星お月様星空『イヴの総て All About Eve』星空お月様星

 

田舎娘のイヴは演劇界の大女優・マーゴ(ベティ・デイヴィス)に憧れ大都 会へと上京してくる。そして大女優マーゴの付き人となり、彼女はマーゴ のために甲斐甲斐しく働いていたが、ある日マーゴが稽古に遅刻して来ると、 驚くべき光景が目に入った。なんとイヴが彼女の代役として見事な演技を披露 していたのだ。マーゴは怒りと嫉妬で周囲に当り散らすが、 それがきっかけとなってさらに立場は悪化してしまう。さらにイヴは策略を巡らし、遂にマーゴの役はイヴのものとなってしまう。 次にイヴはマーゴの恋人で批評家のアディソンに接近し、その上脚本家のロイ ドをも誘惑する。やがて若手女優として成功し、スターの座に就いたイヴだったが… 。欲望と妬みが渦巻く演劇界の中で、あらゆる手段を講じてのし上がっていく女優 の姿をドラマティックに描いた名作。いわゆる内幕物の代表作である。『 八月の鯨』のベティ・デイヴィスと、「十戒」のアン・バクスターによる演技 合戦は必見。また、最後に登場する女優志望の美少女役でマリリン・モンロー が出演している。(Amazon商品ページより)

 

イヴの総て』(イヴのすべて、原題:All About Eve )は、1950年公開のアメリカ映画。監督はジョセフ・L・マンキーウィッツ

概要

主役のマーゴ・チャニングを演じるベティ・デイヴィス

 

実在の女優エリザベート・ベルクナーをモデルとした、メアリー・オアの1946年の短編小説 "The Wisdom of Eve" を原作としている。

ブロードウェイの裏側を見事に描ききり、アカデミー賞では、作品賞をはじめとして6部門で受賞。カンヌ国際映画祭でも審査員特別賞と女優賞を受賞した。

監督のマンキーウィッツは脚本も担当。前年のアカデミー賞において『三人の妻への手紙』に続いてアカデミー監督賞と脚本賞を受賞。2年連続で4つのアカデミー賞を一人の人間が獲得したのは後にも先にもマンキーウィッツただ一人である。

当初、マーゴ役はクローデット・コルベールが演じる予定だったが、怪我のために降板。スーザン・ヘイワードマレーネ・ディートリヒバーバラ・スタンウィックの名前も挙がったが、脚本を読んで気に入ったベティ・デイヴィスが演じ、彼女の代表作となった。

チャンスを狙う新人女優役として、無名時代のマリリン・モンローが出演。後のモンローのブレイクとリンクする作品として、今日では極めて重要視されている。

青春の抗議』、『黒蘭の女』に続いて3度目のオスカー受賞かと言われたデイヴィスだが、共演のアン・バクスターが所属会社フォックスの力を借りて主演女優賞にノミネートされ、結局、票が二つに割れたことで、二人とも受賞は叶わなかった(受賞はジュディ・ホリデイ)。

1970年ブロードウェイミュージカルとなり『アプローズ英語版)』(「拍手喝采」の意味)のタイトルで公演された。この作品は1970年のトニー賞最優秀作品賞をはじめ主要5部門を受賞。 初演のマーゴ役はローレン・バコールで、ミュージカル初出演でありながら主演女優賞を獲得したが、映画でイヴ役を演じたアン・バクスターがわずか1年でマーゴ役を引き継ぎ、実際の配役の上でも追う者と追われる者のドラマがあった。1972年には劇団四季により日本で公演されている。

あらすじ

アメリカ演劇界最高の栄誉であるセイラ・シドンス賞が、新進女優イヴ・ハリントンに与えられた。満場の拍手のうち、イヴの本当の姿を知る数人だけは、複雑な表情で彼女の受賞を見守るのだった…。

田舎から出てきた女優志望のイヴは、ブロードウェイの大女優のマーゴの付き人となる。自分の大ファンだというイヴに目をかけるマーゴだったが、イヴは次第に本性を表してゆき、批評家やマーゴの周りにいる人々に取り入ってゆく。ある日、出るはずの舞台に間に合わなかったマーゴの代役として出演するチャンスをつかみ、イヴは批評家たちから絶賛される。これを皮切りに、劇作家や有名批評家に巧く取り入り、マーゴまでも踏み台にしてスター女優へのし上がっていく。

キャスト

役名 俳優  
     
マーゴ・チャニング ベティ・デイヴィス      
イヴ・ハリントン アン・バクスター      
アディソン・ドゥイット ジョージ・サンダース      
ビル・サンプソン ゲイリー・メリル      
カレン・リチャーズ セレステ・ホルム      
ロイド・リチャーズ ヒュー・マーロウ      
マックス・フェビアン グレゴリー・ラトフ      
バーディ セルマ・リッター      
カズウェル マリリン・モンロー      
フィービー バーバラ・ベイツ      

 

 

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映画の原作となった、1946年の短編小説 "The Wisdom of Eve"の作者に、話の元となるエピソードを話した、エリザベート・ベルクナー▼。

