『プーと大人になった僕』
君と過ごせば、どんな日だって、大好きな日。
『プーと大人になった僕』
親友のくまのプーや仲間たちと別れてから長い年月が経ち、大人になったクリストファー・ロビンは、仕事に追われ、会社から託された難題と一緒に時間を過ごせない家族との問題に悩んでいた。
そんな彼の前に、"100エーカーの森"を飛び出したプーが突然現れる。彼が忘れてしまった本当に「大切なモノ」を届けるために...。
名優ユアン・マクレガーを迎え、『美女と野獣』のディズニーが「くまのプーさん」を実写映画化した感動の物語。
★『プーと大人になった僕』(プーとおとなになったぼく、Christopher Robin )は、2018年のアメリカ合衆国のファンタジー映画。監督はマーク・フォースター、主演はユアン・マクレガーが務めた。本作はA・A・ミルンが1926年に発表した児童小説『クマのプーさん』とウォルト・ディズニー・カンパニーの『くまのプーさん』を原作としている。
製作
構想
2015年4月2日、ウォルト・ディズニー・ピクチャーズは『くまのプーさん』のキャラクターたちを登場させた実写映画を製作すると発表した。『マレフィセント』や『アリス・イン・ワンダーランド』、『シンデレラ』同様、必ずしも原作に忠実な形で実写映画化されるわけではないとも発表された[7]。2016年11月18日、正式なタイトルが『Christopher Robin』に決まり、マーク・フォースターが監督に起用されたと報じられた[8]。2017年3月1日、トム・マッカーシーが脚本のリライト作業を行っているとの報道があった[9]。
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感動して泣いてしまった。
「今日は何の日?」とプーが訊くと、
「今日は今日だよ」とクリストファー・ロビン。
「一番好きな日だ。昨日のうちは、今日が本当に来るなんて思わなかった」とプー。
これは禅問答であり、哲学の質疑応答であり、認知症になった親友や肉親との会話だ。
少しボケているということは、少しマイルド、少し霧、少し優しいということ。
脳みその小さいことがアイデンティティーであるプーは、そんなことを教えてくれる。
1を1そのものとして受け取るとキツイのだ。
「まあまあ」と話半分腹八分に受け取ってあげる相棒力。
プーがボケ、クリストファー・ロビンが突っ込み。
プーはクリストファー・ロビンの心であり、クリストファー・ロビンはプーの創造主であるという関係が、この世の素敵な不思議さを見せてくれる。
アリスの大人版、とも思った。
イギリスには、アリスとプーとピーターパンとパディントンがいるんだな、と思う。いるとはこういうことで、心の中にいるということが霊魂が最も保護され、霊魂が最も生きやすい、霊魂の天国なのだと思った。
ロンドンて、楽園だな、と思う。そう思うということは実際にそうなので、ロンドンという緯度経度の場にわたしの乗り物である肉体を置いて確かめる、などということは不要。
誰の心にも100エーカーの森があり、誰の心にもあの木があり、あの扉があるのだ。そしていつでも行き来できる。
しかし、心の成長期には、その扉はロックされている。戻ると、タイミングが肝心の成長期を逃すから。しかし、心丈夫になると、自由に行き来ができるようになる。その様が、クリストファー・ロビンという一個人を通して描かれている。
★ストーリー
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イギリスの田舎に住む少年・クリストファー・ロビンは、100エーカーの森でくまのプーさんとその仲間たちと楽しい日々を過ごしていたが、ロンドンの私立寄宿学校に入学することになり、お別れパーティーでプーと森の仲間たちに「君たちのことは絶対に忘れない」と約束した。しかし、親元を離れた学校での厳しい躾や教育、父親の死、第2次世界大戦の出兵などを経て、その約束は忘れ去られ、いつの間にかクリストファーは普通の大人になっていった。
首都ロンドンで、旅行カバン会社のウィンズロウ社で働くクリストファーは、多忙のゆえ愛する妻・イヴリンと娘・マデリーンとの間に溝を作るようになってしまった。ある日、家族と週末にクリストファーの故郷の田舎に旅行する計画を立てたが、会社グループの2代目支社長・ジャイルズから、業績不振の打開策の提案を急遽押し付けられてしまい、家族との約束も守ることができず、一人ロンドンで仕事をすることになった。
その頃、100エーカーの森ではプーが異変に気がついた。森の仲間たちが一人もいないのだ。プーは、「親友のクリストファー・ロビンなら何とかしてくれる」と考え、かつてクリストファーが使っていた魔法の扉をくぐると、ロンドンのとある公園に出ることができた。
休日出勤の帰り道、自宅前の公園のベンチに腰掛けると、そこにはプーの姿があった。数十年ぶりの再会に歓喜する二人だが、魔法の扉は消えてしまい、プーはロンドンに取り残されてしまった。プーをアパートに連れて帰るクリストファーだが、無邪気でドジなプーのおかげて家の中はめちゃめちゃになってしまい、仕事どころではなくなってしまう。
クリストファーは仕方がなく、翌朝プーをロンドンの駅から列車に乗って故郷の100エーカーの森へ送り届けることになる。★
