだ船(密航)(実はイタリア行き)の船倉で袋に入って隠れていると、同じ密航者が袋を開けた。二人して船長たちの密航者捜索から逃げてある客室に入ると、そこは、ニック・パーターという、ニューヨークから青ひげ事件(六人の男性を青ひげが殺した事件)解決のためにイタリアに招待されていた警部の部屋(ニックは部下と外に出ていた)。
イタリアからのお迎えの二人が客室に入ってくると、トトともう一人の密航者は、ニックとその部下になりすまし、四人一緒にこの客室を出る。
(左から、この部屋のクローゼットの服を着た密航者とトト、イタリアからのお迎えの二人)
船がイタリアに着くと、イタリア現地の警察もトトと密航者をニックと部下だと認識して手厚くもてなす。
そこである美女が二人に接触してくるが、二人は青ひげの関係者のワナだと思う。
しかしこの美女は記者。この記者は編集者と、青ひげ事件の記事を書きたい、と接触してきたのだった。
しかしこの編集者が実は青ひげ(女性記者のことも騙している)。
この女性記者は、自分が一筋白髪にして、(ニックになりすましている)トトと結婚式を挙げれば青ひげをおびき出せると言う(殺された六人の男は、いずれも白髪の一筋混じった、結婚初夜の女性の夫)。
(左から、記者のラナ・ロス、城持ちの編集者(実はこの人が青ひげ)、ニックになりすましたトト)
トトはこの提案に乗り、編集者の持ち城に行く。
トトが城の地下に行くと、さらわれた六人の新妻がマネキンのようになって立っている(全員似たタイプの美人で、同じように一筋の白髪がある)。
(一筋の白髪を付けた記者とニック・パーターになりすましているトト)
新聞報道を受けてこの城で新郎が殺されると分かって早めに勝手に(笑)葬儀屋が来たりのドタバタのなか、編集者の手の甲に銀色の毛が生え、
「俺が青ひげだ」と正体をバラす。
(後ろが編集者=青ひげ、前が、記者の女性が抱きついてきたと勘違いしているトト)
「でもひげがない」
とトトが指摘すると、瞬く間にひげも生える。
この編集者は、白髪が一筋入った女性と結婚することになっていたが、式当日に逃げられた。よってその後、代替として、同じ容姿の新婚初夜の女性を誘拐、夫を殺し、自分所有の400年以上前から続く城の地下にマネキンのように飾っているらしい(その逃げた女性当人のことは、生きているが追うことはしないのだろう。それは惨めだから。でもあの恋が自分の命、となったら、その時の外見を持った女性を、傷心の穴埋めとして永遠の一瞬としてコレクション、という心理なのかと思った。)。
正体を現した青ひげは、地下に記者を捕らえ(編集者は、この女性を七人目のコレクションにしたかったのだろう。地下には、七人目のスペースがあった)↓、トトを硫酸のプールに沈めようとする(硫酸は重曹で中和されるらしい)。
トトが何とか逃げると、現場に来た本物のニックと青ひげの一騎打ちとなり、ニックが青ひげを追いつめ、硫酸のプールに青ひげが落ちて死去。
青ひげをおびき寄せるために記者とトトの偽の新聞記事を出したのだが、その写真を見て結婚式が行われる城まで追いかけてきていたトトの妻はトトに、「別れてあげる。私はニックに恋したから」。
六人のマネキンのようだった妻たちは、空の水槽のようなガラスの部屋から出て生き返る(この仕組みがどういうことかは不明。剥製のようになっていた六人が、ある瞬間呪いが解けたように、動き出した(それをこそ正に呪いなのだろうが))。
ラストは、鎧に隠れていた記者が同じく鎧に隠れていたトトに、「本当に結婚してロンドンに行かない?そこに新郎新婦を狙う犯罪者がいるから、記事が書ける」と言ってジエンド(この女性記者の職業魂が良かった)。
トト役の、芸名もトトという役者は、イタリアのチャップリンという感じだったのかと思った。
