『ダーク・シャドウ』
『ダーク・シャドウ』(原題: Dark Shadows)は、1966年から1971年に放送されたゴシック・ソープオペラ『Dark Shadows』を原作としたスーパーナチュラル・ドラマ(英語版)映画。監督はティム・バートンで、主演のヴァンパイアのバーナバス・コリンズはジョニー・デップが演じる。北米公開は2012年5月11日であり[3]、通常版とIMAX版が上映された[4]。PG12指定。
あらすじ
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1760年、ジョシュア・コリンズとナオミ・コリンズは幼い息子バーナバスと共に新たな生活を始めるために商機を求め、アメリカに向けてイギリスのリバプールを出航した。20年後、バーナバスはメイン州コリンズポートの町で当時のアメリカでは珍しかった、イギリス仕込みの水産業をして儲け、コリンウッド荘園の所有者となっていた。裕福でプレイボーイな彼は、使用人のアンジェリークを振ったことで恨まれてしまい、その憎しみで黒魔術を覚えた彼女に呪いで両親を殺され、恋人も自殺に見せかけて、やもめ岬の断崖から落され、自身はヴァンパイアにされ、生き埋めにされてしまう。それから2世紀後の1972年、コリンズ家の女主人エリザベスは一家が抱える問題に対処するため、住み込みの精神科医ジュリア・ホフマン博士を呼び入れる。ここには他に、エリザベスの弟ロジャー、エリザベスの娘キャロリン、そしてロジャーの息子デヴィッドがいた。家族の不可思議な謎は血縁関係にない者たち、世話人のウィリーや、暗い過去を持つ家庭教師ヴィクトリア(ヴィッキー)にも降りかかる。バーナバスは偶然、工事現場にいた人間たちに掘り起こされ、棺から脱出するが、かつての自分の土地は荒れ果て、子孫たちも落ちぶれていた。バーナバスは亡父の「唯一の財産は家族だ」という言葉を胸にコリンズ家の復興を目指す。
登場人物
- バーナバス・コリンズ
- 元は人間だったが、どうしようもない成金のプレイボーイであったことから遊びでアンジェリークを弄んだことで彼女に恨まれ、呪いでヴァンパイアに変えられる[5][注 1]。20世紀の世に目覚めた18世紀[注 2]のヴァンパイア[注 3]。自身の代で企業で成功したにも関わらず、現代になり落ちぶれてしまった子孫を立て直すために、催眠術などを使って奮闘する。自らの呪いを解き、再び人間の身体を手に入れることを願っている。子孫からは先祖の中で一番立派だったと言われていた。20世紀ではヴァンパイアとしての自覚から尊大な態度をとることもあり(18世紀では良くも悪くも普通の言い方だった)、またヴァンパイアとして血を求めて人を殺すようにもなってしまい、日光を浴びると弱体化する羽目にもなってしまった。父の事は純粋に尊敬しており、父の一言である「家族こそが何よりの財産」という言葉が、コリンズ家復興を志した理由の一つである。
- アンジェリーク・ブシャール
- バーナバスとは幼いころからの付き合い。小さい頃にバーナバスと別れたが、成人してから再会して男女の関係になる。しかし、彼からは真剣に愛されておらず、ジョゼットとの真剣な愛を見た憎しみから黒魔術を覚え、彼の両親を事故死に見せかけて殺害、バーナバスが一番に愛していたジョゼットも自殺に見せかけて殺害する。とどめに彼をヴァンパイアに変え、地中に生き埋めにしたが、それだけでも飽き足らず、2世紀にもわたってコリンズ家を苦しめる。周囲には素性を隠したり、変えたりなどをして誤魔化しており、現在では市民から「アンジー」と慕われている名士として過ごしている。自分の会社の従業員が死んでもなんとも思わない酷薄な性格。最後はデヴィッドの守護霊となっていたローラにより吹き飛ばされ、弱体化し自分の心臓をバーナバスに渡そうとしたが、砕け散ってしまい死亡した。
- ヴィクトリア・ウィンターズ
- コリンズ家にやってきた新任の家庭教師(ガヴァネス)。
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★ガヴァネス 語源はgovernmentと同じでgovernorの女性形。(英: governess、独: Gouvernante:グヴェルナンテ、仏: gouvernantes:グーヴェルナント)は、個人の家庭内で子供たちを教育し、訓練するために雇われる女性のこと。女家庭教師。本項では英語にもとづいてガヴァネスという語を用いるが、英米以外での例については「女家庭教師」または「家庭教師」の訳語を充てる。
