村上春樹先生の新作『街とその不確かな壁』を読み終えた。
いつものことだが、村上作品の読後は不思議な感覚に包まれる。
現実と異次元の世界を行ったり来たり、普通とはちょっと違う登場人物の何気ない一言の中に物事の真理が見えて、ハッとしたりする。
今、自分はどちらの世界のいるのだろうか。
今、ここに居る自分は本当に生きているのだろうか。
この世界そのものが自分の意識の中の創造物であって、現実世界においては、既に自分は存在していないのかもしれない。
もう一度読み返せば、村上ワールドをじっくり堪能できるのだろうが、買い置きしている逢坂剛先生の『鏡影劇場(上、下)』、真保裕一先生の『おまえの罪を自白しろ』、伊坂幸太郎先生の『シーソーモンスター』、佐々木譲先生の『樹林の罠』も早く読め読めと語り掛けてくるし、なかなか再読の時間が取れない。
再読が叶うのは、正真正銘の晴耕雨読の日々を迎えてからかな。
(了)