坂本龍一さんのソロアルバムで通算3枚目「左うでの夢」と通算4枚目「音楽図鑑」が、初めてリマスタリング盤として近々MIDIレコードより紙ジャケット仕様で復刻発売される予定となっています。現在、リマスタリングの作業真っ最中との事です。

まぁこれらは一旦「発売中止」となりまして、各々のショップも返金手続きに奔走しておられてお気の毒ではありますが(汗)…MIDIの公式ツイッターによれば、収録内容が大幅に変更される事になったそうで、それで当初の価格で発売できなくなったようですね。そのうち注文が再開されたら、当然私も同じショップで購入しますよ♪

https://twitter.com/MIDIRECORDCLUB/status/309895885876248576

http://midiinc.com/30th/

私もMIDI時代の坂本さんのリマスター盤は、長い間、待ち望んでいました。どうも今まで聞いてきた話によりますと…元々MIDIの大蔵社長は「リマスタリング」や「音楽配信」がお嫌いだったそうで、会社としてもこの両方に関しては行わない方針だとか…そのように聞いていたんですね。ですから今回のリリースは驚きました!やはり時代を超越した名作の原盤を沢山保有しておられる以上、ファンの要望も多かったでしょうし、さすがに時代の流れには逆らえなくなったのでしょうか?(^^;) とにかく内容が大幅に変更されるとの事ですから、これは良い方向に期待したいです♪


かつてYMOの『テクノデリック』と同じ1981年にアルファよりリリースされた『左うでの夢』は、坂本さんのソロ・キャリアの中では『千のナイフ』『B-2UNIT』に続いて通算3作目のソロ・アルバムという事になります。その後、なぜか『左うでの夢』の原盤権は90年代にMIDIレコードに移行しましたので、当然今回もMIDI原盤のディストリビューターであるユニバーサル・ミュージックから販売される形となります。

元々私自身は、最初のアルファのアナログ・レコード盤が発売された時になけなしの小遣いで『左うでの夢』を購入したのですが(笑)、ジャケットの坂本さんの化粧顔のどアップにぶったまげた思い出があります(笑)。CDならともかく、アナログ盤ジャケットで坂本さんの頭がはみ出すほど拡大されている訳ですから、どれだけ誇張するのかと!(爆笑) そういえば『戦メリ』のサントラ盤も同じ状態でしたね(笑)。まぁどうせなら、ジャケットだけアナログ盤サイズで復刻するのも面白いですね!…って、それだとコストが余分にかかってしまいますね。(^^;)

当時、アナログ盤の帯には、本作に作詞家としても参加しているコピーライターの糸井重里さんが考えた『スナオ・サカモト①』というコピーが書かれていました(笑)。アルバムの内容もまさにそのとおりで、坂本さんが以前の作品ほど難しくは考えずに、素直な気持ちで肩の力を抜いて作った作品と言っても良いでしょうね。実は坂本さん御自身も、当時『B-2UNITの時は楽しめなかったが、左うでの夢は楽しみながら作れた。』と語っておられました(笑)。当時は『①があるのなら、②もあるのか?』と、よくファンから質問されていましたが(笑)、今回の紙ジャケットでも当時のコピーの帯を完全復刻していただきたいですね♪ 追加料金がかかるのかはどうかは知りませんが…(^^;)

実は当時、この坂本さんの『楽しめなかった』発言に意義を唱えるべく、一人のファンが『自分もB-2UNITを買ったのに、それじゃファンは楽しめなかったアルバムを買わされたのか?』と新聞に投書なさったのです。まぁお気持ちは分からなくもないですが(汗)…当時は坂本さんも、チューニングの不安定なアナログ・シンセサイザーを全面的に使っておられた訳ですから、レコーディング面で「苦労した」という意味も含まれていたのかも知れませんね。それと坂本さん自身、元々はスタジオ・ミュージシャンだったのが、YMOのブレイクによって、道を歩いていてもアイドルみたいに小学生に追いかけられるようになってしまいましたから(苦笑)、そういう急激な環境の変化に対する戸惑いの影響もおありだったかも知れません。つまり『B-2UNIT』は、そんな最中のレコーディングだったという訳です。

