マスコミに載らない海外記事

2017年11月23日 (木)

シリア、ロシアとイランは外交に移行、一方アメリカと同盟諸国は戦争を推進

Syria, Russia & Iran shift to diplomacy, while US and allies push for war

 

Finian Cunningham
2017年11月21日

シリア和平交渉の週、イランとトルコの指導者も集まるソチで、アサド大統領は、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領に歓迎された。

おそらく、ふさわしいのだが、アメリカは、シリア和平のための新たな努力に何の提案もできずにいる。

 

プーチンは、ISIS (ダーイシュ、「イスラム国」)やシリア内他のテロ集団の打破は事実上達成されたので、紛争の当事者は、平和を勝ち取るための政治的手段を補強しなければならないと述べた。

 

ロシア黒海のリゾート地、ソチでの交渉は、シリアの主権当局として、バッシャール・アサド大統領と彼のダマスカス政権を承認した先のジュネーブ合意を強化するのは重要だ。

 

ワシントンとヨーロッパの同盟諸国によるアサド“辞任”要求は、とうの昔に期限が切れた。この無効状態は、政権転覆を狙った、シリアでのほぼ七年間秘密の戦争、あるいは、少なくとも、欧米が支援する代理過激集団を装った秘密の戦争が敗れたことの暗黙の承認だ。

今週、ソチでの和平交渉に、アメリカとヨーロッパ高官が欠席していることが、シリア戦争における連中の悪質な役割について、実に多くを物語っている。

シリア、ロシア、イランとトルコ和平交渉を刷新しようと尽力する中、ペンタゴンのジェームズ・マティス長官が先週、アメリカ軍はシリア領に更に腰を据えるつもりだと述べたのことは重要だ。

 

テロ集団の崩壊にもかかわらず、シリアからの撤退をアメリカ軍がいやがっているのは、一環地域におけるアメリカ軍事的存在の復興と見るのが一番当たっているだろう。トランプ大統領の下 - 彼の選挙運動公約にもかかわらず - アフガニスタンやイラクで、アメリカ軍のレベルは大幅に強化された。シリアへの配備は地域における強化というこのパターンに合致する。

 

地域におけるアメリカ軍勢力レベルの強化は、サウジアラビアとイスラエルがイランとレバノンに対する敵意を強めている不吉な兆しも強調している。

 

テロ集団が駆逐されつつあるにもかかわらず、先週、ジェームズ・マティス国防長官は、アメリカ軍はシリアに留まるつもりだと述べた。アメリカ軍のシリア駐留は、国連の法的委託を受けているというマティスの主張は、ロシアとシリアによって、国際法の曲解だとかたづけられた。

 

だが、たとえマティスの間違った論法によっても、彼の主張はおぼつかない。もしアメリカ軍が、主張通り、テロリストを打ち破るため、シリアに駐留するよう委託されていても、テロリスト連中がほとんど打ち負かされたのを考えると、そこに駐留しているのは一体なぜだろう?

 

アメリカ軍の新たな目標は“ISIS 2.0”の出現を防ぐことだとマティスは述べた。アメリカはISISに対する戦いはほとんど行わず、実際は、BBCでさえ報じた通り、危険な状況からの司令官連中のヘリコプター空輸を含め:過激派戦士に安全な通行を保障した事実にもかかわらず。

 

アメリカと、NATOと、地域の傀儡政権によって、秘かに武器を与えられ、資金を供与されていたテロ集団を撃退するあらゆる力仕事をしたのは、シリア・アラブ軍、ロシア、イランとヒズボラだった。ISIS、ヌスラ戦線や、他のあらゆる略語だらけのテロ集団は、シリア政府や ロシアが既に指摘している通り、実際には、外国による侵略に当たる駐留にあたる、戦闘機や特殊部隊のアメリカによるシリア配備の口実に過ぎない。

 

今マティスが、シリアでISISを打ち破ったのはアメリカだったと主張し、アメリカの手先が、ISIS 2.0として再登場する亡霊を警告しているのは、シリア領土占領を継続するための口実だ。アメリカの手頃なまぼろしの敵は、二度も役立ってくれる。これはis toアメリカのシリア干渉を“正当化”するためだ。そして今度は、テロリストに対する本当の勝者、シリア、ロシアとイランが、シリアを非武装化しようとしている時期に、アメリカ軍のシリア駐留を正当化するために。

    '#シリアに‘革命’など決してなかった、外部諸大国によってあらかじめ計画された戦争だ' (Op-Ed by @EvaKBartlett) https://t.co/ISNJAQEnVS
    - RT (@RT_com) 2017年11月3日