(生徒である子供と一緒に、右に座っているのがガヴァネス。ヴィクトリア朝時代の家庭におけるその目立たない役割にふさわしい控えめな服装と態度を示している。レベッカ・ソロモン『ザ・ガヴァネス』、1851年。)
概要
ナニー(当初はナースと呼ばれた)やベビーシッターと異なり、子供たちの身の回りの世話をするのでなく、専ら教育に従事する。その対象は乳幼児でなく、学齢期の児童である[1]。
今日ではガヴァネスの存在はまれで、サウジアラビアの王族のような大きく裕福な家庭[2]や、オーストラリア奥地のような辺境で見られる程度である[3]。しかし第一次世界大戦前には、ヨーロッパの裕福な家庭、特に適当な学校が近くに存在しない田園地方の場合には、一般的な存在であった。親が、遠くの寄宿制学校に何ヶ月も子女をやるより、手元で教育する方を選ぶかどうかは、時代や文化によって異なっている。ガヴァネスが担当するのは通常は女の子で、男の子の場合は幼少期に限られた。男の子はある程度成長するとガヴァネスの下を離れ、家庭教師(チューター(tutor))の手に移るか、学校に通った。
役割
アレクサンダー・グラハム・ベルの娘に本を読み聞かせるガヴァネス(1885年)
ガヴァネスは児童に「3つのR」(The three Rs/reading、writing、arithmetic)[4]、つまり日本で言う「読み・書き・算盤」を教えた[5]。彼女らはまた、中流婦人に期待される「教養」もその生徒たる若いレディに教えた。それは例えばフランス語その他の外国語であり、ピアノなどの楽器であり、また絵画(通常、油彩よりもより上品な水彩画)などであった。このような専門教育のため男性の教師(芸術家や通訳)が臨時で雇われることもあった。
ガヴァネスと社会
ガヴァネスはヴィクトリア朝の始まった1840年代頃から成人男性の海外移住や晩婚化が進み、大量の未婚女性が生まれてきた時代の職業である。ヴィクトリア朝の中産家庭の<道具立て>(paraphernalia)の一部として根づいた。しかし、社会的に女性が職業をもつのははしたないとされ、家庭においても使用人でもなく家族の一員でもない、<余った女>とも揶揄される、微妙なポジションにいた。このどっちつかずの社会的地位の現れとして、彼女らはしばしば一人で食事をした。ガヴァネスは中流の出自と教育を持っていたが、給金を受ける身であり、決して家族の一員ではなかった。当時の社会においては、ガヴァネスは、結婚していない中流の女性が自立するための数少ない方法の1つであった。そのポジションはしばしば憐憫の対象となるものであり、そこから抜け出すほぼ唯一の手段は結婚であった。生徒が成長してしまうとガヴァネスは新しい働き口を見つけなければならなかったが、まれに、成長した娘のコンパニオンとして引き続き雇われることもあった。
19世紀半ばには、ステレオタイプ化した「困窮化したジェントルウーマン」の救済が社会問題として人びとの関心を集めるようになった[6]。1841年にロンドンのハーリ街にガヴァネス互恵協会が設立され、失職中のガヴァネスへの金銭的援助や職場紹介、老齢化したガヴァネスへの支援など慈善的活動を行った。次第に「困窮化したジェントルウーマン」問題はフェミニズムの第一波といわれる女性解放運動へと発展していった。
ガヴァネスとの交友関係が続くこともある。ビアトリクス・ポターは元ガヴァネスの子供に送った絵手紙を元にピーターラビットのおはなしを出版した。★
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- 本名は「マギー・エヴァンス」で愛称はヴィッキー。見えないものが見えることから両親に捨てられるという痛ましい過去を持つ。捕らわれてしまったが、脱出をして、列車で見つけた広告を機に名前を変えて町にやってきた。ジョゼットに似ていることから、バーバナスから目をかけられている。相手を立てることができる優しい性格。最後はジョゼットと同様に身投げするが、バーナバスに噛まれたことでヴァンパイアとして蘇る。
- エリザベス・コリンズ・ストッダード