★トト(Totò イタリア発音 [toˈtɔ], 1898年2月15日ナポリ生まれ-1967年4月15日ローマで没)は、イタリアの喜劇俳優である。★
★彼の業績は、喜劇の伝統や、バスター・キートン、
さらにはマルクス兄弟や
エットーレ・ペトロリーニ(イタリア語版)といった喜劇俳優たちと並んで、50年にも及ぶキャリアを持ち、50本以上の演劇、97本の映画、9本のテレビ映画へ出演し、さらにその多くで主役を演じた。最後は必ずしっぺ返しを食うオチがほとんどの彼の映画は、イタリアにおける観客動員数を更新し続けた。長年の舞台の経験によって磨かれたその独特の演技は、時には素晴らしく書かれた台本通りに、時には彼自身の責任によるアドリブで、脈絡網膜炎に病んだ晩年まで演じられた。映画業界の危機によって何度もそのキャリアを中断し、また彼自身何度か行方をくらませたにもかかわらず、彼は常にイタリア喜劇における大衆的な存在であり続けている。
元ジャーナリストで彼の伴侶のフランカ・ファルディーニ(イタリア語版)は、トトの死後作家に転じ、1977年に評伝「トト、男と仮面 Totò: l'uomo e la maschera」をゴッフレード・フォーフィと共著した。その中では映画の外での芸術家としての彼の姿や、妻としての視点で見た彼の素顔が描かれている。★
美女が出て来る殺人事件、意外な真犯人(ここでは編集者が青ひげ)という話は、江戸川乱歩ものの雰囲気に似ていると思った。
(ギュスターヴ・ドレによる青ひげの挿絵)
★あらすじ(ペロー版)
ある金持ちの男は、青い髭を生やしたその風貌から「青ひげ」と呼ばれ、恐れられていた。また、青髭は、これまで6回結婚しながら、その妻たちは、ことごとく行方不明になっていた。青髭は、4兄妹のうちの美人の姉妹に求婚し、紆余曲折の末、妹と、7回目の結婚をすることになった。★
★シャルル・ペロー(Charles Perrault、1628年1月12日 - 1703年5月16日)は、フランスの詩人。アカデミー・フランセーズの会員。新旧論争の火付け役。『ペロー童話集』の作者として有名。★
★Wikipediaより★
青ひげの6人の妻(イタリア語:Le sei mogli di Barbablù)は、カルロ・ルドヴィコ・ブラガリア監督、
カルロ・ニンチ主演の
1950年のイタリアのコメディ映画です。[1]映画のセットは、アートディレクターのアルベルト・ボッチャンティとマリオ・ラッピーニによってデザインされました。
プロット
トト・エスポジートは、最愛の人を誘拐して結婚させようとする若い恋人です。しかし、トトは間違っており、彼を愛するカルメラという醜い女性を誘拐し、トトが逃げたときに彼を追いかけます。カルメラから列車で脱出する最後の試みで、トトは友人のアミルケアとラナ・ロスという美しいアメリカ人ジャーナリストに会い、2人に取引を持ちかけます。トトとアミルケアは、「青ひげ」というニックネームの連続殺人犯の手による多くの少女の死を調査している探偵のふりをしなければなりません。トトは、その間に殺人的な青ひげをだまそうとし、彼に恋をしているふりをしているラナのボーイフレンドのふりをしなければならないので、欺瞞のメインディッシュでなければなりません。
キャスト
- Totò as Totò Esposito
- イサ・バルジッツァ - ラナ・ロス
- アルトゥーロ・ブラガリア(アルヴァーロ役
- ティノ・ブアッツェッリ:ラディスラウ・ジケッティ/バルバブル
- アルド・ブフィ・ランディ(イル・ヴェロ・パトソン役
- マリオ・カステラーニ(アミルカーレ役
- カルロ・ニンチ - ニック・パーター
- マルセラ・ロヴェナ(シルヴァーナ役★