『愛の立候補宣言 STATE OF THE UNION』1948年
大統領がトルーマンの時代の話。ハリー・S・トルーマン - Wikipedia
共和党支持の新聞社の女社長ケイが、自分の友人である飛行機会社の社長のグラントを、次期大統領候補にしようと白羽の矢を立て、周囲が動く。
(右がケイ)
(グラントとケイ)
グラントと妻のメアリーは関係が冷えていた。
しかし大統領になるには夫婦円満が大事と、ケイはマスコミが焚きつけたゴシップを利用、グラントとは基本友人関係なのだが(愛人関係っぽく見えるシーンもある)、ワシントンにやって来た妻のメアリーにケイを愛人だと思わせることに成功、メアリーの心に火がついた。
(左から、選挙参謀の共和党ベテラン政治家、ケイの新聞社で働く政治記者スパイク、グラント、ケイ)
(初めて会ったメアリーとケイ。メアリーはケイに火花バチバチ。しかし二人の息はピッタリ合ってしまう。)
夫婦には二人のこどもがいる。
夫婦は二人とも、最初は正直者だったのだが、次第に利害関係に飲まれ、勇気や反骨精神や個性を失い、二枚舌の日和見主義のザ・政治家とその妻になってゆく。
(グラントと妻メアリー)
(左から、妻メアリー、グラント、共和党選挙参謀のベテラン政治家)
(スパイク(一番右)は正直で真っ直ぐなメアリーに好意を持つ。このスパイクが、海外に支援物資を送る活動をしながらふと弱気になったメアリーのおでこにエールのキスをしたシーンが一番良かった。)
(メアリーとスパイク)
しかしテレビカメラが入った日。
メアリーが、ベテラン政治家と政治記者によって作られた原稿通りにスピーチをすると、夫のグラントがいたたまれなくなり、「これは嘘だ、茶番だ、仕組まれた仮面だ」と、メアリーのスピーチをやめさせ、本音を言いまくる。
それはベテランの政治家なら鼻で嗤うような、「世界は一家。人類は兄弟、地球をきれいにしよう」(昭和のテレビCMで流れていた「笹川会長」の言葉のような笹川良一 - Wikipedia)というような理想。
組織票を取るために奔走してきたベテラン政治家たちは落胆、しかし会場にいた一般の有権者たち(ウェイターやカメラマン助手など)は拍手。
ケイの部下のスパイクも拍手。ケイに「オレ、解雇?」と訊くと「もちろん」、次に来た選挙参謀の政治家に「オレ、解雇?」「もちろん」でジエンド。(ここがコメディータッチ)
画面にホワイトハウスが出て、グラントが次期大統領になったらしい雰囲気になって、エンドロール。
(左から、妻のメアリー、大統領候補に担ぎ上げられたグラント、新聞記者のスパイク、新聞社社長のケイ)
グラントの言う「誰もが自分に誇りを持ち、自由に生きられる国を目指す」とは、政治の大義。
しかしそれをただ口で言っているだけではこども。
政治とは、どこにどれだけ税金を使うかの決定。その手続きとしての法案作り。様々な人の利害が絡むため、全方面にいい顔をしようとすると、八方美人ののっぺらぼうになってしまう。
そういう胡散臭さを、有権者は見抜く。
この映画の大統領候補は、様々な団体で演説をする。
その団体同士は犬猿の仲、ということもあり、その調整に苦心したりするところがリアル。
冒頭。大手新聞会社の社長の部屋に娘のケイが入る。
父は体が悪い。それというのも、共和党の政治家に刺されたからだ。「だから民主党のトルーマンが大統領になった」というのが父の口癖。「俺は息子が欲しかった。でもケイ、お前は息子より頼もしい。もう終わろう。これからはお前に頼む」と木の杖をケイに渡す。ケイが部屋を出てドアを閉めると、使用人が部屋に入ろうとする。それを制するケイ。と同時に銃声、ケイは分かっていたかのように、目を少し動かすだけ。使用人がドアを開け、「大変!」と大声をあげると、階下の人たちが中に入り、自殺した社長の死体を見つける。
この冒頭がドラマチックだった。
(父とケイ)
邦題の『愛の立候補宣言』に、昭和の歌謡曲デュエット?と笑ったが、観終わったら「正に愛の立候補宣言だった」、と心が正座(笑)。
大統領ものというのは、一つのジャンルなのだろう。
共和党も民主党も、自党候補を当選させるため(同じ党の候補同士で票を分割しないよう)、党内のより勝ちそうな候補に吸収されていく(この機会に恩を売れば、また別の機会に加勢してもらえ、政治的に有利になる、というような戦略)。
