うたかた花火

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           うたかた花火

あふれる人でにぎわう8月末のお祭り
浴衣を着て下駄も履いて
からん　ころん　音をたてる
ふいにあがった花火を二人で見上げた時
夢中で見てる君の顔をそっと盗み見たの

君の事嫌いになれたらいいのに
今日みたいな日にはきっと
また思い出してしまうよ

こんな気持ち知らなきゃよかった
もう二度と会えることもないのに
会いたい　会いたいんだ
今でも想う　君がいたあの夏の日を

目が覚めて眠れなくて  

音楽を   探してた

ふと思いだして  

歌うのが大好きな次女の唄を

聞いてみた 

季節外れだね

優秀だった彼女の彼

陸上部のエースで

イケメンで   背が高くて

運動会では団長

カッコよかった

先生からも太鼓判を押されていたのに

大学受験を失敗  浪人することに

都会で  自分の夢に向かって歩き出した次女が彼には  眩しすぎた

３回の夏を一緒に過ごして  終わった恋

小さな  小さな  恋

でも  小さな  小さな心は 傷ついた

彼女に浴衣を着せて  

ふわっとさせたショートヘアーに

かんざしをさして

可愛かったなぁ

この唄を歌っていた時は

歌詞じゃないけど

こんな日が来るとは   思っていなかったんだろうな

もうすっかり元気になって   

勉強も   アルバイトも

何でも楽しむのが

彼女の  モットー

元気になって良かった

あの時   お母さん  心配で

あなたの好きなお菓子を

段ボール一杯に詰めて   送ったっけ

もう  大丈夫だね

あなたは   たくさん   学んだね

私も  今  同じ思いなのかもしれないな

ふっと  目の前から  

好きな人が  消えたから

寂しい  悲しい  じゃなくて

切ない気持ち

あなたは  この唄  上手に  歌えてないって言うけど

お母さんは   好きだな   

あなたが歌う   この唄