ウォータールー (長文です) | スコットランドは今日も曇り空

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気がついたら在英30年。今さら周りに言えない憂さをさらすブログ。

前記事でアバの話をして

思い出したウォータールー。


日本では「ワーテルローの戦い」の

ワーテルローとして

認識していた地名ね?



英国🇬🇧に来たら、

英語読みのウォータールーだと

知りました。



ま、それは別にいいんだけど、

同じウォータールーで

ビックリしたのが

昔の映画の原題です。




今でも絶対に泣ける

私の映画ベスト3に殿堂入りする

メロドラマ『哀愁』。



ヴィヴィアン・リーと

ロバート・テイラー主演の

第一次世界戦争をバッググラウンドにした

名作です。



この原題が

「ウォータールー・ブリッジ」なのよ。



まあ、意味があるんだけど

日本人にはお馴染みの無いロンドンの地名だし、

ムードも無い。




『哀愁』と訳した

当時の人はエライ!



『慕情』Love is a many thousand things 


『旅情』Summertime 


『めぐり逢い』An affair to remember 


この辺りは原題に拘らず、咀嚼した

日本語のセンスが素晴らしい!



セリフはないけど、誰かがまとめたダイジェスト画像。雰囲気、味わえます。これ見て、ついあらすじを書いちゃった。



『哀愁』はヴィヴィアン・リー扮する

バレリーナ、マイラが

ロバート・テイラー扮する将校ロイに

ウォータールーブリッジで

出会ったことから始まります。



真知子と春樹さんの数寄屋橋みたいに、

初めて出会ったウォータールーブリッジは

2人の思い出の場所になる。



なんか勝手に興が乗ったから

あらすじを書きます。

Uターンするなら、

今だよ?


爆笑爆笑爆笑



哀愁




時は第一次世界大戦の最中。

ウォータールーブリッジで出会い

一目で恋に落ちたマイラとロイ。

でも二人に時間は無い。



ロイは貴族のコネを使って

特別結婚許可証を手に入れ、

明日結婚しようと、

マイラにプロポーズします。



でも、その夜

ロイの部隊に出動命令が下る。

楽屋で電報を受け取ったマイラは

舞台を放棄して

ロイの見送りに駆けつけることを選びます。



今、舞台に穴を開けたら

マダムは二度と貴方をバレエ団に入れておかないわよ?無職になるのよ?それでも良いの?

と親友のキティに詰められるが、

一目でも会わなければ、と

駅に急ぐマイラ。



発車する列車に

かろうじてロイの姿を見つけたものの、

言葉を交わすチャンスも無く、

2人は離れ離れになり、

マイラはバレエ団を追い出されました。



そして庇ってくれた親友のキティと共に

戦時下のロンドンに

仕事もお金も無く

取り残されたのでした。



さて戦地からロイは

母親のレディー・マーガレットに手紙を送ります。

婚約者のマイラに会い、

彼女の面倒を見て欲しいと頼んだのです。



お上品なティールームで

ロイの母親を待つマイラ。



何かお持ちしましょうか?