しかし逆に言えば、当時坂本さんもそういう心理状態だったからこそ、それを逆手に取って作風に反映させ、あのアバンギャルドな雰囲気が出せたのかも知れません。現実に今は、『左うでの夢』よりも『B-2UNIT』の方が評価が高いでしょ?(笑) 名曲「Riot In Lagos」が入っている事も人気の理由の一つでしょうね。特に海外のミュージシャンやファンには『B-2UNIT』はかなり評価が高くて信奉されています。そういう意味でも『B-2UNIT』は、成功したアルバムでした。現実に私自身も凄く気に入りましたし、当時のアナログ盤を再生しすぎて盤面を傷だらけにしてしまいましたから(笑)。

やはり作品の制作過程で、作り手がどんな思いをしていたのか?とかいうのはあまり関係ないのかも知れませんね。そりゃ楽しめるに越した事はないのでしょうが…制作当時どんな気持ちであったとしても、最終的に出来上がった作品を聴衆が楽しく聴く事ができたのであれば、それで結果オーライなんでしょうし、作り手側も救われるのかも知れません。おそらく坂本さんも、当時それを解っておられたからこそ、正直に『B-2UNITは楽しめなかった』とおっしゃっただけなんでしょうね。それこそ全然悪意が無かったと言うか…ファンに共感してもらえる範囲内だとお考えになられたのかも知れません。

そもそも『制作過程で楽しめなかった』という話は、レコードだけに限らず、あらゆる作品や製品に言える事でしょうね。最近でも横尾忠則さんがツイッターでよくそういうお話をされますので(笑)。しかし、作者本人が制作当時に納得できていなくとも、聞き手が『素晴らしい』と評価してくれる事って、いくらでもある訳ですよ。やはり作品というものは、作者の手元を離れた後、どのような道のりを歩むのかは本当に分からないものですね(笑)。おそらく芸術ってそういうものなんでしょう…。

まぁつまり『左うでの夢』は、坂本さん御自身が『B-2UNIT』と対比すると凄く楽しみながらレコーディングできた作品だったという事ですから、『B-2UNIT』とは好対照のアルバムと言えなくもないですし、その辺を意識しながら聴くと、それなりに掘り下げたところでまた新たに発見できる部分があるかも知れません。


現実にそういった坂本さんの「遊び」の部分は、『左うでの夢』で随所に見られます。

先ずサウンドについては、『B-2UNIT』当時は有り得なかった「和楽器のパーカッション」が本作では多用されています。この点でも風通しが良くなったのかも知れませんね。その道の名人・仙波清彦さんもレコーディングに参加しておられます。当時はご承知のようにまだデジタル・シンセが存在しておらず、アナログ・シンセ・オンリーの時代でしたので、かいつまんで言えば『左うでの夢』は、「アナログ・シンセと和楽器を組み合わせた究極のアンサンブル」という印象も受けます。とにかく全体的にほのぼのとして暖かいサウンドですね。それこそ『B-2UNIT』が無機的サウンドだとすれば、『左うでの夢』は有機的なサウンドです。

しかも坂本さんは、本作ではシンセ以外にギターやベースも弾き、ドラムも叩いておられます。勿論、メインギターはエイドリアン・ブリューです。ちなみに「Relache」のドラムは幸宏さんなのですが、「Venezia」のドラムは坂本さんです。つまり「Venezia」は、ベーシック・トラックは坂本さんお一人でマルチ録音し、その上を生楽器の演奏者によってダビング録音されたようですね。勿論、ノンドラムでパーカッション・オンリーでリズムを取っている曲もあります。

本作のもう一つの特徴は、坂本さん御自身がアルバム収録曲の半数を日本語で歌っておられる点でしょう。坂本さんのボーカルの話については、私も以前にこのブログに投稿した事がありましたが…。「ぼくのかけら」は厳密に言えばボイス(セリフ)だけですが、後に「坂本龍一+ダンスリー」名義の『エンド・オブ・エイシャ』でも再演された曲です。「かちゃくちゃねぇ」は、いかにも矢野さん作詞って感じの津軽弁ですね(笑)。そういえば「Venezia」の歌詞の意味、未だに分かりませんね。まぁ元々私自身、YMOや坂本さんの作品で歌詞の意味を理解しようとした事なんて無かったですけど(笑)。

