『フリー・ガイ』
『フリー・ガイ』(原題:Free Guy)は、2021年アメリカ合衆国のSF映画。マット・リーバーマン(英語版)とザック・ペンの脚本、リーバーマンのストーリーをもとにショーン・レヴィが監督を務める。ライアン・レイノルズ、ジョディ・カマー、リル・レル・ハウリー、ウトカルシュ・アンブドゥカル(英語版)、ジョー・キーリー、タイカ・ワイティティが出演している。アメリカでは20世紀スタジオ、日本ではウォルト・ディズニー・ジャパンの配給により2021年8月13日に劇場公開された。
自分がビデオゲームの背景キャラクター(モブキャラ)だったことに気付いた男ガイの日々を描いており[7]、主演のレイノルズは本作を「現代版『バック・トゥ・ザ・フューチャー』」と称している[8]。
多重現実もの。
★主演のレイノルズは本作を「現代版『バック・トゥ・ザ・フューチャー』」と称している[8]。★
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納得。
創造主(父)の共同制作者であり思い人(母)▼と恋に落ちる、AIの息子▼。彼の性格はプログラムされた通り。
ライアン・レイノルズ演じる、命(人工知能)が宿って急速成長するゲームのモブキャラのリアル感情とリアルライフに感動。
そこから出られない「そこ」とはどこなのか、という世界観の問題提示。
とことん刺激的になっていく戦闘ゲーム。その中で殺されるために存在するモブキャラの中の一人が、成長を見守るだけのゲームソフトプログラムからの盗用移植のために、成長した。盗んだのはゲーム会社の社長。盗まれたプログラムを作ったのは、その会社の社員の男性と、過去に成長見守りゲームを一緒に作った女性。
女性はゲームに、自分たちのプログラムが盗まれたことの証拠探しの為にログイン。その人格に、モブキャラから成長したAI男が恋をする。AI男は生まれて数年なのに、見た目は成人男性。そのAI男を演じるのがライアン・レイノルズ。
レゴブロックの人形を想起。AI男ガイは、知り合いのモブキャラを集め、自由のための蜂起を促す。ここが奴隷解放運動のハリエット・タブマンやリンカーンのようで泣いた。
モブキャラたちは、同じ行動とセリフを繰り返す。これは自分と自分が属する共同体の秩序を作るとも言えるが、この場合その秩序とはプレイヤーの遊びのためのもの。しかしその遊びに、プレイヤーたちは時にリアルよりもリアリティーを感じる。思い入れは、リアルよりもたっぷりだったりする。このような、肉体ではなく脳でアクセスする遊びとは、極めて個人的な体験だから。仕事ではない無責任さとは、イコール時間の、実存の純粋体験だから。そういうコンディションのプレイヤーたちが、その名もモブのガイ(エブリワンのワン。ヘイ ガイズのガイ)という、極めて一般的な、無個性を宿命付けられた善人のモブに感情移入し、見守り、つまり愛し、消滅の危機を共有する。命が宿ったということは、つまり自主性があるということ。ガイは、相棒との絆に支えられながら、自分と仲間のために、戦う。事なかれ主義のモブがそんな風に変われたのは、運命の女性に出会ったから。ガイは、ずっと脳内だけにいた女性が外在していることに驚く、つまり恋に落ちる。それはこの女性のプレイヤーの共同制作者のプログラミングによるものなのだが。プログラミングされたガイの理想の女性のモデルは、ガイの創造主の隣にいた人、つまりガイが恋に落ちた相手のプレーヤーだった。
という、神の視点の物語。しかし、このモブキャラとは、つまり市民ということ。ゆえに誰にとってもガイが自分に思えてくる。そして、プレーヤーも、ゲーム創造主も、自分に思えてくる。このゲームの世界は動物園と同じだし、水族館とも同じ。鳥籠の中も虫籠の中も同じ。人間社会も神の視点から見れば同じ箱庭。
続編のゲームにとって邪魔、とのゲーム会社の社長の判断で、ガイは殺されそうになる。ガイを消去すべくシステムが再起動されると、ガイの記憶は消える。ここが、輪廻転生している人間のよう。または痴呆症の人のよう。記憶こそが、脳という臓器に宿った命と感じた。命とは、継続成長するシステム、そこにお気に入りを投入し続けられる箱庭なのだ。
ガイのモブ仲間が、単純過ぎて愛しく不憫。いつも同じことを言う、勤務先の銀行の警備員の親友。銃を向けられる宿命のため、ずっとホールドアップの両手上げ姿勢の男の人。「うちの猫はどこかしら」しか言えないおばあさん。いつも同じコーヒーを出してくれる、いつものカフェの店員。「いつもの定番」は安心感で心の地盤だが、それしかないと息苦しい。
