『ジキル博士とハイド氏』1941年
原作は、冒険小説『宝島』も書いたロバート・ルイス・スティーブンソン。
「ジキル博士とハイド氏」とは、人間の善と悪の二面性の話。人の心の荒野の冒険小説とも言える。
ハイド氏になったときの彼は脳が100%開いているという感じで、それが怖い。
全く遊びのないハンドルのようで。使い切っていて、余裕ゼロ。それがつまり狂気。
善とは、使い切らないエコ、エシカル・倫理のことなのかもしれない。
人がこの星全部を人仕様にしたらそれは狂気。
自分の能力を証明したいからと、その証明したい相手の家の前で徹夜で演奏し続けたらそれは狂気。
特殊メイクの効果も借りたとはいえ、ジキル博士とハイド氏の醸すオーラを完全に演じ分けたスペンサー・トレイシーが名優過ぎる。
(ジキル博士からハイド氏への変身シーン。)
ハイド氏になると、とたんに塀を軽々飛び越えるのに笑ったが、つまり人間というのは、普段は4、50%しか出力していないのであり、本気出したら野獣なのであり、だから外交対面シチュエーションでは本気出さないのがマナーなのだ。
誰もがジキル博士とハイド氏を内包していて、どっちも必須。ジキル博士が理性・ブレーキ、ハイド氏が感情・アクセル。
このブレーキを失った状態が、感情振り切っちゃった放電状態、つまり躁鬱病、最近の呼称では双極性障害なのだろう。
ジキル博士は研究もする医師。間もなく上流階級の美女と結婚というところ。
しかし女性の父が、早急さにブレーキをかける。
(女性の父も牧師も同席している食卓。)
今すぐにでも一緒になりたいという気持ちをセーブされたところに水商売の美人と遭遇、
それが引き金・トリガーとなり、ジキル博士の悪が引き出された。折りしも彼は動物実験で二面性を引き出す、又は感情のブレーキを外し狂暴になる薬と逆に戻す薬の開発に成功、
自分が服用し、ジキル博士とハイド氏、一人で二人を行き来することに。
店に金を出し水商売の女性を辞めさせ囲うと、ハイド氏はその女性の自由を奪い、追い込んで楽しむ。
最後には正体がバレ、
(ジキル博士と警官と執事)
一番の親友に撃ち殺されて、ジエンド。
ヤヌスの鏡、メルモちゃん、吸血鬼ドラキュラ伯爵、を想起。
息抜きは大事と思った。ジキル博士は、自分の偽善(ジキル博士の社交)にウンザリしていたのだ。
こういう悲劇(溜めに溜めた個人の感情爆発による周囲巻き込み被害)が起こらぬために、あらゆる祭りはガス抜きとして昔から存在してきたのだろう。
★Wikipediaより★
『ジキル博士とハイド氏』(ジキルはかせとハイドし、Dr. Jekyll and Mr. Hyde)は、1941年のアメリカ映画で、1931年に作られた同名の映画のリメイク作品である。1949年の日本劇場公開時の題名は『ジェキル博士とハイド氏』。DVD発売時に改題されている。
概要
の小説『ジキル博士とハイド氏』で、監督はパラマウント映画から出された1931年の同名の映画の権利を手に入れ、この映画と同じくメトロ・ゴールドウィン・メイヤーから出された『風と共に去りぬ』と『オズの魔法使』の監督を務めた、ヴィクター・フレミング。
プロデューサーは、ビクター・サヴィルで、脚本は初期のパーシー・ヒースとサムエル・ホフステインが演じた映画の脚本を元に、ジョン・リー・メイヒンが担当。音楽の製作は、フランツ・ワックスマンが、ダニエル・アミフィシアトロフとマリオ・カステルヌオーヴォ=テデスコからノンクレジットの提供を受けたものである。
撮影はジョセフ・ルッテンバーグが行い、美術はセドリック・ギボンズ、そして衣裳のデザインはエイドリアンとジャイル・スティールが担当した。
出演したスターはスペンサー・トレイシー、イングリッド・バーグマン、ラナ・ターナー、ドナルド・クリスプ、イアン・ハンター、バートン・マクレーン、C・オーベリー・スミスとサラ・オールグッドである。
