クリスマス休暇が明けて、すぐにセリエAも再開。
12月最後のポルデノーネ戦は、右ウイングで先発出場。
2-1で勝利しました。
私は1得点。
コーナキックをニアで合わせてヘディングで決めました。
エースのカルタも怪我が癒えて、この試合から出場できるまでになりました。
ポジションは、トップやトップ下でしたが、復活するや否や大活躍。
やっぱり格が違う。
それまで私は右ウイング背番号7番で定着していたのが、
2月に入ってすぐのフィオレンティーナ戦で、後半途中からフォワードに移って以来、
その後の試合では9番になり、
カルタとツートップを組むようになりました。
カルタと一番最初に会ったのは、私が高校1年生の時。
中国の西安の大会です。
私より確か2つ年上だから、カルタも相当若かったハズ。
その後も何度もイタリア代表と対戦し、カルタは常にイタリアの主力でした。
日本に来た時は、イタリア代表が泊まっていた飯田橋のホテルのバーで、私はカルタの隣に座って、パンにオリーブオイルと塩を振りかけて食べるやり方を教えてもらった事もありました。
カルタには、
「全然覚えてない」
って言われちゃったんですけどね。
まさか、同じチームでプレー出来るとは思わなかったし、
家が近くて、ほぼ一緒に暮らすようになった事も不思議な縁を感じました。
カルタはサルデーニャ島出身で、中学校の頃から家を出て、サッカー選手として生活してきています。
学校も小学校まで。
だからか、かなり野生児っぽい(笑)
みんなで食料を買い出し行った時も、お釣りを
「どうしようか?」
と悩んで、同じコインを人数分配り、余ったコインを
「誰がもらう?」
みたいな…。
計算しないんだぁ…って思ったね。
私が頼まれて日本から買ってきたウォークマンを、いきなりコンセントに差し込んじゃって、ボンって軽く爆発。
すごい煙に大爆笑。
あっと言う間に壊しちゃった事もありましたっけ。
変圧器をつけなきゃいけなかったんですけどねぇ。
人の話を聞きゃあしない(笑)
でも、家事をやらせたらピカ一です。
炊事洗濯、何でも出来ちゃう。
とても手際が良く、とても上手。
特に料理の腕は最高でした。
レッジアーナに来る前は、ナポリにいて、同時期にいたマラドーナとは交流があったらしいんです。
マラドーナからもらったというユニフォームをよく着ていたのには、
うらやましくって、
「それちょーだいっ」
ってよく言ってた(笑)
毎回
「NOooooooooooooo!!」
って。
当たり前か(笑)
イタリアはテレビをつければサッカーがいつでも観られる環境です。
モラーチェという女子サッカー選手が司会をやっているサッカー番組も毎週やっていました。モラーチェはカルタ同様、イタリア代表でも長くプレーしているので、私は昔から知っています。
去年までレッジアーナに居たらしいのですが、今年はミランでプレーしていました。
チームを去る時に、
「私が居なくなったらレッジアーナはもう勝てなくなる」
と捨て台詞を残して出て行ったらしく、レッジアーナの中では相当モラーチェの評判は悪く、良く言うのを聞いたことがありませんでした。
まぁ、私はモラーチェが出ている番組を毎週見ていましたけどね。
当時ナポリにゾーラという選手がいました。
ワールドカップで活躍していないから、日本での知名度はイマイチかもしれませんが、イタリアでは大人気。
小柄ですが、低い重心でドリブルが上手く、プレースタイルが似ていることもあって、マラドーナの再来と騒がれていました。
そのゾーラがサルデーニャ島出身。
カルタとは同郷で、しかもナポリで同じチームに居たという事で仲が良いらしいのです。
ある日、カルタたちの家で私も夕食を一緒に食べていると、電話が鳴りました。
ピッポが電話を取りに行って、
「アント(カルタの事)ゾーラから電話だよ」
って!
えー、ゾーラってあのゾーラ!?
電話を終えて戻ってきたカルタが
「今度、パルマで試合があるから観に来ないかって、チケットくれるって言ってるけど、一緒に行かない?」
「行く行く!」
ピッポと私とカルタで行くことになりました。
試合前日の土曜日にチケットを受け取りにナポリの選手たちが宿泊しているホテルに行きます。
その日私たちはユベントスとホームで試合。3-0と快勝です。
私は2点目をアシスト。
まだ好調を維持していました。
試合後、すぐ隣のパルマ市へ車で行きます。
ホテルの前には警備員が多く、一般の人は中に入れてくれませんが、私たちはゾーラの友達という事で特別に入館が許されました。
ロビーでゾーラと話していると、なんと、デナポリも入って来て一緒に話をしたのです。
イタリア代表でもあったデナポリは、覚えている人いるかわかりませんが、マラドーナ擁するナポリの一員としてゼロックススーパーサッカーで来日。
シルベスター・スタローン似という事でも話題になった人です。
この数年後にデナポリはレッジアーナに移籍。
その時、私はもうイタリアでプレーしていませんでしたが、イタリア(ヴィニョットさんの家)に遊びに来ていて、レッジアーナの練習を見に行った時に再会しました。
1回会ったきりだから、覚えているとは思えない。
でも、ちゃんと覚えている風に声もかけてくれて、サイン入りユニフォームまで私にくれたんです。
すごいでしょ。私の宝物です。
すごくいい人。
ゾーラとデナポリと話しをしている最中、ブラジル代表選手のカレッカやアレモンも通ります。
慌てて写真を一緒に撮ってもらいました。
スタッフらしき髭をはやした大柄のおじさんが通った時、
「カオリ、この人すごい人だから、絶対に一緒に撮った方が良いよ」
と言われ、一緒に写った人は、元有名な選手らしいのですが、いまだに誰だかわかりません(笑)
翌日のパルマとの試合は、開始前から信じられないほどの熱気に包まれていました。
お互いのサポーターが、それぞれの応援歌を歌い、スタンドで跳びはねる姿を観て、その熱狂ぶりにとても感激しました。
Jリーグが始まる前の事ですから。
試合後のファンと警官との大乱闘などは、日本ではありえない。
警官が警棒で思いっきり観客を殴っているんですよ~。
「あんな事していいの?」
「サッカー場では、よくある事だよ」
だって。
サッカーの本場の空気を存分に味わいました。