『大自然の凱歌 COME AND GET IT!』1936年
舞台は、19世紀末から20世紀初頭のウィスコンシン州↓とイリノイ州シカゴ。
邦題を付けるなら、「マッチョな太閤秀吉」という感じ。この世の何もかもを自分のものにしてやるぞという野心で田舎からシカゴに進出した男が、最後老いのためストップがかかり、全然愛していなかった政略結婚の相手の妻にまるで息子のように回収され、吹っ切れて強欲から解放される話。
スウェーデン人の人懐っこいスワンが、スナフキンのようにいい味を出している。
この長い付き合いの親友スワンがいなかったら、主人公バーニーの油ぎった欲望で噎せるしかなかった。
製紙業会社の一員として木材の伐採地にいるバーニーは、成り上がり、10年後には大金持ちに、という野望を抱いていた。
腕っぷしが強いバーニーは、粗い気質の従業員(木こりたち)を統べている。
そこへ長年の友人である、スウェーデン人のスワンがやって来る。
彼がバーニーに飛びつくと、バーニーは即従業員二人との取っ組み合いをやめ、大手を広げて陽気になる。そんな、心が解放される本物の友情。
久しぶりに会ったスワンと酒場に行くと、バーニーはそこの歌手のロッタに一目惚れ。
勢いでその店からロッタを連れ出すと、ロッタを囲う。
しかしバーニーは、社長の娘と結婚することになっていた。
バーニーが消えると、可哀そうに思ったスワンがロッタと結婚。
時が経ち、バーニーはシカゴで社長の娘と家庭を持ち、息子と娘がいる。
娘には婚約者がいるが、本人はあまり乗り気ではない。バーニーも相手が気に入らない。
この家庭では、父と娘、母と息子が気が合うコンビ。
息子は、父の会社に勤めている。しかしよくある父と息子の確執(つまりジェネレーションギャップ)があり、
息子は、父の、ばんばん伐採するだけで全く植林しない長期的展望のないその場凌ぎの反SDGsなやり方に抗議。
しかしバーニーは聞く耳を持たない。
息子が会社内の同世代の従業員トニーと紙コップを開発したいと思っていると言うと、人は昔からグラスでビールを飲んできたんだ、と一蹴。(この時代は基本馬車。車が物珍しく、爆発すると困るから見張っている、という、車との緊張関係時代。)
そんな中、家にスワンからの手紙が来る。
読み上げる、バーニーの娘。
文面からは、ロッタが死去していることが分かる。
スワンには、娘がいる。
シカゴにスワンを呼ぶと、スワンの娘は母に瓜二つ、名前もロッタ。一人二役なのだが、映画は、こういう演出が面白い。
即ロッタに心を奪われる、バーニー。
バーニーは自分の若かった頃を思い出し、活力が蘇る。
娘が婚約を破棄すると、バーニーは、良かったと言う。
この娘は、バーニーの会社の、紙コップを息子と一緒に開発しているトニーという従業員と実は相思相愛。
会うとトニーはまるで昔の自分を見るような、誰にも媚びない感じの活力があり、一目で気に入ったバーニーは、娘との結婚を喜ぶ。(娘は父の人生を分かっていて、自分はパパのように愛のない人生は嫌なの、と直接父に言う。父はそれを理解する。)
バーニーは、紙コップの商品化を息子に許可する。
バーニーはシカゴの会社でスワンに仕事を与えたが、実は幽霊社員で、スワンはやることがなく手持ち無沙汰。
スワンは、地元に帰りたいと言う。
ロッタも帰りたいと言い出すが、バーニーは、二人でニューヨークに行こう、俺は離婚してお前と結婚する、と言う。
しかしロッタは、紹介されたバーニーの息子と即相思相愛になっていたのだった。
(左から、バーニーの息子。娘の方のロッタ、その父スワン、ロッタの従妹。)
(従業員の家庭を訪問した息子、ロッタが煮ていた飴の鍋をこぼし、急接近。↓飴を延ばしている。)
パーティーの最中息子とロッタがキスしている現場を見たバーニー。
怒って息子を殴ると、息子は殴り返す。ロッタの「やめて、お父さんは若くないのよ」でバーニーは疎外感を感じ覚醒。
