<前回からの続き>
ライヴィスは慌てて大量の酒瓶をイヴァンに届けるべく外へ向かった。
外は気温は低かったが風も無く、静かに雪がひらひらと降っていた。イヴァンは少し上を見上げその場に静かに立っている。
「い、イヴァンさんっ!持ってきましたっ!」
イヴァンの背中にライヴィスが震えながら声をかける。これは寒さではなく、イヴァンに対しての震えだ。イヴァンが静かに振り返る。
「一本で良かったんだけどな~?」
笑顔のイヴァンを見てライヴィスはさらに身体を強張らせた。
「すみませんっ!すみませんっ!」
ひたすら謝り続けるライヴィスからイヴァンは一瓶手に取るとキャップを開け一口飲んだ。
そしてまた、背を向けてその場から動かなくなった。何も言わないイヴァンの後ろでライヴィスは家に戻って良いのかもわからず立ち尽くす。
「い、イヴァンさん?」
声をかけてもイヴァンは何も答えない。
「こ、こんな外で飲んでたらリアルに冷凍フランス人になっちゃいますよ?」
「ライヴィス~」
急に名前を呼ばれライヴィスは硬直する。
「…ライヴィスは本当にちっちゃいね~…」
「そ、それは…」
「僕は大きいけど…」
イヴァンの言っている意味がライヴィスには分からず、そのままイヴァンの言葉を待つ。
「みんなで一緒にいれば暖かいかもって思ったけど、僕のそばは向日葵が咲かないんだ…」
「イヴァンさん…」
二人の頭上から音も無く雪が降っている。静か過ぎるせいで、世界は今いる二人だけなんじゃないかと錯覚させる。
「みんなの周りにはたくさん向日葵が咲いているのに…アルベルト君の周りもルートヴィッヒ君の周りもみんな笑ってるのに…」
ああ、そうか…この人の言う向日葵はそういう意味なのか…周りに誰かいても一人と感じていた僕のように、この人も一人だと思っているのだ…
ライヴィスの足元に酒瓶が静かに落ちた。自分でも無意識にイヴァンの大きな手を握っていた。
急にそんな事をされ、イヴァンが驚いた表情で振り返る。
「ぼ、僕ずっとイヴァンさんの隣にいますよ」
抱きついているその人からはいつもの恐ろしい威圧感は微塵も感じなかった。
「イヴァンさんは怖いけど、一人が寂しいのは僕もわかります。だからあなたの向日葵になります…」
「ライヴィス…」
イヴァンに名前を呼ばれライヴィスははっと我に返る。あのイヴァンになんて事を言ってしまったのだろう。
「す、すみませんっ!」
イヴァンは静かにライヴィスの頭に手を置く。またいつものようにギュッと押さえ付けられると思い、ライヴィスは身体を強張らせた。しかし、イヴァンの手は優しく髪を撫でるだけだった。恐る恐る顔を上げる。そこには優しく微笑むイヴァンの顔があった。いつもの怖い笑顔ではなく、とても穏やかなものに見えた。
「ライヴィスはちっちゃいから、向日葵って言うよりはタンポポだよね」
一面真っ白に染まった雪の世界に、大きな向日葵と小さなタンポポが並んで確かに咲いていた―
「お、お帰りなさいっ!イヴァンさんっ!」
出かけていたイヴァンにトーリス、エドァルド、ライヴィスが並んで出迎える。
「ただいま~、みんな」
笑顔のイヴァンに引きつった笑いを見せる三人。二人雪の中で交わした言葉を、お互い忘れたかの様に何も変わらないイヴァンとライヴィス。
「お、お疲れ様ですっ!皆さんにアル中とかって言われないかって心配してましたっ!」
「ライヴィス―っ!」
二人が絶叫する中、イヴァンが影のある笑顔でライヴィスの頭を力いっぱい押し付ける。
辺りにライヴィスの悲鳴が響いた。
全く何も変わらない日常の風景。変わったところをしいて言うなら、毎回のようにルートヴィッヒに頼ろうと訴えていたライヴィスの発言がほんの少し減ったくらいだろうか。本当にほんの少しだけ――
<end>
やー、恥ずかしい(/ω\)
ライヴィスが何であんな事したか…
答え:天然だから(笑)
また何かうpしますので、なま温かい目で見てやってくださいσ(^_^;)
ところで、世界陸上を見てても選手じゃなく、国名と国旗に目が行くのは私だけでしょうか…(笑)