- コリンズ家の女家長。当初はバーナバスを信じなかったが、彼がバーナバス・コリンズのことを真に迫って語り、自分でさえも知らなった隠し部屋の存在を見せたことから、正体を認め、コリンズ家の落ちぶれてしまった家を建て直すために、バーナバスと手を組む。射撃の腕前は高く、バーナバスが延長線上に前にいたのにもかかわらず、かすりもせずに奥にいたアンジェリークに当てる芸当を見せた(ただし、アンジェリークには効いていなかった)。
- キャロリン・ストッダード
- エリザベスの娘。15歳の反抗期。家族がデヴィッドにばかり目をかけているのが気に入らず、バーナバスに対しても奇人扱いする。実は赤ん坊の頃に、アンジェリークにより狼にかまれて、狼人間となっていた。
- デヴィッド・コリンズ
- エリザベスの10歳の甥(弟の息子)。5歳の頃に母親が溺死してしまったが、その死を受け入れられず「母が見える」と情緒不安定にあり、家族から精神的におかしいと思われているが、それでも目をかけてもらっており、キャロリンからも嫉妬されている。実は母親はアンジェリークの呪いにより殺害されていた。本当に母親が「霊として」見えており、全くの正気の持ち主であった。
- ジュリア・ホフマン博士
- エリザベスに雇われた住み込みの精神科医だが、自身もアルコール中毒という病気を持っており、二日酔いで眠っていることも少なくないとのこと。年老いていくことに恐怖心を抱いている。催眠術には天賦の才があり、バーナバスにも通用し、そして彼の正体を知ることが出来た。そして彼を救うという名目で実験に協力をしていたが実は、彼の血を使って永遠の若さを手に入れることを目論んでおり、それを見抜いたバーナバスの怒りにより噛みつかれて殺害される。死体は重しをつけて海の中に沈めたが、ラストで目を開き、ヴァンパイアとして目覚めたことが示唆される。
- ロジャー・コリンズ
- エリザベスの弟で、デヴィッドの父。粗野な性格のろくでなしで、デヴィッドに対しても愛情を抱いていない。
- ウィリー・ルーミス
- コリンズ家の使用人。酒に溺れて、ろくに仕事もしていなかったが、バーナバスの催眠術によって、彼の忠実な従者となり、職務にもやる気を出すようになる。
- ミセス・ジョンソン
- コリンズ家の老メイド。すっかり年を取ってしまい、今では大した仕事もできない。
- ジョシュア・コリンズ
- バーナバスの父。「家族が一番の財産」と考え、町を発展させた偉大な人物だったが、アンジェリークに自分を振ったバーナバスを苦しませる理由から妻とともに事故死に見せかけて殺害される。
- サイラス・クラーニー
- コリンズポートの漁師たちのボス。
- ジョゼット・デュプレ
- バーナバスが心から愛した唯一の女性。それゆえにアンジェリークによって呪いをかけられ殺害される。
キャスト
役名 | 俳優 | |
---|---|---|
バーナバス・コリンズ | ジョニー・デップ | |
アンジェリーク・ブシャール | エヴァ・グリーン | |
ヴィクトリア・ウィンターズ | ベラ・ヒースコート | |
ジョゼット・デュプレ | ||
エリザベス・コリンズ・ストッダード | ミシェル・ファイファー | |
キャロリン・ストッダード | クロエ・グレース・モレッツ | |
デヴィッド・コリンズ | ガリヴァー・マグラス | |
ジュリア・ホフマン博士 | ヘレナ・ボナム=カーター | |
ロジャー・コリンズ | ジョニー・リー・ミラー | |
ウィリー・ルーミス | ジャッキー・アール・ヘイリー | |
ミセス・ジョンソン | レイ・シャーリー | |
ジョシュア・コリンズ | イヴァン・ケイ | |
サイラス・クラーニー | クリストファー・リー | |
アリス・クーパー |
製作
『ダーク・シャドウ』はティム・バートンが監督し、セス・グレアム=スミスが脚本を執筆した。2007年7月、ワーナー・ブラザースはゴシック・ソープオペラ『Dark Shadows』
の映画化権を、ダン・カーティスの財産から購入した[8]。プロジェクトの開発は2007年-2008年全米脚本家組合ストライキの影響により遅れた。ストライキの解決後、ティム・バートンが監督に着任した[9]。2009年、ジョン・オーガストが脚本を執筆した[10]。2010年、オーガストに代わって小説家でもあるセス・グレアム=スミスが再度脚本を執筆した[11]。撮影は2011年5月に始まった。イングランドのパインウッド・スタジオズ内とロケ撮影の両方が行われた[12]。
撮影監督はブリュノ・デルボネル、プロダクション・デザイナーはリック・ハインリクス、衣裳デザイナーはコリーン・アトウッド、編集技師はクリス・レベンゾン、作曲はダニー・エルフマンが務める[12]。
