小学生時代にお世話になった先生がもう一人います。
東村山の北山小学校の先生です。
北山小学校には女子サッカーチームはありませんでしたが、
当時の男子チームはとても強く、よく胸を借りに練習試合に行っていました。
男の子の中にひとり混じった女の子に興味を持ってくれたのか、
試合の後に私一人のために個別指導をしてくれる事がありました。
フェイントというものを初めて教わったのはこの先生からです。
最初に教わったのは、行くと見せかけて、逆方向へ行くフェイントです。
ボールの左側に左足を踏み込んで左方向へ行くとみせかけて、右のアウトサイドで逆方向へ逃げる。
ポイントは最初の動作を大きくゆっくり、アウトサイドで逃げる時は素早くします。
キックフェイントも同様です。本当に蹴る様に、左足で大きく踏み込んで右足で大きくゆっくり振りかぶる。
そして右足のアウトサイドで素早く逃げる。決め手は緩急である事を教わりました。
緩急と言えば、フェイントだけなく、すべてに通じます。
私は当時「ドリブルが遅い」とよく言われていました。
他の子の試合を観ていた時、たまたま隣にいたコーチが、
「お前のドリブルはあんな感じだよ。」
と指摘したプレーが、相手をドリブルで抜いた後に抜いた相手に追いつかれてしまう。
というプレーでした。
(なぁんだ、そういうこと?)
その時はじめて私は何が遅いと言われていたのか、
そう、緩急のいつ早くすれば良いのかということを理解し、あっさり改善する事ができたのです。
今、指導者としてこの時の経験が役立っています。
耳で聞くだけでなく、目で見て、身体で覚える。
あっそういうこと?
と理解すれば改善することが容易にできるのです。
お陰で「ドリブルが速い」と言ってもらえるようになったのでした。
ついでにトラップのコツもこの北山小の先生から教わりましたのでお伝えしておきます。
トラップのコツは、ボールを触れる瞬間に息をフッと吐くことです。
身体の無駄な力が抜けて柔らかいタッチが出来るようになります。
ロングボールなどをコントロールする時に、ボールがバウンドする瞬間に上体をかがめて、
屋根をかぶせるようにボールの上に覆いかぶさるトラップも教わりましたが、
これを覚えるまでは、キーパーからのパントキック等を受けるのが苦手で、
よくバウンドが頭を超えて行ってしまう事もありました。
このトラップはとても楽にボールを納められます。
北山小の先生から学んだ時間はほんの数分だったと思いますが、
とても大切な宝の様な事を教えてくれたのです。