『サリヴァンの旅Sullivan's Travels』1941年
真逆環境取りかえっこ物語、「王子と乞食」を想起。王子と乞食 - Wikipedia
ハリウッドの成功している監督サリヴァンが、それまでのコメディー路線ではなく社会派の作品を撮りたいと言うと、年上の上層部が「きみは苦労を知らないから無理」。
奮起したサリヴァンは、浮浪者になりすまして社会の底辺を体験し、それを作品に生かそうと、ボロ服を着て旅に出た。
(カリメロ?(笑))
カリメロ。
するとスタッフたちがトレーラーで尾行、彼を撮ってドキュメンタリーにして儲けようとする。
無免許運転のスピード狂少年の車に乗って彼らを撒いたサリヴァン。
夜中にヒッチハイクしたトラックに乗って眠っていると、目覚めたらハリウッドで降ろされ、また振り出しに戻る。腹が減ったので近くのダイナ―に入ると、持っているのは10セントのみ。それでドーナツとコーヒーを頼むと、店内の謎の美女がサリヴァンに目玉焼きをおごってくれる。
訊けば彼女は女優志望。しかしもう諦めようとしていた。彼女と車に乗って自分の家に行き身分を明かし事情を話すと、
(途中一旦警察に捕まる。しかし身分を明かし、保釈される。)
彼女も一緒にその旅に行きたいと言う。
彼女と旅を始めると、二人は気が合い、いい相棒。(まるで父と息子のような二人)
(乗り込んだ貨物列車は干し草だらけ。干し草アレルギーのサリヴァンは、大きなくしゃみが止まらない。)
しかしサリヴァンには妻がいる。妻とは、節税のために結婚、しかし結婚すると妻は浪費家、離婚を申し出るが妻は応じない、という現状。
サリヴァンは浮浪者の施設に彼女と入る。そこにプライバシーはなく、飯はまずい。
しかしこれでネタになると上層部。こういう世界を社会派の映画にし、ネタ元になった浮浪者たちに身分を明かさず一人5ドルをあげれば、それが宣伝になるぞ、と言う。サリヴァンが真夜中その5ドルを配っていくと、浮浪者たちはお札(さつ)に目を輝かす。しかし中の一人がサリヴァンを尾行、サリヴァンのポケットの金を奪うべく、サリヴァンを殴り、靴も奪って逃走。しかし片足の不自由なその男は、途中で転倒、金が宙に舞った。列車が来た。慌てて金をかき集めていると、男は列車に轢かれ死去。
身元不明の死体。しかし、靴の底にはサリヴァンの身元証明書が貼り付けてあり、サリヴァンが死んだと新聞に出た。
妻は「サリヴァンの死体」を埋葬、サリヴァンのマネージャーと結婚。
一方、殴られたサリヴァンは目覚めると貨物列車に乗り込み、移動。降りると無賃乗車を鉄道職員に咎められる。疲れていてカッとなったサリヴァンは、足元の石を拾い、その拳で彼を殴った。
すると身元不明の殺人未遂犯として裁判にかけられ、サリヴァンは仮名で6年の重労働を科せられる。
その労働現場には、人権がない。現場を仕切るボスは、暴力で囚人たちを支配。
人情のある監視員に「オレはハリウッドの監督なんだ、そう見えないか?」と言うと、「ハリウッドの監督というものを見たことがないから何とも言えない」。
囚人たちを教会に招いての映画鑑賞会の夜。
(「罪を犯したことのない者のみ、彼らに石を投げよ」と、囚人たちを迎える前に信者たちに言う、牧師)
鎖を引きずって囚人たちと教会に入ると、上映されたのは、ディズ二―アニメのプルートのコメディー。
囚人たちは大笑い。サリヴァンもつられて大笑い。
(サリヴァンと監視員)
サリヴァンは、考えた。
新聞に大きく写真まで載れば、自分が生きていると気付かれ、助けが来るだろう。
そう思い監視員に「どうすれば新聞に大きく載るだろう」と訊くと、「殺人者は大きく載る」。
そうだと立ち上がったサリヴァン、「オレがサリヴァンを殺した」と現場のボスに告白。
新聞に「サリヴァン殺害犯逮捕」、の記事が載ると、その写真を見た関係者が、サリヴァン救出に動き、サリヴァンは元の生活に。
女性はハリウッドで、「亡きサリヴァンが見出した最後の宝」として既に売れっ子になっていた。