★Wikipediaより★
『State of the Union』は、フランク・キャプラ監督
による1948年のアメリカのドラマ映画で、共和党の大統領候補に立候補したいという男の願望と、周囲の人々の陰謀を描いています。ニューヨーク・タイムズ紙は、この映画を「巧妙なスクリーン風刺...パキダームの策士や陰謀者の皮をナイフで切り裂くナイフの刃は、オリジナルよりも鋭い。[5]この映画はマイルズ・コノリーとアンソニー・ヴェイラーによって書かれ、1945年のラッセル・クラウス、ハワード・リンゼイ・ピューリッツァー賞を受賞した同名の戯曲に基づいていました。
キャプラと脚本家は戯曲に極めて忠実であり続け、2年間の上演中に脚本家が行ったように、撮影中に脚本をタイムリーに更新した。[6]スペンサー・トレイシーは、キャプラと戯曲の作者の両方が主役を演じる最初の選択肢でした。[7]キャサリン・ヘプバーンが共演し、アドルフ・メンジュー、ヴァン・ジョンソン、アンジェラ・ランズベリーが重要な役割を演じています。この映画は、メトロ・ゴールドウィン・メイヤーにとってキャプラの唯一のプロジェクトとなった。また、1951年に解散するまでにリバティ・フィルムズが製作した2作目で最後の映画でもあった。
プロット
共和党の新聞王ケイ・ソーンダイクは、彼女の恋人で航空機王のグラント・マシューズをアメリカ大統領に据え、彼女を王位の背後にいる権力者にしようとしている。ソーンダイクは1948年の共和党全国大会を膠着状態に陥れるために新聞チェーンの影響力を利用することを計画しており、トーマス・E・デューイ、ロバート・A・タフト、元ミネソタ州知事ハロルド・スタッセンの代わりに、妥協的なダークホース候補としてマシューズを選ぶことになる。
マシューズは大統領選に出馬する考えに懐疑的だったが、ソーンダイク、共和党の戦略家ジム・コノバー、キャンペーン・マネージャーのスパイク・マクマナスは、講演ツアーに出かけて水域をテストするよう説得した。ソーンダイクは、野心と成功はすぐに彼を納得させると信じています。マシューズは別居中の妻メアリーと再会し、選挙戦に臨む。ソーンダイクと夫の浮気を知っていたにも関わらず、メアリーはソーンダイクの理想主義と誠実さから公の場で彼を支持することに同意し、選挙運動におけるソーンダイクの役割の大きさを知らなかった。ソーンダイクはマシューズに、スキャンダルは彼のチャンスを台無しにするので、彼らはもはや恋人として会ってはいけないと言います。
マシューズが話すところはどこでも、彼は普通の人々に訴えます。「普通の」市民からの電報が殺到し、彼のメッセージに感謝している。しかし、政治の舞台裏で権力者や影響力を持つ人たちは、非常に不満だ。マシューズはウィチタで物議を醸す演説を行い、大企業の責任を問う。デトロイトで大企業に同じ待遇を与える別の演説をする前に、ソーンダイクは密かにホテルにやってきて、指名のチャンスを助けるために準備された演説を使うように彼を説得します。今回も、予備選挙で票を届けられる人々からの電報が殺到している。マシューズは大統領になることに執着し、コノヴァーが望むことは何でも完全に身を委ねる。ソーンダイクは、彼らの不倫が知れば、マシューズの指名のチャンスを破壊し、大統領の座を奪うことになるので、裏方にとどまっている。マシューズは、彼らの支援のために、様々な忌まわしい特別利益団体と取引をしている。
マシューズ夫妻の自宅からラジオやテレビで生中継される全国的な炉辺談話は、グラントの立候補を正式に開始することを意図している。メアリーは夫を紹介するスピーチをすることになっています。土壇場で、彼女はソーンダイクが夫を揺さぶるためにデトロイトに介入したことを知り、ソーンダイクが影響力のある行商人のグループに、彼女がマシューズの背後にいる力であり、その役割を続けると話しているのを目撃します。質問やさらなる取引があれば、マシューズを煩わせるべきではありません。奴らは彼女のところに来る――さもなくば、彼女は新聞で奴らを滅ぼすだろう。メアリーはグラントが道徳的な妥協をしたことは知っていたが、ソーンダイクの役割の大きさは知らなかった。彼女が彼を永遠に失ったというこの証拠に直面して、彼女はスピーチをすることを拒否し、泣きながら部屋から逃げ出します。彼女を心から好きになったマクマナスは、ホワイトハウスはソーンダイクが彼についていけない唯一の場所であるため、彼女に戻ってきてグラントが大統領になるのを手伝うように説得しようとします。