そして『左うでの夢』を語る上では忘れてはいけない、関連作がありました。アナログ盤のミニ・アルバム『アレンジメント』です。

この『アレンジメント』は、『左うでの夢』を坂本さんと共同でプロデュースしたロビン・スコット氏が、「Venezia」「Relache」「Tell'em To Me」の3曲を自らのボーカルと差し替え&リミックスしてタイトルも変更した音源に、アルバム未収録曲「The Arrangement」を加え、翌1982年「坂本龍一&ロビン・スコット」名義で4曲入りのアナログ・ミニアルバムとして発売されたものでした。後の『左うでの夢』原盤権のMIDI移行に伴い、この4曲の原盤権もMIDIに移行したのですが、以前の投稿でもお知らせしましたとおり、改めてシングル曲ばかりのコンピレーション盤『Field Work + Steppin in Asia + Arrangement』に収録されました。

つまり私個人的には、『左うでの夢』と『アレンジメント』は常にセットで考えてきた訳なんですね。ですから今回、せっかく『左うでの夢』がリイシューされるのでしたら、ぜひ『アレンジメント』の4曲もボーナス・トラックとしてリマスタリング収録していただきたいです。元々海外盤もそのようにパッケージングされていた訳ですから(笑)。ちなみに「The Arrangement」のインスト・バージョンは、後に『CM/TV』に「西武スペシャル B-3」として収録されました。

とにかく今回のリイシューを期に、これまで他の坂本さんのアルバムに比べてあまりスポットが当たらなかった『左うでの夢』が、今後の再評価に繋がっていく事も私は楽しみにしています♪


そもそも『左うでの夢』が目立ってこなかったのは、おそらく「現在でもライブで演奏され続けている曲」がアルバムに収録されていないからですかねぇ?それでも「サルとユキとゴミのこども」は、一度ライブ演奏された事がありました。1982年にNHKスタジオで公開ライブ収録された「坂本龍一&B-2ユニッツ」のライブでしたが、この時のアレンジは、明らかに矢野顕子さんの影響を受けておられました(笑)。メンバーは立花ハジメさん&沢村満さん&ロビン・トンプソン&のサックス三人衆、ベースの永田どんべえさん、ドラムの鈴木さえ子さんでした。「The Arrangement」はハジメさんの『Hm』収録のテイクに近いアレンジでしたね。「ザットネス・アンド・ゼアネス」のピアノバージョンも、実はこのライブが初出でした♪


更に「B-2ユニッツ」ライブでは、後に「Replica」と名付けられたデモ曲が未発表曲として先行演奏されましたが、2年後の1984年、この曲は坂本さんの次回作のアルバムに収録される事になります…。それこそが『音楽図鑑』でした。


そもそも私が坂本さんの曲の中で『一番好きな曲は?』と聞かれた場合と『一番好きなアルバムは?』と聞かれた場合とでは、答えが異なります。やはり各々のアルバムに思い入れの強い曲が入っていたりしますので、なかなか少数に絞る事ができないんですねぇ~(苦笑)。それでも『アルバム全曲をトータルで考えて一番好きなアルバムは?』と聞かれた時は、やはり『音楽図鑑』と答えます。

ちなみに私が『音楽図鑑』が一番好きな理由としましては、まぁ簡単に言えば、わりとポップな曲が連続して入っているからなのですが、サウンド面でもこのレコーディング期間はちょうどヤマハDX7等のデジタル・シンセサイザー黎明期でしたので、まだアナログ・シンセがメインで使われている中、そこへ新たにデジタル・シンセやサンプリングが追加され、更に弦楽器や管楽器も加わった事により、各々のバランスが取れていてちょうど良いと思うのです(笑)。あの有名な「フェアライトCMI」が導入されたのも、このレコーディングの後期でした。

結果的に『音楽図鑑』は1984年リリースとなりましたが、実は坂本さん御自身は1982年頃から新しいアルバムの構想をお持ちだったようで、不定期的にデモ作品をレコーディングされていたようです。当然、上記の「B-2ユニッツ」ライブで演奏された数曲もその一部でした。しかも当初は、坂本さんがDJを務めていたFM番組「サウンドストリート」の2代目のテーマソング「両眼微笑」も、ボーカル入りバージョンを制作して新しいアルバムに収録する予定でした。まぁ最終的には外れてしまいましたが…。おそらくボーカルタイプを作る事が困難だと判断されたのでしょうね(汗)。その代わり「両眼微笑」は、インストバージョンのままで後に『DEMO TAPE1』および『Behind The Mask+3』に収録されました。とにかく坂本さんのソロアルバム構想は、発売よりもずっと以前からあったという事でした。

