台湾で行われた大会の後、監督が折井さんから鈴木良平さんに代わりました。

 鈴木良平さんは、日本女子サッカー連盟の事務局長をしていたこともあり、なんと西ドイツで指導者のS級ライセンスを取得して、男子のプロチームビーレフェルトのコーチをしていた凄い人です。えーっそんな人が指導してくれるの?と期待に胸が膨らみました。

 夏に40人弱の候補選手を集めて千葉県検見川で、同じ8月に18人に絞って静岡の清水で、それぞれ3日間の合宿を行いました。鈴木良平監督が一番最初に挨拶をされた時、声が小さくて何を話しているのかちっとも聞き取れなかった(笑)

背が高くって、第一印象ちょっと怖そうな感じ。でもそんな事なくって、とっても優しかった。皆最初から鈴木監督の事は、親しみを込めてりょっぺいさんって呼んでいましたよ。りょっぺいさんは間違いなく今の女子サッカーの土台を築いた功労者です。

 

 毎年中国で開催される国際大会。中3で初めて広州の大会に参加して、高1で西安に行き、高2になったこの年は、9月に天津で行われる大会に出場すると招集のお手紙が届きました。早速地図を見て天津がどの辺にあるのか調べました。今みたいにスマホで検索すれば何でも調べられる時代じゃありません。観光ガイドブックには主要な都市は載っていても天津は載っていませんでした。どんな街かなぁ。よく分からないけど、天津と言えば甘栗でしょ!甘栗たらふく食べれるぞ、きっと。と楽しみにしていたんです。

 

 学校は事前合宿も含め約3週間休みます。クラスの友人達には、「いいなぁ学校いっぱい休めて」「サッカー頑張って来てね~」等と言って送り出されました。

 皆スーツケースをゴロゴロと引いて集合し、事前合宿をするのはいつもの様に千葉にある検見川東大グラウンドです。

 ところが、3日間の合宿の2日目に突然天津遠征中止の連絡が入ってきました。天津の大会に出場予定だった香港、タイの2か国が急遽参加を取りやめたからだそうです。

 私たち、相当落胆しました。どんな顔して学校や会社に戻れば良いのか、かっこ悪いったらありゃしない。「どこかに逃げて、3週間皆で隠れていよう!」なんて冗談も出ていましたが、出来るものなら本当にそうしたかったなぁ…。