1万本の映画評価 イヴの総て(1950)A~汚い手を使って最高賞までとった新人女優の行方

『イヴの総て』

ニューヨーク・タイムズ』紙の作家メアリー・オアの死亡記事によると、ベルクナーはオアに自分のかつての経験を語り、オアはその話を元にして、「イヴ・ハリントン」というキャラクターを主人公とした短編小説"The Wisdom of Eve"(イヴの知恵)を執筆し、1946年に『コスモポリタン』誌に掲載された。この小説を元に、ジョーゼフ・L・マンキーウィッツ監督の映画『イヴの総て』が製作された。このエピソードは、ベルクナーが『第二の妻英語版)』(The Two Mrs. Carrolls)という舞台作品に出演していたときのものである。🔶🔶ベルクナーは、劇場の外で何日も立ち尽くしている「まるで浮浪者のような」若い女性を不憫に思い、彼女に付き人としての仕事を与えたが、彼女はベルクナーの女優としての人生を「乗っ取ろう」とした[9]。🔶🔶

 

★↑ということは、エリザベート・ベルクナーは、乗っ取った、タイトルに名があるイヴではなく、乗っ取られた、既に有名女優のマーゴのモデル。★

 

『Wの悲劇』や『ワーキング ガール』を想起した。

(女優ーー「あんたは、私の踏み台よ。」三田佳子演じる大女優が、窮地(不倫相手の腹上死)から這い上がる為に薬師丸ひろ子演ずる新進女優を利用、持ちつ持たれつの関係になる。)

Wの悲劇 : ポスター画像 - 映画.com

Le Retour de G: Working girl

 

 

『Wの悲劇』で薬師丸ひろ子が三田佳子の衣装を自分に合わせてみてうっとりする、というシーンはこの映画へのオマージュなのだろう。『イヴの総て』のそこここに、既視ドラマの色々なシーンの原型が散らばっていると感じた。

角川映画【Wの悲劇】薬師丸ひろ子 | ∠かなめまよの胸はって行け〜〜!自信持って行け〜〜!

 

 

『イヴの総て』は、のし上がる女ドラマの原型なのだろう。

女の野心というものが全開に、ドラマになりきっている。

 

 

のし上がられ取って代わられるマーゴ・チャニング▼が、織田信長。

イヴの総て - Wikiwand

#6月21日 は本能寺の変で討たれた戦国の英雄 織田信長の忌日。 | 青木孝文 Aoki Takafumi のブログ『おもしろき こともなき世 ...

 

下からスピーディーにしかし着々と攻めてゆくイヴ・ハリントン▼が、豊臣秀吉。

映画 『イヴの総て』 (1950年)ー アカデミー賞の最多ノミネーション記録を樹立 - 20世紀・シネマ・パラダイス

豊臣秀吉 数々の伝説はドコまで本当か? 62年の生涯まとめ【年表付き】 - BUSHOO!JAPAN(武将ジャパン)

 

演劇界戦国下剋上。

Malditas Criticas de Cine: septiembre 2011

 

政権を取って代わったイヴの一日天下が冒頭の授賞式シーン。そこから回想的に話が始まる。

【映画】「イヴの総て (All About Eve)」(1950年)観ました。(オススメ度★★★☆☆) - 「言葉こそ人生」読むだけ元気お届け ...

 

そしてラスト直前に、お話はこのシーンにたどり着く。

ラスト、天下を取ったイヴが式から戻って女王気分を満喫していると、イヴそっくりのしたたかさをもった女優志望の若い女が部屋で寝ていて、イヴに取って代わろうと企んでいる……。

 

シナリオが、証明問題の模範解答のように冒頭回帰していてウロボロス的で感動した。

(古代の象徴の一つ、ウロボロス)

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劇は演劇批評家のアディソン・ドゥイット▼の視点から始まる。そしてストーリーが離陸すると、作品は彼の視点を離れ、神の視点となってゆく。

イヴの総ての画像一覧 | 映画ポップコーン

そしてイヴは、ラスト近くでその批評家▲の「ものになる(belong)」。

このシーンが、大変興味深かった。

二人とも、策士。

そのことに気づかないイヴ、批評家にまで策を講じようとする。そしてその批評家に勝とうとする。

そこで「ちょっとお待ちなさいよお嬢さん」と鼻で嗤う批評家。

「アンタ、この俺を騙そうっていうの?」という。

「百万年早いんだよ」という。

「アンタがついた嘘にみんな騙されてるけど、この俺だけは騙されねえよ」という。ザ・極道。蛇の道は蛇。

「アンタは、俺の掌の上なんだよ」というマウントムード。

「ワーッ!」と泣き出しベッドにうつ伏せになるイヴ。

ここで爆笑してしまった。

そして

「お前は今夜から俺のものだ、分かったな?」とボス然とした批評家。

「分かりました」と手下然としたイヴ。

「お父さん、こわいよ!」と『野性の証明』の薬師丸ひろ子なら呟くところ。

映画チラシサイト:野性の証明

 

 

批評家を演じたジョージ・サンダースは、こういう人。

1950年の『イヴの総て』でシニカルで非情な策を弄する演劇コラムニストを演じてアカデミー助演男優賞を受賞。冒険活劇のヒーローから下劣な悪党まで演じる老獪な個性派俳優として、時には主役も喰うような印象を残した。(Wikipediaより)★

 

冒険活劇のヒーローから下劣な悪党まで演じる老獪な個性派俳優………、そうだろうなと思う。

その資質が遺憾なく発揮されたこの役で、ジョージ・サンダース▼はアカデミー助演男優賞を受賞している。

George Henry Sanders was an Academy Award-winning English film and ...

