「どうして、いつも私ばっかり!」
「言わなくても、少しくらいわかってほしい。」
「本当は嫌だったけれど、何も言えなかった。」
家族や恋人、職場の人との間で、こんな気持ちになったことはありませんか?
人間関係で難しいのは、相手と意見が違うことそのものよりも、その違いをどう伝えるかということなのかもしれません。
アサーティブコミュニケーションの基本については、入門記事「優しい人ほど我慢してしまう? 自分も相手も大切にする伝え方」でご紹介しています。
今回は、その実践編です。
日常生活で使いやすい伝え方を、一緒に学んでいきましょう。

AIで作成したイメージです。
目次
- 「あなたは」よりも「私は」で伝える
- 恋愛でも使えるIメッセージ
- 言いにくいことには「DESC法」
- 実践例① 家族に家事をお願いしたいとき
- 実践例② 職場で頼まれごとを断りたいとき
- 実践例③ 友達との約束を変更したいとき
- 伝え方を工夫しても、うまくいかないことはある
- まずは小さな言葉から始めてみよう
- 自分の言葉で、自分を大切にする
「あなたは」よりも「私は」で伝える
まずご紹介したいのが、「I(アイ)メッセージ」という方法です。
Iは英語の「私」という意味です。
相手を責める言い方ではなく、自分の気持ちや希望を主語にして伝える方法です。
例えば、家族が使ったものを片づけてくれないとき。
「どうしていつも片づけないの!」
と言いたくなること、ありますよね。
でも、こんなふうに言い換えてみることもできます。
「使ったものがそのままだと、私も片づけることが増えて大変なんだ。」
「使い終わったら、元の場所に戻してくれると助かるな。」
こうすると、自分が困っていることと、相手にお願いしたいことを具体的に伝えられます。
ただし、「私はあなたが悪いと思う」というように、私を主語にするだけでは攻撃的な内容が変わらない場合もあります。
大切なのは言葉の形だけではなく、相手を責めずに自分の思いを伝えることです。
恋愛でも使えるIメッセージ
例えば、恋人からの連絡が少なくて寂しいとき。
「どうして全然連絡してくれないの?」
と責めたくなるかもしれません。
でも。
「最近あまり話せなくて、ちょっと寂しく感じているんだ。」
「時間のあるときに、少し電話できたら嬉しいな。」
そんなふうに伝える方法もあります。
自分の感情を伝えながら、相手の事情も尊重しています。
もちろん、丁寧に伝えたからといって、必ず相手が希望どおりに行動してくれるわけではありません。
でも、自分の気持ちを伝えたうえで、お互いにどうしたいか話し合うきっかけを作ることができます。
言いにくいことには「DESC法」
もう一つご紹介したいのが、「DESC法(デスク法)」です。
これは、難しい場面で自分の気持ちや希望を整理し、相手に伝えるための枠組みです。
基本的には、次の4つの要素から考えます。
なお、DESC法は参考にする資料によって、各アルファベットの呼び方や説明が少し異なる場合があります。
ここでは、日常生活で使いやすい形の一例をご紹介します。
D:Describe(描写する)
起きている事実や状況を、できるだけ客観的に説明します。
E:Express(表現する)
その状況について、自分が感じていることや考えていることを伝えます。
S:Specify(具体的に提案する)
相手にお願いしたいことや、改善のための方法を具体的に伝えます。
C:Consequences(結果を伝える)
提案によって期待できることや、必要に応じて今後の対応を伝えます。
少し難しそうに見えますが、具体例で考えてみましょう。
実践例① 家族に家事をお願いしたいとき
例えば、毎日の家事を一人で抱えて疲れている場合です。
D:状況を伝える
「最近、夕食の片づけを私が続けて担当しているよね。」
E:気持ちを伝える
「仕事の後に全部片づけるのは、ちょっと大変に感じているんだ。」
S:具体的な提案をする
「週に何日か、食器を洗ってもらえると助かるな。」
C:期待できることを伝える
「そうしてもらえたら、私も少し休めるし、一緒にゆっくり過ごす時間も作れそう。」
このように伝えると、相手への不満だけではなく、何を改善したいのかが具体的になります。
もちろん、相手にも事情があるかもしれません。
その場合は、お互いに負担の少ない方法を相談してみることも大切です。

AIで作成したイメージです。
実践例② 職場で頼まれごとを断りたいとき
忙しいときに、追加の仕事を頼まれた場合です。
「今は手がいっぱいで、これ以上引き受けるのは難しいです。」
「明日の午後からなら対応できますが、いかがでしょうか。」
こんなふうに、今できることと、難しいことを明確にします。
ただし、代案を出せない場合は、無理に提案する必要はありません。
「申し訳ありませんが、今回は対応が難しいです。」
と伝えることも、アサーティブな自己表現の一つです。
実践例③ 友達との約束を変更したいとき
楽しみにしていた約束でも、体調や都合によって難しくなることがありますよね。
そんなとき。
「本当にごめんね。」
と何度も謝るだけでは、状況がうまく伝わらないこともあります。
「会えるのを楽しみにしていたんだけど、今日は体調があまり良くないんだ。」
「無理せず休みたいから、別の日に変更してもらえるかな?」
相手への気持ちを伝えながら、自分の体調も大切にする言い方です。
ここでも大切なのは、相手がどう感じるかまで自分でコントロールしようとしないこと。
相手が残念に思うこともあるでしょう。
でも、その気持ちを尊重することと、自分が無理をすることは別なのです。
伝え方を工夫しても、うまくいかないことはある
アサーティブコミュニケーションは、相手を思いどおりに動かす技術ではありません。
自分が丁寧に伝えても、相手が受け入れてくれないこともあります。
意見が一致しないこともあります。
そんなときは、相手の話を聞いたうえで、改めて自分の希望を伝えることもできます。
また、相手が威圧的だったり、攻撃的な言動を繰り返していたりする場合には、無理に話し合いを続ける必要はありません。
安全を優先して距離を取ったり、信頼できる人に相談したりすることも大切です。
まずは小さな言葉から始めてみよう
自分の気持ちを伝えるのが苦手な人は、最初から難しい話し合いに挑戦しなくても大丈夫です。
「私は、こっちの方が好きだな。」
「今日は少し疲れているんだ。」
「それはちょっと困るかな。」
「私はこうしてもらえると嬉しいな。」
そんな短い言葉から練習してみましょう。
自分の気持ちを伝えることに、少しずつ慣れていく。
それだけでも、人との関わり方を見直すきっかけになるかもしれません。
自分の言葉で、自分を大切にする
誰かを思いやることと、自分の本音を隠すことは同じではありません。
相手の気持ちを尊重しながら、自分の気持ちも大切にする。
それは、決してわがままなことではないのです。
自分の思いを伝えられるようになると、人間関係の中で無理をしていた部分に気づけることもあります。
お互いが安心して、自分の言葉で話せる関係。
そんな関係を少しずつ育んでいけたら素敵ですね。
今日も、あなたの気持ちを大切に。
そして、あなたの周りの人の気持ちも大切に。
優しい言葉のやり取りが、少しずつ増えていきますように。
※この記事はアサーティブコミュニケーションの考え方を、日常生活で実践しやすい形にまとめたものです。
伝え方を変えれば必ず人間関係が改善する、というものではありません。
私自身も学びながら発信しているため、理解が十分ではないところもあるかもしれません。
気になることはぜひご自身でも調べてみてくださいね。
これからも温かく応援していただけたら嬉しいです。
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