いえ、人を待っていますから、

後で頂きます。



なかなか現れないレディーマーガレット。



気を利かせたウェイトレスが

待つ間に読んだらと

新聞を持ってきてくれます。



そこには戦死者のリストが

掲載されています。

おそるおそる新聞を開くマイラ。

そして、広報にロイの名前を見つけたマイラは

失神してしまいます。



気付け薬のブランデーを

ウェイトレスに飲まされて

気がついたマイラ。


茫然としたまま

持たされたブランデーのグラスを

握り締めている彼女の前に

現れたのがロイの母親、

レディーマーガレットでした。



まだショックの中にいるマイラは

言葉も出てこない。


レディーマーガレットの目には

ダンサー、酒飲み、

息子を誘惑した無学な女

としか映らなかったのです。



息子のために

貴方とはお友達になろうと思ったけど、

無理なようですね、と

マイラの態度を誤解したまま

レディーマーガレットは

冷たく去ってしまいます。


ロイの戦死の悲報に

絶望したマイラは

そのまま病んで倒れてしまいました。

そんなマイラの

唯一の味方は親友のキティ。


キティの手厚い看護のおかげで

マイラは回復しましたが、

今度はキティが倒れてしまった。



そこで初めてマイラは

親友がどうやって2人の

生活を支えてきたかを

理解します。



すでに最愛のロイを失ったマイラ。

もはや失うものは何も無い。

親友に恩返しをするために

「今度は私の番よ」と

口紅を濃く塗り

夜の街に

出かけてゆくのでした。


一年後。

ウォータールー駅が

マイラの縄張り。

戦場に赴く軍人だけが

マイラの相手です。



今夜もウォータールー駅で、

すれ違う軍人に

思わせぶりに

ハロー、ソルジャーと声をかけて

歩くマイラ。



そのマイラの前に現れたのは

死んだはずのロイでした!

戦死広報は間違いで、

ロイは捕虜になっていたのです。



何も知らずに

恋人に再び巡り会えたことを

喜び、マイラを抱きしめるロイ。



今度こそ結婚式だ、

必ず幸せにするよ、と誓うロイは

スコットランドの自分の館に

マイラを連れていき、

盛大な婚約披露パーティーが

開かれます。



絶対に過去の話をしちゃダメよ!

悪いのは戦争なんだもの。

私たちは生き延びてきただけ。

今度こそ幸せになるのよ、と

親友に励まされてきたものの

マイラの心は晴れません。



ロイの伯父の公爵から、

誇り高い一族の話を聞き

さらに良心の呵責に

悩まされるマイラ。



レディーマーガレットも


貴方、あのティールームで広報を見たのね。

私にショックを与えまいと

何も言わないでいたね。

可哀想に。

誤解してごめんなさい。

これからは、

新しくやり直して

良いお友達になりましょう、と


暖かくマイラを迎え入れてくれます。




堪らなくなったマイラは

舞踏会の後、

別れを決意して

レディーマーガレットの部屋に

話に行きました。



ロイとは

どうしても結婚出来ません、

と涙ながらに訴えるマイラ。



何故なの?

息子はあんなに貴方を愛しているのよ?

貴方は違うの?

他にどなたか好きな人が出来たの?



訝しげなレディーマーガレットの言葉に

マイラの涙が止まりました。


Oh、レディーマーガレット、

You are so naive 



このセリフ、日本語じゃ

お幸せな方、と訳されていました。

原文はナイーブ。

日本語でのナイーブの使い方は

本来の意味じゃない。

このシーンでのナイーブは

胸にグサリときますね。



キョロキョロキョロキョロキョロキョロキョロキョロキョロキョロ



やっとかマイラの言葉の意味を悟り

オロオロするレディーマーガレットに、

絶対にロイに真相を明かさないことを

誓わせて、

マイラは姿を消します。



いきなり理由も言わずに消えたマイラを

探して、

ロイは唯一の手がかり、

親友のキティを訪れます。



もちろんマイラは居ない。



話を聞いたキティは

愚かな子、と呟き

ロイに

何を見ても聞いても

絶対に驚かないで、と約束させて

2人でウォータールー駅に

マイラを探しに行きます。



マイラを見た?

いや、しばらく見ていないよ。

マイラ?結婚したんじゃなかったの?

やっぱりね〜。

アタシたちにゃ

そんな夢物語叶う訳ないものね?



実はマイラは…と口籠るキティを

ロイは遮ります。

もういい、全て分かった、と。

全てを理解した上でも

ロイの愛は揺らぎませんでした。

一刻も早く

マイラを探さねば!



マイラがどこにいるか、

僕には心当たりがある!

あそこしか無い!



初めての出会いの場所、

ウォータールーブリッジに急ぐロイ。



同じころ、橋の上に佇むマイラ。

そこへ次から次へと

軍隊の輸送車輌が

列をなして

走っていました。



ヘッドライトの光に吸い込まれるように

朦朧と橋を歩くマイラ。

いつしかその身体は

歩道から離れ

ヘッドライトの前に投げ出されていたのです。



第二次世界大戦のロンドン、

ウォータールーブリッジ。


今は大佐となったロイ。

思い出のウォータールーブリッジを歩く

ロイの手には

マイラの形見のお守りが

しっかりと握られていました。


マイラとの束の間の

幸せな思い出だけを

胸に抱きながら、

ロイはまた再び戦地へと

旅立って行ったのでした。



The End