舞台は1972年。そもそも、200年前にバーナバス・コリンズ▲とアンジェリーク・ブシャール▼が出会っていなかったら、こんなことにはならなかった。
最初のシーン。まだ幼いアンジェリークが、アメリカへと向かう船に一家で乗り込む幼いバーナバスを睨むように見つめている。この女の子役が凄い。この目で、何もかも言い表せていた。身分の違い、そのことに対する羨望。女としての恋心、母親の「お坊ちゃんをそんな風に見てはいけません」という家としての引け目。自分は、何であっちじゃないの?という生まれ育ちの話。
この女の子は、時代、立場、生まれ、性質、などなど、様々な属性において、マイナスを請け負ってしまった。自分が美貌の持ち主であるという自己認識も、諦められなさに繋がっただろう。彼女には「自分はこの程度。どうせあたしなんか」が全くない。
私は完全で完璧。その私が、なんでこんな目に遭わなければならないの、という目をしている。なんであっちは、金持ちの家に生まれ、自分は、その家で召使をする女の娘として生まれ、何であっちに、親も子も頭が上がらないの?という。
映画の舞台の200年前に女がそんな野望を持ったら魔女扱いされてしまう。
実際彼女は黒魔術を習得して魔女になる。
そして、魔女になったから、200年経っても若いままで生きている。この人は、生まれる時代を間違った。1972年の200年前でも、男で侍で日本だったら、徳川幕府を倒して日本の歴史を変えてしまったかもしれない。つまりそれくらい、生体エネルギーが半端ない。これを恨み、嫉妬のみに使うのはもったいない。今の時代に生きていたら、新しいクリーンエネルギーを開発できそう。または人類の火星移住を十年で完了させそう。人は、生まれた時代、生まれた家庭、出会う人、で、同じパワーの持ち主でも運命が変わってしまう。アンジェリーク・ブシャールは、自身のパワーをコントロールできずに自滅した生命体。
現代女性の前の時代に生きて時代の負の蓄積の膿出しを全部して、こうするとこうなるのよ、これを感情に任せて最大までやってしまうとこんな目にあうのよ、ここに崖があってね、後ろ向きで進むと落ちて死ぬから(笑)、と生き方指南、最悪シミュレーションをしてくれた犠牲者。女という十字架を背負ったキリスト。偉大なる反面教師。
- アンジェリーク・ブシャール
- バーナバスとは幼いころからの付き合い。小さい頃にバーナバスと別れた(ここが映画冒頭。バーナバス一家はイギリスからアメリカに渡り誰もいないところに海産会社を作り、人を雇い、港町を発展させた。)が、成人してから再会して(バーナバス家の召使として)男女の関係になる。しかし、彼からは真剣に愛されておらず、ジョゼット▼と
- の真剣な愛を見た憎しみから黒魔術を覚え、彼の両親を事故死に見せかけて殺害、バーナバスが一番に愛していたジョゼットも自殺に見せかけて殺害する。とどめに彼をヴァンパイアに変え、地中に生き埋めにしたが、それだけでも飽き足らず、2世紀にもわたってコリンズ家を苦しめる。周囲には素性を隠したり、変えたりなどをして誤魔化しており、現在では市民から「アンジー」と慕われている名士
- として過ごしている。自分の会社の従業員が死んでもなんとも思わない酷薄な性格。最後はデヴィッドの守護霊となっていた🔶ローラ🔶により吹き飛ばされ、弱体化し自分の心臓をバーナバスに渡そうとしたが、砕け散ってしまい死亡した。
- 🔶ローラ🔶とは、デヴィッド▼のお母さん。
- デヴィットのお母さんはなんでいないんだろうと思っていたら、この家系に恨みを持っているアンジェリークの呪いにより殺害されていたのだ。アンジェリークは実は可哀そう。満たされないためにゲームオーヴァーが永遠に来ない。永遠に勝てないゲームをやるしかなく、このゲームとは勝つまでやるしかなくしかし決して勝てない構造。しかしもう引けなくなっているからプーチンのごとく攻撃し続けるしかないのだ。
- だから、デヴィッドの守護霊になっていたお母さんのローラによって死亡できて良かったのだろう。このまま誰かを恨み続けるなど、存在しないほうがマシ。ラスト、弱体化して自分の心臓を抉ってバーナバスに渡そうとしたときには、この期に及んで?と思ったがそうするしか他に愛の受け渡しのルートがないアンジェリークが惨め。
- 今から250年前の悲劇とは、選択肢のない悲劇。
