そして西安国際大会。監督は折井孝男さん。西安に入る前に、上海を経由したのですが、何か手違いがあり、そこから西安に向かう飛行機に乗れませんでした。

 空港で何時間も待ち、キャンセル待ちで半数くらいの選手は、西安へ飛びました。一旦ホテルへ入り、また数人が飛行機に乗れるという知らせが入り、名前を呼ばれた人達は、空港へ出かけて行きました。

 私を含めた4人の選手と1人のスタッフだけが残されました。誰かが、「試合に間に合わなくても支障のないのが、この4人ってワケだ。」と言った時、「あー、そうか…そうなんだ…」と、言われて気づく能天気ぶり。急にくらーい気持ちになってしまいました。

 

 その日はもう出発出来ないことになり、ホテルに宿泊しました。私たちが宿泊したホテルにちょうどバスケットボールの日本代表が泊まっていました。せっかくだから仲良くなりたいなぁと思って、すれ違いざまに日本語で「こんにちは!」と挨拶しても、挨拶だけですれ違う感じでした。そりゃそうか、こっちは相手がわかっているけど、向うはまさかこっちがサッカーの日本代表とは思っていないだろうしね、4人しかいないし(笑)

 

 その夜近くの体育館で女子バスケットボールの日本対中国の試合があると聞いて、皆で試合を観に行きました。たしか、中国の圧勝でした。中国チームには、ずば抜けて大きい人がいて、すごく上手でしたね。

 日本チームにも同じくらい大きな人が 1人いたのですが、ずっとベンチに座って出番なしでした。私たちその人が出てくるのを期待していたのに、ハーフタイムでアップをする動きを見て、「中国の大きい人とは動きが違うね。」

 帰りながら、「外国人の大きい人は、運動神経がいいけど、日本人は大きいと動きが緩慢になっちゃう。大きくて運動神経も良いって人は少ないよね。」「日本人でも大きくて動きの速い人をどうやったら育てられるか?」なんて熱く語りあっていました。あ~、たのし~。上海に残されなかったらこんな夜は過ごせなかった。4人きりの夜を満喫していました。

 

 翌日は、空港に行くと、自分たちが乗る飛行機を見て、びっくりです。10人は乗れないんじゃないかっていうくらいの小さなプロペラ機だったからです。ステップを登って、上半身かがめながら小さい穴の様な入口から乗り込み、すぐ1席前が操縦席でした。

 イヤな予感はしていましたが、滑走路を走り始めたところから悲劇が始まりました。揺れる揺れる。もうすごいスリルを味わいました。まるで遊園地のアトラクションの様です。「ギャーギャー!」ずっと叫びっぱなし。私ジェットコースターも怖くて乗れない人なのにぃ…。

 空港に無事着陸した時には、腰が抜けてすぐには動けない。飛行機を無事降りた時には、抱き合ってお互いの無事を喜んだのでした。良かった良かった。