『ローラ殺人事件』
原題は『Laura』。それを『ローラ殺人事件』という邦題にすることで二時間サスペンスドラマのように「なってしまう」、と思いきや、正にそのような二時間サスペンスドラマの原型が、例えばこの時代のこのような映画なのだろう。脚本が凄い。用意周到。というか、用意周到にしないとマズいジャンル(笑)。それが犯罪物。
ローラの家で、顔を撃たれた女の死体が発見され、すわローラ殺人事件となったが、実はローラは殺されていなかった。さあ誰が殺され、誰が殺したのか、という話。
真犯人が誰か分からぬよう観客をけむに巻かねばならない。それには脚本が肝。
『古畑任三郎』を想起。殺人事件なのにやけに落ち着いている。殺人事件なのに死体は見せない。死体は、死人は、話にしか出てこない。
関係者の感情の動き、心理がドラマ。
結局、担当警官とローラが恋に落ちる。
警官は、死んだはずのローラに恋をし、部屋に飾ってあったローラの肖像画を裏で買ってしまう。その絵はオーラを発しているのだが、それを描いた画家もローラを愛し、変死したという。
ファムファタール物とも言えるのだろう。
それが納得できる、生前のローラの瑞々しい映像。
しかし死んだはずのローラは田舎の別宅から戻って来る。その姿を見て卒倒する、ローラを引き立てキャリアを築かせた大作家。
実はこの大作家が、薄暗がりの中、ローラだと思い間違ってローラに似た背格好の女性を撃ち殺したのだった。
この大作家はローラを愛していて、パトロン的な位置にいた。
しかしローラが他の男と結婚するとなり、ローラを失うなら殺してしまおうと、撃ち殺したつもりが別人だったという話。
散弾銃二発で、誰だか分からないほど顔を無くせるのか、そしてDNA鑑定の無い時代とはいえ、別人がローラになりすませるのか、と思うが、顔以外はスタイルも髪型もファッションセンスもことごとく似た女性だったので、有り得る、と納得できた。
観光地にある顔出しパネルを想起。
石山寺ということは、紫式部なのでしょう。
石山寺の紫式部(1) 紫式部といえば… | 大本山 石山寺 公式ホームページ (ishiyamadera.or.jp)
山村美紗本を想起。
ローラを演じたジーン・ティア二―↓のオーラが本物の美女だったため、劇に入り込めた。
この写真↓のジーン・ティア二―はキャサリン・ゼダ・ジョーンズに似ている。
キャサリン・ゼダ・ジョーンズ。
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Amazon商品ページより★
中欧劇団出身でプロデューサーであり監督であり俳優でもあるオットー・プレミンジャーが製作監督の作品。ニューヨークで名高いデザイナーのローラ・ハントが猟銃で顔を射たれて、見るも無惨な死体となって発見された。警視庁の腕利きの探偵マーク・マクファースンが係となって探査を進めたが、 犯人の確証がなかなかつかめなかった。容疑者はローラの婚約者で同じくデ ザイナーのシェルビー・カーペンター、ローラの親友で批評家として新聞ラジ オで有名なウォルドー・ライデッカー、ローラの叔母でシェルビーと親しいア ン・トレドウェルの3人で、いずれも怪しい筋はあるが、下手人として逮捕することは出 来なかった。探偵はシェルビーを問い詰めて金曜日の晩に彼がダイアンと共にロー ラのアパートに居たこと、扉口の暗がりで銃殺されたのはダイアンであることを白状させた。月曜の夜探偵がローラの部屋を調べて疲労の余り居眠っていると、折柄の雨の中を突如...。★
★Wikipediaより★
『ローラ殺人事件』(ローラさつじんじけん、Laura)は、1944年のアメリカ合衆国のミステリ映画。 監督はオットー・プレミンジャー、出演はジーン・ティアニーとダナ・アンドリュースなど。 女流作家でシナリオライターでもあるヴェラ・キャスパリー(英語版)の1942年発表の同名小説(英語版)を原作としている。 1940年代のフィルム・ノワールの中でも、特に後年までカルト的評価の高い作品で、1999年にはアメリカ国立フィルム登録簿に登録されたほか、AFIが2001年に選出した「スリルを感じる映画ベスト100」では73位、また2008年に選出した「10ジャンルのトップ10」のミステリ映画部門では4位にランクインしている。 本作は、ジーン・ティアニーの代表的な主演作でもある。[要出典]
第17回アカデミー賞では監督賞をはじめとする5部門にノミネートされ、撮影賞(白黒)を受賞した。
ストーリー
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新進気鋭ながら世評の高い美貌の女性コピーライター、ローラ・ハントが、散弾銃で頭を吹き飛ばされた惨殺死体となって自宅で発見された。
殺人事件の捜査担当刑事であるマクファーソンは、文筆家志望の新人であったローラを引き立てた恩人である著名エッセイストのライデッカーや、ローラの婚約者であったカーペンターなどに逢い、生前のローラの交友関係や人となり、コピーライター業界で名を成して行った過程などを調査して行く。