- 生まれでほとんど一生が決まってしまう。親ガチャでハズレだったらもう一生ハズレ、ガラガラポンのやり直しやフルーツバスケットでの全席総入れ替えがない。つまり自分自身で勝負できない。
- 物凄く現代的なスピリットのアンジェリークはただ、自分を表現したかっただけなのだ、自分を試したかっただけなのだ。しかし自分は生まれが召使の娘。情報の少ない時代では、肉眼で見えるものだけが世界。
- そうなったら、そこで自己表現するしかない。アンジェリークは女としてバーナバスに「目をかけてもらっていた」。つまり女としての才能があった。だったらそこにこだわる以外に道がなかったのだろう。
- だとしたら、バーナバスに女として認めてもらおうとする回路しかない。だとすると、ああなってしまう、という悲劇。
- この映画の原作は、今から57年前のソープオペラ、つまり昼メロ。
- ウケたということは、(分かる~)だったのだろう。分かる~ということは、自分の分身ということだ。自分ができないことを代わりにあの登場人物がやってくれている、という快哉。
- ★ダークシャドウは、27年1966月2日から1971年<>月<>日までABCテレビネットワークで平日に放映されたアメリカのゴシックメロドラマでした。ショーは、多くの超自然的な出来事が起こるメイン州コリンズポートの裕福なコリンズ家の生活、愛、試練、そして苦難を描いた。★
- ★デヴィッド・コリンズ
- エリザベスの10歳の甥(弟の息子)。5歳の頃に母親が溺死してしまったが、その死を受け入れられず「母が見える」と情緒不安定にあり、家族から精神的におかしいと思われているが、それでも目をかけてもらっており、同じ家のいとこのキャロリン▼
- からも嫉妬されている。実は母親はアンジェリークの呪いにより殺害されていた。本当に母親が「霊として」見えており、全くの正気の持ち主であった。★
- ★バーナバス・コリンズ
- 元は人間だったが、どうしようもない成金のプレイボーイであったことから遊びでアンジェリークを弄んだことで彼女に恨まれ、呪いでヴァンパイアに変えられる。
- 20世紀の世に目覚めた18世紀のヴァンパイア。自身の代で企業で成功したにも関わらず、現代になり落ちぶれてしまった子孫を立て直すために、催眠術などを使って奮闘する。自らの呪いを解き、再び人間の身体を手に入れることを願っている。子孫からは先祖の中で一番立派だったと言われていた。20世紀ではヴァンパイアとしての自覚から尊大な態度をとることもあり(18世紀では良くも悪くも普通の言い方だった)、またヴァンパイアとして血を求めて人を殺すようにもなってしまい、日光を浴びると弱体化する羽目にもなってしまった。父の事は純粋に尊敬しており、父の一言である「家族こそが何よりの財産」という言葉が、コリンズ家復興を志した理由の一つである。★
- ヴィクトリア・ウィンターズ▼の運命が興味深い。彼女は所謂見えてしまう子で、両親によって捨てられ施設に入れられる。
- ここから脱出して名を変え身一つで生きる所に感動する。列車の中で新聞を見ていると、200年前に身投げしたジョゼットの幽霊が指をさす。ヴィクトリアは見える人なので、それは怖くもなんともないビジョン。
- ジョゼットの幽霊が指さしたもの。それが、バーナバスの家のデヴィッドの家庭教師募集の広告なのだ。こういうことは、実はあると思う。虫の知らせやなんとなくや直感とは、つまり例えばこういうことだと思う。情報とは、過去の集積を整理したものなのであり、だとすると全ての情報とは、幽霊の指示とも言える。バーナバスと出会ったヴィクトリアは、「あなたには何でも話せる気がするの」と言う。バーナバスもジョゼットそっくり(一人二役)の彼女を愛する。ヴィクトリアは、バーナバスが特殊な人であることに恐れをなしもするが、愛も交わし、アンジェリークの呪いによりジョゼット同様崖から身投げしてバーナバスに助けらると、噛まれてバンパイアとなって生き返る。バーナバスは、どんなに生きても本当に愛せる人がいなければ地獄だが、これで天国になったと安心した。
- ★ヴィクトリア・ウィンターズ
- コリンズ家にやってきた新任の家庭教師(ガヴァネス)。本名は「マギー・エヴァンス」で愛称はヴィッキー。見えないものが見えることから両親に捨てられるという痛ましい過去を持つ。捕らわれてしまったが、脱出をして、列車で見つけた広告を機に名前を変えて町にやってきた。ジョゼットに似ていることから、バーバナスから目をかけられている。相手を立てることができる優しい性格。最後はジョゼットと同様に身投げするが、バーナバスに噛まれたことでヴァンパイアとして蘇る。★
