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「さてダビデの子アブサロムには名をタマルという美しい妹があったが、
その後ダビデの子アムノンはこれを恋した。(サムエル記下13:1)」

・・・(中略)・・・

「しかしアムノンは彼女の言うことを聞こうともせず、タマルより強かったので、
タマルをはずかしめてこれと共に寝た。(サムエル記下13:14)」

・・・(中略)・・・

「そこでアブサロムは若者たちに命じて言った、
『アムノンが酒を飲んで、心楽しくなった時を見すまし、わたしがあなたがたに、
『アムノンを撃て』と言う時、彼を殺しなさい。恐れることはない。わたしが
命じるのではないか。雄々しくしなさい。勇ましくしなさい。』
(サムエル記下13:28)」

・・・(中略)・・・

「王は心に、アブサロムに会うことを、せつに望んだ。アムノンは死んでしまい、
ダビデが彼のことはあきらめていたからである。(サムエル記下13:39)」

ダビデには、ミカ、アヒノアム、アビガイル、マアカ、ハギテ、アビタル、
エグラ、バテシバの妻がいた。他にも妾が十人いたようである。

ダビデ王の子達は、アヒノアムが産んだアムノン、アビガイルが産んだキレアブ、
マアカの子アブサロム、ハギテの子アドニヤ、アビタルの子シパテヤ、
エグラの産んだイテレアム、バテシバの産んだソロモン、である。
他にも妹らがいて、アブサロムにはタマルという妹がいた。

この長男アムノンが、異母兄弟のタマルに恋をし、ヨナダブといういとこの悪知恵で、
病に倒れたと偽装し妹タマルを自分の宮殿に迎え入れ、手作りの菓子を作らせ、
二人きりになったところで襲いかかり強姦した。

アムノンは、この直後すぐタマルを深く憎むようになり、罪を犯し恥を被らせた上、
傷つけた妹を追い出して戸を閉ざしてしまった。
兄アブサロムは傷ついたタマルを迎え入れ、二年もの間アムノンに黙し通した。
あまりにも憎しみが深過ぎて、その間、殺害の計画を企てていたのである。
タマルは、兄アブサロムの家に寂しく住んでいた。

二年が過ぎ、アブサロムは兄アムノンと兄弟達、キレアブ、アドニヤ、シパテヤ、
イテレアムをパーティに招待し、アムノンを酒で酔わせ、僕の若者に殺害させた。
カインとアベルの時以来、異母兄弟間での殺人が行われたのである。

アブサロムは、ゲシュルの王タルマイの元に逃れ、そこに三年間住んだ。
ダビデ王は、我が子が我が子を殺すという壮絶な悲しみを背負った。
アブサロムはとても美しい王子であったが、ダビデの以前の罪の故に、
殺人犯となり下がってしまったのである。
神の祝福も罰の呪いも、このように継承されるのである。
ダビデがバテシバとの間に行った様々な罪の故、生まれて来る子達に
その罰と呪いが同じようにかかってしまったのである。

ダビデがバテシバの夫ウリヤを騙して殺させたように、我が子アブサロムが、
我が子アムノンを騙して殺させたのである。
また殺人の罪の大きさ故に、バテシバとの間の赤子も神に撃たれて死んだ。
ダビデがバテシバを誘い出して不倫の姦通をしたように、我が子アムノンが、
妹タマルを誘い出して強姦した。
のちにこのアブサロムは、父ダビデの十人の妾達とも姦通するのである。

これは、以前に神から下されたダビデの数々の忌わしき罪への罰である。
このように、ダビデは自分の犯した罪の結果を刈り取る事となってしまった。
我が子達が、家族間で殺戮と欺きと好色とをし続ける事となってしまった。

このアブサロムは、兄アムノンの妹タマルへの強姦事件をきっかけに罪に走り、
兄アムノンへの殺害から始まり、父ダビデに反旗を翻し、イスラエルの人々の心を
その美貌と悪知恵の策略とで盗み取り、父の軍との全面戦争へと発展し、
全イスラエルの前で、ダビデが家を守る為に残しておいた十人の妾達と姦通し、
最終的には、ダビデの僕、軍の長ヨアブに殺されてしまうのである。
しかしダビデは、我が子アブサロムを最後まで心配し、愛し通した。

罪は、神に悔い改めた時にどんな罪でも赦されない罪はない。
しかし、罪の結果は刈り取る事となる。
十字架に架かられた時、全ての罪と呪いと罰とをイエスが一身に引き受けられ、
罪の結果の報酬の死と罰と呪いとを刈り取って下さった。

ダビデの時代はイエスが到来していなかった為、罪の結果を被っていたが、
今の恵みの時代に生きる救われた者達は、イエスの十字架の贖いの血ゆえに、
赦しを受けるだけでなく、死と罰と呪いからも解放されているのである。
しかし故意に犯す罪は、悔い改めない限り、その結果を刈り取る事となる。
新約時代に生きるイエスの民達は、旧約時代の神の民への神の厳しさを覚え、
その赦しの道を感謝し、罪と罰の事とを厳粛に受け止める必要がある。