ガイは、ラスト、無理(プログラミング=予定調和=自分の役割=いつもの生活=ルーティーン の限界)の先へ飛び、着地する。そして、恋に落ちた女性(母)の強烈なキスにより、忘れていた過去を思い出す。ここは眠り姫のようであり白雪姫のようでもある。
この映画を観ていると、何もかも思い入れから始まるのだな、と思う。脳内にしかなかった非物質のビジョンが、「これ!これとそっくりなうさぎを夢で何度も見たの!」と購入すると外在化する(目の前のうさぎのぬいぐるみという手応えのある物質になる)。人の脳内→脳外では、日々ビッグバンが起き、創造主(人生の当事者である我)の想念が爆発的に外で物質化しているのだな、と思う。
★あらすじ
ルール無用で悪事を働くことが当たり前な街「フリー・シティ」では、サングラス族と呼ばれる連中が気ままに銃をぶっ放し、ヘリコプターやクルマを破壊したり強盗を働いたり、やりたい放題だ。
そんな中、毎日同じ会話を交わして、毎日銀行強盗に遭い、それでも真面目に働く幸せな銀行員のガイは、ミステリアスなサングラス族のモロトフ・ガールに一目惚れする。警備員の親友バディに「サングラスがないと相手にされないさ」と助言され、彼女を追うために銀行強盗からサングラスを奪って掛けてみると、街中にパラメーターや今まで見えなかったアイテムなどが見えるようになる。サングラス族はオンラインVRゲーム「フリー・シティ」をプレイするプレイヤーたちで、ガイはその世界の中にプログラムされた、一定の行動しかしないモブ(雑魚)キャラ(ノンプレイヤーキャラクター(NPC))だったのだ。
キャスト
- ガイ
- 演 - ライアン・レイノルズ
- VRオンライン・ゲーム「フリー・シティ」で銀行窓口係をしているモブキャラ。モロトフ・ガールへの一目惚れを切っ掛けに、プレイヤーアバターのサングラスを手に入れ、人助けをしてレベルを上げる特異な存在「ブルーシャツ・ガイ」として次第に注目されていく。
- 元々は「ライフ・イットセルフ」でキーズが設定した「片想い」というキャラクターで、運命の相手である"理想の女性"と出会うことが目的[注 1]。
- ミリー・ラスク / モロトフ・ガール
- 演 - ジョディ・カマー
- 過去にキーズと共にゲーム「ライフ・イットセルフ」を制作した女性。自分達のプログラムコードが「フリー・シティ」に盗用された証拠を探している。
- 「フリー・シティ」ではモロトフ・ガールとしてミステリアスな女性を演じている。レベルは195と高く、モブキャラの台詞とそのタイミングを暗記するほどやり込んでいる。
- キーズ
- 演 - ジョー・キーリー
- 「フリー・シティ」を運営するゲーム会社「スナミ・スタジオ」の社員。共同制作者だったミリーから証拠探しの協力を頼まれているが、確信が持てないため踏ん切りがつかない。
- バディ
- 演 - リル・レル・ハウリー
- 「フリー・シティ」で銀行の警備員をしているモブキャラ。ガイの親友。
- マウサー
- 演 - ウトカルシュ・アンブドゥカル
- 「スナミ・スタジオ」の社員。キーズの同僚兼友達。アントワンの命令には忠実。
- アントワン
- 演 - タイカ・ワイティティ
- 「スナミ・スタジオ」の社長。能天気だが自己中心的かつ冷酷で、自分の利益が最優先。ミリーから盗用を疑われ訴訟まで起こされているが、全く意に介していない。
- デュード
- 演 - アーロン・W・リード[注 2]
- アントワンがガイを倒すために投入した未完成だが強力なキャラクター。セリフが詳細に決まっていないため「決め台詞!」と叫んだりする。顔だけはガイにそっくり。
- キース
- 演 - マティ・カーダロプル
- 「フリー・シティ」のプレイヤーでゲーム実況者。「ブルーシャツ・ガイ」のファン。22歳のニートであり、ゲームの実況中に母から叱られる。
- リベンジャミン・バトンズ
- 演 - チャニング・テイタム
- キースのプレイヤーアバター。ダンスのキレがいい。
- ミッシー
- 演 - ブリトニー・オールドフォード
- 「フリー・シティ」のモブキャラ。コーヒーショップのバリスタで、いつも決まったコーヒーを作る。
- セクシー
- 演 - カミーユ・コステック
- 「フリー・シティ」の美女モブキャラ。サングラス族(プレイヤー)の傍らに付き添って行動する。