捜査の中で、ローラを殺す動機のあった者が複数浮上してきたが、決定的な証拠が見付からなかった。悩み疲れたマクファーソンは、生前のローラについて深く知るにつれ、いつしか既に亡い「まぼろしの美女」ローラに惹かれて行く。
キャスト
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ローラ・ハント:ジーン・ティアニー | ![]() |
マーク・マクファーソン:ダナ・アンドリュース |
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ウォルド・ライデッカー:クリフトン・ウェッブ | ![]() |
シェルビー・カーペンター:ヴィンセント・プライス |
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アン・トリードウェル:ジュディス・アンダーソン |
スタッフ
- 監督/製作:オットー・プレミンジャー
- 脚本:ジェイ・ドラトラー(英語版)、サミュエル・ホッフェンシュタイン(英語版)、エリザベス・ラインハルト
- 音楽監督:エミール・ニューマン
- 音楽:デイヴィッド・ラクシン
- 撮影:ジョゼフ・ラシェル(英語版)
- 編集:ルイス・レフラー(英語版)
- 美術:ライル・R・ウィーラー、リーランド・フラー
- 装置:トーマス・リトル(英語版)
- 衣裳:ボニー・キャシン
解説
元々この作品は、ルーベン・マムーリアンが監督、ダリル・ザナックのプロデュースで企画され、ザナックとは関係の悪かったプレミンジャーは脚本担当であった。しかし以前から映画監督志望であったプレミンジャーは、本作でのマムーリアンの手腕に不満を抱いており、ザナックへ監督交代の運動を図った。最初は渋っていたザナックも、マムーリアンが撮影した初期ラッシュを見てその出来に不満を感じたことで、考えを変えるに至った。その結果マムーリアンは降板させられ、代わって志願したプレミンジャーが監督に任ぜられた。
本作はプレミンジャーの初監督作品となったが、B級メロドラマ的設定ながらも、陰翳の駆使された映像美(撮影担当のジョゼフ・ラシェル(英語版)は本作でアカデミー撮影賞を獲得した)や、回想形式をも織り込んだ巧みなシナリオにより、密度の高いフィルム・ノワールとして完成した。
★フィルム・ノワール(仏: Film Noir、和直訳:「暗黒映画」)は一般に1940年代から1950年代後半にハリウッドでさかんに作られた犯罪映画のジャンルを指し、アメリカ社会の殺伐とした都市風景やシニカルな男性の主人公、その周囲に現れる謎めいた女性の登場人物(ファム・ファタール)などを主な物語上の特徴とする[1][2]。第二次大戦前後のアメリカ映画を分析したフランスの批評家によって命名された[3]。
映像面では照明のコントラストを強くしたシャープなモノクロ画面や、スタイリッシュな構図が作品の緊張感を強調するために多用される[4]。
こうした物語・映像表現上の特徴を受けついでヨーロッパや香港など世界各地で制作された映画を指して、「ネオ・ノワール」などと呼ぶこともある[5]。★
公開されるとデイヴィッド・ラクシンが作曲した流麗なテーマ曲『ローラ(Laura)』共々、大きなヒットとなり、プレミンジャーの出世作となった。
慇懃で尊大な初老紳士ライデッカーを演じて強烈な個性を見せたクリフトン・ウェッブは、特にプレミンジャーの希望で本作出演に至った。ウェッブにとっては10年以上のブランクを経ての久し振りの映画出演であったが、当時既に50歳を過ぎ、ブロードウェイの舞台俳優として盛名高かった彼は、実際に出演のオファーが来ると「ザナック? 知らないな」と配役・ライデッカーそのものの尊大な反応を見せ(映画界に無関心だったのである)、有名プロデューサーを自負していたザナックを怒らせたという。ウェッブの演技も助演ながら強烈な印象を残すもので、彼は以後1950年代にかけ、ハリウッド映画での主演・助演で活躍した。
受賞・ノミネーション
映画祭・賞 | 部門 | 候補 | 結果 |
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アカデミー賞 | 監督賞 | オットー・プレミンジャー | ノミネート |
助演男優賞 | クリフトン・ウェッブ | ||
脚色賞 | ジェイ・ドラトラー(英語版) サミュエル・ホッフェンシュタイン(英語版) エリザベス・ラインハルト |
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美術監督賞(白黒) | ライル・R・ウィーラー リーランド・フラー トーマス・リトル(英語版)(室内装飾) |
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撮影賞(白黒) | ジョゼフ・ラシェル(英語版★ |