正気に戻り、うなだれ、階段を下りてゆくと、妻がバーニーの身だしなみを直し、まるで息子のように慰める。
それでふっきれたバーニーは、涙を流しながら鐘を鳴らし、「さあ、食事の用意が出来たぞ!(Come and get it!)」とパーティーの招待客に告げ、ジエンド。
バーニーの妻が一人だけ静かで賢人、と思った。
運命に逆らわないタイプの人なのだろう。
原題の「Come and get it!」は、「Dinner is ready!」という意味。
邦題の『大自然の凱歌』の「歌」とは、何度もロッタが歌った「オーラ・リー」を指しているのだろう。
この曲は、プレスリーの「ラブ・ミー・テンダー」そっくり。
ラヴ・ミー・テンダー (エルヴィス・プレスリーの曲) - Wikipedia
凱歌とは戦いの勝利を祝う歌。
つまりバーニーは時の流れという大自然(例えば息子)に負けた、とも言える。
映画の中の時代の大統領は、セオドア・ルーズベルト。セオドア・ルーズベルト - Wikipedia
原作はエドナ・ファーバー。
酒場でのいかさまへの対処法が面白かった。
豆が、伏せた三つのカップのうちどの中にあるかの賭け。
最初客に当てさせ、調子に乗って大金を賭けたところで、(多分)台の穴に豆を隠し、客がどのカップを指しても、それを開けたら豆はない、といういかさま。バーニーは、自分がこれ、と一つのカップを指さすと、そのカップを開けさせず、他の二個をオープンさせ、ない、じゃあおれの勝ち、金くれ、と勝つ。
その後スワンとテーブルについたバーニー。するとボスから持たされた毒入りの酒を持って、ロッタがやって来る。
「こんな店にいるな、俺が学費を出してやるから好きなことを勉強しろ」と言ってくれたバーニーに、ロッタは毒入りの酒を捨ててしまう。
しかし、このまま店を出られないことをロッタが言うと、バーニーとスワンは大暴れし、ロッタも加勢して店から逃げ、三人の生活が始まるのだ。
この三人の関係は、活力があってとてもいい。つまり、ザ・青春。
ウィスコンシン州の雪深い伐採村でのサウナのスチームが、とても気持ちよさそうだった。
ウィスコンシン州の雪と松。
ウィスコンシン州
映画の中では、木材や樹木をティンバー( timber )と言っていた。
★ティンバー( timber )は「 材木 」や「 木材 」あるいは「 樹木 」などを 意味する 語。 アメリカ英語 では lumber ( ランバー )ともいう。★
★Wikipediaより★
『カム・アンド・ゲット・イット』は、ハワード・ホークスとウィリアム・ワイラーが監督した1936年のアメリカの木こりドラマ映画です。ジェーン・マーフィンとジュールズ・ファースマンによる脚本は、エドナ・ファーバーによる1935年の同名小説に基づいています。
スワン・ボストロム役のウォルター・ブレナンは、アカデミー賞助演男優賞を初めて受賞しました。
プロット
冷酷な木こりの職長バーニー・グラスゴー(エドワード・アーノルド)は、いつの日か19世紀のウィスコンシン州で伐採業の責任者になるという目標を達成するために、何でもやめます。成功への彼の決意は、サルーン歌手ロッタモーガン(フランシス·ファーマー)との関係を終わらせ、エマ·ルイーズ·ヒューイット(メアリー·ナッシュ)、彼の上司ジェド·ヒューエット(チャールズ·ハルトン)の娘と結婚し、彼のビジネスのパートナーシップを確保することにつながります。
それから20年以上が経ち、裕福で成功したバーニーとエマ・ルイーズの息子リチャード(ジョエル・マクリー)は、新しい木を植えずに森を破壊する父親のやり方に強く反対する。バーニーは、バーニーが彼女を拒絶したときにロッタと結婚した旧友のスワン・ボストロム(ウォルター・ブレナン)を訪ねる。スワンは現在、男やもめで、母親に酷似したロッタ(これもフランシス・ファーマーが演じる)という娘を育てています。バーニーは少女に惹かれ、愚かにも若い頃に捨てた愛を取り戻したいと思い、彼女の教育費を申し出る。リチャードがロッタに会い、彼女に強い関心を抱き、それが報われ、バーニーの不快感と嫉妬を買うと、複雑な事態が起こります。