- エリザベス・コリンズ・ストッダード▼は、女家長の威厳十分。演じたのはミッシェル・ファイファー。再興した一家の工場がアンジェリークによって全焼させられ、屋敷も火の海になり、家族は外でそれを眺めているしかなかった。そのときデヴィッドが「これからどうするの?」と言うと「変わらないわ、生き延びるのよ」と言う。正に家長。ここで一瞬『風と共に去りぬ』のラストを想起したが、「結局、明日は別の日(明日はまた来る)(明日は明日の風が吹く)(After all, tomorrow is another day.)」というスカーレット・オハラの、何もかも失ってむしろそれがカタルシス、少しやけになって大切な物を全部手放せた責任放棄の解放感、運命や時間の流れに身を任せているフィーリング、よりもっと主体的で現代的。自身の内部にエンジンを有していて、それが自分のコントロール下にあるスピリットを感じた。
- ★エリザベス・コリンズ・ストッダード
- コリンズ家の女家長。当初はバーナバスを信じなかったが、彼がバーナバス・コリンズのことを真に迫って語り、自分でさえも知らなった隠し部屋の存在を見せたことから、正体を認め、コリンズ家の落ちぶれてしまった家を建て直すために、バーナバスと手を組む。射撃の腕前は高く、バーナバスが延長線上に前にいたのにもかかわらず、かすりもせずに奥にいたアンジェリークに当てる芸当を見せた(ただし、アンジェリークには効いていなかった)。★
- そして、ティム・バートン作品になくてはならないヘレナ・ボナム・カーター演じる、ジュリア・ホフマン博士。
- ジュリアは、始めバーナバスの血を入れ替えて普通の人間に出来るのでは、と実験をしていたのだが、その後彼から採血した血を自分に輸血することで永遠の命や美を手にいれようとし始めた。
- それを見抜かれたジュリアは怒ったバーナバスにより噛みつかれて死に、重石を付けられ海に沈められた。
- と思ったところ、ヴィクトリアが身投げしてバーナバスがそれを追って飛び降り、ヴィクトリアの首をバーナバスが噛んでヴィクトリアもバンパイアとして生き返ったあとで、海の中を映すとジュリアがバンパイアとして目覚める……となる。これが、それまでの深刻さを異化するカラッとさ。深刻悲劇のメタ化。長く引きずってきた重苦しい家系的血縁的湿っぽいゴシック悲劇の除湿。このシーンが無ければ、観客は半世紀前のノリでそのラストの純愛悲劇においおいと湿っぽく深刻にびしょびしょ泣くしかなかった。
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ジュリア・ホフマン博士が夕食の席で初めてバーナバスを見たとき▼の一言。”Who the hell is this?”「なんなのこの人?(なんなのこれ?)(何者?)(一体全体なにこれ)(だれこれ)」。その後のジョニー・デップの、左眉尻を上げるだけの挨拶が超人。
- ★ジュリア・ホフマン博士
- エリザベスに雇われた住み込みの精神科医だが、自身もアルコール中毒という病気を持っており、二日酔いで眠っていることも少なくないとのこと。年老いていくことに恐怖心を抱いている。催眠術には天賦の才があり、バーナバスにも通用し、そして彼の正体を知ることが出来た。そして彼を救うという名目で実験に協力をしていたが実は、彼の血を使って永遠の若さを手に入れることを目論んでおり、それを見抜いたバーナバスの怒りにより噛みつかれて殺害される。死体は重しをつけて海の中に沈めたが、ラストで目を開き、ヴァンパイアとして目覚めたことが示唆される。★
- ティム・バートンとヘレナ・ボナム=カーターは相棒、同志。心が双子。
- ティム・バートンとジョニー・デップ。
- 時代錯誤の重厚さを放つバーナバス。
- 文字通り家守のバーナバス(笑)。
- この画▼に、ティム・バートンのこの↓エピソードを想起した。
- ★ウォルト・ディズニー・スタジオに雇われていたころは、クローゼットの中に座り込んで出て来なくなったり、机の上に座ったり机の下に潜り込んだりといった奇行を繰り返す問題児であった。無口で人づきあいが苦手で、同僚たちからは口がきけないとしばらく思われていた。★
- 『ダーク・シャドウ』は『アダムス・ファミリー』っぽくもある。