★出演
- クリストファー・ロビン - ユアン・マクレガー、子供時代のクリストファー・ロビン - オートン・オブライエン
- かつてはイギリスの田舎に住む少年だった男性。現在は旅行カバン会社のウィンズロウ社で働く
- イヴリン・ロビン - ヘイリー・アトウェル
- クリストファーの妻。クリストファーとはバスの中で出会った。家族との時間を大切にしたい良妻賢母。
- マデリーン・ロビン - ブロンテ・カーマイケル
- クリストファーとイデリンの娘
- ジャイルズ・ウィンズロウ - マーク・ゲイティス
- 会社グループの2代目支社長。
声の出演
- ティガー - ジム・カミングス
- イーヨー - ブラッド・ギャレット
- ピグレット - ニック・モハメッド
- お好きなおやつはドングリ。
- オウル - トビー・ジョーンズ
- ラビット - ピーター・カパルディ
- ニンジンが好き。
- カンガ - ソフィー・オコネドー
- ルー - ワイアット・ディーン・ホール
- ナレーター★
little somethingとは、何の役にも立たない、例えばお菓子の箱やピンや、つまりがらくた。がらくたとは我楽多。己を遊ばせる(amuse)たくさんの楽しみ。
これがないと、人生は無味乾燥。プーとクリストファー・ロビンは、そのlittle something、ちょっとした何かを分かち合える無二の親友。
このちょっとした何かとは、塩味のようなもの。この微量な何かを失うと、人は死ぬ。
ちょっとした何かとは、気負わず継続できること。
バブル時代、「ちょっとしたパーティーに」という言葉がファッション雑誌に散見され、「ちょっとしたパーティーって一体いつどこで開催されてるの?」とよく話題になったが、ちょっとしたパーティーは、そこここで催されているのだ。ちょっとしたそこここの妖精たちによって。そこを通ると分かる。今、何かを通った気がする。何かとてもいいもの。something nice。
何だか分かるものは問題化され、議論されて疲れる。
何だかちょっと○○という未分化な気配の蕾が、人の心の塩と砂糖になる。
プーの声もティガーの声もジム・カミングス▼。当たり役だと思う。プーは、拙いことを言っているようで、実は賢人。だから声はこどもであってはならない。実は達観して言葉少な。つまりプーの言葉は常に詩。スヌーピーの『ピーナッツ』を谷川俊太郎さんが訳している、その感じ。声が優しくて柔らかくて、こんなプーが欲しい、と思った。しかし、誰の脳内にもプーはいるのだ。今日からわたしのプーにジム・カミングスの声をインストールしようと思う。プーはキャッキャしてない。熊だから、口周りが硬くあまり動かない。動かせない。その不自由さがけなげで愛しい。
大人しく落ち着いたプーとはしゃぎまくりのティガー両方演れるというのは、ザ・声優、と感動した。ムーミンの声を岸田今日子さんが演じたのを想起。
★ジム・カミングス(Jim Cummings、1952年11月3日 - )は、アメリカ合衆国の男性声優。オハイオ州ヤングスタウン出身。ルイジアナ州ニューオーリンズ育ち。代表作は『くまのプーさん』(プー(3代目))。★
プーたちは、クリストファー・ロビンが忘れていった仕事の書類を、一緒にロン・ドンに届けようとする。東京をト・キョ―と言う感じ。良かれと思ってクリストファーの鞄に風見鶏と木の枝とイーヨーのしっぽを入れてしまって、代わりに書類を出してしまったのだ。
この地に来ていたクリストファーの娘と出会い、プーたちと娘は一緒にロンドンへ書類を届けることになる。
お父さんクリストファーは、旅行鞄部の販売不振を何とかしなければ仕事を失う。それには仲間をリストラすべきか、という状況。しかしプーたちと関わったクリストファーは、仕事の鬼から人間に戻れる。そして、娘とも心を通わせ、イギリスの階級社会のトップだけに旅行をさせるのではなく、社員に有給休暇を与えて旅行させて旅行鞄を安くすれば、薄利多売で売り上げが上がるのでは、と思い付き、発表する。社長の父はそれに賛同。息子の社長も同意せざるをえなくなる。このアイデアは、娘がロンドンまで来て書類を風に飛ばされて、残った一枚の図をクリストファーが逆さに見たから思い付いた。
よく、煮詰まらせてから一回離れて一旦忘れて寝るかお風呂に入るかするとブレイクスルーするというアイデア芽吹かせ方法を聞くが、そういうことだろうと思った。
「『何もしない』は最高の何かにつながる」という言葉が何度も出て来る。
努力は必須だが、足掻くと事態が悪化する、という時はじっと待つことが必要。あとはジャムが煮詰まるのを待つだけの時のように。
「何もしないことの価値を低く見積もってはいけません」。『かもめ食堂』っぽいジャケット。テーマも似ている。
こんな風に、会うべき時に会うべき出会いは訪れるのだろう。
この赤い風船は、心の居場所の目印なのだ。グーグルマップの現在地マークのような。
監督はマーク・フォスター
主な作品 | |
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『チョコレート』 『ネバーランド』 『007 慰めの報酬』 『ワールド・ウォーZ』 『プーと大人になった僕』 |