左から、ベティ・デイヴィスが演じたマーゴ・チャニング、マリリン・モンローが演じた新人女優、ジョージ・サンダースが演じた映画批評家、アディソン・ドゥイット。

イヴの総ての画像一覧 | 映画ポップコーン

ベティ・デイヴィス演じるマーゴが、古いタイプの女を煮詰めたジャムのようで、笑っちゃうほど魅力的。そしてそのまま丸ごとのマーゴを、演出家のビルは愛している。

(左から、ビル、イヴ、マーゴ。)

映画 『イヴの総て』 (1950年)ー アカデミー賞の最多ノミネーション記録を樹立 - 20世紀・シネマ・パラダイス

この▼女同士の憧れ、憧れられるの構図は、「エースをねらえ」のお蝶夫人と岡ひろみや、「ガラスの仮面」の姫川亜弓と北島マヤ的、バチバチバトルと疑似恋愛の混じった急速な情報交換。

追う人は、追っている人の成功情報を急速にダウンロードしたいのだ。「ああなりたい」という憧れとは究極、成功達成のための近道情報の取り込み欲求。今すぐにでもああなりたい。ああなって、誉れに浸りたい。憧れられたい。

イヴの総て - All About Eve - JapaneseClass.jp

エースをねらえ! - TheTVDB.com

ガラスの仮面 iPad壁紙 北島マヤ(きたじま マヤ),姫川亜弓(ひめかわ あゆみ) アニメ-スマホ用画像176535

 

平成の真ん中辺りで、憧れの先輩を、まずファッションやメイクからどんどんコピーしていって最後整形までして、その先輩の仕事や恋人を次々取っていってしまい、最後にはその先輩が名前も奪われ殺される、いなかった人となってその存在も存在の痕跡も消去される、という、スタートは憧れの先輩と後輩という関係の二人の女の話を読んだような気がする。漫画だったかもしれない。一部自分がくっつけたイメージがあるかもしれない。

そのことを思い出した。

 

格言でいうと、飼い犬に手を噛まれる、ということ。

 

けれど、あらゆる親しい人間関係というのは、飼い犬に手を噛まれるか、飼い犬として飼い主の手を噛んでいる。

ゲームで親子という関係があるが、この映画ではマーゴが親、イヴが子。

子のイヴが、急速に親の背を追い越す、という感じ。

しかし遺伝子を受け継いでいるため、運命は同じ。

間もなく新たな新人女優に、イヴは自分がしたことと全く同じことをされ始める。

この、また新たなゲームが始まったというムードの中で、この映画は、ジ・エンド。

映画 『イヴの総て』 (1950年)ー アカデミー賞の最多ノミネーション記録を樹立 - 20世紀・シネマ・パラダイス

★『青春の抗議』、『黒蘭の女』に続いて3度目のオスカー受賞かと言われたデイヴィスだが、共演のアン・バクスターが所属会社フォックスの力を借りて主演女優賞にノミネートされ、結局、票が二つに割れたことで、二人とも受賞は叶わなかった(受賞はジュディ・ホリデイ)。★

 

↑デイヴィスとアン・バクスターは、リアルマーゴ&イヴ(笑)。

 

この写真のアン・バクスターは、リアルイヴ感が濃厚。今からごぼう抜きでのし上がりそう(笑)。

Anne Baxter

1956年の『十戒』のアン・バクスター。共演はユル・ブリンナー。

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The Ten Commandments (1956) • movies.film-cine.com

 

ベティ・デイヴィスの主な出演作品。

黒蘭の女』(1938年)
偽りの花園』(1941年)
情熱の航路』(1942年)
イヴの総て』(1950年)
何がジェーンに起ったか?』(1962年)

Bette Davis

『八月の鯨』にも出演。

Cartel de Las ballenas de agosto - Foto 1 sobre 5 - SensaCine.com

 

 

 

 

左から、演出家のビル、大女優のマーゴ、批評家のアディソン・ドゥイット、新進女優のイヴ、脚本家のロイド、その妻のカレンの、カーテンコール的フォトショット。全員凄い。

All About Eve: Behind-the-Scenes Documentary on Bette Davis’ Best Role ...

イヴの総て (1950): MOROの《気ままに見聞録》

「イヴの総て All About Eve」無菜のブログ | 無菜 - みんカラ

 

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