サリヴァンは彼女やスタッフに囲まれると、あの教会の上映会での囚人たちの心の底からの笑いを思い出し、自分はやっぱりコメディーを作りたい、誰かの心の支えになるそういうコメディーを、と思うのだった、でジエンド。
映画冒頭に、「全ての、寂しい人間の心に灯りをともした道化師に捧ぐ」というような献辞が出て来る。
常に喜怒哀楽の激し過ぎるテンションマックスな出し惜しみなしのプルート(つまり全犬)、最強と思った。囚人たちが観た映画では、プルートはスティッキーな紙に前脚がくっつき、それを取ろうとしてますます事態が悪化。そこに囚人たちは大笑い。常にプルートとはそういうキャラなのだが、全犬も、常にそういうキャラ。この時代のディズ二―アニメは物理が視覚化されているため、誰にでも思い当たる感覚表現になる。それをそうやったらそうなっちゃう……、やっぱりそうなった!と保護者気分。それを盛大にやらかすプルートやドナルドダックやミッキーは、動物あるある間違い祭り。大量のマイナスを神に捧げ、浄化。人間という窮屈な社会動物からただの動物に還り、ただただ大笑い(原始的感情の奪還)。
スクリューボールコメディーの傑作、という宣伝文句があったが、囚人たちが心の底から笑っている姿が胸に焼き付き過ぎ、むしろ感動的な社会派映画だと思った。
★スクリューボール・コメディ(Screwball comedy)は1930年代初頭から1940年代にかけてハリウッドでさかんに作られたコメディ映画のサブジャンル。常識にとらわれない登場人物、テンポのよい洒落た会話、つぎつぎに事件が起きる波乱にとんだ物語などを主な特徴とする[1]。「スクリューボール」は当時のクリケットや野球の用語で「スピンがかかりどこでオチるか予測がつかないボール」を指し、転じて突飛な行動をとる登場人物が出てくる映画をこう呼ぶようになった[2]。★
ヴェロニカ・レイクが大ブレイクしていた為、彼女ありきの宣伝。
★Wikipediaより★
『サリヴァンの旅』(サリヴァンのたび、原題:Sullivan's Travels)は、1941年制作のアメリカ合衆国のコメディ映画。プレストン・スタージェス監督。
1990年、アメリカ国立フィルム登録簿に登録された。
あらすじ
ジョン・サリヴァンはコメディ映画の監督として成功を収めていたが、最近自分の仕事に不満を感じ、社会派映画の撮影を熱望し始める。
サリヴァンは現実社会を知るためとして、ホームレスにカムフラージュして旅に出ようとするが、失敗を重ねてなかなかうまく行かない。
ある日、サリヴァンはハリウッドのカフェでブロンドの美女に出会う。彼女はエルンスト・ルビッチの映画に出演する夢に破れて、故郷に帰ろうとしていた。サリヴァンが映画監督だと知らない彼女は彼をホームレスだと思い込み、暖かいコーヒーをご馳走する。
これで意気投合したサリヴァンと彼女は、旅を再開するのだが…。
キャスト
- ジョン・サリヴァン:ジョエル・マクリー
- 美女:ヴェロニカ・レイク
- ルブランド氏:ロバート・ワーウィック
- ジョナス氏 - 広報担当:ウィリアム・デマレスト
- カザルシス氏:フランクリン・パンボーン
- ハドリアヌス氏:ポーター・ホール
- ジョニー・バルデル氏:バイロン・ファウルジャー
- 秘書:マーガレット・ヘイズ
- サリバン夫人:ジェーン・バッキンガム
- バロウズ - サリバンの執事:ロバート・グレイグ
- サリバンの従者:エリック・ブロア
- 医師:トーベン・マイヤー
- 老浮浪者:ジョルジュ・ルナヴァン
- レール・ヤード・ブル:エモリー・パーネル
- 説教師:ジェス・リー・ブルックス
備考
- 2000年の映画『オー・ブラザー!』の原題O Brother, Where Art Thou?は、本作の劇中でサリヴァンが作ろうとしていた映画O Brother, Where Art Thou?からとられている[2]。
- ★