あらすじ
ジキル博士は人間には皆善い面と悪い面があると信じている。実験により彼の悪い面・ハイドがあらわになった。実験はジキル博士にハイドがどれだけ悪い面があるかを教えた―ハイドは早くからジキルに興味を示したアイヴィー(イングリッド・バーグマン)や、ジキルの養父であるチャールズ卿(ドナルド・クリスプ)を殺害することができたのだった。物語の最後、ジキル博士の親友であるラニョン博士がジキルに向かって発砲したことにより、ハイドは殺され、かくしてジキルも死んだのだった。
キャスト
- ヘンリー・‘ハリー’・ジキル、ハイド - スペンサー・トレイシー
- アイヴィー・ピーターソン - イングリッド・バーグマン
- ベアトリクス・‘ベア’・エメリー - ラナ・ターナー
- チャールズ・エメリー卿 - ドナルド・クリスプ
- ジョン・ラニョン - イアン・ハンター
- サム・ヒギンズ - バートン・マクレーン
- ビショップ・マナーズ - C・オーブリー・スミス
- プール(ジキルの執事) - ピーター・ゴドフリー
- ヒギンズ夫人 - サラ・オールグッド
- ヒース博士 - フレデリック・ウォルロック
- フェンウィック研修生 - ウィリアム・タネン
- マルシア - フランセス・ロビンソン
- フレディー - デニス・グリーン
- ウェラー氏 - ビリー・ビーヴァン
- プローティー - フォレスター・ハーヴェイ
- ウェイマウス大佐 - ラムデン・ヘア
- カートランド博士 - ローレンス・グラント
- 教会にいた巡査 - ジョン・バークレー
日本語吹替
役名 | 俳優 | ||
---|---|---|---|
ヘンリー・‘ハリー’・ジキル、ハイド | スペンサー・トレイシー | ||
アイヴィー・ピーターソン | イングリッド・バーグマン | ||
ベアトリクス・‘ベア’・エメリー | ラナ・ターナー | ||
チャールズ・エメリー卿 | ドナルド・クリスプ | ||
ジョン・ラニョン | イアン・ハンター | ||
プール(ジキルの執事) | ピーター・ゴドフリー |
キャスティング
有名な共演者に会ったことがないにもかかわらず、スペンサー・トレイシーは当初バーグマンとターナーの役である悪い女といい女でありながら同一人物とわかってしまう女性を、キャサリン・ヘプバーン
に演じることを望んでいた。
受賞歴
この映画はアカデミー賞のうち3部門(最優秀映画賞(白黒映画)、最優秀脚本賞、最優秀音楽賞)のノミネートを受け、ドラマチックな映像が評価された。多くの会話、滑らかな展開、キャストの豪華さ、典型的なMGMスタイル、そして音楽の美しさといった、1931年の作品にはない要素がこの作品には詰まっている一方、1931年の作品には、本編全体を通して、音楽がまったく使われていなかった。
備考
- 1946年のワーナー・ブラザースのメリー・メロディーズ作品『Hare Remover』
- において、エルマー・ファッドが招待してもらった家で薬を一杯服用して醜態をさらしている時、バッグス・バニーが観客に向かって「スペンサー・トレイシーの方が良かった!」と発言している。
- おもしろいことにワーナー・ブラザースは、1986年以前のMGM作品を管理していたターナーエンターテイメントを1996年に入手したため、この映画と1931年の映画の権利を得ている。現在、正規版DVDが発売中で、大変珍しい両面1層となり、A面に1931年版、B面に1941年版が入る。また上記とは別のバッグス・バニー作品『ジキルとハイドとバッグス』(1955年、原題:Hyde and Hare)も特典として収録されている。★