キャスト
- エドワード・アーノルド:バーニー・グラスゴー
- フランシス・ファーマー:ロッタ・モーガン/ロッタ・ボストロム
- ウォルター・ブレナン:スワン・ボストロム
- ジョエル・マクリー - リチャード・グラスゴー
- マディ・クリスチャンズ(カリー役
- メアリー・ナッシュ:エマ・ルイーズ・グラスゴー
- アンドレア・リーズ(Evvie Glasgow役
- チャールズ・ハルトン:ジェド・ヒューイット
- フランク・シールズ:トニー・シュヴェルケ
- エドウィン・マクスウェル - シド・ルメール
- セシル・カニンガム(ジョシー役
- ヘイニー・コンクリン(バーフライ役)(クレジットなし)
- ハリー・テンブルック - 木こり (クレジットなし)
- フレッド・トゥーンズ(Snowflake役)(クレジットなし)
生産
サミュエル・ゴールドウィンは、エドナ・ファーバーの小説の映画化権に15万ドルを支払い、エドナ・ファーバーはそれを「主にアメリカのレイプの物語」と意図していたことを理解したと確信して彼に売った。あの日の盗賊男爵によって」ゴールドウィンは、物語のメロドラマ的なバーバリーコーストのような側面に惹かれ、その映画の監督であるハワード・ホークスを雇い、『カム・アンド・ゲット・イット』をスクリーンに登場させるように促しました。彼はまた、ホークスの祖父がバーニー・グラスゴーのキャラクターの基礎となったという事実にも興味をそそられた。ファーバーはジェーン・マーフィンの脚本を承認し、ホークスはそれを欲しがり、彼女とゴールドウィンを説得して、ジュールズ・ファースマンを招いて書き直しに取り掛かることを許可した。(注1)
ゴールドウィンはミリアム・ホプキンスがロッタ・モーガンとロッタ・ボストロムの二役を演じると発表したが、ホークスは彼の選択に満足していなかった。彼はスター志望者のスクリーンテストを数多く検討し、最終的に、以前はいくつかの映画で脇役やクレジットされていない役を演じていたアンドレア・リーズに落ち着きました。最終的に彼は彼女をさらに経験の浅いフランシス・ファーマーに置き換え、代わりにリチャードの妹であるエヴィー・グラスゴーの脇役にリーズをキャスティングした。ゴールドウィンはMGMからスペンサー・トレイシーをバーニー・グラスゴー役に借りようとしたが、ルイス・B・メイヤーが最大のライバルのために働くことを拒否したため、契約選手のエドワード・アーノルドがその役を任された。(注2)
撮影が始まって間もなく、ゴールドウィンは2度の大手術を受け、長期間にわたって行動不能となり、スタジオや毎日の慌ただしさから遠ざかっていた。ホークスはこの状況を利用し、ファースマンがファーバーの原作のトーンを完全に変えることを許した。細身のウォルター・ブレナンを、ファーバーが「北の森で最強の男」と評したスワン・ボストロム役にキャスティングし、ゴールドウィンが決して承認しなかったであろう撮影スケジュールと予算を手配した。(注3)
スタジオに戻ったゴールドウィンは、映画のラフカットを見て、ホークスが土地の奔放な破壊から、喧嘩腰のバーニー・グラスゴーとスワン・ボストロムが好色なロッタ・モーガンの愛情を競い合う三角関係に焦点を移したことを知ってショックを受けました。2人目の主役になるはずだったリチャード・グラスゴーのキャラクターは、ホークスのような即興の雑用でごちゃごちゃした映画にほとんど登場しなかった。監督がゴールドウィンの大幅な変更要求に応じなかったため、プロデューサーはホークスをプロジェクトから解雇した。(注4)
