アはアップルパイ | スコットランドは今日も曇り空

スコットランドは今日も曇り空

気がついたら在英30年。今さら周りに言えない憂さをさらすブログ。

こんがりと黄金色に

パイが焼けました。



林檎のパイです。






AはアップルパイのA


ミルクティーをたっぷり淹れて

お客さまを招びましょうか。


さんざしとライラックが薫る

5月のお庭では、

はるかな国の花や小鳥たちも

集まることでしょう。



透き通った銀の髪の少女や

夢を見るあの人を

孤独な青い目で優しく見守るのは

薔薇の花を散らす少年です。



甘い香りのスイカズラの下のハンモックで

お昼寝している

金髪のあの子はだあれ?



温室の側のテーブルでは、

南国を思わす黒髪に瞳の少年が

憂いを含んだ面持ちで

静かにカップを唇に運んでいます。



すぐ横ではしゃぐ陽気な彼は

2切れ目のパイを豪快に頬張っている。

巻き毛の転校生は

空気に馴染めず

借りてきたネコのよう。



ああ、白くてフワフワの

本物のネコちゃんも

焼き立てのパイの

匂いに釣られてやって来ましたね。



泡沫の幻でしか過ぎないけれど、

私は口をつぐんで

そっとティーポットから

お客さまたちに

お茶のおかわりを注ぎます。



そんな夢うつつの

気怠い昼下がり。