ところが82~83年当時の坂本さんは、既にご承知のように『戦場のメリークリスマス』の映画撮影とサントラ盤制作の仕事があったり、YMOのレコーディングや散開ツアーがあったりと、超多忙でいらっしゃいましたので、御自身のソロアルバムの制作は後回しにせざるを得なかった訳です…。つまり坂本さんは、YMOの散開(活動停止)ツアーを終えた1984年初頭からようやくソロアルバムのレコーディングを再開する事ができたという訳です。

すると奇遇にも、ちょうどRVC(現・ソニーに編入)系列に「MIDIレコード」が設立される事になりましたので、坂本さんも自らのレーベル「School」を携えて、発足時の所属アーティストとして専属契約する事になりました。以前の投稿でも書きましたように、坂本さんがソロ・アーティストとして特定のレコード会社と専属契約したのはこのMIDIが初めてでした。つまりこれ以前のアルバムは、発売の度に行う「単発契約」だったそうです。MIDIレコード発足当時は、このSchoolレーベルの他に、旧RVCより大貫妙子さんやEPOさん等が所属した「Dear Heart」レーベルもMIDIへと移行してきました。

MIDIレコード設立と共に一気に加速化した坂本さんのソロのレコーディングも順調に進み、ついにアルバムが完成、タイトルは『音楽図鑑』と名付けられました。当時私はこの名前を聞いて、意外と単純なタイトルだなぁ~と思いましたが(^^;)…今改めて振り返ると、非常に奥深い意味が込められたタイトルだったんだなぁ~と感じます(笑)。

そもそもどうして私が「奥深いアルバム」だと思うのか?…それは『音楽図鑑』にはあらゆる音楽的要素が込められているからです。だからといって、それらを全部話すと長くなりますので、主な事だけ書いてみます。(^^;)

まず曲順ですが、坂本さん曰く、旧アナログ・レコードのA面に当たる最初の4曲が「YMO散開以前に作られた曲」で、レコードB面に当たる5曲目「旅の極北」以降が「YMO散開以降に作られた曲」だったとの事です。

まぁ確かに、実際にサウンドを聴いていただければお解りいただけると思いますが、最初の4曲は『浮気なぼくら』に通じる明るさを持った曲が並んでいますし、DX7導入以前もしくは直後のレコーディングなので、デジタル音の存在が薄い分、ソフトに仕上がっている印象です。一方のB面(5曲目以降)も、真面目と言うかシリアスな曲が多いのですが、ジーンとくる感動的な曲が並んでいますよね。後年、私がハマッたFM音源&サンプリングの予兆がここに見られます。「旅の極北」や「森の人」では坂本さん自ら歌っておられます。

前半の曲は…「Tibetan Dance」はベース細野さん・ドラム幸宏さん・ギター大村憲司さんのYMOラインアップですから(笑)。最近のYMOのステージでもこの曲、演奏されましたね。一転して「Etude」でジャジーな流れになるのもイイですね。清水靖晃さん・高水建司さん・山木秀夫さんて…ほぼ「坂本龍一&マライア」状態です(笑)。「Paradise Lost」でボコーダーっぽく聞えるのは坂本さんじゃなく、山下達郎さんのコーラスを加工したようですね。ヤン冨田さんのスティールドラムのアドリブもいいですねぇ♪まぁ「Self Portrait」は、ロングヒット作ですので何も言う必要ないですね(笑)。シロホンを叩いているのはMIKADOのグレゴリーです。

後半はFM音源&サンプリングが強くなります(笑)。「旅の極北」はシンセとヴァイオリンとサックスがこれほど美しく調合するのか!という典型的な曲ですね(笑)。「M.A.Y. In The Backyard」のタイトルの由来は、当時の坂本家に庭に住み着いた野良猫「もどき」「アシュラ」「やなやつ」の頭文字です(笑)。いきなりサンプリングのオケヒット全開の曲でした♪ 「羽の林で」と「森の人」はいずれもデヴィッド・ヴァン・ティーゲムのパーカッションのみでリズムが取られているのですが、あまり規則的でないところが面白いんですよね。「A TRIBUTE TO N.J.P.」の頭文字はナム・ジュン・パイク氏の事で、御本人様のボイスも曲中に入っています。

ちょっと余談ですが…アナログ盤発売当時は、たしか「A TRIBUTE TO N.J.P.」のサックスは清水靖晃さんとクレジットされていたような記憶があるのですが…しかし、「完全盤」のライナーでは中村哲さんに代わっているんですよ(苦笑)。一体どちらが正しいのでしょうねぇ?今度のリイシューで判明しますかね?(^^;)