ウィリアム・ワイラーは『ドッズワース』のポストプロダクション作業を始めていたが、ゴールドウィンの家に呼ばれ、『Come and Get It』を完成させると告げられた。ワイラーは他人が始めた映画を引き継ぐのを嫌がったが、ゴールドウィンは引き受けることを拒めば出演停止になると脅した。彼はしぶしぶそうしたが、後年、彼は「私はそれをやるように言われて、それ以来ずっとそのことを後悔している。写真はあまり良くありませんでした。ワイラーは2週間を費やして、完成した映画の最後の3分の1ほどの部分を撮影しました。彼はゴールドウィンが彼に唯一の監督クレジットを与えたいという欲求に強く反対し、彼の名前が映画にまったく付けられないことを望んだ。彼はついに折れたが、それはゴールドウィンがホークスにトップビリングを与えることに同意したときだけだった。ワイラーは『カム・アンド・ゲット・イット』を自分のフィルモグラフィーの一部とは考えず、可能な限りそれを否定したが、ファーバーは大いに喜んだが、ファーバーはゴールドウィンを「勇気、聡明さ、決断力」と称賛し、「完成したホークスの写真を捨てて、新しい写真に相当するものを作るという巨大な仕事を引き受けた」ことで示した。[5][6]
屋外のシーンは、アイダホ州のノースフォーククリアウォーター川沿いで撮影されました。
サウンドトラックには、ジョージ・R・ポールトンとW・W・フォスディックの「Aura Lea」と、アルフレッド・ソルマンとアーサー・J・ラムの「The Bird on Nellie's Hat」が収録されています。
適応
エドワード・アーノルドとウォルター・ブレナンは、ファーバーの小説を2つのラジオで映画化したバーニー・グラスゴーとスワン・ボストロムのそれぞれの役を再演した。1回目は1937年11月15日にラックス・ラジオ・シアターで1時間放送され[7]、2回目は1942年3月15日にスクリーン・ギルド・シアターで放送された30分版である。(注8)
批評家の反応
『ニューヨーク・タイムズ』紙のフランク・S・ニュージェントは、50年にわたるファーバーの物語を一つの世代の物語に圧縮することで、「物語のパノラマの広がりを阻止し、アメリカのシーンの壁画から、生き生きとしたトーンの男の肖像画に変えた」と感じた。というのも、バーニーは小説の核心であり、彼が死んだとき、その鼓動は止まったと感じたからだ」さらに「このテーマに目新しいものはないが、数々の素晴らしい演奏によってシンプルかつ力強く表現されており、興味深い背景を背景に演奏されている。伐採作業の非常に生々しいシーンがいくつかあり、80年代後半から90年代初頭の雰囲気が設定や衣装で見事に再現されています。 。 。それはあなたの注意に報いることは決してありません。この作品は、監督のハワード・ホークスとウィリアム・ワイラーのおかげで、静的なものは何もありません。グレッグ・トーランドの写真と、一様に素晴らしいキャストの作品に」彼は「『Come and Get It』は徹底的にファーバーの作品だとは思わないだろうが、彼女の作品は十分に残されており、ゴールドウィンも十分に加わっているので、本当に満足のいく作品に仕上がっている」と締めくくった。(注9)
イギリスのチャンネル4は「確かにホークスのマイナーな作品で、アクションは時々遅れる傾向があるが、ファーマー、ブレナン、マクレアの素晴らしいパフォーマンスがそれを成し遂げている」と評した。(注10)
受賞歴
この演技により、ウォルター・ブレナンはアカデミー賞助演男優賞の初代受賞者となった。エドワード・カーチスはアカデミー賞編集賞にノミネートされたが、アンソニー・アドバースのラルフ・ドーソンに敗れた。
この映画は、アメリカン・フィルム・インスティテュート(American Film Institute)の以下のリストに認定されています。
- 2002年:AFIの100年...100 Passions – ノミネート[11]★