なんでこんなに胸が熱いんだろう…。
そう思って右手を見るとお酒の入ったグラスを手にしていた。
「なんとっ!また飲酒ですかぃ!」
なんでこんなに目が細いんだろう…。
そう思って鏡を見ると思ったより細くなかった俺がいた。
「俺が細いんじゃないぜぇ。みんなが無駄に大きいんだ。」
なんでこんなに眠れないんだろう…。
そう思って時計を見るとまだ昼間だった。
「そりゃ眠れるわけないぜ。まだ一日が半分余ってる。」
なんでこんなに馬鹿げてるんだろう…。
そう思って冷静になってみると世の中の事象のほとんどが馬鹿げていた。
「馬鹿げてるけど、興奮する。」
まるでTough Boyだぜ。
いや、Love Songだぜ。
歌は俺たちにいつも勇気をくれる。
感動をくれる。笑顔をくれる。泣かせてくれる。
そう、それはまるで誰かの人生を覗いているかのようだ。
だから、本気の歌は素晴らしい。
何度でも聴きたくなる。共感したくなる。
だけど、俺は。
もう何年も本気で歌っていない。
薄っぺらい人生を歌えるわけがない。
またスタートラインからやり直そう。
そんなに簡単じゃないけれど、勇気がいることだけど。
人はいつだって孤独だ。
友達や恋人がいたって、それでも一人で生まれて一人で死んでゆく。
だから、もっと強くならなければいけない。
自分の精神を研ぎ澄まさなければならない。
そんなことを考えているとふっと彼女のことが頭を過る。
俺みたいな孤独な気持ちにさせてはいけないと。
それでもきっと一瞬でも感じてしまうんだろう。
それが生きるということだから。
さよならという言葉をもっと輝く言葉にできないだろうか。
ありがとうとかそういう意味を込めて。
もしみんなが同じ景色を見て、同じ思いでいるのなら。
なんて素敵で、なんてつまらないことだろう。
もし明日の幸せが約束されていたとしたら。
なんて気楽で、なんて退屈な日々だろう。
そうやって人は我が儘だ。
幸せを望むくせに、乗り越えられるくらいの試練を待っている。
それを乗り越えて予定調和のように感動したいんだ。
神様がいたとしたら、付き合いきれないと言うかも知れない。
だけどそれが人間だ。
我が儘で醜悪で弱くて馬鹿げてて。
だからこそ愛すべき生き物なんだと思う。
それを自覚しているうちは愛しい生き物なんだ。
そして、いつか理想と現実のギャップを昇華できなくなって。
人はコントロールできなくなっていく。
どこへ向かうのか。どこを彷徨うのか。
もうそれは人間の及ぶ範囲ではないのかも知れない。
という戯言が脳裏を駆け巡った…。