『黒い河 Dark Waters』1944年
左から二番目の白いスーツの男シドニーに、殺される人や殺されそうになる人がいる話。
主人公は、この女性レズリー。
レズリーは、船の沈没により両親を亡くし、自分だけ助かった。
レズリーは、一度も会ったことのない、伯父伯母夫婦を頼って、二人の農園がある村に行く。
伯母が、レズリーの母の姉という関係。
しかし、その「伯父伯母」はなりすましの演技をしている。本当の伯父と伯母は、農園を所有して30万ドルで売って逃げようとしているシドニーによって殺された。
シドニーは手を下さない。指示を出すだけ。手下のクリーヴという男に実行させている。
(左がクリーヴ、右がシドニー)
シドニーは、レズリーの伯父伯母、そして事情を知る農園の使用人をクリーヴに殺させ、
(死んでいる使用人を発見したレズリー)
レズリーと、レズリーと恋仲になった、駅で気絶した彼女を助けた医師をまた殺そうとしている。
(レズリーと医師)
しかし酒に酔っているクリーヴが一回寝返り、その隙に医師とレズリーは沼に飛び込み逃げた(シドニーは、レズリーと医師が夜に船でデート中に転覆して死んだ、と見せかけたい)。
レズリーと医師が沼から上がると、クリーヴは流砂に飲まれて死ぬ。
案内人を失った余所者のシドニーに、医師が木の向こうからこの地の偽情報を言うと、シドニーは医師に言われた通りに銃を声の方に投げる。
医師はシドニーを生かしたまま警察に連行しようとしている。
船に三人乗り込むと、シドニーがふと不敵な笑みを浮かべる。また何か悪だくみを思いついてしまったか、と観客がひやりとするも、レズリーはここへ来ての不安を払拭し、「大丈夫」と晴れやかな表情で船を運転し出し、医師がシドニーに銃を向けているため、ああもう大丈夫か、となったところで、ジエンド。
レズリーがこの地に着き間もなく、流砂って怖いんだ、という話になる。それが伏線。
★流砂(りゅうさ、りゅうしゃ、英: quicksand)とは、水分を含んだもろい地盤、またはそこに重みや圧力がかかって崩壊する現象である。
砂・泥・粘土などの粒子が、地下の湧水などによって水分が飽和状態になることにより形成される。流砂は圧力がかかって崩壊するまでは、一見普通の地面のように見えている。★
シドニーはクリーヴと共に、レズリーを「気晴らしになる」と映画館に連れ出す。
その内容は、船の転覆もの。レズリーは両親の死を想起し、不安になり、席を立つ。シドニーはクリーヴを「何でこんな映画を選んだんだ」と叱るが、これも悪だくみのうち。レズリーを精神的に追い詰める為の戦略の一環なのだ。シドニーはこれ以外にも、沼のほとりに蓄音機を置き、レズリ―の名を呼ぶ声を夜に流す。それを幻聴だと思い込んだレズリ―は、ますます不安に。しかし、使用人もこの声を聞いていると分かり、レズリ―は安心。しかしその使用人は翌朝殺されている。
と、とにかく常に行動が監視され、希望が見えると即潰されていく、監獄・プリズナー状態なのだ。
窓の向こうが、偽の伯父と伯母。伯母は接しているうちにレズリーを好きになってしまい、レズリーの幸福を願ってしまう。ここが面白かった。
偽のエミリー伯母役の、フェイ・べインター。
一見親切そう、というのが、実は一番怖いのかもしれない、と思った。
★Wikipediaより★
ダークウォーターズは、フランシスとマリアンコックレルによる同名の小説に基づく1944年のアメリカのゴシックフィルムノワールです。監督はアンドレ・デ・トス、
主演はマール・オベロン、
プロット
潜水艦に沈められた船の生存者であるレスリー・カルヴィンは、療養のために叔母と叔父のルイジアナのプランテーションに向かいますが、会ったことのない親戚は別の考えを持っています。彼女は地元の若い医師、ジョージ・グローバーと親しくなる。
『風と共に去りぬ』で気さくなジェラルド・オハラを演じたトーマス・ミッチェルは、プランテーションの謎めいたうるさい客。『風と共に去りぬ』を彷彿とさせるように、叔母はレスリーに「明日は別の日よ」と告げる。
キャスト
- マール・オベロン - レスリー・カルヴィン
- フランショ・トーン:ジョージ・グローバー博士
- トーマス・ミッチェル(ミスター・シドニー役
- フェイ・ベインター(エミリーおばさん役
- エリシャ・クック・ジュニアクリーブとして
- ジョン・クオレン(ノーバートおじさん役
- レックス・イングラム - ピアソン・ジャクソン
- ニーナ・メイ・マッキニー(フロレラ役
- オデット・マーティル(Odette Myrtil)はママ・ブードロー(Odette Myrtle)役
- ユージン・ボーデン(パパ・ボードロー役
- リー・ホイッパー (クレジットなし)
レセプション
この映画は、ニューヨーク・タイムズ紙が「きちんと制作され、監督され、優れたキャストによってよく演じられた」と評するなど、意図したとおりに達成したとして概ね好評を博した。(注3)