以降の曲は、当初アナログ盤ではボーナス・ディスクの中に収録された音源でした。「Replica」では、今は亡きペンギン・カフェ・オーケストラのリーダー、サイモン・ジェフスがクアトロという弦楽器を弾いておられます。「マ・メール・ロワ」のデヴィッドのパーカッションもいいですね♪ 勿論、ひばり児童合唱団も(笑)。「きみについて.....」はニッセイYOUの保険契約者限定プレゼントのレコードでしたね。当時、タイトルを読むのにきちんと「てんてんてん…」と読まなければなりませんでした(笑)。「Tibetan Dance」は1曲目続いてCDの最後にも「別version」が収録されていますが、更にもう一つ、これらと違う「ダブ・バージョン」がありまして、その音源は『WORKS II - TV/Inst.』に収録されています。なんだか余計に混雑している音源ですけどね(笑)。このテイクも今度のリイシューで収録されたら面白いですね(笑)。

既にご承知のように『音楽図鑑』のアナログ・レコード盤における「Replica」と「マ・メール・ロワ」は、本編盤とは別の「ボーナス盤」に収録されていた音源であり、更に「Tibetan Dance (Version)」は初回アナログ盤限定の音源であり、「きみについて.....」はカセットテープ限定の音源でした。つまり、アナログ盤『音楽図鑑』は、「A TRIBUTE TO N.J.P.」を以ってレコードの本編が全て終わっていた訳で、即ちこの曲がB面ラストの曲でした。しかしその後、90年代に入って『音楽図鑑』は、これらのボーナス音源を全て集めた『音楽図鑑・完璧盤』として再発売されました。かつてボーナス・トラック扱いだった音源も、『完全版』では「本編」も「ボートラ」も関係なく、全曲が一体化されています(笑)。勿論、私もこれを持っています。

しかし私の中では…未だにアナログ盤の感覚が残っていますので、一旦「A TRIBUTE TO N.J.P.」を以ってアルバムが終わってしまう訳なのです(笑)。つまりそれ以降の曲は「おまけ」を連続して聴いている感覚ですね(笑)。もっと具体的に言えば、私の意識の中で「A TRIBUTE TO N.J.P.」を以って「架空の終了」みたいなイメージが生じる訳で(笑)…更に自分の意識の中で「架空のレコード盤の架け替え」が発生した後に「Reprica」以降を聞く…という感覚が未だに起きますね(笑)。ですから私の中では、「Replica」以降の曲は完全に分断されています(笑)。

でも逆に、レコード時代を知らない世代の皆様はそういう印象は全くお持ちじゃないでしょうから(笑)、一つのアルバムの流れとして全曲聴けたり、違った印象を受けたりするのでしょうね(笑)。そういう方面からの感想も聞いてみたいような気がします。

まぁレコードであろうがCDであろうが関係なく(笑)、当初「A面」「B面」「ボーナス」と振り分けられた事によって、結果的に『音楽図鑑』の曲順自体が良くなったという効果もあったでしょうね。現実に曲別に年代差があるにもかかわらず、CDを全部トータルで聴いてみると、年代的な違和感も感じないですし、自然な流れで聴ける印象です。

当然ながら私、現行のCD『完璧盤』の音質も決して悪いとは思っていませんよ。しかし最近、他の坂本さんのソロ作のリマスター盤を次々聴いていると、やはりMIDI時代のソロ作もリマスタリングしてほしいなぁ~と思っていたのが本音です(笑)。

今振り返れば…アナログ盤『音楽図鑑』の見開きジャケットは、アートワーク的に楽しかったですねぇ~♪ できれば今度のリイシューでもサウンドだけでなく、当時の見開きジャケットの完全再現を期待しています(笑)。

 

※2014年12月追記

左うでの夢』のみ、ついに発売が決定しましたね。しかもインスト・バージョンとのセットで。『アレンジメント』の方も単品での発売となりました。一方、『音楽図鑑』の方は、現在、藤井丈司さんがアナログ・マスターテープをチェックしてくださっているそうですから、こちらもそのうち発売されるのを期待しておきましょう。


左うでの夢(紙ジャケット仕様)/ミディ
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The arrangement(紙ジャケット仕様)/坂本龍一
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