国民に見えないところで、アメリカ軍はシリア、アフガニスタンやイラクで駐留を拡大している。Politicoはこれを“公式な見え透いた言い訳”と呼んでいる。トランプ政権とペンタゴンは、アメリカ人の意向に背き、中東全域に更に数千人の軍隊を配備しようとしているのだ。

ワシントンにとって大変不快なことに、先週、アメリカがシリアに13の軍事基地を擁していることをトルコが暴露した。ロシアは、過去二年間、ISISや他のテロリスト・ネットワークを打ち破る上で、ずっと大きな軍事的影響を持ってきたにもかかわらず、ロシア、明らかに、わずか五つの基地しかない。

 

最大の米軍基地の一つは、北部の都市ラッカから約140キロ、コバニ近くにある。これが、先マティスがアメリカ軍は腰をすえるつもりだと言った際に、言及していた場所であることは確実だ。

コバニのアメリカ空軍基地は、極めて限定されたわずかな機種の航空機しか受け入れられない素朴な飛行場から、最大の兵員輸送、貨物輸送機を含む、ペンタゴン航空隊の“どの種の機体でも”着陸できるものへと、昨年以来、劇的に強化されている。

コバニのアメリカ軍基地は、北イラクのカッヤラ・ウエストから、ラッカの北、タブカ・ダムを結ぶ一連の新たな飛行場の一環でもある。

ペンタゴンのForce Management Level政策の下で、公式にはシリアには、わずか500人の兵士しかいないことになっている。アフガニスタンやイラクでと同様、実際の人数は、公式に認められているものより遥かに多いと考えられている。

インチキ計算の大半は、ペンタゴンが相手国に120日以下しか駐留しない部隊を数に入れないことから起きている。こうした部隊は橋梁、道路や滑走路建設を任務とするエンジニアや兵士だ。

 

これは、アメリカとNATO軍が、バルト海と黒海地域で、“交替制駐留”の範疇の兵士、戦闘機や艦船を恣意的に数に入れないことで、部隊態勢を過小評価しているのと、そっくりだ。しかし十分頻繁に交替すれば、部隊態勢は実質的に恒久的となり、実際には、公式に認められているよりずっと多い。

 

アメリカの代理勢力が“ISIS 2.0”として再来することがないようにする(何というあつかましさ!)ことに加え、現地アメリカ軍の拡張は、11月28日に再開するジュネーブ和平交渉が、“影響力”を得られるようにするためだとマティスは述べた。

 

“我々は、ジュネーブ・プロセスが影響力を持つ前に、今すぐ立ち去るつもりはない”先週イギリス国防大臣とのロンドンでの会談で滞在中にとマティスは述べた。

 

これが示唆しているのは、ワシントンがシリア領土の違法軍事占領を、政治プロセスに影響を与える手段として利用しているということだ。シリア領土に無理やり居すわることで、ワシントンは、アサド政府が、アメリカの辞任要求に折れるか、新憲法を制定して、敗北した反政府派に、より発言権を与えるかするのではと、おそらく計算しているのだ。

もし、アメリカが、シリアにおける政治プロセスに本気で貢献するつもりなら、次のジュネーブ ・サミットに備えて、ロシアが仲介した今週ソチでの交渉に弾みをつけるべく、なぜアメリカ外交官たちが参加していないのだろう?

しかし、一層不吉なのは、地域全体でのアメリカ軍強化という状況だ - ほとんど秘密で、アメリカ国民に知られずに。ワシントンの傀儡政権、サウジアラビアとイスラエルが、直接、あるいは、レバノンとイエメン経由で、イランとの対決を推進しておりシリアでの軍事駐留拡張は、戦争は終結から程遠いことを示している。逆にこれは、更に壊滅的な地域戦争の前兆かも知れない。

 

Finian Cunningham(1963年生まれ)は、国際問題について多く書いており、記事は複数言語で刊行されている。農芸化学修士で、ジャーナリズムに進むまで、イギリス、ケンブリッジの英国王立化学協会の科学編集者として勤務した。彼は音楽家で、作詩作曲家でもあるミラーや、アイリッシュ・タイムズや、インデペンデント等の大手マスコミ企業で、彼は20年以上、編集者、著者として働いた。

本コラムの主張、見解や意見は、もっぱら筆者のものであり、必ずしもRTのそれを代表するものではない。

記事原文のurl:https://www.rt.com/op-edge/410530-syria-russia-iran-war-isis/

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