ほぼ毎週土曜日は試合があり、

日曜日がオフで月曜日からまた練習。

土曜日の試合が終わると

皆、自分の居場所に帰っていき、

月曜日の練習に間に合うように戻ってきます。

 

私は帰る場所がなく、

エメジーが山の家に誘ってくれないかぎり、

家でひとり過ごします。

 

最初の頃は、

このチームを紹介してくれた植芝さんの家に頻繁に遊びに行っていましたが、

さすがに奥さんと植芝さんの時間をお邪魔していると気づき、

2年目は控えるようになっていました。

 

ビニョットさんが

「近くに日本人がいないか探してみるね」

と言ってくれていたけれど、

なかなか見つからず、

「中国人ならいるんだけどねぇ」

との言葉にガッカリしました。

 

良いアイデアが浮かび、

日本から手編みセーターの作り方が載っている本を送ってもらいました。

家の近くの手芸屋さんに行き、

お店のかわいいお姉さんに

「毛糸いっぱい買うから、編み方を教えてもらいにここに通ってもいい?」

と交渉。

快く承諾してもらえて、これで居場所が出来た!

と喜んだのですが、

日曜日はこのお店も休みでした。

ダメじゃん…。

 

試合に出られなかった愚痴を言う相手もいず、

落ち込む日曜日。

日曜日が来るのが恐怖にさえなっていました。

 

あー、なんかこのままだと私、壊れてしまいそうだ。

 

とにかくこの鬱々としたものを外に吐き出さなくては。

 

そうだ、大声で歌を歌おう。

そう思いたってドライブに出かけます。

目的地は特にないので隣町のパルマやモデナの中心街まで行ってグルグル走り回りました。

大声で歌いながらね。

イタリアの歌も大好きだったけど、やっぱりこういう時は日本語の歌。

日本から持ってきたカセットテープを車の中でかけてました。

日本語が恋しかった。

 

 

部屋に一人の時、

そうだ!紙に吐き出そう。

と思いたち、白紙の紙を前に座ります。

なんて書こう…。

 

「さみしい」って言葉が浮かびました。

紙が真っ黒になるくらい、

ギッシリと「さみしい」を書きまくった。

ふ〜っ、

でもまだなんか書き足りない思い…。

 

新たにまた白紙をセット。

今度は「孤独」という言葉が浮かびました。

漢字はイタリア滞在中にすっかり忘れてしまったので、

ひらがなで「こどく」と端からビッシリ隙間なく書き、

白い紙を埋め尽くしたところで、

その上に突っ伏して  、

ワーっと声を上げて泣きました。

 

日本に帰りたい!

 

イタリアに来た当初、

私はホームシックにはならないだろうと、たかをくくっていましたが、

こりゃ見事なホームシックでした。

 

 

そんな時、日本から“兄の結婚式”の知らせが届いたのです。