『ノートルダムの傴僂男 The Hunchback of Notre Dame』1939年
引きこもりでコミュ障で自己肯定感の低いノートルダム寺院の鐘撞き男カジモドが、「自分のお姫様」を絞首刑から救うが、お姫様は婚約者であった放浪詩人と去っていってしまう話。
寺院の前に捨てられていて、寺院で育てられたカジモド。
成人したカジモトは見た目に劣等感があり、大きな鐘の音を近くで聞き続けてきたため耳が聞こえない。
そんなカジモドが、美女エスメラルダに恋をした。彼女は、入国許可されていないロマ人(ジプシー)。
カジモドは、寺院の外に出て、エスメラルダを攫おうとして、さらし刑になる。エスメラルダは、さらし刑にされて喉が渇いて「水!水!」と訴えるカジモドに水をくれたりする、優しい女性。
エスメラルダは、放浪の詩人と婚約する。しかしエスメラルダは、フェビス大尉に心を奪われる。大尉もエスメラルダに心を奪われる。夜にエスメラルダと大尉が情事に及ぼうとすると、そこへ、同じくエスメラルダに心を奪われた、王の気に入りで大司教の弟でカジモドの育ての親である伯爵がやって来る。そして大尉を殺す。
伯爵は、エスメラルダに言い寄り、拒否されていたのだった。承認欲求を打ち砕かれ、自尊心の傷付いた伯爵は、「あの女は人を誘惑する魔女、だから殺さねば」という論理で彼女に罪を着せ、絞首刑にしようとする。
カジモドは、エスメラルダの裁判に突入し、「犯人は自分だ」と言いエスメラルダを助けようとするが、「ますます頭がおかしくなった」と取り合ってもらえない。
エスメラルダの絞首刑の日が来た。
カジモドは、処刑台にのぼったエスメラルダを、ターザンのような空中ブランコのようなノリでロープを使って攫い、聖域であるノートルダム寺院にたてこもった。
聖域をなくせという貴族と、聖域をなくさせるなという民衆が対立しているところへ、鐘楼から煮えた鉛(笑)を流し落とすカジモド。
伯爵は、王にも大司教にも自分が犯人だと告白する。
鐘楼に伯爵がエスメラルダを攫いにやって来ると、カジモドは一対一で闘い、伯爵を落とし殺す。
騒ぎが収まりロマ人の入国が許されたとなり、大司教がエスメラルダに「カジモトがあなたを絞首刑から救った、そして婚約者があなたに自由に与えた(婚約者である放浪詩人は、ロマ人の入国制限をフリーにするため、また貴族によるノートルダムの聖域撤廃に反対を訴えるため、出来たばかりのグーテンベルグの印刷機を使ったビラの配布や署名運動などを物乞い集団に混じってしていた)」
と言い、エスメラルダは最初不安な面持ちで、やがて婚約者に身も心も預けるようにして笑みを浮かべ、荷車のようなものに乗って広場を去ってゆく。
それを鐘楼から一人で見送るカジモドは、魔除けの石像にもたれ、寂し気に「自分も石像だったら良かったのに……」と呟くのだった。
カジモドは、可哀そうではない。
これはカジモドの、初めての大きな闘い。カジモドの自分革命。
これでカジモドは、自分の人生の幕開けが出来たのだ。
自分の愛するものを守れるということが、自尊心に繋がるのだろう。だから、好きや可愛いは大事。
カジモドを演じた役者がチャーミングなので(演・チャールズ・ロートン)、
民衆がどんなに不気味だと言っても、どんな特殊メイクを施して隠しても、カジモドから可愛さが滲み出てしまっていた。
誘惑された方が悪いんじゃない、誘惑した方が悪いんだと、魅力ある女性を魔女にし処刑するというのは、太るのは自分の自己管理の甘さ故ではない、甘いものがあるからだ、と菓子製造会社を非難するかのような、ズルい責任転嫁だと思った。
寺院という聖域にまつわる話つながりで、三島由紀夫の『金閣寺』を、中世の閉じられた場所での人間という生き物の不気味さということで『羅生門』を想起。
『ノートルダムの傴僂男』は、15世紀の、百年戦争後の疲弊した、迷信と偏見に満ちたパリが舞台。
地球が丸いと言うと笑われ、どこまでも平ら(天動説)だと訂正される世界線。
国王はルイ11世。ルイ11世 (フランス王) - Wikipedia
ノートルダム大聖堂。ノートルダム大聖堂 (パリ) - Wikipedia
ノートルダムの鐘楼。
素晴らし過ぎる。ずっと聞いていたい
★『ノートルダムの傴僂男』(ノートルダムのせむしおとこ、The Hunchback of Notre Dame)は、
ウィリアム・ディターレ監督、
パンドロ・S・バーマン(英語版)製作による1939年のアメリカ合衆国の映画である。ヴィクトル・ユーゴー
の小説『ノートルダム・ド・パリ』
を原作としており、チャールズ・ロートンがカジモド役、モーリン・オハラがエスメラルダ(英語版)役を務めた[2][3]。
キャスト
- カジモド - チャールズ・ロートン
- エスメラルダ(英語版) - モーリン・オハラ
- ジャン・フロロ(英語版) - セドリック・ハードウィック
- クロパン・トルイユフー(英語版) - トーマス・ミッチェル
- ピエール・グランゴワール - エドモンド・オブライエン
- フェビュス隊長(英語版) - アラン・マーシャル(英語版)
- クロード・フロロ(英語版) - ウォルター・ハンデン(英語版)
受賞とノミネート
賞 | 年 | 部門 | 結果 |
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アカデミー賞[4] | 作曲賞 | アルフレッド・ニューマン | ノミネート |
録音賞 | ジョン・アールバーグ | ノミネート |
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