五月の風
ドラマ『岸辺のアルバム』のテーマ曲、ジャニス・イアンの「ウィルユーダンス」。
森山良子さん的なシンガーソングライターだったのだろうか。
森山良子さんはジーョン・バエズの曲を聴いて音楽を始めたという。
ジーョン・バエズが歌っているのはボブ・ディランの「風に吹かれて」。
『岸辺のアルバム』。八千草薫さん演じる女と竹脇無我さん演じる男の関係がとても美しく、上品でした。
この駅のホームのシーンは、同じTBSのドラマ『青い鳥』に継承されていると思う。
「青い鳥」。
お母さんの秘密に気づく息子(演じるのは国広富之さん)。
息子はお母さんを尾行して、男との密会現場を突き止めます。その過程を通し、息子は荒れ、そして大人になってゆくのです。
家族それぞれいろいろあってバラバラになりかけるかというところで台風。流される家から、家族は力を合わせてアルバムを救い出します。
▼サムネイルのクレジット、竹脇無我さんの役名はまだ「電話の声の男」。
『岸辺のアルバム』は山田太一さんが新聞連載した中年夫婦の倦怠期を描いた小説をもとに、山田さん脚本でドラマ化。山田さんは『異人たちとの夏』など小説家としても活躍していた。
ドラマでは演者が全員魅力的で生き生きとしていて、国民はまるでこの一家の一員のような気分で見た。当時はタレントの人たちがバラエティ番組の冒頭に「国民の皆さんこんにちは」などと言っていた。そういう国民一体感がまだあった時代。一億総中流と言われた時代だったため、そのマスの誰もが「うちのこと」として見た。どこの家庭にもこの一家同様の問題とこの一家同様の幸福があった、という幻想を持っていた。TBSは報道のTBSと言われていたため、ドラマが社会派だったのだろう。報道とドラマが地続き。
この▼冒頭は、まるで報道番組が始まりそうな気配。
山田太一さんの小説『異人たちとの夏』も映画化。風間トオルさん演じる主人公が人生に躓(つまず)いたとき、ふと今は亡き両親のいる時空にタイムスリップする話。
この予告編の映像の独特の暗さと音のうねり、時空ぐにゃっと感が大林宣彦監督作品。
風間トオルさん演じる、人生が色々上手くいかなくなった主人公は、タイムスリップして、生前の、若い頃の両親に会う。二人は驚きもせず、主人公を温かく受け入れる。
まるで友達のようになってゆく三人。
しかし、懐かしく居心地のいいここにずっといるということは、即ち死んでいるということ。
『異人たちとの夏』。この「異人」が肝。日本人にとって異人といえば、それまでは「赤い靴履いてた女の子異人さんに連れられて行っちゃった」の異人、つまり外国人だった。『異人たちとの夏』の異人とはあの世の人。異人というワードの持つイメージが更新された。『異人たちとの夏』の異人の異が詩的イメージとして響いたのは、その土壌として久保田早紀さんの「異邦人」のヒットがあったからではないかと思う。
作詞は野口雨情。北原白秋、西條八十とともに童謡界の三大詩人。
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ひゃくえんだま どこへゆく?
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【出版社からのコメント】
このお話は、いわば100円玉の冒険物語です。転がった100円玉は、いろいろな場所を巡りながら、カラスやウミガメ、クジラにペンギンと、さまざまな生き物と関わりつつ、再び市場経済に戻っていきます。同じ金属の丸い塊が、カラスにとっては宝物のコレクションになり、ペンギンにとっては未知の飛来物になり、人間にとっては、物を買うための価値あるものになる。そう考えると、お金って不思議ですね。
現実の100円玉も、市場経済のなかをぐるぐると、いろんな人の元を巡りながら、果てのない冒険を続けています。おうちにある100円玉も、もしかしたら遠い海の向こうからやってきたのかも? なんて空想を広げながら、このお話の世界を楽しんでいただけたら嬉しいです。
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