メアリーは用意されたスピーチを読み始める。グラントは、かつての友人、隣人、支援者が彼にそれを持たせた地元の人々の集会(オフカメラ)から放送に来て、メアリーが腐敗に屈するのを見ます。彼は自分とメアリーの理想を裏切ったことに気づく。彼はカメラの前でマイクに向かい、アメリカ国民に告白する。超党派の改革を公約し、有権者に投票を呼びかける一方で、支持者と自身を詐欺だと非難し、候補者を辞退する。彼はまた妻の許しを請い、二人は抱き合う。
ソーンダイクはスパイクを解雇するが、コノヴァーはすぐに彼を雇う。
キャスト
- スペンサー・トレイシー - グラント・マシューズ
- キャサリン・ヘプバーン - メアリー・マシューズ
- ヴァン・ジョンソン:スパイク・マクマナス
- アンジェラ・ランズベリー - ケイ・ソーンダイク
- アドルフ・メンジュー - ジム・コノヴァー
- ルイス・ストーン - サム・ソーンダイク
- ハワード・スミス - サム・I・パリッシュ
- チャールズ・ディングル - ビル・ノーランド・ハーディ
- メイデル・ターナー:ルルベル・アレクサンダー
- レイモンド・ウォルバーン(アレクサンダー判事役
- マーガレット・ハミルトン(ノラ役
- ラジオアナウンサーとしてのアートベイカー
- ピエール・ワトキン(ラウターバック上院議員役
- フローレンス・アウアー - グレース・オーヴァル・ドレイパー
- アーヴィング・ベーコン - バック・スウェンソン
- チャールズ・レーン:ブリンク・モラン
- カール'アルファルファ'スウィッツァー(ベルボーイ役
- トム・ファデン(ウェイター役
- フランク・メイヨー(市役)(クレジットなし)
生産
女優のクローデット・コルベールは、
もともとグラント・マシューズの妻であるメアリー役にキャスティングされました。キャプラとの意見の相違により、コルベールは絵を断念した。[8]ヘプバーンは、撮影が始まるわずか数日前に彼女の後任として選ばれました。彼女はトレイシーの脚本を手伝っていたので、すでにその役に精通していました。アドルフ・メンジューとヘプバーンの間には、政治的に保守的な団体「アメリカの理想を守るための映画同盟」のメンバーであり、ヘプバーンはライバルの憲法修正第1条委員会と同盟を結んでいたため、撮影中に緊張関係が生じた。[9][注 1] 撮影中、メンジューは下院非米活動委員会で友好的な証人として証言した。多くの情報筋によると、撮影現場では、ヘプバーンはメンジューが一緒にいるシーンでは「心のこもった」態度をとったが、それ以外は彼を認めなかったという。(注11)
メトロ・ゴールドウィン・メイヤーの契約選手トレイシーを映画にキャスティングするために、MGMは『ステート・オブ・ザ・ユニオン』の配給権を購入した。この映画に登場する主要俳優のほとんどがMGMと契約を結んでいたが、キャプラ自身の会社であるリバティ・フィルムズが製作した。[12]
一般教書演説は当初260万ドルの予算が組まれていたが、予算を45万ドル下回った。[3] 主な撮影は1947年9月29日から12月6日の間に行われた。(注13)
レセプション
一般教書演説は、ニューヨーク・タイムズ紙のボズレー・クラウザーによってレビューされました。彼は次のように述べている。党派的な反応はともかく、そして、この糸の率直で強烈な時事性を考えると、そういう反応がたくさんあるに違いないのだが、フランク・キャプラがリンゼイ・クラウズの人気舞台劇から作ったこの作品が、巧妙な映画風刺であることは否定できない。[14]
完成後まもなく、一般教書演説はハリー・トルーマン大統領のために独占的に上映され、トルーマン大統領が再び公職に立候補するよう説得するのに役立ったと伝えられています。(注15)★