「多発性硬化症」は英語で「Multiple Sclerosis」略してMSとも呼ばれますが、中枢神経系の慢性炎症性脱髄疾患である指定難病であり、視力障害、感覚障害、運動障害、疲労、排尿障害、ふるえ、物忘れなどの症状により日常生活、社会生活に大きな影響を与えているケースもあります。30歳前後から発症する方も多く、日本では現在約18,000人の患者さんが存在すると想定され、世界中で患者数が増加しています。
そんな多発性硬化症への認知を広げるべく、毎年5月30日を「世界多発性硬化症の日」として、世界的な連帯、行動、希望、ストーリーの共有、疾患啓蒙、キャンペーン活動などが行われています。
以前、同じく中枢神経疾患のMOGAD(抗MOG抗体関連疾患)の調査を担当しましたが、小学生の患者さんとそのご両親にインタビューした時のことは強く印象に残っています。突然の発症とご家族が受けた衝撃、治療における困難な道のりについてのお話に、何度胸が潰れるような思いになったことでしょう。
MSについても医療従事者にインタビューした際、ステロイド薬、血漿浄化療法、疾患修飾薬などいくつかの治療があるものの、いまだこれという決め手がないことはMOGADも同様。繰り返される再発を完全に抑える治療法がないだけに、患者さんそれぞれの症状を良く理解し、ライフスタイルに合わせた治療の提案や安全性の管理などの処置が取られているようです。
以前に比べて、ご自身の疾患について発信される方、患者会からの支援や企業からのサポートプログラムなども増えてきているとは思いますが、より良い医薬品やサポートが提供され、医療従事者、患者様/ご家族の治療環境、そしてQOLが改善されることを強く願い、調査を通してそのお手伝いができればと念じています。
文章・プロクター志津子
多発性硬化症サポートナビ
https://www.ms-supportnavi.com/feature/world-ms-day/wmsd2024.html