- 人質
- 演 - マーク・ライナー
- 「フリー・シティ」のモブキャラ。いつも銀行で強盗(プレイヤー)の人質にされているため、両手を上げるのが癖になっている。
- ジョニー巡査
- 演 - マイク・ディヴァイン
- 「フリー・シティ」のモブキャラ。毎朝ガイとコーヒーショップで挨拶を交わす。
- ビッグ・シティ・ドリーマー
- 演 - ソフィー・レヴィ[注 3]
- 「フリー・シティ」のモブキャラ。都会に出てきたばかりの設定らしく、これからの生活を夢見るような台詞が特徴。
- 銀行支店長
- 演 - ヴァーノン・スコット
- 「フリー・シティ」のモブキャラ。
- ジョー
- 演 - ナヒーム・ガルシア
- 「フリー・シティ」でコンビニの店主をしているモブキャラ。いつも強盗(プレイヤー)に外へ放り投げられている。
- フィリス
- 演 - アナベル・グレーツ
- 「フリー・シティ」のモブキャラ。いつも猫を探している老女。
- 裏路地にいるマスクのアバター
- 声 - ヒュー・ジャックマン(カメオ出演)
- モロトフ・ガールと情報の取引をしたプレイヤーアバター。取引によって報酬を得るが、モロトフの忠告を無視して余計な詮索をしたため殺される[注 4]。
- 銀行強盗 #2
- 声 - ドウェイン・ジョンソン(カメオ出演)
- 銀行を襲うもガイに反撃されてサングラスを奪われる。プレイヤーはまだ幼い少女。
- キースの母
- 声 - ティナ・フェイ(カメオ出演)
- キースのゲーム実況中に掃除機をかけ始めたことで彼に怒鳴られるが、22歳にもなって働こうとしない息子を逆に叱りつける。
- シルエット・ゲーマー
- 声 - ジョン・クラシンスキー(カメオ出演)
- 「ブルーシャツ・ガイ」についてインタビューで話すゲーマー。
製作
『フリー・ガイ』は20世紀フォックス時代に製作が進められていた企画であり、ディズニーに買収され「20世紀スタジオ」となった後も製作が進められた作品の一つでもある[11]。ショーン・レヴィと共にプロデューサーを務めたライアン・レイノルズは「これほど何かに夢中になるのは『デッドプール』以来だ」と語っている[11]。同作にはゲーマー・ストリーマーのジャックセプティックアイ、ニンジャ、ポキマネ、ダニエル・ミドルトン(英語版)、ラザービーム(英語版)がカメオ出演しており[12]、『ジェパディ!』の司会者として知られるアレックス・トレベックは本作が遺作となった[13]。また、ヒュー・ジャックマン、ドウェイン・ジョンソン、ティナ・フェイ、ジョン・クラシンスキーのカメオ出演も発表されている[2]。
舞台となる「フリー・シティ」の世界観は『グランド・セフト・オートシリーズ』『フォートナイト』と比較されることが多いが、プロダクションデザイナーのイーサン・トブマン(英語版)は『シムシティシリーズ』『レッド・デッド・リデンプションII』から多くのインスピレーションを得たと語っている[14]。映画には『ロックマンシリーズ』のロックバスター、『スター・ウォーズシリーズ』のライトセーバー、『フォートナイト』のツルハシ、『ハーフライフ2』のグラビティ・ガン(英語版)、『Portal』のポータルガン、キャプテン・アメリカの盾、ハルクの拳など複数のゲームや映画のアイテムが登場している。『マーベル・シネマティック・ユニバース』『スター・ウォーズシリーズ』のアイテムについては、20世紀フォックスがディズニーに買収された後、レヴィが同社に使用許可を求めて許諾されたことで実現した[15][14]。
2019年5月にボストンのフィナンシャル・ディストリクト(英語版)を含む地域で主要撮影が始まり[16][17]、この他にウースターのダウンタウン[18]、フレイミングハムの旧フレイミングハム銀行ビル[19]、ウェイマスの旧海軍航空基地でも撮影が行われた[20]。
監督は、ショーン・レヴィ
主な作品 | |
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映画(監督) 『ビッグ・ライアー』 『12人のパパ』 『ピンクパンサー』 『ナイト ミュージアム』シリーズ 『デート & ナイト』 『リアル・スティール』 『インターンシップ』 『フリー・ガイ』 『アダム&アダム』 映画(製作) 『エイリアン バスターズ』 『いま、輝くときに』 『メッセージ』 『ラブ&モンスターズ』 |