…親父とお袋が続けざまに倒れたとき、オレはただただ泣くことしかできなかった。
幼い自分にとって、両親以上に親しく、頼れる存在はいないのだ。そのたった二人しかいない人が倒れてしまうのだから、当然といえば当然だ。
街で一番大きな総合病院に搬送されて、様々な検査を行い、何人もの名の通っている医者が診たにも関わらず、治療法はおろか病名や原因さえわからず、二人は息をひきとった。最期に青白く、力なくも柔らかな笑顔をオレに向けて。
毎日のように夢に出てくる過去の悲劇。ということは、つまりオレはまたこの夢を見ているのか…
自身が夢を見ていると認知した瞬間、目の前にあった両親の亡骸は光速ともいえる速さで光の中に消えていった。
カーテンの隙間から朝日が細い光の帯のように差し込んでいる。
眠い目をこすり、少し低血圧気味な身体をゆっくりと起き上がらせる。
真っ白な壁紙にどこかの国の絶景だろうか、そんな写真が印刷されているカレンダーが掛かっている。
朝日を遮るカーテンは、薄い緑色で模様が無い、シンプルなものだ。
少し大きめな、黒と白のみで彩られた時計。学校で見たものとよく似ている。
無駄な装飾の無い、それ故に部屋の調和を乱さない家具が並んでいた。
…ここはどこだろう。それが最初の反応。
戸惑いながら頭を整理していくと、どうやらここは遠峰の家の一室のようだ。
親戚の家を出て、車で連れてこられてくる間に眠ってしまった記憶がある。だがそれ以降のことが思い出せないということは、遠峰の小父さんか小母さんがここまで運んできてくれたのだろう。
そんなどうでもいい事をゆっくり巡らせていると、ようやく意識がはっきりしてきた。どうもオレは寝起きが悪くていけない…などと小さな反省をしていると、ドアがノックされ、遠峰の小母さんが部屋に入ってきた。
「おはよう、悠真くん。もう起きているかな?」
オレは頭を切り変えて、なるべく礼儀正しく返事をした。
「はい、おはようございます。昨日は眠ってしまってご迷惑をおかけして、すみません」
我ながら年に似合わぬ言葉遣いだなぁなんて思った。
「いいのよ、君はもううちの子なんだから。迷惑なんて思う必要ないのよ」
「はい、ありがとうございます」
優しく諭されたオレだったが、あくまでも他人行儀な態度で接してしまう。今までの生活で染み込んだ癖のようなものなのだろう。
「とりあえず朝ごはんにするから、着替えたら下においでね」
と言い残し、小母さんは階段を降りていった。
さて、待たせるのもまずいのですぐに言われた通りにしなければ。
まだ気だるい身体に渇を入れつつ着替え、ダイニングに向かった。
そこには、料理をよそう小母さんと、椅子に座り新聞に目を通していた小父さんがいた。
小父さんはオレに気づくと「おはよう、悠真くん」と朝の挨拶をした。
オレは先ほどの小母さんに対する言葉と態度を反復させ、挨拶を返した。
※…眠すぎて頭が回らない;中途半端なところだけど続きは明日にしよう…って別にこんな説明めいたことしなくても読む人なんかいないから大丈夫か(笑