いつもご覧いただき有難うございます。

本日は、調査手法について少しお話したいと思います。

 

私たちが特定の疾患について調査するとき、患者さんや介護者さんへ治療経験などを伺うインタビュー調査が中心ですが、最近は、インタビュー前に課題(事前課題、英語では“pre work” とか“pre-task”といいます)を、クライアント/調査依頼主から求められることが多くなりました。

 

例えば、次のような課題があります。

 

・数日間、日記で思いをつづる

・コラージュ写真を作る(写真やイラストなどの切り抜きを好きに並べて一つの作品にする)

・ご自身の疾患を、動物や物、もしくは架空の生物に例えて、画像を探して送っていただいたり、イラストで描いていただいたりする。

・誰かにあてた手紙を書く

 

インタビューだけで十分ではないの?

いろいろ準備するのは面倒だな。

忙しくて時間がない。

 

などと思われるかもしれませんが、実は事前課題をすることには次のようなメリットもあります。

 

・出来事を客観的に時系列で整理できる。

・節目の出来事で、どんな感情が生まれたのか、何に困ったのか、より鮮明に思い出すことができる。

・漠然としたイメージを言語化することで、明確に伝えることができる。

・クリエイティブな作業を通して、自分自身でも意識していなかったことを顕在化できる。

・本番(インタビュー)でのアウトプットがしやすくなる。

 

私たちの調査目的は、“あなた”の経験や感情を理解することにあります。初対面同士が、インタビューというコミュニケーションだけで全てを理解しあう事は、容易ではありませんが、この事前課題が補ってくれるのではないでしょうか。

 

最近の調査では、スマートフォンやパソコンで使える様々なITツールの活用も増えていて、“あなた”自身が話す音声や、録画をご用意いただく場合もあります。提出いただく情報は、個人情報保護、事前の同意にもとづき、研究のために活用されることになりますが、参加者は、受け取り手(調査員や製薬企業の担当者)に、自分の思いを訴えたり、リアルに理解してもらったりすることが可能になります。

 

実は、スマホやパソコンを用いた調査に試行錯誤してチャレンジしたことで、自分のITスキルや知識が少しアップということもあります。これから自分の声を伝えていくには、ITの知識やスキルはもはや欠かせないものになってきているのかもしれません。

 

それでも、参加される方がITツールを使う調査でつまずいてしまいそうなときは、私たちは、ツールの使い方についてアドバイスしたり、デジタルからアナログの方法に変えたり、いろいろな方法でサポートさせていただきます。作業をしていく過程がもしかすると、表現する面白さに変わる部分もあるかもしれません。自分史のひとつとしてとらえられるかもしれません。いつかぜひ一緒に取り組んでみませんか?

(プロクター)